DIAM外国株インデックスファンドとは?企業型DCで見かける理由
企業型DCやiDeCoの商品リストで「DIAM外国株インデックスファンド」を見かけたことはありませんか?
「DIAMって聞き慣れないけど、どんな運用会社?」「eMAXIS Slimと何が違うの?」といった疑問を持つ方は少なくありません。実は、DIAMは2016年にアセットマネジメントOneに統合されており、現在は同社が運用を担っています。
企業型DC・iDeCoでは運営管理機関が選定した商品ラインナップの中から選ぶ必要があるため、低コストで人気のeMAXIS Slimやニッセイ外国株式が選択肢にない場合もあります。この記事では、DIAM外国株インデックスファンドの特徴・手数料・運用実績を詳しく解説し、他ファンドとの比較や併用戦略も提案します。
この記事のポイント:
- DIAMは2016年にアセットマネジメントOneに統合され、現在は同社が運用
- ベンチマークはMSCIコクサイ指数(日本を除く先進国22ヶ国の株式)
- 信託報酬は年率0.2~0.5%程度で、eMAXIS Slimより高めの水準
- 企業型DC専用商品の場合は選択肢が限られるため、手数料差と運用実績を比較して判断
- つみたてNISAで低コストファンドを併用する戦略も有効
(1) DIAMからアセットマネジメントOneへの統合経緯
DIAM(ディーアイエーエム)は、かつて大和証券投資信託委託が展開していた投資信託ブランドです。2016年10月、大和証券投資信託委託・みずほ投信投資顧問・第一生命投信・明治安田アセットマネジメントの4社が統合し、アセットマネジメントOne株式会社が誕生しました。
統合後も、企業型DC・iDeCoでは「DIAM外国株インデックスファンド」の名称で継続採用されているケースが多く、目論見書には「運用会社:アセットマネジメントOne」と記載されています。
(2) 企業型DC・iDeCoで採用されている背景
企業型DC・iDeCoの商品ラインナップは、運営管理機関(レコードキーパー)や企業が選定します。DIAMファンドが採用されている理由としては、以下が考えられます:
- 統合前からの継続採用:大和証券系列の企業型DCで長年採用されてきた商品
- 運営管理機関との関係:みずほ・第一生命・明治安田グループとの取引関係
- 純資産総額の安定性:一定の純資産総額を維持し、償還リスクが低い
ただし、一般投資家がつみたてNISAや特定口座で購入する場合は、より低コストなファンドを選べることが多いため、企業型DC・iDeCoで選択肢が限られている場合の判断基準が重要になります。
ファンドの基本情報(運用会社・ベンチマーク・運用方針)
(1) 運用会社(アセットマネジメントOne)の概要
アセットマネジメントOne株式会社は、国内最大級の資産運用会社です(2025年時点で運用資産総額約80兆円)。みずほフィナンシャルグループ・第一生命ホールディングス・明治安田生命が主要株主であり、企業年金・DC・投資信託など幅広い商品を提供しています。
(2) ベンチマーク(MSCIコクサイ指数)とは
DIAM外国株インデックスファンドの多くは、**MSCIコクサイ指数(MSCI KOKUSAI Index)**をベンチマークとしています。この指数は、日本を除く先進国22ヶ国の大型株・中型株で構成され、約1,300銘柄が含まれます。
主な構成国(上位5ヶ国):
- 米国:約70%
- 英国:約5%
- フランス:約3%
- カナダ:約3%
- スイス:約3%
米国が全体の7割を占めるため、実質的には米国株式市場の動向に大きく影響を受けます。
(3) 投資対象(日本を除く先進国22ヶ国の株式)
ファンドは、MSCIコクサイ指数に連動するように運用されます。具体的には、以下の方法が採用されます:
- 完全法:指数構成銘柄をすべて保有
- 最適化法:一部銘柄を抽出して指数に連動させる(小型ファンドの場合)
運用報告書で「トラッキングエラー(ベンチマークとの乖離率)」を確認することで、どれだけ正確に指数に連動しているかが分かります。
手数料の比較(信託報酬・実質コスト・他ファンドとの違い)
(1) 信託報酬の水準(年率)
DIAM外国株インデックスファンドの信託報酬は、商品によって異なりますが、年率0.2~0.5%程度が一般的です。企業型DC専用商品の場合、一般販売商品と手数料が異なることがあります。
※自分が加入している企業型DC・iDeCoの交付目論見書で正確な信託報酬を確認してください。
(2) 実質コスト(売買委託手数料等を含む総コスト)
信託報酬に加え、以下のコストが発生します:
- 売買委託手数料:株式の売買時にかかる手数料
- 有価証券取引税:外国株式の取引にかかる税金
- 保管費用:海外の証券保管機関に支払う手数料
これらを含めた実質コストは、運用報告書に記載されています。信託報酬が0.3%でも、実質コストが0.4%になることもあるため、必ず確認しましょう。
(3) eMAXIS Slim先進国株式・ニッセイ外国株式との手数料比較表
ファンド名 | 信託報酬(年率) | 実質コスト(参考) | つみたてNISA対象 |
---|---|---|---|
DIAM外国株インデックス | 0.2~0.5% | 0.3~0.6% | 商品による |
eMAXIS Slim先進国株式 | 0.09889%以内 | 約0.11% | 対象 |
ニッセイ外国株式インデックス | 0.09889%以内 | 約0.12% | 対象 |
※実質コストは運用報告書の最新データを参照してください。
eMAXIS Slimやニッセイ外国株式は、業界最低水準の信託報酬競争を続けており、0.1%を切る水準まで引き下げられています。一方、DIAM外国株インデックスファンドは、企業型DC専用商品として一定の手数料水準を維持しています。
運用実績とトラッキングエラー(ベンチマーク乖離率)
(1) 純資産総額と運用期間
DIAM外国株インデックスファンドの純資産総額は、商品によって異なりますが、数百億円~数千億円規模が一般的です。純資産総額が大きいほど、スケールメリット(運用コストの分散)が働き、実質コストを抑えやすくなります。
運用期間は、統合前のDIAM時代から継続している商品の場合、10年以上の実績があることもあります。
(2) 年次リターン(過去1年・3年・5年)
インデックスファンドの年次リターンは、ベンチマークであるMSCIコクサイ指数にほぼ連動します。過去の実績は以下のような傾向です(あくまで参考値):
- 過去1年:+10~20%(米国株式市場の好調時)
- 過去3年(年率):+8~12%
- 過去5年(年率):+10~15%
※過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。運用報告書で最新のデータを確認してください。
(3) トラッキングエラー(ベンチマークとの乖離率)
トラッキングエラーは、ファンドのリターンがベンチマークからどれだけ乖離したかを示す指標です。インデックスファンドの場合、年率0.5%以下が許容範囲とされています。
トラッキングエラーが大きい原因としては、以下が考えられます:
- 実質コストの高さ:信託報酬・売買委託手数料が多いと、ベンチマークを下回りやすい
- 最適化法の採用:一部銘柄のみ保有する場合、完全法より乖離が大きくなる
- 現金比率:新規資金の流入・償還に対応するため、一時的に現金を保有する
運用報告書でトラッキングエラーを確認し、0.5%を大きく超える場合は、他ファンドとの比較を検討しましょう。
他の外国株インデックスファンドとの比較(eMAXIS Slim・ニッセイ等)
(1) 信託報酬・純資産総額・リターンの比較表
ファンド名 | 信託報酬 | 純資産総額 | 5年リターン(年率) | ベンチマーク |
---|---|---|---|---|
DIAM外国株インデックス | 0.2~0.5% | 数百億円~ | 約+10~15% | MSCIコクサイ |
eMAXIS Slim先進国株式 | 0.09889%以内 | 約3兆円 | 約+12~16% | MSCIコクサイ |
ニッセイ外国株式インデックス | 0.09889%以内 | 約5,000億円 | 約+12~16% | MSCIコクサイ |
※数値は2025年時点の参考値です。最新データは各運用会社の運用報告書を確認してください。
eMAXIS Slimは純資産総額が3兆円を超え、業界最大級のインデックスファンドです。スケールメリットにより、実質コストを極限まで抑えています。
(2) つみたてNISA対象可否の違い
金融庁のつみたてNISA対象商品リストでは、以下の要件が定められています:
- 信託報酬の上限:インデックスファンド(海外株式型)の場合、年率0.75%以内
- 純資産総額:50億円以上(一部例外あり)
- 運用期間:5年以上(一部例外あり)
DIAM外国株インデックスファンドは、商品によってはつみたてNISA対象外のものもあります。企業型DC専用商品の場合、つみたてNISAでの購入はできません。
(3) 企業型DC専用商品と一般販売商品の違い
企業型DC専用商品は、一般投資家が個人で購入することはできません。企業型DC・iDeCoの商品ラインナップに含まれている場合のみ選択可能です。
一般販売商品と比べて、以下の違いがあります:
- 手数料:企業型DC専用商品のほうが高めに設定されることが多い
- 純資産総額:一般販売商品のほうが大きくなりやすい(個人投資家の資金流入)
- 運用方針:基本的には同じだが、商品名・信託報酬が異なる場合がある
まとめ:企業型DC・iDeCoでの選択基準と併用戦略
(1) 企業型DC・iDeCoで選択肢が限られている場合の判断基準
企業型DC・iDeCoでは、運営管理機関が選定した商品ラインナップの中から選ぶ必要があります。DIAM外国株インデックスファンドしか選択肢がない場合、以下の基準で判断しましょう:
- 信託報酬が0.5%以下:許容範囲内
- 純資産総額が100億円以上:償還リスクが低い
- トラッキングエラーが0.5%以下:ベンチマークに適切に連動
上記を満たしていれば、企業型DC・iDeCoでDIAMファンドを選び、長期積立を継続する選択肢は合理的です。
(2) つみたてNISAで低コストファンドを併用する選択肢
企業型DC・iDeCoで手数料の高いファンドしか選べない場合、つみたてNISAで低コストファンドを併用する戦略が有効です:
併用例:
- 企業型DC:DIAM外国株インデックスファンド(月2万円、マッチング拠出含む)
- つみたてNISA:eMAXIS Slim先進国株式(月10万円)
こうすることで、全体のコストを抑えつつ、企業型DCの拠出金上限(年66万円)を活用できます。
次のアクション:
- 自分の企業型DC・iDeCoの交付目論見書で信託報酬・実質コストを確認する
- eMAXIS Slimやニッセイ外国株式が選択肢にあるか確認する
- つみたてNISAで低コストファンドを併用する戦略を検討する
DIAM外国株インデックスファンドは、企業型DC・iDeCoで一定の実績を持つ商品です。手数料・運用実績を他ファンドと比較し、自分の投資戦略に合った選択をしましょう。