外国株式インデックスファンド完全ガイド|2025年版

公開日: 2025/10/20

外国株式インデックスファンドとは?分散投資の第一歩

「投資を始めたいけれど、どこから手をつければいいかわからない」「海外への投資に興味があるけれど、個別株は難しそう」そう感じている方は少なくありません。

外国株式インデックスファンドは、日本を除く先進国の株式市場に幅広く分散投資できる金融商品です。1つのファンドで複数の国、数百〜数千の銘柄に投資できるため、初心者でも手軽に国際分散投資を始められます。

この記事では、外国株式インデックスファンドの基礎知識から選び方、つみたてNISAでの活用方法まで、2025年最新の情報をもとに解説します。

この記事のポイント:

  • 外国株式インデックスは日本を除く先進国22カ国約1,300銘柄に分散投資できる
  • MSCIコクサイ・インデックスが主要ベンチマークで米国比率60〜70%
  • 信託報酬0.1%前後の低コストファンドが主流(eMAXIS Slim、ニッセイ等)
  • つみたてNISA対象ファンドなら年間120万円まで非課税投資可能
  • 為替リスクがあるため10年以上の長期投資が推奨される

外国株式インデックスファンドとは

(1) インデックス投資の基本

インデックス投資とは、特定の株価指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資手法です。市場全体の動きに投資するため、個別銘柄を選ぶ必要がなく、低コストで分散投資ができる点が特徴です。

アクティブ運用(ファンドマネージャーが銘柄を選定)と比較して、以下のメリットがあります:

  • 低コスト: 信託報酬が年率0.1%前後と安い
  • 透明性: 指数構成銘柄が公開されている
  • 分散効果: 1つのファンドで数百〜数千銘柄に投資

(2) 外国株式インデックスの特徴

外国株式インデックスファンドは、日本を除く先進国(米国、欧州、アジア太平洋等)の株式市場に投資します。主な特徴は以下の通りです:

  • 地域分散: 複数国に投資してリスク分散
  • 米国比率が高い: 時価総額加重のため米国が60〜70%を占める
  • 為替リスク: 外貨建て資産のため円高時に評価損が発生する可能性
  • 長期成長: 先進国経済の成長を享受できる

日本国内だけに投資するよりも、グローバルな経済成長の恩恵を受けられる点が大きな魅力です。

主要ベンチマーク指数の種類

外国株式インデックスファンドには複数のベンチマーク指数があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った指数を選びましょう。

(1) MSCIコクサイ・インデックス

日本を除く先進国22カ国約1,300銘柄で構成される代表的な指数です。

  • 構成国: 米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア等
  • 米国比率: 約60〜70%
  • 採用ファンド: eMAXIS Slim先進国株式、ニッセイ外国株式インデックス等

最も広く使われている指数で、多くのつみたてNISA対象ファンドが採用しています。

(2) FTSE先進国指数(日本除く)

FTSE Russell社が算出する先進国株式指数です。

  • 構成銘柄数: 約2,000銘柄
  • MSCIコクサイとの違い: 韓国を先進国に含む場合がある
  • 採用ファンド: 一部のバンガード系ファンド等

MSCIコクサイと似た構成ですが、銘柄数がやや多い傾向があります。

(3) MSCI ACWI(オール・カントリー)

日本を含む先進国と新興国を合わせた全世界株式指数です。

  • 構成国: 先進国23カ国 + 新興国24カ国
  • 新興国比率: 約10〜15%
  • 採用ファンド: eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等

より広範な分散を求める場合に適していますが、外国株式インデックスとは厳密には異なります。

(4) 各指数の違い

指数 対象地域 銘柄数 米国比率
MSCIコクサイ 日本除く先進国 約1,300 60〜70%
FTSE先進国 日本除く先進国 約2,000 60〜70%
MSCI ACWI 全世界(先進国+新興国) 約2,900 約50〜60%

※構成比率は時価総額により変動します(2025年10月時点)

主要ファンドの比較

外国株式インデックスファンドは多数ありますが、信託報酬の低さと純資産総額の大きさで選ぶのが基本です。

(1) eMAXIS Slim先進国株式インデックス

三菱UFJ国際投信が運用する業界最低水準の信託報酬を目指すシリーズです。

  • ベンチマーク: MSCIコクサイ・インデックス
  • 信託報酬: 年率0.09889%程度(2025年10月時点)
  • 純資産総額: 約1兆円超
  • つみたてNISA: 対象

低コストと大きな純資産総額で、多くの投資家に選ばれています。

(2) ニッセイ外国株式インデックスファンド

ニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なし」シリーズです。

  • ベンチマーク: MSCIコクサイ・インデックス
  • 信託報酬: 年率0.09889%程度
  • 純資産総額: 約数千億円
  • つみたてNISA: 対象

eMAXIS Slimと同等の低コストで、長期運用に適しています。

(3) 信託報酬・純資産総額の比較表

ファンド名 信託報酬(年率) 純資産総額 つみたてNISA
eMAXIS Slim先進国株式 0.09889% 約1兆円超
ニッセイ外国株式 0.09889% 数千億円
たわらノーロード先進国株式 0.09889% 数百億円

※数値は2025年10月時点の目安です。最新情報は各運用会社の公式サイトをご確認ください。

選び方のポイント

外国株式インデックスファンドを選ぶ際は、以下の4つの基準を押さえましょう。

(1) 信託報酬の低さ

信託報酬は運用会社に支払う年間手数料です。長期投資では小さな差が大きな影響を及ぼします。

  • 目安: 年率0.1%前後が業界標準
  • 確認方法: 各ファンドの目論見書または証券会社サイト

eMAXIS Slimやニッセイシリーズは「業界最低水準を目指す」方針のため、信託報酬が引き下げられる可能性もあります。

(2) 純資産総額の大きさ

純資産総額が大きいファンドは、投資家からの資金流入が安定しており、運用コストも抑えやすい傾向があります。

  • 目安: 数百億円以上が望ましい
  • 注意点: 純資産総額が小さいと繰上償還(運用終了)のリスクがある

(3) トラッキングエラーの小ささ

トラッキングエラーとは、ファンドの運用成績とベンチマーク指数との乖離のことです。

  • 理想: ほぼゼロ(指数通りの成果)
  • 確認方法: 運用報告書で過去の乖離を確認

優良なインデックスファンドは、トラッキングエラーが年率0.1〜0.3%程度に抑えられています。

(4) 証券会社での取扱状況

自分が利用している証券会社で取扱があるか確認しましょう。

  • 主要ネット証券: SBI証券、楽天証券、マネックス証券等はほぼ全て取扱
  • つみたてNISA: 対象ファンドかどうかも確認

ポイント還元プログラムがある証券会社を選ぶと、さらにお得に積立できます。

つみたてNISAでの活用方法

外国株式インデックスファンドは、つみたてNISAと相性が良い投資商品です。

(1) つみたてNISA対象ファンド

金融庁が定めた基準を満たすファンドのみがつみたてNISA対象となります。

  • 年間投資枠: 120万円(月10万円)
  • 非課税期間: 最長20年間
  • 対象条件: 信託報酬が一定水準以下、販売手数料なし等

eMAXIS Slim先進国株式やニッセイ外国株式インデックスは、いずれもつみたてNISA対象です。

(2) 積立設定の方法

多くのネット証券では、簡単に積立設定ができます。

  1. 証券口座開設: つみたてNISA口座を開設
  2. ファンド選択: 外国株式インデックスファンドを選ぶ
  3. 積立設定: 毎月の積立金額・日付を設定
  4. 自動買付: 指定日に自動で購入される

毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」により、価格変動リスクを抑えられます。

まとめ:自分に合ったファンド選び

外国株式インデックスファンドは、日本を除く先進国の株式市場に幅広く分散投資できる優れた金融商品です。

次のアクション:

  • 信託報酬0.1%前後の低コストファンドを比較する
  • つみたてNISA口座を開設して非課税投資を始める
  • 10年以上の長期投資を前提に、毎月コツコツ積立設定をする

為替リスクや市場変動リスクはありますが、長期的には世界経済の成長を享受できる可能性があります。自分のリスク許容度と投資目的に合わせて、最適なファンドを選びましょう。

よくある質問

Q1国内株式インデックスとどう違いますか?

A1外国株式インデックスファンドは日本を除く先進国・新興国に分散投資します。為替リスクがある点が大きな違いです。米国比率が60〜70%を占め、グローバルな経済成長を享受できます。

Q2為替リスクはどの程度ありますか?

A2外貨建て資産のため円高時に評価損が発生する可能性があります。ただし、長期運用(10年以上)を前提にすれば為替変動は平準化される傾向があります。短期的な変動に一喜一憂しないことが重要です。

Q3ベンチマーク指数はどれを選ぶべきですか?

A3MSCIコクサイ・インデックス(日本除く先進国)が主流です。米国比率は約60〜70%です。新興国を含めたい場合はMSCI ACWI(オール・カントリー)も選択肢になります。

Q4信託報酬はどのくらいが適正ですか?

A4年率0.1%前後が業界標準です。eMAXIS Slimやニッセイシリーズはいずれも0.09889%程度で、業界最低水準を目指す方針を掲げています。

Q5長期投資前提ですか?

A5はい、10年以上の長期投資が推奨されます。短期的な市場変動や為替変動に一喜一憂せず、ドルコスト平均法で毎月コツコツ積み立てるのが基本です。

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