外国株の配当金、日本株とどう違う?
外国株、特に米国株への投資を検討している日本人投資家の多くが、配当金の仕組みに疑問を持っています。「配当はいつ、どうやって受け取るの?」「税金はどうなる?」「高配当銘柄はどう選べばいい?」といった不安は尽きません。
この記事では、外国株式の配当金について、受取方法から税金、高配当銘柄の選定基準まで、2025年最新の情報をもとに詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 外国株の配当金は四半期ごと(年4回)が主流で、日本株より頻度が高い
- 配当金には米国で10%、日本で20.315%の二重課税がかかるが、外国税額控除で軽減可能
- NISA口座なら日本の税金は非課税(米国10%は免除されない)
- 配当利回りだけでなく、増配実績や財務健全性も重要な選定基準
1. 外国株式の配当金を理解する重要性
外国株式の配当金は、日本株とは異なる特徴を持っています。米国企業の多くは四半期ごとに配当を支払うため、年4回の安定したキャッシュフローが期待できます。また、米国には「配当貴族(Dividend Aristocrats)」と呼ばれる、25年以上連続で増配している企業群が存在し、長期投資家に支持されています。
配当金を受け取るには、税金や為替の仕組みを理解しておくことが不可欠です。二重課税や外国税額控除など、知らないと損をする可能性があるため、この記事でしっかり学びましょう。
2. 外国株の配当金の仕組み(四半期配当とスケジュール)
外国株の配当金がどのように支払われるのか、基本的な仕組みを解説します。
(1) 四半期配当が主流(年4回受取)
米国企業の多くは、年4回(3月・6月・9月・12月など)配当を支払います。日本株は年1-2回が一般的なので、外国株の方が配当を受け取る頻度が高いと言えます。
例えば、Coca-Cola(KO)やJohnson & Johnson(JNJ)などの大手企業は、数十年にわたり四半期配当を継続しています。
(2) 権利落ち日・基準日・支払日の理解
配当を受け取るには、以下の3つの日付を理解する必要があります。
- 権利落ち日(Ex-Dividend Date): この日以降に株を購入すると、次回配当は受け取れません
- 基準日(Record Date): 配当を受ける権利が確定する日(通常、権利落ち日の翌営業日)
- 支払日(Payment Date): 実際に配当金が支払われる日
例えば、権利落ち日が6月15日の場合、6月14日までに株を保有していれば配当を受け取れます。ただし、米国時間での判定となるため、日本時間との時差に注意が必要です。
(3) 配当カレンダーの確認方法
配当スケジュールは、Yahoo FinanceやMorningstarなどの金融サイトで確認できます。証券会社のツールでも配当カレンダーが提供されている場合があります。
3. 配当金の受取方法と証券会社での実務
配当金をどのように受け取るかは、証券会社によって異なります。
(1) 円貨受取と外貨受取の選択
多くの証券会社では、配当金を円で受け取るか、ドルで受け取るかを選択できます。
- 円貨受取: 証券会社が自動的にドルを円に両替して入金(為替手数料がかかる)
- 外貨受取: ドルのまま外貨預り金口座に入金(再投資時に便利)
再投資を考えている場合は外貨受取がおすすめです。為替手数料を節約できます。
(2) 為替手数料と入金タイミング
配当金を円に両替する際、証券会社ごとに為替手数料が異なります。主要証券会社の為替手数料は以下の通りです。
証券会社 | 為替手数料(1ドルあたり) |
---|---|
SBI証券 | 25銭(住信SBI経由で4銭) |
楽天証券 | 25銭 |
マネックス証券 | 25銭 |
※2025年10月時点。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。
配当支払日から証券口座への入金まで、通常2-5営業日かかります。
(3) NISA口座での配当受取
NISA口座で外国株を保有している場合、日本の税金(20.315%)は非課税となります。ただし、米国での源泉徴収(10%)は免除されません。
例えば、100ドルの配当が支払われる場合、米国で10ドルが源泉徴収され、手元に届くのは90ドルです。NISA口座でない場合はさらに日本で約18ドル課税されますが、NISA口座ならこの部分が免除されます。
4. 配当金にかかる税金と外国税額控除
外国株の配当金には、二重課税がかかります。しかし、適切な手続きを行えば税負担を軽減できます。
(1) 二重課税の仕組み(米国10% + 日本20.315%)
外国株の配当金には、米国と日本の両方で税金がかかります。
- 米国での源泉徴収(10%): 日米租税条約により、本来30%のところ10%に軽減
- 日本での課税(20.315%): 所得税15.315%、住民税5%
例えば、100ドルの配当が支払われる場合:
- 米国で10ドル源泉徴収 → 手取り90ドル
- 日本で約20ドル課税(100ドルに対して)
- 実質的な税負担: 約30ドル(30%)
(2) 外国税額控除の計算方法
外国税額控除を利用すれば、米国で課税された10%を日本の所得税から差し引けます。
具体的な計算例:
配当金100ドル、為替レート150円/ドルの場合:
- 米国で10ドル課税 → 手取り90ドル
- 日本で20.315%課税 → 約20ドル
- 外国税額控除 → 最大10ドル還付
- 実質的な税負担: 約10ドル(10%)
ただし、控除額には上限があり、総所得に応じて計算されます。詳細は国税庁のウェブサイトをご確認ください。
(3) 確定申告の具体的な手順
外国税額控除を受けるには、確定申告が必要です。
必要書類:
- 確定申告書
- 外国税額控除に関する明細書
- 配当金の支払通知書(証券会社から取得)
- 源泉徴収票(特定口座の場合)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の指示に従って入力できます。
5. 高配当銘柄の選定基準と配当貴族
配当金を重視する場合、どのような基準で銘柄を選べばよいのでしょうか。
(1) 配当利回りと配当性向の見方
配当利回り = 年間配当 ÷ 株価 × 100(%)
配当利回りは3-5%が健全な範囲とされています。高すぎる利回り(7%超)は、株価下落や減配リスクの可能性があるため注意が必要です。
配当性向 = 配当金 ÷ 純利益 × 100(%)
配当性向が50%以下であれば、企業は利益の半分以上を成長投資に回しており、配当の持続可能性が高いと言われています。
(2) 配当貴族(25年以上連続増配)とは
「配当貴族(Dividend Aristocrats)」とは、S&P500構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業を指します。2025年1月時点で約67社が該当します。
配当貴族の例:
- Johnson & Johnson(JNJ)
- Procter & Gamble(PG)
- Coca-Cola(KO)
- 3M(MMM)
これらの企業は財務安定性が高く、長期投資に適していると言われています。
(3) 財務健全性のチェックポイント
高配当銘柄を選ぶ際は、以下の財務指標も確認しましょう。
- 自己資本比率: 50%以上が望ましい
- 営業キャッシュフロー: 継続的にプラスであること
- 負債比率: 過度な借入がないか確認
財務データは企業のIRページや金融情報サイト(Morningstar、Yahoo Financeなど)で確認できます。
6. まとめ:外国株の配当金で資産形成を加速
外国株式の配当金は、四半期ごとの受取で安定したキャッシュフローを得られる魅力的な収入源です。二重課税はありますが、外国税額控除を活用すれば税負担を軽減できます。
次のアクション:
- 証券口座を開設し、NISA口座を活用する
- 配当貴族など増配実績のある銘柄を調査する
- 外国税額控除を理解し、確定申告の準備をする
配当金の仕組みを理解し、長期的な視点で資産形成を進めていきましょう。