外国株式おすすめ銘柄の選び方|証券会社比較と税制解説

公開日: 2025/10/20

外国株式投資を検討しているけれど、何を選べばいいか迷っていませんか?

日本株中心のポートフォリオを持つ投資家の多くが、外国株式への分散投資を検討しています。しかし、「どの銘柄を選べばいいのか?」「証券会社はどこがいいのか?」「税金や為替リスクはどうなるのか?」といった疑問が尽きません。

この記事では、外国株式投資の銘柄選定基準、証券会社の比較、税制・為替リスクの注意点を、日本人投資家の視点で詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 外国株式投資は地理的分散、成長市場へのアクセス、配当選択肢拡大の3つのメリットがある
  • 銘柄選定は時価総額・流動性、セクター分散、配当性向・財務健全性の3基準で判断
  • 証券会社はSBI証券・楽天証券・マネックス証券が主要3社。取扱銘柄数・手数料・NISA対応で比較
  • 配当金は二重課税だが外国税額控除で軽減可能。為替リスクと為替手数料にも注意
  • 特定口座なら確定申告原則不要、外国税額控除を受けるには申告必要

1. 外国株式投資で分散投資を実現する理由

日本株だけに投資していると、日本経済の影響を大きく受けてしまいます。外国株式を組み入れることで、地理的な分散投資が可能になります。

日本の経済成長率は先進国の中でも低い水準にあると言われています。一方、米国をはじめとする海外市場には、高い成長率を誇る企業やグローバルに展開する企業が多数存在します。

外国株式への投資は、日本経済が停滞している局面でも、海外の成長を取り込むことができる手段として注目されています。

2. 外国株式投資の3つのメリット

外国株式投資には、日本株にはない独自のメリットがあります。

(1) 地理的分散によるリスク低減

日本株だけに投資していると、日本の政治・経済・災害などの影響を直接的に受けます。外国株式を組み入れることで、特定の国・地域のリスクを分散できます。

例えば、日本で大規模な自然災害が発生した場合、日本株は大きく下落する可能性があります。しかし、米国や欧州の株式は、その影響を受けにくいと言われています。

(2) 成長市場・グローバル企業へのアクセス

米国には、Apple、Microsoft、Amazonといった世界的なテクノロジー企業があります。これらの企業は、日本市場だけでなく、世界中で事業を展開しています。

外国株式に投資することで、こうしたグローバル企業の成長を取り込むことができます。また、新興国市場への投資も視野に入れることができます。

(3) 配当利回りの選択肢拡大

日本株の配当利回りは2〜3%程度が一般的です。一方、米国株には、4%以上の高配当銘柄も多数存在します。

配当重視の投資戦略を取る場合、外国株式を組み入れることで、より高い配当利回りを狙うことができます。ただし、配当利回りだけで銘柄を選ぶのではなく、財務健全性も重要です。

3. 外国株式の銘柄選定3つの基準

外国株式を選ぶ際は、以下の3つの基準を参考にすることが推奨されます。

(1) 基準1:時価総額と流動性(大型株 vs 中小型株)

時価総額が大きい企業は、一般的に事業基盤が安定しており、流動性も高いと言われています。初心者は、時価総額1,000億ドル以上の大型株から始めることが推奨されます。

一方、中小型株は成長性が高い反面、価格変動が大きく、流動性が低い場合があります。リスク許容度に応じて選択することが重要です。

(2) 基準2:セクター・業種の分散(テクノロジー・ヘルスケア・エネルギー等)

特定のセクターに集中投資すると、そのセクターが不調の際に大きな損失を被る可能性があります。テクノロジー、ヘルスケア、エネルギー、金融など、複数のセクターに分散することが推奨されます。

2025年には、AI関連のテクノロジー企業、高齢化に対応するヘルスケア企業、脱炭素に関連するエネルギー企業などが注目されています。ただし、特定のトレンドに過度に依存するのは避けるべきです。

(3) 基準3:配当性向と財務健全性(配当利回り・自己資本比率)

配当性向(利益のうち配当に回す割合)が高すぎる企業は、成長投資に資金を回せていない可能性があります。一般的に、30〜60%程度が適正と言われています。

また、自己資本比率が高い企業は、財務が健全で倒産リスクが低いと言われています。配当利回りだけでなく、財務指標も確認することが重要です。

(4) 参考情報の収集方法(SEC EDGAR・Yahoo Finance・Morningstar)

銘柄選定にあたっては、信頼できる情報源を参考にすることが推奨されます。

  • SEC EDGAR: 米国証券取引委員会の公式データベース。決算書、配当情報などの一次情報が入手できます。
  • Yahoo Finance: 株価データ、財務指標、企業ニュースなど包括的な市場情報が得られます。
  • Morningstar: 独立系投資調査会社による企業分析、ファンド評価が参考になります。

これらの情報源を活用して、自分で判断する力を養うことが大切です。

4. 日本から外国株式に投資する証券会社比較

外国株式に投資するには、日本の証券会社で口座を開設する必要があります。主要3社を比較します。

(1) 取扱国・銘柄数の比較

証券会社 取扱国 米国株銘柄数
SBI証券 9カ国 約5,000銘柄
楽天証券 9カ国 約4,700銘柄
マネックス証券 2カ国 約5,000銘柄

※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。

SBI証券と楽天証券は、米国株だけでなく、中国・アセアン諸国の株式も取り扱っています。マネックス証券は米国と中国に特化しています。

(2) 手数料体系の比較(売買・為替)

米国株の取引手数料は、約定代金の0.45〜0.495%程度が一般的です。また、円をドルに換える際の為替手数料も重要です。

証券会社 取引手数料 為替手数料(片道)
SBI証券 0.495%(最低0米ドル〜) 0.25円/ドル
楽天証券 0.495%(最低0米ドル〜) 0.25円/ドル
マネックス証券 0.495%(最低0米ドル〜) 0.25円/ドル(買付時0円キャンペーンあり)

※2025年10月時点の情報です。キャンペーン等により変動する場合があります。

(3) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の特徴

  • SBI証券: 取扱銘柄数が多く、米国ETFの定期買付サービスが充実しています。
  • 楽天証券: 楽天ポイントを使った投資が可能。楽天経済圏のユーザーに人気です。
  • マネックス証券: 為替手数料の買付無料キャンペーンを実施していることがあります。

(4) NISA対応状況と使いやすさ

3社とも新NISA口座での外国株式取引に対応しています。新NISAでは、年間360万円まで非課税で投資できます。

NISA口座で外国株式を購入すると、日本での税金(20.315%)は非課税になります。ただし、米国での源泉徴収(配当の10%)は避けられません。

5. 外国株式投資で注意すべき税制と為替リスク

外国株式投資には、日本株にはない税制や為替リスクがあります。

(1) 配当金の二重課税と外国税額控除

外国株式の配当金には、現地(米国の場合10%)と日本(20.315%)で二重に課税されます。

例えば、100ドルの配当が支払われる場合:

  1. 米国で10ドル源泉徴収 → 手取り90ドル
  2. 日本で約18ドル課税
  3. 外国税額控除を申請すると、米国で課税された10ドルを日本の所得税から差し引ける(上限あり)

外国税額控除を受けるには、確定申告が必要です。詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

※出典: 国税庁「外国税額控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm

(2) 売却益の課税(譲渡所得20.315%)

外国株式を売却して利益が出た場合、日本で20.315%の税金がかかります。内訳は所得税15.315%、住民税5%です。

特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、証券会社が自動的に税金を計算して納付してくれます。確定申告は原則不要です。

(3) 為替リスクと為替ヘッジの考え方

外国株式に投資する際は、株価の変動だけでなく、為替レートの変動も影響します。

例えば、1ドル=150円で米国株を購入し、株価が10%上昇しても、円高が進んで1ドル=135円になれば、円ベースでは損失が出る可能性があります。

為替リスクを避けたい場合は、為替ヘッジ付きの投資信託を選ぶ方法もあります。ただし、ヘッジコストがかかるため、長期投資では為替ヘッジなしが推奨されることが多いです。

(4) 確定申告の必要性と手続き

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、原則として確定申告は不要です。ただし、外国税額控除を受けるには確定申告が必要です。

一般口座を利用している場合は、確定申告が必須です。年間取引報告書をもとに、譲渡所得を計算して申告します。

6. まとめ:自分に合った外国株式の選び方

外国株式投資は、地理的分散、成長市場へのアクセス、配当選択肢拡大の3つのメリットがあります。銘柄選定は、時価総額・流動性、セクター分散、配当性向・財務健全性の3基準を参考にしましょう。

証券会社は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券が主要3社です。取扱銘柄数、手数料、NISA対応状況を比較して、自分に合った証券会社を選びましょう。

税制については、配当金の二重課税、売却益の課税、為替リスクに注意が必要です。外国税額控除を活用することで、税負担を軽減できます。

次のアクション:

  • 証券会社の口座を開設する(NISA口座も検討)
  • 複数のセクターに分散した銘柄を選定する
  • 少額から始めて、徐々に投資額を増やす
  • 外国税額控除を受けるために確定申告を検討する

外国株式投資は、リスクとリターンを理解した上で、長期的な資産形成の手段として活用しましょう。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1外国株式と投資信託、どちらがおすすめですか?

A1個別株は銘柄選定の自由度が高いですが、分散が必要です。投資信託(インデックスファンド)は低コストで自動的に分散投資ができます。初心者は投資信託から始めて、経験を積んだら個別株との併用がおすすめです。

Q22025年に注目すべきセクターは何ですか?

A2テクノロジー(AI関連)、ヘルスケア(高齢化対応)、エネルギー(脱炭素)が注目されています。ただし、特定セクターへの集中投資はリスクがあります。複数のセクターに分散投資することが基本です。

Q3為替手数料を節約する方法はありますか?

A3外貨建てMMFで先に米ドルを保有し、外貨決済で取引する方法が有効です。また、為替手数料の安い証券会社(SBI証券・楽天証券は片道0.25円/ドル)を選ぶことも重要です。マネックス証券では買付時の為替手数料無料キャンペーンを実施していることがあります。

Q4外国株式投資で確定申告は必要ですか?

A4特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、原則として確定申告は不要です。ただし、外国税額控除を受けるには確定申告が必要です。一般口座を利用している場合は、確定申告が必須です。

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