外国株ETF完全ガイド|投資信託との違いとNISA活用

公開日: 2025/10/20

外国株ETFって何?投資信託とは何が違うの?

外国株に投資したいけれど、個別株は選ぶのが難しい...そんな悩みを持つ日本人投資家に人気なのが「外国株ETF」です。しかし、「ETFと投資信託の違いがよく分からない」「どのETFを選べばいいの?」「税金はどうなる?」といった疑問も多いのではないでしょうか。

この記事では、外国株ETFの基本的な仕組みから、投資信託との違い、日本から購入できる主なETF、NISA活用法まで、日本人投資家が知っておくべき情報を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 外国株ETFは外国の株式市場に分散投資できる上場投資信託
  • ETFは取引時間中にリアルタイム売買可能、経費率が低い傾向
  • 先進国株・新興国株・全世界株など地域別に選べる
  • NISA成長投資枠で年間240万円まで購入可能(配当・売却益が非課税)
  • 為替リスクがあるため、ドルコスト平均法での積立がおすすめ

外国株ETFとは何か

(1) ETFの基本的な仕組み

ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)は、株式市場に上場されている投資信託です。株式と同じように、取引時間中にリアルタイムで売買できるのが特徴です。

外国株ETFは、米国以外の先進国や新興国の株式に分散投資できるETFを指します。例えば、ヨーロッパ・日本・オーストラリアなど先進国に投資するETFや、中国・インドなど新興国に投資するETFがあります。

(2) 外国株ETFのメリット・デメリット

メリット:

  • 分散投資: 1つのETFで数百〜数千銘柄に投資できる
  • 低コスト: 経費率が年率0.05~0.20%程度と低い
  • リアルタイム取引: 取引時間中ならいつでも売買可能
  • 透明性: 保有銘柄や組入比率が公開されている

デメリット:

  • 為替リスク: 円高になると円換算での資産価値が減少
  • 配当課税: 米国上場ETFの場合、米国で10%の源泉徴収
  • 取引コスト: 売買時に為替手数料・売買手数料が発生

(出典: ETF.com - International ETFs)

投資信託との違い(流動性・コスト・税制)

(1) 取引時間と流動性の違い

  • ETF: 取引時間中(米国市場なら日本時間23:30~翌6:00頃)にリアルタイム売買可能
  • 投資信託: 1日1回の基準価額で取引(申込は15時まで、約定は翌日)

ETFは株式と同じように指値注文ができるため、価格をコントロールしやすいというメリットがあります。

(2) 経費率とコスト比較

一般的に、ETFの方が経費率が低い傾向にあります。

商品タイプ 経費率の目安
外国株ETF(米国上場) 0.05~0.20%
外国株インデックス投資信託 0.10~0.50%

ただし、ETFは売買時に為替手数料・取引手数料がかかるため、頻繁に売買する場合はコストが積み上がります。長期保有なら低経費率のメリットが活きます。

(3) 配当課税の違い

  • 米国上場外国株ETF: 米国で10%源泉徴収 → 日本で20.315%課税(外国税額控除で一部調整可能)
  • 日本の投資信託: 分配金は日本で20.315%課税のみ

NISA口座なら日本の税金は非課税ですが、米国での10%源泉徴収は避けられません。

(出典: 金融庁「NISA制度」)

外国株ETFの種類(地域別・セクター別)

(1) 先進国株ETF(EAFE指数等)

先進国株ETFは、米国を除く先進国(ヨーロッパ・日本・オーストラリア等)に投資します。

代表的な指数はMSCI EAFE指数(ヨーロッパ・オーストラレーシア・極東)です。バンガードのVEA(Vanguard FTSE Developed Markets ETF)などが人気です。

(出典: MSCI - International Indices)

(2) 新興国株ETF(エマージング・マーケット)

新興国株ETFは、中国・インド・ブラジル・台湾などの新興国市場に投資します。高い成長性が期待される一方、カントリーリスク(政治・経済の不安定性)が高い点に注意が必要です。

代表的なETFは**VWO(Vanguard FTSE Emerging Markets ETF)**です。

(出典: Vanguard - International ETFs)

(3) 全世界株ETF(ACWI指数等)

全世界株ETFは、先進国・新興国を含む全世界の株式に投資します。

代表的な指数はMSCI ACWI指数(All Country World Index)で、米国を除く全世界に投資する**VXUS(Vanguard Total International Stock ETF)**などがあります。

(4) セクター別ETF(テクノロジー・ヘルスケア等)

特定のセクター(業種)に絞った外国株ETFもあります。例えば、テクノロジー、ヘルスケア、エネルギーなど、成長が期待される分野に集中投資できます。

ただし、セクターETFは分散が限定的なため、リスクが高くなる点に注意が必要です。

(出典: iShares - International Equity ETFs)

日本から購入できる外国株ETF

(1) 米国上場ETF(VEA・VWO・VXUS等)

日本の証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)から米国上場ETFを購入できます。

人気の外国株ETF:

  • VEA: 先進国株(米国除く)、経費率0.05%
  • VWO: 新興国株、経費率0.08%
  • VXUS: 全世界株(米国除く)、経費率0.07%

(出典: Vanguard - International ETFs)

(2) 東京証券取引所上場ETF

東京証券取引所にも外国株ETFが上場されています。円建てで購入できるため、為替手数料を節約できます。

ただし、流動性(売買のしやすさ)や経費率の面で、米国上場ETFの方が有利な場合が多いと言われています。

(3) 証券会社別の取扱銘柄と手数料

証券会社 米国ETF取扱数 売買手数料 為替手数料
SBI証券 約400銘柄 約定代金の0.495% 片道25銭
楽天証券 約400銘柄 約定代金の0.495% 片道25銭
マネックス証券 約400銘柄 約定代金の0.495% 片道25銭

※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社のウェブサイトをご確認ください。

(出典: SBI証券「外国株ETF取引ガイド」、楽天証券「米国ETF」)

NISA活用と税金対策

(1) 成長投資枠での外国株ETF購入

2024年から始まった新NISA制度では、成長投資枠で外国株ETFを年間240万円まで購入できます。

  • 配当金: 日本での20.315%の課税が非課税
  • 売却益: 日本での20.315%の課税が非課税

ただし、米国上場ETFの場合、米国での10%源泉徴収は免除されません。

(出典: 金融庁「NISA制度」)

(2) 配当課税と外国税額控除

課税口座(特定口座・一般口座)で外国株ETFを保有する場合、配当金には二重課税がかかります。

  • 米国で10%源泉徴収
  • 日本で20.315%課税

外国税額控除を確定申告で申請すれば、米国で課税された10%を日本の所得税から差し引けます。

(3) 為替リスクへの対処

外国株ETFは米ドル建てのため、円高になると円換算での資産価値が減少します。

為替リスクへの対処法:

  • ドルコスト平均法: 定期的に一定額を積立て、為替タイミングを分散
  • 長期保有: 為替は短期的には変動するが、長期的には分散される傾向
  • 為替ヘッジ付きETF: 為替変動リスクを軽減するETFもあるが、ヘッジコストがかかる

長期投資前提なら、為替タイミングを気にせず積立を継続するのが合理的と言われています。

まとめ:外国株ETF投資を始める前に

外国株ETFは、低コストで外国株に分散投資できる有力な選択肢です。投資信託と比べて、リアルタイム取引や低経費率というメリットがあります。

次のアクション:

  • 投資目的とリスク許容度を明確にする
  • 先進国株・新興国株・全世界株から自分に合ったETFを選ぶ
  • NISA成長投資枠を活用して税制メリットを享受する
  • ドルコスト平均法で定期的に積立て、為替リスクを分散する

外国株ETF投資は、長期的な資産形成において強力なツールです。まずは少額から始めて、徐々に経験を積んでいきましょう。

よくある質問

Q1外国株ETFと投資信託はどちらがいい?

A1ETFは取引時間中にリアルタイム売買が可能で、経費率が低い傾向にあります。一方、投資信託は自動積立が便利です。頻繁に売買するならETF、手間をかけずに積立したいなら投資信託が向いていると言われています。目的に応じて使い分けましょう。

Q2NISAで外国株ETFは買える?

A2成長投資枠で年間240万円まで購入可能です。配当金・売却益が日本では非課税になります。ただし、米国上場ETFの場合、米国での10%源泉徴収は免除されません。

Q3為替リスクはどう対処すればいい?

A3長期投資が前提なら、為替タイミングを気にせずドルコスト平均法で積立を継続するのが合理的です。為替ヘッジ付きETFもありますが、ヘッジコストがかかるため、コストと効果を比較検討しましょう。

Q4経費率はどれくらいが適正?

A4先進国株ETFなら年率0.05~0.15%、新興国株ETFなら0.10~0.20%程度が目安です。低コストのインデックスETFを選ぶことで、長期的なリターンが改善する傾向にあります。

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