新NISA制度の概要
新NISA制度で外国株(米国株、中国株など)を購入したいと考えているものの、「どうやって買うの?」「税金はかからないの?」「配当金はどうなる?」といった疑問を抱えていませんか?
新NISA制度は2024年に開始され、従来のNISA制度よりも非課税枠が大幅に拡大しました。成長投資枠とつみたて投資枠の2つの枠を併用でき、外国株への投資も非課税で行えます。
この記事では、新NISA制度で外国株を購入する方法、税制メリット、注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 新NISAでは成長投資枠(年240万円)とつみたて投資枠(年120万円)を併用可能
- 成長投資枠で個別株・ETF、つみたて投資枠で投資信託が購入できる
- 売却益は非課税、配当は日本の税金は非課税だが現地課税(米国10%)は発生
- NISA口座では外国税額控除が使えない点に注意
- SBI証券、楽天証券、マネックス証券などで外国株のNISA購入が可能
(1) 成長投資枠(年240万円)
成長投資枠は、年間240万円まで投資でき、個別株・ETF・投資信託を購入できます。外国株の個別銘柄(米国株、中国株など)や外国株ETFを購入したい場合は、成長投資枠を利用します。
(2) つみたて投資枠(年120万円)
つみたて投資枠は、年間120万円まで積立投資が可能で、金融庁が定めた条件を満たす投資信託が対象です。外国株式インデックスファンド(全世界株式、先進国株式など)を積立購入する場合は、つみたて投資枠を利用します。
(3) 非課税期間(無期限)
新NISA制度では、非課税期間が無期限となりました。従来のNISA制度では5年(一般NISA)または20年(つみたてNISA)の期限がありましたが、新NISAでは保有期間の制限がありません。長期的な資産形成に適した制度です。
外国株をNISAで買う方法
外国株をNISA口座で購入するには、まずNISA口座を開設する必要があります。
(1) NISA口座の開設
NISA口座は、1人1口座のみ開設できます。既に証券口座を持っている場合でも、NISA口座は別途申し込みが必要です。
NISA口座開設の流れ:
- 証券会社のウェブサイトまたはアプリから申し込み
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)を提出
- 税務署での審査(通常1〜2週間)
- NISA口座開設完了
NISA口座は年に1回のみ証券会社の変更が可能です。初めて開設する場合は、自分の投資スタイルに合った証券会社を慎重に選びましょう。
(2) 証券会社の選び方
外国株のNISA購入に対応している主要証券会社の特徴:
| 証券会社 | 米国株 | 中国株 | 為替手数料 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 対応 | 対応 | 0.25円/ドル | 取扱銘柄数が豊富 |
| 楽天証券 | 対応 | 対応 | 0.25円/ドル | 楽天ポイントが貯まる |
| マネックス証券 | 対応 | 非対応 | 0.25円/ドル | 米国株情報ツールが充実 |
※為替手数料は2025年10月時点の情報です。最新の手数料は各証券会社の公式サイトをご確認ください。
(3) 購入可能な外国株の種類
NISA口座で購入できる外国株は、証券会社によって異なります:
- 米国株: 主要証券会社で3,000〜5,000銘柄以上を取扱
- 中国株: SBI証券・楽天証券で取扱あり
- 外国株ETF: VTI、VOO、VT、VXUSなど主要ETFが購入可能
- 外国株式投資信託: 全世界株式インデックスファンド、先進国株式ファンドなど
購入前に、証券会社の公式サイトで取扱銘柄を確認することをおすすめします。
成長投資枠での個別株購入
成長投資枠では、外国株の個別銘柄やETFを購入できます。
(1) 米国株・中国株の購入
米国株をNISA口座で購入する手順(SBI証券の例):
- NISA口座を開設
- 外国株式取引の申し込み(初回のみ)
- 円をドルに換える(為替取引)
- NISA口座から米国株を購入
中国株も同様の手順で購入できます。ただし、中国株は証券会社によって取扱がない場合があるため、事前確認が必要です。
(2) 外国株ETFの購入
外国株ETF(上場投資信託)は、個別株よりも分散投資がしやすく、初心者にも適しています。
人気の外国株ETF:
- VTI(Vanguard Total Stock Market ETF): 米国株全体に投資
- VOO(Vanguard S&P 500 ETF): S&P500指数に連動
- VT(Vanguard Total World Stock ETF): 全世界株式に投資
- VXUS(Vanguard Total International Stock ETF): 米国外の株式に投資
これらのETFは、経費率が低く(年率0.03〜0.08%程度)、長期投資に適しています。
(3) 購入手順
NISA口座での米国株購入手順:
- ドル転: 円をドルに換える(住信SBIネット銀行経由などで為替手数料を節約できる)
- 銘柄検索: 証券会社のアプリまたはウェブサイトで購入したい銘柄を検索
- 購入: NISA口座を選択し、株数・金額を指定して購入
購入後は、NISA口座での保有状況を定期的に確認しましょう。
つみたて投資枠での投資信託購入
つみたて投資枠では、金融庁が定めた条件を満たす投資信託を積立購入できます。
(1) 対象ファンドの確認
つみたて投資枠の対象ファンドは、金融庁のウェブサイトで公開されています。2025年10月時点で、約280本の投資信託が対象となっています。
(参考:金融庁「つみたて投資枠対象商品一覧」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/)
(2) 外国株式インデックスファンド
外国株式に投資するつみたて投資枠の代表的なファンド:
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー): 全世界の株式に分散投資(信託報酬0.05775%)
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス: 日本を除く先進国株式に投資(信託報酬0.09889%)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド: 全世界株式(信託報酬0.192%)
これらのファンドは、信託報酬が低く、長期的なコスト削減に貢献します。
※信託報酬は2025年10月時点の情報です。最新の情報は各ファンドの目論見書でご確認ください。
(3) 積立設定の方法
つみたて投資枠での積立設定手順:
- NISA口座を開設
- つみたて投資枠対象のファンドを選択
- 積立金額・頻度(毎日・毎週・毎月)を設定
- 引落方法(銀行口座引落・証券口座から引落・クレカ積立)を選択
クレカ積立を利用すれば、ポイント還元(0.5〜1.0%程度)を受けられるため、実質的なコスト削減につながります。
NISA口座での税制とデメリット
NISA口座で外国株を購入する際の税制メリットと注意点を理解しておきましょう。
(1) 売却益は非課税
NISA口座で購入した外国株の売却益は、日本の税金(20.315%)が非課税となります。
具体例:
- 100万円で購入した米国株を150万円で売却 → 売却益50万円は非課税
- 通常の課税口座では50万円×20.315% = 約10.2万円の税金がかかる
NISA口座を利用することで、約10.2万円の税金を節約できます。
(2) 配当は現地課税(米国10%)
NISA口座での配当は、日本の税金(20.315%)は非課税です。ただし、米国での源泉徴収10%は免除されません。
具体例(米国株配当100ドルの場合):
- 米国で10ドル源泉徴収 → 手取り90ドル
- 日本の税金: 非課税
- 実質税負担: 10%
一方、通常の課税口座(特定口座)では、米国10% + 日本20.315%の二重課税がかかりますが、外国税額控除を利用すれば一部還付されます。
(3) 外国税額控除が使えない
NISA口座では、外国税額控除を利用できません。そのため、米国で源泉徴収された10%は、そのまま税負担となります。
配当重視の投資をする場合、NISA口座と特定口座のどちらが有利かは、配当金額や所得水準により異なります。税理士や証券会社のシミュレーションツールで試算することをおすすめします。
(4) 損益通算できない
NISA口座で損失が出た場合、他の課税口座(特定口座など)の利益と損益通算できません。
具体例:
- NISA口座で50万円の損失
- 特定口座で50万円の利益
- 損益通算できないため、特定口座の利益50万円に対して税金がかかる
このため、NISA口座では長期的に成長が期待できる銘柄を選ぶことが重要です。
まとめ:NISAで外国株投資を活用する
新NISA制度を活用すれば、外国株への投資を非課税で行えます。売却益が非課税になるメリットは大きく、長期的な資産形成に適しています。
次のアクション:
- NISA口座を開設し、成長投資枠とつみたて投資枠を使い分ける
- 外国株式インデックスファンドで分散投資を始める
- 米国株ETF(VTI、VOO、VTなど)を長期保有する
- 配当重視の場合は、NISA口座と特定口座の税負担をシミュレーションする
NISA制度のメリットを最大限活用し、外国株投資で長期的な資産形成を目指しましょう。投資判断は自己責任で行い、不明点は金融庁や証券会社にご確認ください。
※2025年10月時点の税制・制度に基づいています。最新情報は金融庁のウェブサイトをご確認ください。
