成長投資枠で個別株投資|新NISA制度・選び方完全ガイド

公開日: 2025/10/19

新NISAの成長投資枠で個別株を買いたいけれど、どう始めればいいか迷っていませんか?

2024年から始まった新NISA制度では、成長投資枠で年間240万円まで個別株や投資信託に投資できます。つみたて投資枠と併用すれば、年間最大360万円までの非課税投資が可能です。

この記事では、成長投資枠で個別株に投資する具体的な方法、投資信託との違い、個別株選びの注意点を解説します。

この記事のポイント:

  • 成長投資枠は年間240万円、生涯投資枠は1,200万円まで(全体で1,800万円)
  • 日本株・米国株の個別株、ETF、投資信託がすべて購入対象
  • 個別株は高リターンが期待できるがリスクも高い
  • 損益通算・繰越控除ができない点に注意
  • 初心者は分散効果のある投資信託との併用が推奨される

1. 成長投資枠で個別株を買いたい理由

成長投資枠で個別株に投資する主なメリットは以下の通りです:

  • 高リターンの可能性: 成長企業の個別株は、市場平均を大きく上回るリターンが期待できる
  • 配当金の非課税: 日本での配当課税(20.315%)が非課税となる(米国株は米国での10%源泉徴収のみ)
  • 売却益の非課税: 株式売却時の利益が非課税となる
  • 自由度の高い投資: つみたて投資枠と違い、一括購入や売却のタイミングを自由に選べる

一方で、個別株投資には企業固有リスク(業績悪化、倒産リスク等)があり、投資信託と比較してリスクが高い点も理解しておく必要があります。

2. 成長投資枠の制度概要

(1) 年間投資上限額と生涯投資枠

成長投資枠の投資限度額は以下の通りです(2025年時点):

項目 上限額
年間投資上限額 240万円
生涯投資枠(成長投資枠のみ) 1,200万円
生涯投資枠(全体) 1,800万円
つみたて投資枠(年間) 120万円

つみたて投資枠と併用すれば、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。ただし、生涯投資枠の1,800万円のうち、成長投資枠で使えるのは最大1,200万円までです。

(2) つみたて投資枠との違い

成長投資枠とつみたて投資枠の主な違いは以下の通りです:

比較項目 成長投資枠 つみたて投資枠
年間投資上限 240万円 120万円
購入方法 一括購入・積立購入の両方可 積立購入のみ
対象商品 個別株・ETF・投資信託 金融庁指定の投資信託のみ
購入タイミング 自由 定期的な積立のみ

成長投資枠は、個別株やETFも購入でき、一括投資も可能な点が特徴です。

(3) 非課税期間と非課税枠の再利用

新NISAの非課税保有期間は無期限です。2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)では5年または20年の期限がありましたが、新NISAではいつまでも非課税で保有できます。

また、売却した分の非課税枠は翌年以降に復活します。例えば、100万円分の株式を売却した場合、翌年以降に100万円分の非課税枠が再利用可能になります。ただし、年単位での復活となるため、頻繁な売買には向いていません。

3. 成長投資枠で買える個別株の種類

(1) 日本株の買い方

日本株は、東京証券取引所に上場している企業の株式を購入できます。主要なネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)で、成長投資枠を使って購入可能です。

日本株の購入単位は原則として100株単位ですが、一部の証券会社では1株から購入できる「単元未満株サービス」もあります。

購入例:

  • トヨタ自動車(7203): 100株単位(約300万円、2025年1月時点)
  • SBI証券のS株: 1株から購入可能(約3万円)

(2) 米国株の買い方

米国株は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQに上場している企業の株式です。日本のネット証券でも成長投資枠を使って購入できます。

米国株の特徴:

  • 1株から購入可能: Apple、Tesla、Microsoft等の有名企業を1株から購入できる
  • 手数料無料: 楽天証券やSBI証券では、成長投資枠での米国株購入時の手数料が無料(2025年1月時点)
  • 配当金の課税: 米国で10%の源泉徴収が行われる(日本での課税は非課税だが、米国分は回収不可)

購入例:

  • Apple(AAPL): 1株約$180(約27,000円、為替レート150円/ドルの場合)
  • Tesla(TSLA): 1株約$250(約37,500円)

(3) ETFと投資信託も対象

成長投資枠では、個別株だけでなく、ETF(上場投資信託)や一般の投資信託も購入できます。

  • ETF: 東証に上場している日経225連動型ETFや、米国のS&P 500連動型ETF(SPY、VOO等)
  • 投資信託: つみたて投資枠対象の投資信託(eMAXIS Slim全世界株式等)も成長投資枠で購入可能

ETFや投資信託は、複数の企業に分散投資できるため、個別株よりリスクが低いと言われています。

4. 個別株投資と投資信託の違い

(1) リスクとリターンの違い

個別株と投資信託の主な違いは以下の通りです:

比較項目 個別株 投資信託
リターンの可能性 高い(成長企業なら市場平均を大きく上回る) 市場平均並み(インデックスファンドの場合)
リスク 高い(企業固有リスク、倒産リスク) 低め(分散投資でリスク軽減)
分散効果 なし(1社に集中投資) あり(数百〜数千社に分散)
選定の難易度 高い(財務分析、業界知識が必要) 低い(インデックス型なら市場平均を追従)

(2) 分散効果と手数料の違い

分散効果:

  • 個別株は1社に集中投資するため、その企業の業績が悪化すれば大きな損失を被る可能性があります
  • 投資信託(特にインデックスファンド)は、数百〜数千社に分散投資するため、1社の業績悪化が全体に与える影響は限定的です

手数料:

  • 個別株: 購入時・売却時の売買手数料のみ(成長投資枠では無料の証券会社が多い)
  • 投資信託: 信託報酬(年率0.05〜1%程度)が継続的にかかる

長期保有の場合、信託報酬の累積コストも考慮する必要があります。

(3) どちらを選ぶべきか

初心者・分散投資重視: 投資信託(特にeMAXIS Slim全世界株式等のインデックスファンド)

高リターン追求・個別企業の成長に賭けたい: 個別株(ただしリスク管理のため、複数銘柄に分散投資を推奨)

バランス型: 成長投資枠の一部を投資信託、一部を個別株に配分する方法もあります。例えば、120万円を投資信託、残り120万円を個別株に振り分けるなど。

5. 個別株の選び方と注意点

(1) 個別株選定の基本(時価総額・業績・配当)

個別株を選ぶ際の基本的なチェックポイント:

時価総額:

  • 大型株(時価総額1兆円以上): 安定性が高いが成長余地は限定的
  • 中小型株(時価総額1兆円未満): 成長余地が大きいがリスクも高い

業績:

  • 過去3〜5年の売上・利益成長率を確認
  • 今期・来期の業績予想を確認(会社四季報、決算短信等)

配当:

  • 配当利回り(年間配当金 ÷ 株価)が2〜5%程度が一般的
  • 配当性向(配当金 ÷ 純利益)が50〜80%が持続可能な範囲

注意: これらはあくまで基本的な指標であり、投資判断は自己責任で行ってください。

(2) 企業固有リスクと倒産リスク

個別株投資には以下のリスクがあります:

  • 業績悪化リスク: 企業の業績が悪化すれば株価は下落
  • 倒産リスク: 企業が倒産すれば投資資金はほぼゼロになる
  • 業界リスク: その企業が属する業界全体の不振が株価に影響
  • 規制リスク: 法規制の変更が企業業績に影響(例: 製薬業界の薬価改定)

これらのリスクを軽減するには、複数の業界・地域に分散投資することが重要です。

(3) 損益通算・繰越控除ができない注意点

NISA口座での投資には、税制上の注意点があります:

損益通算ができない:

  • NISA口座で損失が出ても、他の課税口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺できません
  • 例: NISA口座で50万円の損失、課税口座で100万円の利益 → 課税口座の100万円に対して約20万円の税金がかかる

繰越控除ができない:

  • NISA口座での損失は、翌年以降に繰り越して利益と相殺することもできません

このため、NISA口座ではリスクの高い投機的な投資は避け、長期的に成長が期待できる銘柄を選ぶことが推奨されます。

6. まとめ:成長投資枠での個別株投資を始める前に

成長投資枠で個別株に投資する際は、以下のポイントを押さえておきましょう:

次のアクション:

  • 成長投資枠の年間240万円をどう配分するか計画を立てる(個別株 vs 投資信託)
  • 初心者はまず投資信託で分散投資を始め、余裕があれば個別株に挑戦
  • 個別株に投資する場合は、複数銘柄に分散してリスクを軽減
  • 損益通算ができない点を理解し、長期保有を前提とした銘柄選定を

投資判断は自己責任で行い、リスクを十分に理解した上で、成長投資枠を活用した資産形成を目指しましょう。

よくある質問

Q1成長投資枠で個別株はいくらまで買えますか?

A1年間240万円まで購入できます。生涯投資枠は成長投資枠だけで最大1,200万円まで(つみたて投資枠と合わせて全体で1,800万円)です。

Q2成長投資枠で米国株の配当金も非課税ですか?

A2日本での課税(20.315%)は非課税となりますが、米国で10%の源泉徴収は避けられません。また、外国税額控除も適用されないため、米国での課税分は回収できません。

Q3個別株と投資信託、どちらがおすすめですか?

A3初心者には分散効果のある投資信託(インデックスファンド)が推奨されます。個別株は高リターンが期待できますが、企業固有リスクや倒産リスクも高いため、リスク管理が重要です。

Q4成長投資枠で買った個別株を売却したら非課税枠は復活しますか?

A4はい、売却した分の非課税枠は翌年以降に復活します。ただし、年単位での復活となるため、頻繁な売買には向いていません。

Q5成長投資枠で個別株投資するときの注意点は?

A5損益通算・繰越控除ができない点に注意が必要です。また、企業固有リスク(業績悪化、倒産リスク等)を理解し、複数銘柄に分散投資することでリスクを軽減しましょう。

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