導入
「iシェアーズS&P500米国株ETFって、ネットで評判いいけど本当に投資して大丈夫?」「投資信託との違いがわからない...」
米国株投資を検討する際、S&P500指数に連動するETFは定番の選択肢です。中でも、ブラックロック社が運用する「iシェアーズS&P500 ETF(ティッカー: IVV)」は世界的に有名ですが、ネット上の評判だけで投資判断するのは危険です。
この記事では、iシェアーズS&P500 ETFの評判を実際の運用データと照らし合わせて検証し、投資信託との比較も含めて、客観的な判断材料を提供します。
この記事のポイント:
- iシェアーズS&P500 ETF(IVV)は経費率0.03%と業界最低水準
- トラッキングエラーが小さく、S&P500指数と高い連動性を持つ
- 日本上場ETFと米国ETF(IVV)は経費率・流動性が異なる
- 投資信託(eMAXIS Slim米国株式S&P500)との比較で、少額積立なら投資信託、まとまった金額ならETFが有利
- NISA口座で購入可能だが、分配金は米国で10%源泉徴収される
1. iシェアーズS&P500米国株ETFとは
(1) ETFの基本情報
iシェアーズS&P500 ETFは、ブラックロック社が運用する、S&P500指数に連動する米国ETFです。
基本データ(IVV):
- 運用会社: ブラックロック(iShares)
- ティッカー: IVV(米国)
- ベンチマーク: S&P 500指数
- 経費率: 約0.03%
- 運用資産残高(AUM): 約4,000億ドル以上(2025年時点)
- 分配金頻度: 年4回
(出典: iShares公式ファクトシート https://www.ishares.com/us/products/239726/)
(2) 日本上場ETFと米国ETF(IVV)の違い
「iシェアーズS&P500 ETF」と一口に言っても、日本上場と米国上場で違いがあります。
項目 | 米国ETF(IVV) | 日本上場ETF |
---|---|---|
上場市場 | NYSE(米国) | 東京証券取引所 |
経費率 | 0.03% | やや高め(0.07-0.15%程度) |
流動性 | 非常に高い | やや低い |
為替リスク | あり | あり |
購入通貨 | 米ドル | 日本円 |
NISA | 成長投資枠で可 | 成長投資枠で可 |
一般的に、米国ETF(IVV)の方が経費率が低く流動性も高いため、本記事では主にIVVに焦点を当てます。
2. ネット上の評判を整理する
(1) 肯定的な評判
よく見られる肯定的な評判:
- 「経費率が低くて長期投資に向いている」
- 「S&P500に分散投資できて安心」
- 「流動性が高く、いつでも売買できる」
- 「投資信託より経費率が安い」
根拠となるデータ:
- 経費率0.03%は、競合のVOO(バンガード)と並んで業界最低水準
- S&P500は米国の大型株500社に分散投資できる
- IVVの1日平均出来高は数百万株と非常に高い
(2) 否定的な評判
よく見られる否定的な評判:
- 「為替手数料がかかるから結局コストが高い」
- 「投資信託の方が少額から買える」
- 「分配金が米国で課税されるのが嫌」
根拠となるデータ:
- 為替手数料は証券会社により異なる(1米ドルあたり25銭が標準)
- 投資信託は100円から積立可能、ETFは1株単位(IVVは約500-600ドル/株)
- 分配金は米国で10%源泉徴収後、日本で20.315%課税される(外国税額控除で調整可能)
3. 実際の運用実績を検証する
(1) 経費率の水準
IVVの経費率は**0.03%**と、S&P500連動ETFの中で最低水準です。
競合との比較:
- IVV(iShares): 0.03%
- VOO(Vanguard): 0.03%
- SPY(State Street): 0.09%
長期投資では、この小さな差が複利効果で大きな差になります。
(2) トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、ETFの運用成績がベンチマーク指数(S&P500)とどれだけ乖離するかを示す指標です。
IVVのトラッキングエラーは年率約0.02%以下と非常に小さく、S&P500指数とほぼ完全に連動しています。
(出典: Morningstar ETF Report https://www.morningstar.com/etfs/arcx/ivv/quote)
(3) モーニングスターレーティング
モーニングスター社による評価では、IVVは**5つ星(最高評価)**を獲得しています(2025年時点)。
評価項目:
- リスク調整後リターン
- 経費率の低さ
- 運用の安定性
(4) S&P500指数との連動性
過去10年間の年間リターンは、S&P500指数とほぼ一致しています(経費率分のわずかな差を除く)。
過去10年の平均年率リターン(概算):
- S&P500指数: 約13-14%
- IVV: 約13-14%(経費率0.03%を控除後)
※過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。
4. コスト分析(経費率・手数料)
(1) 経費率の比較(VOO・SPYとの比較)
ETF | 経費率 | 運用会社 |
---|---|---|
IVV | 0.03% | ブラックロック |
VOO | 0.03% | バンガード |
SPY | 0.09% | ステート・ストリート |
IVVとVOOはほぼ同じですが、SPYはやや高めです。ただし、SPYは流動性が最も高いため、超大口取引には向いています。
(2) 証券会社の手数料
日本の主要ネット証券でのIVV購入手数料(約定代金):
証券会社 | 手数料 |
---|---|
SBI証券 | 0.495%(上限22米ドル) |
楽天証券 | 0.495%(上限22米ドル) |
マネックス証券 | 0.495%(上限22米ドル) |
※2025年10月時点の情報です。
(3) 為替手数料
米ドルへの両替に必要な為替手数料:
証券会社 | 為替手数料(1米ドル) |
---|---|
SBI証券 | 25銭(住信SBIネット銀行経由で4銭) |
楽天証券 | 25銭 |
マネックス証券 | 25銭(買付時無料キャンペーンあり) |
住信SBIネット銀行を使えば、為替手数料を大幅に削減できます。
5. 投資信託との比較
(1) eMAXIS Slim米国株式S&P500との比較
日本で人気の投資信託「eMAXIS Slim米国株式S&P500」と比較します。
項目 | IVV(ETF) | eMAXIS Slim米国株式S&P500(投資信託) |
---|---|---|
経費率 | 0.03% | 0.09372%(2025年時点) |
最低購入額 | 約500-600ドル(1株) | 100円 |
積立 | 手動 | 自動積立可能 |
リアルタイム取引 | 可能 | 不可(1日1回基準価額) |
NISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
(2) ETFと投資信託の違い
ETFのメリット:
- 経費率が低い
- リアルタイムで売買できる
- まとまった金額を一括投資しやすい
投資信託のメリット:
- 少額(100円)から積立可能
- 自動積立設定ができる
- つみたてNISA(つみたて投資枠)対応
(3) どちらを選ぶべきか
投資スタイル | おすすめ |
---|---|
月1万円以下の少額積立 | 投資信託(eMAXIS Slim) |
まとまった金額(数十万円以上)を一括投資 | ETF(IVV) |
リアルタイム取引したい | ETF(IVV) |
自動積立で手間を省きたい | 投資信託(eMAXIS Slim) |
6. まとめ:iシェアーズS&P500 ETFを選ぶべきか
iシェアーズS&P500 ETF(IVV)は、経費率0.03%という業界最低水準のコスト、高い流動性、S&P500指数との高い連動性を持つ優れたETFです。ネット上の肯定的な評判は、データで裏付けられています。
次のアクション:
- まとまった金額を投資するならIVVを検討
- 少額積立ならeMAXIS Slim米国株式S&P500を検討
- 為替手数料を抑えるため住信SBIネット銀行を活用
- NISA口座で購入して税制メリットを最大化
投資判断は自己責任で行い、自分の投資スタイルに合った商品を選びましょう。