個別株投資を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない...
「投資信託ではなく、自分で銘柄を選んで投資したい」と考える初心者の方は少なくありません。しかし、いざ個別株投資を始めようとすると、「どの証券会社を選べばいいのか」「いくらから始められるのか」「どんな銘柄を買うべきなのか」といった疑問が次々と湧いてきます。
この記事では、個別株投資の基礎から証券会社の選び方、銘柄選びの基本、リスク管理まで、初心者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- 個別株投資は単元未満株なら数千円から始められる
- 証券会社選びは手数料・サービス・情報提供の質で比較する
- 銘柄選びはPER・PBR・配当利回りなどの指標を参考にする
- 初心者はまず分散投資と損切りルールの設定が重要
- 投資信託と個別株の違いを理解し、自分に合った方法を選ぶ
1. 個別株投資とは
個別株投資とは、特定の企業の株式を直接購入して投資する方法です。投資信託と異なり、自分で銘柄を選定し、売買のタイミングも自分で判断します。
(1) 個別株とは
個別株とは、上場企業が発行する株式のことです。株式を購入することで、その企業の株主となり、配当金を受け取ったり、株主総会で議決権を行使したりする権利を得られます。
米国株の場合、Apple(AAPL)やMicrosoft(MSFT)など、世界的に有名な企業の株式を購入できます。日本の証券会社を通じて、米国市場に上場している数千銘柄にアクセス可能です。
(2) 投資信託との違い
個別株投資と投資信託の最大の違いは、「誰が銘柄を選ぶか」です。
| 項目 | 個別株 | 投資信託 |
|---|---|---|
| 銘柄選定 | 自分で選ぶ | プロが選ぶ |
| 最低投資額 | 数千円〜数十万円 | 100円〜 |
| 手数料 | 売買手数料のみ | 信託報酬(年率) |
| リスク | 集中リスク高い | 分散されている |
| 知識要求度 | 高い | 低い |
投資信託は複数の銘柄に分散投資されているため、個別株よりリスクが低いとされています。一方、個別株は自分で銘柄を選ぶ楽しみがある反面、知識不足による銘柄選択ミスのリスクもあります。
(3) 初心者に個別株は向いているか
結論から言うと、初心者にはまず投資信託から始めることを推奨します。ただし、「自分で銘柄を選びたい」「特定の企業を応援したい」という強い意欲がある場合は、少額から個別株投資を始めることも一つの選択肢です。
その際は、以下のポイントを守りましょう:
- 余裕資金で始める(生活費には手をつけない)
- 少額から始めて経験を積む
- 分散投資を心がける(1銘柄に集中投資しない)
- 長期的な視点を持つ
2. 個別株投資の始め方
個別株投資を始めるには、証券口座の開設が必要です。ここでは、口座開設から最初の投資までの流れを解説します。
(1) 証券口座の開設
証券口座の開設は、オンラインで完結します。以下の手順で進めます:
- 証券会社の選定(後述)
- 必要書類の準備:マイナンバーカード、運転免許証など
- オンライン申し込み:証券会社のウェブサイトから
- 本人確認:書類アップロードまたは郵送
- 口座開設完了:通常1週間〜2週間
口座には「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があります。初心者には、証券会社が税金を自動計算・納税してくれる「特定口座(源泉徴収あり)」がおすすめです。
(2) 少額から始める方法(単元未満株・ミニ株)
日本株は通常100株単位(単元株)で取引されますが、一部の証券会社では1株から購入できる「単元未満株」「ミニ株」のサービスがあります。
米国株の場合、もともと1株から購入可能です。例えば、Apple株が1株150ドル(約2万2,500円、為替レート150円/ドル)であれば、その金額から投資できます。
少額投資のメリット:
- 初期資金が少なくても始められる
- 複数銘柄に分散投資しやすい
- 失敗しても損失が限定的
(3) 最初の投資額の目安
初心者の最初の投資額は、10万円〜30万円が目安とされています。これは、分散投資(3〜5銘柄に分ける)と、失敗しても生活に影響が出ない金額を考慮した額です。
ただし、単元未満株や米国株なら数千円から始められるため、まずは1万円程度の少額で経験を積むのも良いでしょう。
3. 証券会社の選び方
証券会社選びは、手数料、取扱銘柄、情報提供の質などで比較します。以下、初心者におすすめの証券会社を紹介します。
(1) SBI証券の特徴
メリット:
- 米国株の取扱銘柄数が多い(約5,000銘柄)
- 単元未満株(S株)対応で1株から購入可能
- 為替手数料が比較的低い(片道25銭/ドル)
デメリット:
- 取引ツールが初心者には複雑に感じることも
(2) 楽天証券の特徴
メリット:
- 楽天ポイントで投資可能
- 取引ツール(iSPEED)が使いやすい
- 投資情報・レポートが充実
デメリット:
- 為替手数料がやや高め
(3) マネックス証券の特徴
メリット:
- 米国株の情報提供が充実(銘柄スカウター米国株)
- 時間外取引に対応
- 米国株の取扱銘柄数が多い
デメリット:
- 日本株の単元未満株サービスがない
(4) 手数料比較
| 証券会社 | 米国株取引手数料 | 為替手数料(片道) |
|---|---|---|
| SBI証券 | 約定代金の0.495%(最低0ドル) | 25銭/ドル |
| 楽天証券 | 約定代金の0.495%(最低0ドル) | 25銭/ドル |
| マネックス証券 | 約定代金の0.495%(最低0ドル) | 買付時0銭 |
※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社のウェブサイトをご確認ください。
4. 銘柄選びの基本
個別株投資で最も重要なのが銘柄選びです。初心者は以下の指標を参考にしましょう。
(1) 業績の見方(PER・PBR・配当利回り)
PER(株価収益率)
- 計算式:株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)
- 目安:一般的に15〜20倍が適正とされる
- 低い→割安、高い→割高(ただし成長性も考慮)
PBR(株価純資産倍率)
- 計算式:株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
- 目安:1倍以下は割安とされる
配当利回り
- 計算式:年間配当 ÷ 株価
- 目安:米国株は2〜4%が一般的
- 高すぎる場合は業績悪化の可能性も
これらの指標は、Yahoo FinanceやMorningstarなどのサイトで確認できます。
(2) 分散投資の重要性
初心者が陥りやすいのが、「1銘柄に集中投資」です。1つの企業に資金を集中させると、その企業の業績悪化時に大きな損失を被るリスクがあります。
分散投資の方法:
- 複数の業種(テクノロジー、ヘルスケア、金融など)に分散
- 米国株と日本株を組み合わせる
- 個別株と投資信託を組み合わせる
最低でも3〜5銘柄に分散することをおすすめします。
(3) 初心者が避けるべき銘柄
以下のような銘柄は、初心者には不向きです:
- 低位株(ペニー株):株価が極端に低い銘柄は上場廃止リスクあり
- 新興企業(スタートアップ):業績が不安定、倒産リスクが高い
- 高レバレッジETF:短期トレード向け、長期保有に不向き
- 業績不透明な企業:財務データが公開されていない、または不正会計の疑いがある企業
初心者は、業績が安定している大型株(Apple、Microsoft、Johnson & Johnsonなど)から始めるのが無難です。
5. リスク管理と注意点
個別株投資では、リスク管理が成功の鍵です。以下のポイントを押さえましょう。
(1) 損切りの重要性
損切りとは、株価が下落した際に損失を確定させて売却することです。「いつか上がるだろう」と塩漬けにすると、損失が拡大する可能性があります。
損切りルールの例:
- 購入価格から10%下落したら売却
- 企業の業績が悪化したら売却(四半期決算をチェック)
損切りは心理的に辛いですが、資産を守るために重要です。
(2) 短期売買と長期投資の違い
- 短期売買(デイトレード):数日〜数週間で売買。値動きの予測が難しく、初心者には不向き
- 長期投資:数年〜数十年保有。複利効果と企業成長の恩恵を受けられる
初心者には、長期投資をおすすめします。短期的な値動きに一喜一憂せず、企業の成長を信じて保有し続けることが、成功への近道です。
(3) 初心者が陥りやすい失敗パターン
- 高値掴み:株価が急騰したタイミングで買ってしまい、その後下落
- 損切りできずに塩漬け:「いつか戻る」と期待して保有し続け、損失拡大
- 情報に振り回される:SNSやニュースの情報を鵜呑みにして売買
- 感情的な売買:株価の短期的な変動に反応して頻繁に売買
これらを避けるには、事前に投資ルール(購入基準、損切り基準)を決めておくことが重要です。
6. まとめ:初心者が個別株投資を成功させるために
個別株投資は、投資信託と比べて自由度が高い反面、知識と経験が求められます。初心者が成功するためには、以下のポイントを守りましょう:
次のアクション:
- 証券口座を開設する(SBI証券、楽天証券、マネックス証券から選ぶ)
- 少額(1万円〜10万円)から始めて経験を積む
- 分散投資と損切りルールを設定する
- 投資の基礎知識を学び続ける(書籍、セミナー、金融庁の教育コンテンツなど)
個別株投資は、知識と経験を積むことで、資産形成の強力な手段となります。焦らず、少しずつステップアップしていきましょう。
