新NISA積立投資枠で個別株は買えない|成長投資枠活用法

公開日: 2025/10/19

新NISA「積立投資枠」で個別株は買えない?成長投資枠との違いを解説

「新NISAの積立投資枠で米国株の個別株を買いたい」と考えている方は多いでしょう。しかし、実は積立投資枠では個別株は購入できません。個別株を購入するには「成長投資枠」を利用する必要があります。

この記事では、新NISA制度の2つの枠(積立投資枠・成長投資枠)の違いと、それぞれの対象商品について解説します。

この記事のポイント:

  • 積立投資枠では個別株は購入できない(投資信託・一部ETFのみ)
  • 個別株を買うには成長投資枠を利用する
  • 2つの枠は併用可能(年間最大360万円まで)
  • 積立投資枠で投資信託、成長投資枠で個別株という使い分けが一般的

1. 新NISA制度の基本を理解する

(1) 2024年からの新制度

2024年1月から新しいNISA制度が始まりました。従来のつみたてNISAと一般NISAが統合され、積立投資枠成長投資枠の2つの枠で構成されています。

(2) 年間投資枠と非課税保有限度額

新NISA制度では、以下の投資枠が設定されています:

枠の種類 年間投資枠 非課税保有限度額
積立投資枠 120万円 1,800万円(総枠の内数)
成長投資枠 240万円 1,200万円(総枠の内数)
合計 360万円 1,800万円

(3) 旧NISAとの違い

旧NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらか一方しか選べませんでしたが、新NISAでは両方の枠を同時に利用できる点が大きな違いです。

2. 積立投資枠の対象商品とルール

(1) 対象:長期・積立・分散投資向け投資信託

積立投資枠の対象商品は、金融庁が定める基準を満たした投資信託とETFのみです。具体的には以下の条件を満たす商品です:

  • 販売手数料が無料(ノーロード)
  • 信託報酬が一定水準以下
  • 分配金を頻繁に出さない(複利効果重視)
  • 長期・積立・分散投資に適した商品設計

(2) 年間120万円まで

積立投資枠では、年間120万円まで投資できます。月10万円を上限に積立投資を行うイメージです。

(3) 個別株は買えない理由

積立投資枠は「長期・積立・分散投資」を促進する目的で設計されているため、価格変動の大きい個別株は対象外となっています。個別株を購入したい場合は、成長投資枠を利用する必要があります。

3. 成長投資枠の対象商品とルール

(1) 対象:上場株式・ETF・投資信託

成長投資枠では、以下の商品を購入できます:

  • 国内株式・外国株式(米国株を含む)
  • ETF(国内・海外)
  • 投資信託(積立投資枠対象外のものも含む)

米国株の個別株(例:Apple、Microsoft、Tesla等)も、成長投資枠で購入できます。

(2) 年間240万円まで

成長投資枠では、年間240万円まで投資できます。積立投資枠と合わせると、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。

(3) 一部除外銘柄(整理銘柄等)

ただし、以下の銘柄は成長投資枠でも対象外です:

  • 整理銘柄・監理銘柄
  • 信託期間が20年未満の投資信託
  • 高頻度分配型の投資信託

4. 個別株を買うなら成長投資枠

(1) 米国株の購入方法

米国株の個別株を購入する手順は以下の通りです:

  1. 証券会社でNISA口座を開設
  2. 成長投資枠で米国株を注文
  3. 配当金・売却益が非課税で受け取れる

SBI証券や楽天証券など、主要なネット証券会社で米国株のNISA取引が可能です。

(2) 配当金・売却益の非課税メリット

成長投資枠で購入した米国株は、以下が非課税になります:

  • 配当金: 通常20.315%かかる日本の税金が非課税
  • 売却益: キャピタルゲインも非課税

(3) 米国源泉徴収10%は控除対象外

ただし、米国で源泉徴収される10%の税金は避けられません。また、NISA口座では外国税額控除の対象外となるため、この10%は実質的な負担となります。

※2025年10月時点の税制です。最新情報は国税庁のウェブサイトをご確認ください。

5. 2つの枠の使い分け戦略

(1) 積立投資枠:インデックス投信で積立

積立投資枠では、以下のような低コストのインデックス投資信託を積立購入するのが一般的です:

  • S&P500連動型(米国株全体)
  • 全世界株式型(先進国・新興国)
  • 全米株式型(VTI相当)

(2) 成長投資枠:個別株・ETFで集中投資

成長投資枠では、以下のような投資が可能です:

  • 米国株の個別株(Apple、Microsoft等)
  • 高配当株ETF(VYM、HDV等)
  • セクターETF(NASDAQ100等)

(3) 併用戦略の例

例:年間360万円フル活用

  • 積立投資枠(120万円): S&P500投資信託を毎月10万円積立
  • 成長投資枠(240万円): 米国株個別株を年4回に分けて購入

この組み合わせで、分散投資と集中投資のバランスを取ることができます。

6. まとめ:新NISAで個別株投資を始める方法

新NISA制度では、積立投資枠で個別株は購入できません。個別株を購入するには成長投資枠を利用する必要があります。

次のアクション:

  • 積立投資枠で低コストのインデックス投資信託を積立
  • 成長投資枠で米国株の個別株を購入
  • 年間360万円の枠を有効活用して長期資産形成

2つの枠を上手に使い分けて、非課税メリットを最大限に活用しましょう。

よくある質問

Q1積立投資枠で個別株は買える?

A1買えません。積立投資枠は長期・積立・分散投資に適した投資信託・ETFのみが対象です。個別株を購入するには成長投資枠を利用してください。

Q22つの枠は併用できる?

A2はい、併用可能です。年間最大360万円(積立投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで非課税投資ができます。

Q3米国株ETFはどちらの枠?

A3基本的には成長投資枠です。一部の海外ETFは積立投資枠の対象になっていますが、米国上場のETFは成長投資枠で購入するのが一般的です。

Q4枠の使い分けは?

A4積立投資枠で低コストのインデックス投資信託を毎月積立し、成長投資枠で個別株やETFに投資する組み合わせが一般的です。分散投資と集中投資のバランスが取れます。

Q5米国株の配当は非課税?

A5日本での課税(通常20.315%)は非課税になります。ただし、米国で源泉徴収される10%は避けられません。また、NISA口座では外国税額控除の対象外となるため、この10%は実質的な負担となります。

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