個別株投資を始めたいけれど、何から始めればいい?
「投資信託やETFは持っているけれど、個別株にも挑戦してみたい」——そう考えている投資家は少なくありません。個別株投資は、特定企業の成長に直接投資できる魅力がありますが、投資信託やETFとは異なるリスクと知識が必要です。
**「どうやって銘柄を選べばいいのか?」「どれくらいの資金が必要なのか?」**といった疑問もあるでしょう。個別株投資は、正しい知識とリスク管理があれば、投資の選択肢を広げる有効な手段となります。
この記事では、個別株投資の基礎知識、投資信託・ETFとの違い、銘柄選定の基本ステップ、リスク管理の方法まで、初心者が知るべきポイントを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 個別株は特定企業の株式を直接購入、投資信託・ETFとは異なる
- 個別株投資は高リターンの可能性がある一方、個別リスクも高い
- 銘柄選定にはファンダメンタルズ分析・テクニカル分析・定性分析の3つがある
- リスク管理として、ポートフォリオの10-30%を個別株に配分するのが一般的
- 米国株は1株から購入可能で、少額から始めやすい
個別株投資を始める前に
(1) 投資の基礎知識の確認
個別株投資を始める前に、投資の基本を理解しておくことが重要です。
- 株式とは何か(企業の所有権の一部)
- 株価がどのように決まるか(需要と供給、企業の業績、経済環境)
- リスクとリターンの関係(高リターンには高リスクが伴う)
これらの基礎知識がないまま個別株投資を始めると、予期せぬ損失を被る可能性があります。
(2) リスク許容度の把握
個別株投資は、投資信託やETFよりもリスクが高いと言われています。株価が短期間で大きく変動することもあり、損失を受け入れられるかどうかを事前に確認しましょう。
「資産の10%を失っても生活に影響がない」といった基準を設定しておくと、冷静な判断がしやすくなります。
(3) 投資目的の明確化
個別株投資の目的は人それぞれです。
- 配当収入を得たい(高配当株に投資)
- 資産を長期的に増やしたい(成長株に投資)
- 株主優待を楽しみたい(日本株の優待銘柄に投資)
目的が明確であれば、銘柄選定の方向性も定まります。
個別株とは?投資信託・ETFとの違い
(1) 個別株の定義
個別株とは、特定の企業の株式を直接購入することを指します。例えば、Apple、Microsoft、Teslaといった米国企業の株式を1社ずつ購入するのが個別株投資です。
企業の成長に直接投資できるため、業績が好調な企業の株価は大きく上昇する可能性があります。
(2) 投資信託・ETFとの3つの違い
個別株と投資信託・ETFの主な違いは以下の通りです。
比較項目 | 個別株 | 投資信託・ETF |
---|---|---|
分散投資 | されていない(1社に集中) | 自動的に分散される |
銘柄選定 | 自分で選ぶ必要がある | 専門家が選定済み |
リスク | 高い(1社の業績に依存) | 低い(分散効果がある) |
リターン | 高い可能性がある | 市場平均に近い |
手数料 | 売買手数料のみ | 信託報酬が毎年かかる |
個別株は高リターンの可能性がある一方、銘柄選定の難しさや個別リスクが高いことを理解しておきましょう。
(3) 米国株と日本株の違い
米国株と日本株では、購入単位が異なります。
- 米国株: 1株から購入可能(例:Apple株を1株だけ購入できる)
- 日本株: 100株単位が一般的(例:トヨタ株を買うには100株分の資金が必要)
米国株は少額から始めやすいため、初心者にも向いています。例えば、株価100ドルの銘柄なら、為替レート150円/ドルで約15,000円から投資できます。
個別株投資のメリットとデメリット
(1) メリット:高リターンの可能性
個別株投資の最大のメリットは、高リターンを狙えることです。
例えば、AppleやTeslaのような成長企業の株式を早期に購入していれば、数年で10倍以上のリターンを得られたケースもあります。
投資信託やETFは市場平均に近いリターンとなるため、個別株のような大きなリターンは期待しにくいと言われています。
(2) メリット:配当・株主優待
個別株を保有すると、配当金や株主優待を受け取れます。
- 配当金: 企業が利益を株主に分配(米国高配当株は年3-5%程度)
- 株主優待: 日本株で一般的(食事券、商品券、自社製品など)
配当収入を目的とした投資戦略も人気があります。
(3) デメリット:個別リスク
個別株投資の最大のデメリットは、個別リスクが高いことです。
1社の業績が悪化すれば、株価が大きく下落する可能性があります。最悪の場合、企業が倒産すれば投資資金を失うこともあります。
投資信託やETFは複数の銘柄に分散投資されているため、1社の業績悪化が全体に与える影響は限定的です。
(4) デメリット:銘柄選定の難しさ
個別株投資では、自分で銘柄を選ぶ必要があります。
財務諸表の読み方、業界動向の理解、経営陣の評価など、多くの知識と経験が求められます。初心者がいきなり個別株投資を始めると、失敗しやすいと言われています。
銘柄選定の基本ステップ
(1) ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、企業の財務状況や業績から株価の妥当性を評価する方法です。
主な指標は以下の通りです。
指標 | 意味 | 目安 |
---|---|---|
PER(株価収益率) | 株価 ÷ EPS(1株利益) | 15-25倍が標準 |
ROE(自己資本利益率) | 純利益 ÷ 株主資本 | 10%以上が優良 |
売上成長率 | 前年比の売上増加率 | 年10%以上が成長企業 |
これらの指標は、企業のIR情報やYahoo Financeなどで確認できます。
(2) テクニカル分析
テクニカル分析は、株価チャートのパターンから売買タイミングを判断する方法です。
- 移動平均線: 株価の平均値を線で表示(上昇トレンド・下降トレンドを把握)
- RSI(相対力指数): 買われすぎ・売られすぎを判断
- 出来高: 取引量が多いと株価変動が大きくなる傾向
短期売買を行う投資家はテクニカル分析を重視しますが、初心者は長期投資の視点でファンダメンタルズ分析を優先するのが一般的です。
(3) 定性分析
定性分析は、数値では測れない企業の質を評価する方法です。
- 競争優位性: 独自技術やブランド力があるか
- 経営陣の質: CEOのビジョンや実績は信頼できるか
- 業界動向: 成長産業か、衰退産業か
例えば、AppleはiPhoneという強力なブランドを持ち、競争優位性が高いとされています。
(4) 情報収集方法
銘柄選定には、信頼できる情報源が必要です。
- 企業のIR情報(決算説明資料、事業報告書)
- SECのEDGARデータベース(米国企業の公式財務報告)
- 証券会社のレポート(アナリストの分析レポート)
- 投資情報サイト(Yahoo Finance、Bloomberg等)
まずは自分が知っている企業(AppleやMicrosoftなど)から情報収集を始めてみましょう。
リスク管理と資金配分
(1) ポートフォリオの10-30%が目安
個別株投資は高リスクのため、ポートフォリオ全体の10-30%程度に留めるのが一般的です。
例えば、資産500万円のうち、50万円(10%)を個別株に投資し、残りは投資信託やETFで分散投資するという配分です。
(2) 分散投資の重要性
個別株投資でも、複数の銘柄に分散投資することが重要です。
- 5-10銘柄に分散することで、1社の業績悪化が全体に与える影響を軽減
- 異なる業種に分散する(テクノロジー、ヘルスケア、金融など)
1銘柄に全額投資するのは避けましょう。
(3) 損切りルールの設定
株価が一定以上下落したら売却する損切りルールを設定しておくことが重要です。
例えば、「購入価格から10%下落したら売却」といったルールを決めておけば、損失を限定できます。
感情的な判断を避けるため、事前にルールを決めておきましょう。
(4) 長期視点の維持
短期売買(デイトレード・スイングトレード)は初心者向きではありません。株価は短期的に変動しますが、長期的には企業の業績に収束すると言われています。
長期投資の視点を持ち、数年間保有する前提で銘柄を選びましょう。
まとめ:個別株投資の始め方
個別株投資は、高リターンの可能性がある一方、個別リスクも高いため、十分な知識とリスク管理が必要です。まずは少額から始め、投資信託やETFと併用しながら経験を積むことが大切です。
次のアクション:
- 証券会社で口座を開設し、少額から始める
- 自分が知っている企業(AppleやMicrosoftなど)から情報収集を始める
- ファンダメンタルズ分析(PER、ROE)を学ぶ
- ポートフォリオの10-30%を個別株に配分し、残りは分散投資する
焦らず、長期的な視点で個別株投資に取り組みましょう。