日本から米国株個別銘柄に投資したいけれど、何から始めればいい?
米国株に投資してみたいと考えているけれど、「日本からどうやって買うの?」「税金はどうなるの?」「為替リスクは大丈夫?」と不安に感じている方は多いでしょう。
実は、日本の証券会社を通じて米国株個別銘柄を購入するのは、思ったより簡単です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、米国株を1株から購入できます。
この記事では、日本在住者が米国株個別銘柄に投資する具体的な方法、証券会社の選び方、税金、為替リスクについて詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 日本の証券会社(SBI、楽天、マネックス等)で米国株を1株から購入可能
- 配当は米国10%+日本20.315%の二重課税、外国税額控除で一部調整できる
- 為替手数料は証券会社により1ドルあたり0〜25銭程度
- NISA口座でも米国株投資は可能(ただし配当の米国10%源泉徴収は免除されない)
日本在住者が米国株個別銘柄に投資する方法
(1) 日本の証券会社を利用する方法
日本在住者が米国株に投資する最も一般的な方法は、日本の証券会社を通じて購入することです。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、米国株式市場に上場する個別銘柄を取り扱っています。
メリット:
- 日本語でサポートが受けられる
- 税務手続きが比較的シンプル(特定口座を利用可能)
- スマホアプリで手軽に取引できる
(2) 米国の証券会社を直接利用する方法
米国の証券会社(Schwab、Fidelity、Interactive Brokers等)で直接口座開設する方法もあります。
デメリット:
- 英語での手続きが必要
- 確定申告が複雑になる(外国口座に関する調書提出が必要)
- サポートが英語のみ
このため、初心者には日本の証券会社を通じた投資を推奨します。
(3) 初心者におすすめの方法
日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)で口座開設し、特定口座(源泉徴収あり)を選択するのがおすすめです。特定口座なら、証券会社が税金を源泉徴収してくれるため、確定申告が原則不要です(ただし外国税額控除を受ける場合は確定申告が必要)。
日本の証券会社での米国株取扱い
(1) SBI証券の特徴と手数料
取扱銘柄数: 約5,000銘柄(米国主要市場)
取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
為替手数料: 1ドルあたり25銭(片道)
最低投資額: 1株から購入可能
特徴: 取扱銘柄数が多く、米国株の情報も充実しています。NISA口座での米国株投資にも対応。
(2) 楽天証券の特徴と手数料
取扱銘柄数: 約4,700銘柄
取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
為替手数料: 1ドルあたり25銭(片道)
最低投資額: 1株から購入可能
特徴: スマホアプリ「iSPEED」が使いやすく、楽天ポイントで米国株を購入できるサービスもあります。
(3) マネックス証券の特徴と手数料
取扱銘柄数: 約4,500銘柄
取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
為替手数料: 買付時無料、売却時25銭(片道)
最低投資額: 1株から購入可能
特徴: 米国株の情報提供が充実しており、米国株専用アプリ「トレードステーション米国株」が利用可能。買付時の為替手数料が無料なのが強み。
(4) 証券会社比較表
| 証券会社 | 取扱銘柄数 | 取引手数料 | 為替手数料 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 約5,000銘柄 | 0.495% | 25銭 | 銘柄数最多 |
| 楽天証券 | 約4,700銘柄 | 0.495% | 25銭 | アプリが使いやすい |
| マネックス証券 | 約4,500銘柄 | 0.495% | 買付無料 | 情報充実 |
※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
口座開設と購入手順
(1) 証券口座の開設
日本の証券会社で口座開設する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 証券会社の公式サイトから口座開設を申し込む
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)を提出
- 特定口座(源泉徴収あり)を選択
- 審査完了後、口座開設完了通知が届く(通常1〜2週間)
NISA口座も同時に開設する場合は、追加で1〜2週間かかることがあります。
(2) 外貨決済と円貨決済
米国株を購入する際、「外貨決済」と「円貨決済」の2つの方法があります。
外貨決済:
- あらかじめ円をドルに両替しておき、ドルで購入する
- 為替手数料は両替時のみ発生
- 為替レートを自分で選べる
円貨決済:
- 注文時に自動的に円→ドルに両替されて購入
- 為替手数料が購入のたびに発生
- 手軽だが、為替コストが高くなる可能性
頻繁に取引する場合は外貨決済の方がコストを抑えられます。
(3) 米国株の注文方法
米国株の注文方法には「成行注文」と「指値注文」があります。
成行注文(Market Order):
- 現在の市場価格で即座に約定
- 急いで購入したい場合に利用
指値注文(Limit Order):
- 指定した価格以下(買い)または以上(売り)で約定
- 希望価格で取引したい場合に利用
初心者は指値注文で希望価格を指定する方が安心です。
(4) 最低投資額
米国株は1株から購入可能です。例えば、株価が100ドルの銘柄なら、約15,000円(1ドル=150円の場合)から投資できます。
ただし、為替手数料や取引手数料を考慮すると、最低でも数万円以上の投資が効率的です。
税金と確定申告
(1) 配当課税(米国10%+日本20.315%)
米国株の配当金には、米国と日本の両方で税金がかかります。
米国での源泉徴収(10%):
- 日米租税条約により、米国で10%が自動的に源泉徴収されます(通常は30%ですが、条約適用で10%に軽減)
日本での課税(20.315%):
- 米国で課税された後、日本でさらに20.315%が課税されます
- 内訳:所得税15.315%、住民税5%
実際の例: 配当金100ドル受け取る場合
- 米国で10ドル源泉徴収 → 手取り90ドル
- 日本で約20ドル課税(特定口座の場合は自動徴収)
- 実質的な手取り: 約70ドル
この二重課税を軽減するために「外国税額控除」があります。
(2) 譲渡益課税(日本20.315%)
米国株を売却して利益が出た場合、日本で20.315%の税金がかかります。
特定口座(源泉徴収あり)の場合:
- 証券会社が自動的に税金を徴収してくれる
- 確定申告は原則不要
一般口座の場合:
- 自分で確定申告が必要
(3) 外国税額控除の申請
外国税額控除を受けるには、確定申告が必要です。
申請方法:
- 証券会社から「年間取引報告書」を取得
- 確定申告書に外国税額控除の欄を記入
- 米国で課税された税額を日本の所得税から差し引く
控除の上限: 外国税額控除には上限があり、全額が控除されるとは限りません。詳しくは国税庁のウェブサイトまたは税理士にご相談ください。
(4) 特定口座と一般口座の違い
| 口座種類 | 確定申告 | 税金の徴収 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 自動 | ★★★ |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 必要 | 自分で納付 | ★ |
| 一般口座 | 必要 | 自分で納付 | ☆ |
初心者は特定口座(源泉徴収あり)がおすすめです。ただし、外国税額控除を受ける場合は確定申告が必要になります。
為替リスクと対策
(1) 為替リスクとは
米国株はドル建て資産なので、為替変動の影響を受けます。
円高リスク:
- 1ドル=150円で購入 → 1ドル=140円に円高になると、円換算の資産価値が減少
- 例:1,500ドルの資産は225,000円 → 210,000円に減少(15,000円の損失)
円安メリット:
- 1ドル=150円で購入 → 1ドル=160円に円安になると、円換算の資産価値が増加
このため、株価が上がっても為替で損をすることがあります。
(2) 為替手数料(ドル転コスト)
円をドルに交換する際、為替手数料がかかります。
| 証券会社 | 為替手数料(1ドルあたり) |
|---|---|
| SBI証券 | 25銭 |
| 楽天証券 | 25銭 |
| マネックス証券 | 買付無料、売却25銭 |
例: 10,000ドル(約150万円)を両替する場合
- 為替手数料: 10,000ドル × 25銭 = 2,500円
マネックス証券なら買付時は無料なので、コストを抑えられます。
(3) 為替変動への対策
長期投資でリスクを分散:
- 短期的な為替変動は気にせず、10年以上の長期投資を前提にする
- ドルコスト平均法(定期的に一定額を投資)で為替リスクを平準化
為替ヘッジ付き商品は使わない:
- 米国株投資の場合、為替ヘッジ付き商品(投資信託)はコストが高い
- 長期的にはドル建て資産を持つこと自体がリスク分散になる
まとめ:日本から米国株投資を始める
日本在住者が米国株個別銘柄に投資するには、日本の証券会社を通じて購入するのが最も簡単です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券では、1株から米国株を購入でき、特定口座を利用すれば税務手続きも簡略化されます。
次のアクション:
- 証券会社の公式サイトで口座開設を申し込む(SBI、楽天、マネックスを比較)
- 特定口座(源泉徴収あり)を選択する
- NISA口座も同時に開設しておく
- 外国税額控除の仕組みを理解しておく
配当の二重課税や為替リスクといった注意点はありますが、長期的な資産形成の観点では、米国株は有力な投資先です。まずは少額から始めて、徐々に投資額を増やしていくことをおすすめします。
※2025年10月時点の情報です。最新の税制や手数料は、国税庁および各証券会社の公式サイトでご確認ください。投資判断は自己責任で行ってください。
