米国株個別銘柄を買うために必要な準備
「米国株を買ってみたいけど、どうやって始めればいいの?」
米国株投資に関心を持ち始めた方の多くが、具体的な購入手順で躓きます。「証券口座は日本株用と同じでいいの?」「ドル転って何?」「注文は24時間できるの?」といった疑問が次々に浮かんできます。
この記事では、米国株個別銘柄の購入方法を、証券口座の開設から実際の注文まで、初心者でも迷わず進められるよう詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株は1株から購入可能、最低2〜3万円から投資できる
- SBI証券・楽天証券・マネックス証券が主要3社、外国株式取引口座の開設が必要
- ドル転(円→ドル両替)は円貨決済で自動化できるが、為替スプレッドに注意
- 取引時間は日本時間23:30〜翌6:00(米国夏時間は22:30〜翌5:00)
- 初心者は指値注文がおすすめ、希望価格を指定して予想外の高値掴みを防ぐ
(1) 証券口座(外国株式取引口座)
米国株を購入するには、日本株用の証券口座とは別に「外国株式取引口座」の開設が必要です。主要な証券会社では、総合口座開設後に追加で申し込む形になります。
主要3社の比較:
| 証券会社 | 取扱銘柄数 | 最低手数料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 約5,400銘柄 | 0ドル(無料) | 取扱銘柄数が最多 |
| 楽天証券 | 約4,700銘柄 | 0ドル(無料) | 楽天ポイントで投資可能 |
| マネックス証券 | 約4,500銘柄 | 0ドル(無料) | 米国株情報・分析ツールが充実 |
※2025年10月時点の情報です。最新の手数料体系は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
(2) 米国株取引の基礎知識
日本株との主な違いを理解しておきましょう:
- 売買単位: 米国株は1株から購入可能(日本株は通常100株単位)
- 通貨: ドル建て(為替リスクあり)
- 配当: 多くの企業が四半期ごとに配当を支払う
- 税金: 配当は米国で10%源泉徴収、日本でさらに20.315%課税
(3) 取引時間(日本時間23:30〜翌6:00)
米国株式市場の取引時間は以下の通りです:
通常時間(米国冬時間、11月〜3月):
- 日本時間23:30〜翌6:00
サマータイム(米国夏時間、3月〜11月):
- 日本時間22:30〜翌5:00
日中でも予約注文(条件付き注文)は可能ですが、実際に約定するのは米国市場が開いている時間帯です。
証券会社の選び方と口座開設手順
(1) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の比較
SBI証券:
- 強み: 取扱銘柄数が国内最多(約5,400銘柄)
- 向いている人: 幅広い銘柄から選びたい投資家
- NISA対応: 成長投資枠で米国株購入可能
楽天証券:
- 強み: 楽天ポイントで米国株が買える(ポイント投資)
- 向いている人: 楽天経済圏を活用している人
- NISA対応: 成長投資枠で米国株購入可能
マネックス証券:
- 強み: 米国株の企業分析レポート、銘柄スクリーニングツールが充実
- 向いている人: 情報収集を重視する投資家
- NISA対応: 成長投資枠で米国株購入可能
(2) 口座開設の具体的なステップ
ステップ1: 総合口座の開設
- 証券会社の公式サイトから「口座開設」を選択
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)をアップロード
- 個人情報(氏名、住所、職業、投資経験など)を入力
- 口座タイプを選択
- 特定口座(源泉徴収あり): 税金が自動で天引き、確定申告不要(初心者におすすめ)
- 一般口座: 確定申告が必要
ステップ2: 審査と口座開設通知
- 通常1〜2週間で審査完了
- ログインID・パスワードが郵送またはメールで届く
(3) 外国株式取引口座の申込方法
総合口座開設後、証券会社のマイページから「外国株式取引口座」を追加申込します。
SBI証券の場合:
- マイページにログイン
- 「口座管理」→「お客さま情報 設定・変更」
- 「外国株式取引口座」を選択
- 約款に同意して申込
- 通常1〜3営業日で開設完了
楽天証券・マネックス証券も同様の流れです。外国株式取引口座は審査が早く、最短で翌営業日に取引開始できます。
入金とドル転(円→ドル両替)の方法
(1) 円貨決済と外貨決済の違い
米国株を購入する際、決済方法を選べます:
円貨決済:
- 証券会社が自動で円→ドルに両替して購入
- メリット: ドル転の手間が不要
- デメリット: 為替スプレッド(手数料)が高め(1ドルあたり25銭程度)
外貨決済:
- 事前にドルに両替(ドル転)してから購入
- メリット: 為替スプレッドが安い(SBI証券・楽天証券は1ドルあたり6銭)
- デメリット: 両替の手間がかかる
どちらを選ぶべき?
少額投資(10万円未満)なら円貨決済でOK。100万円以上の投資なら、外貨決済でコストを抑えましょう。
(2) ドル転のタイミングと為替スプレッド
ドル転の手順(SBI証券の例):
- マイページの「外貨入出金」を選択
- 「円→ドル」を選択
- 両替金額を入力(例: 30万円)
- 為替レートを確認して確定
為替スプレッドの比較:
| 証券会社 | 為替スプレッド(1ドルあたり) |
|---|---|
| SBI証券 | 6銭 |
| 楽天証券 | 6銭 |
| マネックス証券 | 無料(買付時) |
マネックス証券は買付時の為替手数料が無料のため、コスト重視の投資家に人気です。
(3) 入金方法(即時入金・振込)
即時入金(リアルタイム入金):
- 提携銀行からオンラインで即座に入金
- 手数料無料
- 24時間365日対応
銀行振込:
- 銀行のATM・窓口から証券会社の口座へ振込
- 振込手数料は自己負担(通常110〜440円)
- 反映まで1〜2営業日
初心者は「即時入金」がおすすめです。手数料無料で、すぐに取引を始められます。
銘柄検索と注文画面の使い方
(1) ティッカーシンボルでの検索方法
米国株は「ティッカーシンボル」(企業コード)で検索します。
主要銘柄のティッカーシンボル例:
- Apple → AAPL
- Tesla → TSLA
- Microsoft → MSFT
- Amazon → AMZN
- Google(Alphabet) → GOOGL
証券会社の検索画面で、ティッカーシンボルまたは企業名(英語・日本語)を入力すれば銘柄を表示できます。
(2) 株価情報の見方
銘柄ページには以下の情報が表示されます:
- 現在値: 最新の株価
- 始値・高値・安値・終値: 当日の値動き
- 出来高: 取引された株数
- 時価総額: 企業の市場価値
- PER(株価収益率): 割安・割高の目安(一般的に15〜20が標準)
- 配当利回り: 年間配当÷株価×100
初心者は「現在値」と「配当利回り」をまず確認しましょう。
(3) スマホアプリでの注文手順
SBI証券アプリ「SBI証券 米国株アプリ」の例:
- アプリを起動してログイン
- 検索バーにティッカーシンボル(例: AAPL)を入力
- 銘柄ページで「買付」ボタンをタップ
- 注文数量を入力(例: 1株)
- 注文種類を選択(成行 or 指値)
- 決済方法を選択(円貨決済 or 外貨決済)
- 内容を確認して「注文」をタップ
楽天証券の「iSPEED」、マネックス証券の「マネックストレーダー株式」も同様の流れです。
注文種類の選び方(成行・指値・逆指値)
(1) 成行注文:すぐに買いたいとき
成行注文とは:
- 価格を指定せず、その時点の市場価格で即座に約定させる注文
- メリット: 確実に約定する
- デメリット: 予想外の価格で約定する可能性
こんな時に使う:
- 株価が急騰中で、すぐに買いたいとき
- 大型株(Apple、Microsoftなど)で値動きが安定している銘柄
(2) 指値注文:希望価格で買いたいとき
指値注文とは:
- 「この価格以下なら買う」と価格を指定する注文
- メリット: 予想外の高値掴みを防げる
- デメリット: 株価が指定価格に達しないと約定しない
具体例:
- 現在のApple株価が180ドル
- 「175ドル以下なら買いたい」と指値注文
- 株価が175ドルに下がったら自動で約定
初心者におすすめ: 指値注文なら、希望価格をコントロールできるため、初心者でも安心です。
(3) 逆指値注文:損切り設定
逆指値注文とは:
- 「この価格を下回ったら売る」と損切りラインを設定する注文
- メリット: 損失を限定できる
- デメリット: 一時的な下落で売却してしまう可能性
具体例:
- 180ドルでApple株を購入
- 「170ドルを下回ったら売る」と逆指値注文
- 株価が170ドルに下がると自動で売却、損失を10ドルに限定
逆指値注文は、リスク管理に有効な手法です。ただし、初心者は無理に使わず、まずは成行・指値注文に慣れることが大切です。
まとめ:米国株個別銘柄の購入で注意すべきポイント
米国株個別銘柄の購入は、証券口座の開設さえ済ませれば、スマホアプリで簡単に始められます。しかし、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
購入前のチェックリスト:
- 外国株式取引口座を開設済みか(SBI・楽天・マネックスなど)
- 特定口座(源泉徴収あり)を選択したか(確定申告が不要になる)
- ドル転のコストを理解しているか(円貨決済 vs 外貨決済)
- 取引時間を把握しているか(日本時間23:30〜翌6:00)
- 指値注文で希望価格を指定できるか(高値掴みを防ぐ)
- 為替リスクを理解しているか(円高になると損失の可能性)
初心者が陥りやすい失敗:
- 成行注文で予想外の高値で買ってしまう → 指値注文を使う
- 円貨決済の為替スプレッドに気づかない → 大口投資は外貨決済
- 夜中の取引時間を忘れて注文できない → 予約注文を活用
米国株は1株から購入でき、Apple(約2万円)やMicrosoft(約4万円)など、少額からでも有名企業に投資できます。まずは少額で始めて、操作に慣れることが成功への第一歩です。
投資は元本保証がありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
