個別株主通知って何?株主優待や議決権行使に必要なの?
「個別株主通知」という言葉を証券会社のサイトで見かけたことはありませんか?日本株で株主優待や議決権行使をしたことがある投資家の方でも、その仕組みや必要性がよくわからないという声をよく聞きます。
特に「配当金を受け取るのに申請が必要なの?」「米国株でも同じ手続きが必要?」といった疑問は多いものです。
この記事では、個別株主通知の仕組み、申請が必要なケース、証券会社別の手続き方法について詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 個別株主通知は株券電子化後に実質株主が発行会社に株主であることを通知する制度
- 議決権行使や一部の株主優待で必要になる(配当受取には通常不要)
- 証券会社により手数料や手続きが異なる(無料〜数百円)
- 米国株には個別株主通知制度は適用されず、Proxy Votingの仕組みを利用
個別株主通知とは|株主としての権利行使に必要な手続き
個別株主通知は、証券会社を通じて株式を保有している実質株主が、発行会社に対して自分が株主であることを通知する制度です。
(1) 株券電子化後の株主管理制度
2009年1月に株券が電子化されて以降、実際の株式は証券保管振替機構(JASDEC)が管理しています。投資家は証券会社を通じて株式を保有しますが、発行会社の株主名簿には投資家個人の名前ではなく、証券保管振替機構の名義で記録されています。
(2) 実質株主と名義株主の違い
- 実質株主: 実際に株式を保有している投資家(あなた)
- 名義株主: 株主名簿に記載されている名義人(証券保管振替機構)
この仕組みにより、発行会社は個々の投資家の情報を直接把握できないため、株主としての権利を行使する際に「個別株主通知」が必要になる場合があります。
(3) 個別株主通知で発行会社に株主であることを通知
個別株主通知を申請すると、証券会社が証券保管振替機構を通じて発行会社に対し、あなたが特定の銘柄の株主であることを通知します。これにより、発行会社から直接、株主総会の招集通知や株主優待の案内が届くようになります。
個別株主通知が必要なケース|議決権行使・株主優待・その他
個別株主通知が必要になるのは、主に以下のケースです。
(1) 議決権行使|株主総会で投票する場合
株主総会で議決権を行使したい場合、個別株主通知を申請することで発行会社から招集通知が届き、議案への投票が可能になります。
ただし、多くの証券会社では議決権行使プラットフォームを提供しており、個別株主通知を申請しなくてもネット経由で議決権行使ができる場合があります。利用している証券会社のサービス内容を確認しましょう。
(2) 株主優待|一部企業で通知が必要
株主優待を受け取る場合、企業によっては個別株主通知が必要なケースがあります。特に、株主名簿に直接記載された株主にのみ優待を送付する企業では、通知申請をしないと優待が届かない場合があります。
ただし、多くの企業では証券会社経由で自動的に優待が送付される仕組みになっているため、すべての優待で申請が必要なわけではありません。
(3) 配当金受取には通常不要(自動処理される)
配当金の受取については、個別株主通知は不要です。配当金は自動的に証券口座に入金される仕組みになっているため、特別な手続きは必要ありません。
個別株主通知の申請方法|証券会社別の手順と手数料
個別株主通知の申請方法は証券会社によって異なります。ここでは主要証券会社の手続きを紹介します。
(1) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の申請手順
SBI証券の場合:
- ウェブサイトのマイページから「口座管理」→「お客様情報 設定・変更」→「個別株主通知」を選択
- 申請したい銘柄と権利確定日を入力
- 手数料: 無料(銘柄・回数による)
楽天証券の場合:
- ウェブサイトのマイメニューから「口座管理」→「各種設定」→「個別株主通知申請」を選択
- 銘柄コードと権利確定日を入力
- 手数料: 無料(銘柄・回数による)
マネックス証券の場合:
- ウェブサイトのマイページから「保有証券」→「個別株主通知申請」を選択
- 銘柄と権利確定日を指定
- 手数料: 証券会社により異なる(公式サイトで確認)
(2) 手数料(無料〜数百円)と所要日数
個別株主通知の手数料は証券会社によって異なります。SBI証券や楽天証券では一定回数まで無料の場合が多いですが、証券会社によっては1回あたり数百円かかることもあります。
申請から通知完了までは通常1〜2週間程度かかります。
(3) 申請期限(権利確定日の数日前まで)
個別株主通知の申請には期限があります。一般的に、権利確定日の数日前(証券会社により異なる)までに申請する必要があります。期限を過ぎると次の権利確定日まで待つことになるため、早めの手続きが推奨されます。
議決権行使と株主優待受取の具体的な流れ
個別株主通知を申請した後の流れを見ていきましょう。
(1) 個別株主通知申請→発行会社から招集通知
個別株主通知を申請すると、証券会社が証券保管振替機構を通じて発行会社に通知します。その後、発行会社から株主総会の招集通知や株主優待の案内が郵送で届きます。
(2) 議決権行使の方法(郵送・ネット投票)
招集通知が届いたら、同封されている議決権行使書に記入して郵送するか、インターネット経由で投票を行います。多くの企業ではネット投票に対応しているため、スマートフォンやPCから簡単に投票できます。
(3) 株主優待の受取(発行会社から直接送付)
株主優待は、権利確定日から数ヶ月後に発行会社から直接郵送されます。優待の内容や送付時期は企業によって異なるため、企業のIRページで確認しましょう。
米国株の場合|Proxy Voting(委任状投票)の仕組み
米国株を保有している場合、個別株主通知制度は適用されません。米国では異なる仕組みが採用されています。
(1) 米国株には個別株主通知制度は適用されない
米国株では、日本の個別株主通知のような制度はありません。株主としての権利行使は、Proxy Voting(委任状投票)という仕組みで行われます。
(2) 証券会社経由でProxy Votingの案内が届く
米国株を保有していると、株主総会の前に証券会社からProxy Voting(委任状投票)の案内がメールや郵送で届きます。この案内に従ってオンラインで議決権を行使できます。
日本の証券会社で米国株を保有している場合も、証券会社が提携している議決権行使プラットフォームから投票が可能です。
(3) 米国株には一般的に株主優待制度がない
日本企業と異なり、米国企業には株主優待制度がほとんどありません。米国では株主への還元は主に配当金や自社株買いで行われます。
まとめ|個別株主通知は必要なときだけ申請すればOK
個別株主通知は、株券電子化後に実質株主が発行会社に株主であることを通知する制度です。議決権行使や一部の株主優待を受け取る際に必要になりますが、配当金の受取には通常不要です。
次のアクション:
- 議決権行使や株主優待を希望する場合は、証券会社の個別株主通知申請ページを確認
- 申請期限(権利確定日の数日前)を確認して早めに手続き
- 米国株の場合はProxy Votingの案内をチェック
個別株主通知は必要なときだけ申請すれば問題ありません。配当金は自動的に受け取れるため、特別な手続きは不要です。株主としての権利を理解した上で、必要に応じて申請しましょう。
