個別株よりインデックス投資?徹底比較とコア・サテライト戦略

公開日: 2025/10/20

個別株とインデックス投資、どちらを選ぶべき?

米国株投資を始めたい日本人投資家の多くが「個別株とインデックス投資、どちらが良いの?」という疑問を抱えています。S&P500などのインデックス投資は安定的に市場平均を取れると言われていますが、個別株投資には市場を上回るリターンを狙える可能性もあります。

この記事では、個別株投資とインデックス投資のメリット・デメリットを徹底比較し、どちらが自分に合っているのか、あるいは両者を併用する戦略についても解説します。

この記事のポイント:

  • インデックス投資は低コスト・分散投資で市場平均を確実に取れる
  • 個別株投資は市場を上回る可能性があるが、銘柄選定スキルと時間が必要
  • 学術研究では大半の投資家が市場平均に勝てないことが示されている
  • コア(インデックス70〜90%)+サテライト(個別株10〜30%)の併用戦略が現実的
  • 投資スキルや時間的余裕に応じて自分に合った方法を選ぶことが重要

1. 個別株とインデックス投資の基本的な違い

個別株とインデックス投資は、投資哲学とリターンの源泉が異なります。

(1) インデックス投資(市場平均を取る)

インデックス投資は、S&P500やMSCI ACWIなどの市場指数に連動する投資信託やETFに投資する方法です。市場全体の成長をそのまま享受できるため、「市場平均リターン」を確実に取れる戦略と言われています。

投資信託協会によると、インデックス投資は低コストで分散投資ができるため、長期・積立・分散投資の基本に適しているとされています。金融庁のつみたてNISA制度でも、低コストのインデックスファンドが推奨対象に指定されています。

(2) 個別株投資(市場を上回る可能性を追求)

個別株投資は、特定の企業(AppleやMicrosoft、Teslaなど)の株式を選んで投資する方法です。優良企業を見極めて長期保有すれば、市場平均を大きく上回るリターンを得られる可能性があります。

ただし、銘柄選定には高度な財務分析スキルや業界知識が必要で、時間的コストもかかります。SBI証券のデータによると、個別株投資家の多くが市場平均に勝てない現実もあります。

(3) アクティブ運用 vs パッシブ運用

個別株投資は「アクティブ運用」(市場を上回る運用を目指す)、インデックス投資は「パッシブ運用」(市場平均を取る運用)に分類されます。学術研究によると、長期的にはパッシブ運用の方が低コストで安定したリターンを得やすいとされています。

2. インデックス投資のメリット・デメリット

インデックス投資の特徴を整理します。

(1) メリット:低コスト、分散投資、手間がかからない

低コスト: インデックスファンドの信託報酬は年0.05〜0.2%程度と非常に低く、長期投資で大きな差が生まれます。

分散投資: S&P500なら米国の主要500社に一括投資できるため、個別株のような銘柄リスクが低減されます。

手間がかからない: 月1回の積立設定だけで、銘柄選定や決算チェックは不要です。

(2) デメリット:市場平均しか取れない、暴落時も連動

市場平均しか取れない: インデックス投資は市場平均を取る戦略なので、市場を大きく上回るリターンは期待できません。

暴落時も連動: 2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックのように、市場全体が下落するときはインデックスファンドも同様に下落します。

(3) S&P500の長期リターン(年平均10%程度)

S&P Global社のデータによると、S&P500は過去30年間で年平均約10%のリターンを記録しています。これは配当再投資を含む数値で、長期投資の威力を示しています。

※2025年10月時点のデータ。過去のパフォーマンスは将来を保証するものではありません。

3. 個別株投資のメリット・デメリット

個別株投資の特徴を見ていきます。

(1) メリット:高リターンの可能性、企業分析力が身につく

高リターンの可能性: 優良企業を早期に見極めれば、市場平均を大きく上回るリターンを得られます。例えば、Amazon株を10年前に購入していれば資産が数倍になっている可能性があります。

企業分析力が身につく: 決算書を読み、業界動向を追うことで、投資スキルが向上します。これはキャリアやビジネスにも活かせる能力です。

(2) デメリット:銘柄選定の難しさ、時間・スキルが必要

銘柄選定の難しさ: どの企業が将来成長するかを見極めるには、財務諸表の分析、競合調査、業界トレンドの理解が必要です。

時間的コスト: 個別株投資には月数時間の時間投資が必要です。決算発表のチェック、業界ニュースのフォロー、ポートフォリオのリバランスなど、継続的な作業が発生します。

(3) 市場平均に勝てる投資家は少数(学術研究データ)

学術研究(JSTOR掲載論文など)によると、個別株投資家の大半が長期的に市場平均(S&P500など)に勝てないことが示されています。理由としては、銘柄選定の難しさ、感情的な売買判断、手数料負担などが挙げられます。

4. リターン・リスクの比較(データで見る)

実際のデータで両者を比較します。

(1) S&P500 vs 個別株の過去リターン

S&P500の過去30年リターンは年平均約10%です。一方、個別株投資家の平均リターンは、手数料や失敗を含めると市場平均を下回ることが多いとされています。

ただし、優良銘柄を長期保有した場合は、インデックスを大きく上回るケースもあります。例えば、AppleやMicrosoftを10年以上保有していれば、S&P500を上回るリターンを得られた可能性が高いです。

(2) リスク(ボラティリティ)の違い

個別株は銘柄ごとに値動きが激しく、ボラティリティ(価格変動リスク)が高い傾向があります。一方、S&P500は500社に分散されているため、個別株よりもボラティリティが低く、安定的です。

楽天証券のポートフォリオ構築ガイドによると、リスク許容度が低い投資家にはインデックス投資が推奨されています。

(3) バフェットの見解(個人投資家にはS&P500を推奨)

ウォーレン・バフェットは、株主への手紙の中で「個人投資家にはS&P500のインデックスファンドを推奨する」と述べています。理由は、低コストで分散投資ができ、長期的に安定したリターンを得られるためです。

バフェット自身はプロの投資家として個別株で市場を上回るリターンを達成していますが、一般投資家には市場平均を取る戦略が最も合理的と考えているようです。

5. 併用戦略(コア・サテライト)の考え方

現実的には、インデックス投資と個別株投資を併用する戦略が多くの投資家に適しています。

(1) コア70〜90%:インデックスファンド

ポートフォリオの大部分(70〜90%)を、S&P500やMSCI ACWIなどのインデックスファンドに配分します。これにより、安定的に市場平均リターンを確保できます。

(2) サテライト10〜30%:個別株

残り10〜30%を個別株に配分し、市場を上回るリターンを狙います。この部分は「攻め」のポートフォリオとして、成長株や高配当株を選定します。

(3) 併用のメリット(安定性とリターン追求の両立)

コア・サテライト戦略のメリットは、安定性(インデックス投資)とリターン追求(個別株投資)を両立できる点です。個別株の失敗リスクを抑えつつ、投資スキルを磨くことができます。

SBI証券のデータによると、この戦略は中級者以上の投資家に人気があります。

6. まとめ:自分に合った投資方法を選ぼう

個別株とインデックス投資は、それぞれに長所と短所があります。

初心者: インデックス投資から始める(低コスト・分散投資で市場平均を取る)
中級者以上: コア(インデックス)+サテライト(個別株)で併用戦略を実践
時間・スキルがある: 個別株の比率を高めて市場を上回るリターンを狙う

次のアクション:

  • つみたてNISAでインデックスファンドの積立を始める
  • 個別株に興味があれば、まず少額から1〜2銘柄を試す
  • 決算書の読み方、業界分析の方法を学ぶ(長期的な投資スキル向上)

投資は自己責任です。自分のリスク許容度、時間的余裕、投資スキルに応じて、最適な戦略を選びましょう。

よくある質問

Q1初心者はインデックス投資と個別株、どちらが良い?

A1初心者にはインデックス投資が推奨されます。S&P500などのインデックスファンドは低コストで分散投資ができ、市場平均リターン(年平均約10%)を確実に取れます。個別株は銘柄選定スキルと時間が必要なため、中級者以上向けです。

Q2個別株とインデックスを併用する場合の比率は?

A2インデックス70〜90%、個別株10〜30%が一般的です。インデックスを安定的なコア資産、個別株をリターン追求のサテライト資産として配分する「コア・サテライト戦略」が中級者以上の投資家に人気です。

Q3個別株で市場平均を上回るには何が必要?

A3高度な財務分析スキル、業界知識、長期保有の忍耐が必要です。学術研究では、個別株投資家の大半が市場平均に勝てないことが示されています。優良銘柄を見極める目と、感情に流されない投資判断が求められます。

Q4インデックス投資にかかる時間は?

A4月1回の積立設定程度で十分です。銘柄選定や決算チェックは不要で、ほぼ自動運用が可能です。一方、個別株投資は定期的な決算チェック、業界動向のフォローなど、月数時間の時間投資が必要になります。

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