投資信託と個別株、どっちを選べばいいか迷っていませんか?
投資を始めたばかりの方や、つみたてNISAで投資信託を運用している方の中には、「個別株も気になるけど、どう違うの?」「どちらが自分に合っているの?」と迷う方が多くいます。投資信託はプロが運用してくれる分散投資、個別株は自分で銘柄を選ぶ集中投資という違いがありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
この記事では、投資信託と個別株の違いを徹底比較し、あなたに合った選び方と併用戦略を具体的に解説します。
この記事のポイント:
- 投資信託は少額から分散投資でき、プロが運用するため初心者向き
- 個別株は手数料が低く自由度が高いが、銘柄選定スキルが必要
- 初心者は投資信託から始め、経験を積んだら個別株も検討可能
- コア資産(80%)は投資信託、サテライト資産(20%)は個別株という併用戦略が有効
- つみたて投資枠は投資信託のみ、成長投資枠は個別株・投資信託両方が対象
投資信託と個別株、どちらを選ぶべきか迷う理由
投資を始めたばかりの方が、投資信託と個別株のどちらを選ぶべきか迷うのは自然なことです。
(1) 初心者が抱える疑問
よくある疑問には以下のようなものがあります:
- 「投資信託は手数料(信託報酬)がかかるから、個別株の方がお得?」
- 「個別株は難しそうだけど、本当に初心者には無理?」
- 「両方やっても良いの?」
これらの疑問に答えるには、それぞれの特徴を正しく理解する必要があります。
(2) それぞれの特徴を理解する重要性
投資信託と個別株は、投資の目的や経験によって使い分けるべきものです。
- 投資信託: 分散投資・長期積立向き(初心者におすすめ)
- 個別株: 集中投資・短中期売買向き(経験者向け)
一方が優れているわけではなく、自分の投資スタイルや知識レベルに合わせて選ぶことが重要です。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託は、複数の投資家から資金を集めてプロが運用する金融商品です。
(1) 少額から分散投資ができる
投資信託の最大のメリットは、少額で多くの銘柄に分散投資できることです。
例えば、インデックスファンド(S&P500連動型)を1万円分購入すれば、米国の主要500社に分散投資したことになります。個別株で同じことをしようとすれば、数百万円以上の資金が必要です。
(2) プロが運用するため手間がかからない
投資信託は、ファンドマネージャー(運用のプロ)が銘柄選定・リバランスを行うため、投資家は銘柄を選ぶ手間がかかりません。
- アクティブファンド: ファンドマネージャーが銘柄を選定(信託報酬が高め)
- インデックスファンド: 指数(S&P500など)に自動連動(信託報酬が低め)
つみたてNISAでは、金融庁が選定した低コストで長期投資に適した投資信託のみが対象です。
(3) つみたてNISAで非課税投資が可能
新NISA制度(2024年開始)では、つみたて投資枠(年120万円)で投資信託のみが購入可能です。
個別株はつみたて投資枠では買えず、成長投資枠(年240万円)での購入となります。長期積立で非課税投資をしたいなら、投資信託が有利です。
(4) 信託報酬がかかり続ける
投資信託のデメリットは、保有している間ずっと信託報酬(年0.1%〜2%程度)がかかることです。
例えば、信託報酬0.5%のファンドを100万円保有すると、年間5,000円のコストがかかります。インデックスファンドは信託報酬が低い(0.1%前後)ため、長期投資ではインデックスファンドが推奨されます。
(5) 倒産時の資産保護(分別管理)
投資信託は、運用会社が倒産しても投資家の資産は保護される仕組み(分別管理)があります。
運用会社の財産と投資家の資産は別々に管理されているため、倒産リスクは低いと言えます。
個別株のメリット・デメリット
個別株は、特定企業の株式を直接購入する投資方法です。
(1) 手数料が低く保有コストがかからない
個別株は、購入時の手数料のみで、保有中のコストはかかりません。
例えば、楽天証券やSBI証券で米国株を購入する場合、約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)の手数料のみです。一度購入すれば、信託報酬のような継続コストは発生しません。
(2) 自分で銘柄を選べる自由度
個別株では、自分が応援したい企業や成長性のある企業を自由に選べます。
- AppleやMicrosoftなど特定の企業に投資したい
- 新興企業の成長性に賭けたい
- 高配当株で配当収入を得たい
こうした目的がある場合、投資信託よりも個別株が向いています。
(3) 配当金を直接受け取れる
個別株では、企業が支払う配当金を直接受け取れます。
米国株の高配当株(例: コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン)は年3〜5%程度の配当利回りがあり、定期的な現金収入が得られます。投資信託でも配当金は再投資されますが、直接配当を受け取りたい場合は個別株が有利です。
(4) 銘柄選定のスキルが必要
個別株のデメリットは、銘柄を選ぶための知識とスキルが必要なことです。
- 財務諸表の分析(売上、利益、負債など)
- 業界動向の理解
- 株価チャートの分析
こうした知識がないと、業績の悪い企業を選んでしまうリスクがあります。
(5) 分散投資が難しい(1社の業績に左右される)
個別株は、1社の業績悪化で株価が大きく下落するリスクがあります。
例えば、2022年にMeta(Facebook)の株価は一時70%以上下落しました。1社に集中投資していると、こうしたリスクを直接受けることになります。投資信託なら数百〜数千銘柄に分散されているため、1社の影響は限定的です。
投資信託vs個別株:徹底比較表
投資信託と個別株の違いを表で整理します。
(1) コスト比較(信託報酬vs取引手数料)
項目 | 投資信託 | 個別株 |
---|---|---|
購入時手数料 | 0円(ノーロード多い) | 約定代金の0.495%程度 |
保有中のコスト | 信託報酬(年0.1%〜2%) | なし |
売却時手数料 | 0円 | 約定代金の0.495%程度 |
(2) リスク・リターンの違い
項目 | 投資信託 | 個別株 |
---|---|---|
分散投資 | 数百〜数千銘柄に分散 | 1社に集中 |
リスク | 低〜中 | 中〜高 |
リターン | 市場平均に連動 | 銘柄次第で高リターンも |
(3) 必要な知識・スキル
項目 | 投資信託 | 個別株 |
---|---|---|
銘柄選定 | プロが代行(不要) | 自分で分析(必要) |
財務諸表の知識 | 不要 | 必要 |
投資時間 | 月1回の積立で完結 | 定期的な銘柄チェックが必要 |
(4) NISA制度での違い(つみたて投資枠vs成長投資枠)
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
年間投資上限 | 120万円 | 240万円 |
対象商品 | 投資信託のみ | 投資信託・個別株・ETF |
投資方法 | 積立のみ | 積立・一括購入 |
つみたて投資枠は投資信託のみですが、成長投資枠では個別株も購入可能です。
あなたに合った選び方と併用戦略
投資信託と個別株、どちらを選ぶべきかは、あなたの経験と目的によって決まります。
(1) 初心者は投資信託から始める
投資経験が1年未満の方は、投資信託から始めることをおすすめします。
- つみたてNISAで毎月3万円ずつインデックスファンドを積立
- S&P500連動型や全世界株式型を選ぶ
- 10〜20年の長期投資を前提に、放置する
これだけで、プロの運用と同等以上のリターンが期待できます。
(2) 投資経験者は個別株も検討可能
投資信託で1年以上運用し、投資に慣れてきたら、個別株も検討できます。
個別株に向いている人:
- 財務諸表を読める、または学びたい
- 特定の企業や業界に詳しい
- 短中期で売買したい
(3) コア資産は投資信託、サテライト資産は個別株
コア・サテライト戦略を使えば、両者のメリットを活かせます。
- コア資産(80%): 投資信託で分散投資し、安定したリターンを狙う
- サテライト資産(20%): 個別株で高成長銘柄を狙う
この戦略なら、コア資産で安定性を確保しつつ、サテライト資産で高リターンを狙えます。
(4) ハイブリッド戦略の具体例
例えば、月10万円を投資に回す場合:
- 8万円: つみたてNISAでインデックスファンド(S&P500)を積立
- 2万円: 成長投資枠で米国の高配当株や成長株を購入
これで、長期的な資産形成(投資信託)と、短中期のリターン追求(個別株)を両立できます。
まとめ:投資信託と個別株を使い分ける
投資信託と個別株は、どちらが優れているわけではなく、目的と経験に応じて使い分けるべきものです。
投資信託が向いている人:
- 投資初心者
- 銘柄選定の手間をかけたくない
- 長期的に安定したリターンを狙いたい
- つみたてNISAで非課税投資をしたい
個別株が向いている人:
- 投資経験がある
- 財務諸表を読める、または学びたい
- 特定の企業や業界に詳しい
- 高配当や高成長を狙いたい
次のアクション:
- 初心者は、つみたてNISAで投資信託の積立を始める
- 投資経験者は、コア・サテライト戦略で両者を併用する
- NISA口座を開設し、非課税投資の枠を最大限活用する
投資信託で基盤を固め、経験を積んだら個別株にも挑戦する。この順序で進めれば、リスクを抑えながら投資スキルを高められます。