投資信託 米国株だけリスク|分散投資の考え方【2025】

公開日: 2025/10/19

投資信託で米国株だけに投資するのはリスク?

投資信託で米国株だけに投資している方の中には、「これで本当に大丈夫なのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。S&P500インデックスファンドやeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は高い人気を誇りますが、「米国株だけで大丈夫?」「分散投資すべき?」という疑問は尽きません。

この記事では、米国株だけの投資信託がもつメリットとリスクを公平に整理し、分散投資戦略の選択肢を提示します。

この記事のポイント:

  • 米国株は過去の高リターン実績(S&P500長期平均年率約10%)がある
  • 地域集中リスク・通貨リスク・セクター偏りに注意が必要
  • 分散投資は全世界株式ファンドや地域分散で実現できる
  • リスク許容度・年齢に応じた戦略選択が重要
  • 定期的なリバランスでリスクを管理

米国株だけに投資するメリット

(1) 過去の高リターン実績(S&P500の長期平均年率約10%)

米国株式市場、特にS&P500は過去数十年にわたり年率約10%の成長を見せてきました。長期投資の観点では、世界の主要市場の中でも高いリターンを実現してきた実績があります。

(2) 世界トップ企業への投資(GAFAM等)

米国市場にはApple、Microsoft、Google、Amazon、Meta(旧Facebook)など、世界をリードするテクノロジー企業が集中しています。米国株ファンドに投資することで、こうしたグローバル企業の成長を取り込むことができます。

(3) ドル資産の保有

米国株投資はドル建て資産を保有することを意味します。円安局面では為替差益が期待でき、将来的に海外で生活する可能性がある方や、通貨分散を図りたい方にとってメリットがあります。

米国株だけに投資するリスク要因

(1) 地域集中リスク(米国経済・政治の影響)

米国株だけに投資すると、米国経済や政治の動向に大きく影響を受けます。例えば、米国の景気後退、金融政策の変更、政治的混乱などが起きた場合、ポートフォリオ全体が大きく下落する可能性があります。

(2) 通貨リスク(円高時の為替差損)

ドル建て資産は円高時に為替差損が発生します。例えば、1ドル150円で購入した資産が、円高で1ドル130円になった場合、株価が変わらなくても円換算の資産価値は約13%減少します。

(3) セクター偏り(テクノロジー比率高)

米国市場はテクノロジーセクターの比重が高く、S&P500の時価総額の約30%以上をテクノロジー株が占めています。テクノロジーセクターの調整局面では、ポートフォリオ全体が大きな影響を受けます。

(4) 過去実績が将来も続く保証はない

過去のパフォーマンスは将来の成果を保証するものではありません。米国市場が今後も他地域を上回る成長を続けるとは限りません。

分散投資の考え方と効果

(1) 分散投資とは?リスク軽減の仕組み

分散投資とは、複数の資産や地域に投資することでリスクを分散させる手法です。異なる地域の株式市場は必ずしも同じ動きをしないため、一方が下落しても他方が上昇することで、ポートフォリオ全体のリスクを軽減できます。

(2) 地域分散の重要性

米国以外にも、欧州、日本、新興国など、成長が期待できる市場は多数存在します。地域分散を図ることで、特定国のリスクを軽減し、より安定したリターンを目指せます。

(3) 全世界株式ファンドとの比較

全世界株式ファンド(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)等)は、先進国・新興国を含む世界中の株式に投資します。全世界株式の約60%は米国株で構成されているため、米国株ファンドとの違いは小さいですが、地域分散効果が期待できます。

ポートフォリオ例と自分に合った戦略

(1) 米国株集中型(米国株100%)

リスク許容度が高く、米国市場の成長を最大限に取り込みたい投資家向けです。長期的には高リターンが期待できますが、地域集中リスク・通貨リスクは高めです。

(2) 米国株中心型(米国株70%+全世界株式30%)

米国株の成長を取り込みつつ、地域分散でリスクを軽減したい投資家向けです。米国以外の地域への分散効果がありながら、米国市場の恩恵も受けられます。

(3) バランス型(米国株50%+先進国30%+新興国20%)

より広範囲な地域分散を図りたい投資家向けです。地域集中リスクは最も低く抑えられますが、米国市場が好調な局面では相対的にリターンが劣る可能性があります。

(4) 年齢・リスク許容度に応じた選択肢

若年層はリスク許容度が高いため、米国株比率を高めに設定しても問題ないと言われています。一方、高齢者や安定志向の投資家は、分散投資やバランス型ファンドでリスクを軽減することが推奨されます。

(5) リバランスの必要性

資産配分は時間とともに変化します。例えば、米国株が大きく上昇した場合、ポートフォリオに占める米国株の比率が高まります。年1回程度、目標配分に戻すリバランスを行うことで、リスクを適切に管理できます。

まとめ:リスク許容度に応じて選択を

米国株だけの投資信託は過去の高リターン実績がある一方で、地域集中リスク・通貨リスク・セクター偏りといったリスクも存在します。全世界株式ファンドや地域分散を組み合わせることで、リスクを軽減しながら資産形成を進めることができます。

次のアクション:

  • 自分のリスク許容度・年齢・投資目的を整理する
  • 米国株だけでなく全世界株式ファンドとの組み合わせを検討する
  • 年1回程度のリバランスでリスクを管理する

投資判断は自己責任で行い、ご自身に合った戦略を選択してください。

よくある質問

Q1米国株だけの投資信託で大丈夫?

A1過去実績は良好ですが、地域集中リスク・通貨リスクがあります。リスク許容度が高く長期投資なら選択肢の一つですが、不安な場合は全世界株式ファンドとの組み合わせを検討してください。

Q2米国株と全世界株式ファンドはどう違う?

A2米国株は米国市場のみ、全世界株式は先進国・新興国を含みます。全世界株式の約60%は米国株で構成されているため大きな違いは少ないですが、地域分散効果が期待できます。

Q3米国株だけのリスクを減らす方法は?

A3全世界株式ファンドや先進国株式ファンドと組み合わせて地域分散を図ることができます。例えば、米国株70%+全世界株式30%といった配分例があります。

Q4リバランスは必要?

A4年1回程度、目標配分に戻す作業が推奨されます。米国株が大きく上昇した場合は、一部利益確定して他地域に再配分することでリスクを管理できます。

Q5年齢によって米国株の比率を変えるべき?

A5若年層はリスク許容度が高いため米国株比率を高めに設定しても問題ないと言われています。高齢者はリスク軽減のため分散投資やバランス型ファンドが推奨されます。

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