新NISA米国株投資ガイド|税制メリットと始め方完全解説

公開日: 2025/10/19

新NISAで米国株投資を始めるべき理由

「新NISAで米国株に投資したいけれど、制度の仕組みが複雑そう...」そう感じている方は多いのではないでしょうか。2024年に始まった新NISA制度では、米国株投資に大きなメリットがあります。配当金や売却益が非課税になるため、長期的な資産形成において非常に有利です。

この記事では、新NISA制度の概要から、米国株投資の具体的な方法、税金や為替リスクまで、日本人投資家が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 新NISAでは年間360万円(つみたて枠120万円+成長投資枠240万円)まで投資可能
  • 配当金・売却益は日本では非課税だが、米国での10%源泉徴収は避けられない
  • 個別株・ETF・投資信託の3つの選択肢があり、初心者には投資信託が推奨される
  • 為替リスクはドルコスト平均法で分散可能
  • 生涯投資枠1,800万円、非課税保有期間は無期限

新NISAで米国株投資を始める意味

新NISA制度は、2024年に開始された恒久的な少額投資非課税制度です。旧NISA制度と比較して、年間投資枠が拡大し、非課税保有期間が無期限化されました。

米国株市場は世界最大の株式市場であり、Apple、Microsoft、Amazonなどの成長企業や、安定した配当を支払う優良企業が多数存在します。新NISA制度を活用すれば、これらの企業への投資で得られる配当金や売却益が非課税となるため、課税口座で投資するよりも効率的に資産を増やせる可能性があります。

ただし、新NISA制度には年間投資上限(360万円)や生涯投資枠(1,800万円)があるため、計画的な投資が必要です。また、米国株投資には為替リスクや配当金への米国での課税といった注意点もあります。

新NISA制度の概要と2つの投資枠

新NISA制度には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があります。

(1) つみたて投資枠(年120万円、投資信託のみ)

つみたて投資枠は、年間120万円まで投資できる枠です。金融庁が認定した長期・積立・分散投資に適した投資信託のみが対象で、米国株に投資する場合は、S&P500連動型やオールカントリー型の投資信託が選択肢になります。

投資方法は積立投資に限定されており、毎月一定額を自動的に購入する仕組みです。これにより、購入タイミングを分散できるため、為替変動リスクや株価変動リスクを軽減できます。

(2) 成長投資枠(年240万円、個別株・ETF・投資信託)

成長投資枠は、年間240万円まで投資できる枠です。個別株、ETF(上場投資信託)、投資信託が対象で、米国株の個別銘柄やVOO(S&P500連動ETF)、VTI(全米株式ETF)なども購入できます。

成長投資枠では一括購入も可能なため、まとまった資金を投資したい場合や、タイミングを見計らって投資したい場合に活用できます。ただし、生涯投資枠1,800万円のうち、成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。

(3) 生涯投資枠1,800万円と非課税保有期間無期限化

新NISA制度では、生涯投資枠として1,800万円まで投資できます。旧NISAでは5年または20年の非課税期間がありましたが、新NISAでは無期限になりました。

また、保有商品を売却すると、その買付金額分の投資枠が翌年に復活する仕組みです。例えば、100万円分の株式を売却した場合、翌年には100万円分の投資枠が再利用可能になります。

(出典: 金融庁「新しいNISA」マネックス証券「新NISA 2024」

米国株投資の選択肢(個別株・ETF・投資信託)

新NISAで米国株に投資する方法は3つあります。それぞれの特徴を理解して、自分の投資スタイルに合った方法を選びましょう。

(1) 個別株投資の特徴とリスク

個別株投資は、特定の米国企業の株式を直接購入する方法です。例えば、Apple、Microsoft、Teslaなどの銘柄を選んで投資します。

メリット:

  • 成長性の高い企業を選べば大きなリターンが期待できる
  • 配当金を直接受け取れる

デメリット・リスク:

  • 企業固有のリスクが大きい(業績悪化や不祥事で株価が急落する可能性)
  • 銘柄選定に知識と経験が必要
  • 分散投資が難しい(1銘柄あたりの投資金額が大きくなる)

個別株投資はリスクが高いため、投資経験のある中級者以上に適しています。

(2) 米国株ETFの活用法

ETF(上場投資信託)は、複数の銘柄をまとめて購入できる商品です。VOO(S&P500連動)やVTI(全米株式)などが代表的です。

メリット:

  • 1銘柄で数百〜数千の企業に分散投資できる
  • 個別株よりリスクが低い
  • 運用コスト(経費率)が低い

デメリット:

  • 個別株ほどの高リターンは期待しにくい
  • 為替手数料や取引手数料がかかる場合がある

ETFは、分散投資を重視したい投資家に適しています。

(3) 米国株投資信託の選び方

投資信託は、運用会社が複数の銘柄に分散投資する商品です。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や楽天・全米株式インデックス・ファンドなどが人気です。

メリット:

  • つみたて投資枠で購入可能(積立投資に適している)
  • 100円から投資できる(少額投資が可能)
  • 自動積立設定ができる

デメリット:

  • ETFと比較してわずかに信託報酬が高い場合がある
  • 為替ヘッジありの商品はコストが高い

投資信託は、初心者や長期積立投資を目指す方に最も適しています。

(出典: 楽天証券「新NISAで米国株投資」

配当金の税金と為替リスク

新NISAで米国株に投資する際、配当金の税金と為替リスクを理解しておく必要があります。

(1) 米国株配当の10%源泉徴収税

新NISA口座で米国株の配当金を受け取る場合、日本での課税(20.315%)は非課税です。しかし、米国では自動的に10%の源泉徴収税が差し引かれます。

例えば、100ドルの配当金が支払われる場合、米国で10ドルが課税され、手元に届くのは90ドルです。この10%の税金は取り戻すことができません。

(2) 外国税額控除が使えない理由

通常、課税口座(特定口座・一般口座)で米国株の配当を受け取った場合、外国税額控除を利用して米国で課税された分の一部を日本の所得税から差し引くことができます。

しかし、新NISA口座は非課税口座のため、外国税額控除の適用対象外です。したがって、米国での10%課税は避けられません。

それでも、日本での20.315%が非課税になるメリットは大きいです。課税口座の場合、米国10%+日本20.315%で合計約30%の税金がかかるところを、新NISA口座なら実質10%の負担で済みます。

(3) 為替変動リスクの影響

米国株投資では、為替変動リスクも考慮する必要があります。米国株はドル建てで取引されるため、円高になると評価額が減少し、円安になると評価額が増加します。

円高時の影響: 例えば、1ドル=150円の時に1万ドル(150万円)を投資し、1ドル=130円になった場合、ドル建ての資産価値は変わらなくても、円換算では130万円に減少します。

円安時の影響: 逆に、1ドル=150円から1ドル=170円になった場合、円換算では170万円に増加します。

為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期投資を前提とし、ドルコスト平均法(定期的に一定額を投資する方法)で購入タイミングを分散すれば、為替変動の影響を軽減できます。

(出典: Retire Japan「US dividend withholding tax for NISA accounts」ウォーカープラス「新NISAで米国株投資 手数料と税のこと」

※2025年10月時点の税制です。最新情報は国税庁のウェブサイトをご確認ください。

新NISAでの米国株投資戦略

新NISAで米国株に投資する際、自分の投資目的やリスク許容度に応じた戦略を選ぶことが重要です。

(1) 長期保有戦略(配当再投資)

長期保有戦略は、配当金を再投資しながら資産を複利で増やす方法です。S&P500連動型の投資信託やETFを購入し、10年以上の長期で保有します。

向いている人:

  • 長期的な資産形成を目指す人
  • 市場の短期的な変動を気にしたくない人

注意点:

  • 短期的には株価が下落する可能性がある
  • 配当再投資には手動での再購入が必要な場合もある

(2) 高配当株戦略(インカムゲイン重視)

高配当株戦略は、配当利回りの高い銘柄を選び、定期的な配当収入(インカムゲイン)を得る方法です。

向いている人:

  • 配当収入を生活費に充てたい人
  • 安定した収入源を確保したい人

注意点:

  • 高配当銘柄は成長性が低い場合がある
  • 配当利回りだけで銘柄を選ぶと、業績悪化で減配のリスクがある

(3) 成長株戦略(キャピタルゲイン重視)

成長株戦略は、将来的な株価上昇が期待できる成長企業に投資し、売却益(キャピタルゲイン)を狙う方法です。

向いている人:

  • リスクを取ってでも高リターンを目指したい人
  • 投資知識がある中級者以上

注意点:

  • 株価変動が大きく、損失リスクも高い
  • 銘柄選定に高度な分析が必要

まとめ:新NISAで米国株投資を始める前に

新NISAは、米国株投資を始める絶好の機会です。配当金や売却益が非課税になるメリットは大きく、長期的な資産形成に非常に有利です。

この記事のまとめ:

  • 新NISAでは年間360万円(つみたて枠120万円+成長投資枠240万円)まで投資可能
  • 配当金・売却益は日本では非課税だが、米国での10%源泉徴収は避けられない
  • 初心者には投資信託(S&P500連動型など)が推奨される
  • 為替リスクはドルコスト平均法で分散可能
  • 生涯投資枠1,800万円、非課税保有期間は無期限

次のアクション:

  • 新NISA口座を開設する(楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで可能)
  • 投資スタイルを決める(長期保有・高配当・成長株)
  • 少額から積立投資を始める(つみたて投資枠で毎月1万円など)

投資判断は自己責任で行ってください。新NISA制度を活用して、賢く米国株投資を始めましょう。

よくある質問

Q1新NISAで米国株はいくらまで買える?

A1新NISAでは年間360万円まで投資可能です。内訳は、つみたて投資枠が年間120万円(投資信託のみ)、成長投資枠が年間240万円(個別株・ETF・投資信託)です。また、生涯投資枠は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限です。

Q2新NISA口座で米国株の配当金は非課税?

A2新NISA口座では日本での税金(20.315%)は非課税ですが、米国で10%の源泉徴収税が自動的に差し引かれます。この米国での課税は取り戻すことができず、外国税額控除も適用されません。それでも、課税口座(合計約30%課税)と比較すると税負担は軽減されます。

Q3新NISAで米国株、個別株と投資信託どちらがおすすめ?

A3初心者には投資信託(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など)がおすすめです。投資信託は1銘柄で数百の企業に分散投資でき、リスクが低く、100円から購入可能です。個別株はリスクが高いため、投資経験のある中級者以上に適しています。

Q4新NISAでの為替リスクはどう対処する?

A4為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期投資を前提とし、ドルコスト平均法(毎月一定額を積立投資する方法)で購入タイミングを分散すれば、為替変動の影響を軽減できます。短期的な為替変動を気にしすぎず、長期的な視点で投資を続けることが重要です。

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