新NISAの成長投資枠で個別株を買いたいけど、何を選べばいい?
2024年から始まった新NISA制度では、成長投資枠(年間240万円まで)で個別株を非課税で購入できるようになりました。「高配当株を買って配当金を非課税で受け取りたい」「米国株の個別銘柄に投資したい」と考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新NISA成長投資枠での個別株投資のメリット・選び方・注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- 成長投資枠では日本株・米国株などの個別株を年間240万円まで非課税で購入可能
- 配当金・売却益ともに非課税(ただし米国株は米国源泉税10%は課税される)
- 長期保有に適した銘柄は、配当貴族(25年以上連続増配)や高配当株(利回り3%以上)
- 個別株はETFより価格変動リスクが大きいため、分散投資が重要
- 証券会社の銘柄検索機能でNISA対象かを必ず確認
1. 新NISA成長投資枠で個別株を買うメリット
(1) 配当金が非課税:インカムゲインの最大化
通常、株式の配当金には日本で20.315%の税金がかかります(米国株の場合は米国源泉税10%も追加)。しかし、新NISAの成長投資枠で購入した個別株の配当金は、日本の税金が非課税になります。
たとえば、配当利回り4%の高配当株を100万円分購入した場合、年間4万円の配当が非課税で受け取れます(通常なら約8,000円が税金で差し引かれる)。
※米国株の場合は、米国源泉税10%は非課税対象外です(後述)。
(2) 売却益も非課税:キャピタルゲインの恩恵
株式を売却して得た利益(キャピタルゲイン)も、通常は20.315%の税金がかかりますが、新NISA口座では非課税です。
例えば、100万円で購入した株が150万円に値上がりして売却した場合、利益50万円がまるまる手元に残ります(通常なら約10万円が税金)。
(3) 年間240万円まで投資可能
成長投資枠は年間240万円まで投資できます。つみたて投資枠(年間120万円)と合わせると、年間最大360万円を非課税で投資できる計算です。
長期保有を前提に、毎月20万円ずつ個別株を積み立てる戦略も可能です。
2. 成長投資枠で買える個別株の種類
(1) 日本株:東証上場銘柄全般
東京証券取引所に上場している株式のほとんどが成長投資枠の対象です。トヨタ自動車・ソニーグループ・三菱UFJフィナンシャル・グループなど、主要な日本企業の株を購入できます。
ただし、整理銘柄・監理銘柄(上場廃止の可能性がある銘柄)は対象外です。
(2) 米国株:S&P500構成銘柄など主要上場株
米国株も成長投資枠で購入可能です。アップル・マイクロソフト・アマゾン・アルファベット(Google)・ジョンソン・エンド・ジョンソンなど、主要な米国企業の株をNISA口座で買えます。
SBI証券や楽天証券などのネット証券では、米国株の銘柄検索画面で「NISA対象」のマークが表示されます。
(3) その他外国株:欧州・アジア株の一部
証券会社によっては、欧州株(フランス・ドイツなど)やアジア株(中国・シンガポールなど)の一部も成長投資枠で購入できます。ただし、取扱銘柄は証券会社ごとに異なるため、事前に確認してください。
(4) 買えない銘柄:整理・監理銘柄、一部の外国株
以下の銘柄は成長投資枠の対象外です:
- 整理銘柄・監理銘柄(上場廃止予定の銘柄)
- 一部の新興国株式
- OTC(店頭取引)銘柄
証券会社の銘柄ページで「NISA対象」か必ず確認しましょう。
3. 個別株の選び方:長期保有に適した銘柄の特徴
(1) 配当貴族銘柄:25年以上連続増配の安定性
「配当貴族(Dividend Aristocrats)」とは、25年以上連続で増配を続けている企業を指します。S&P500配当貴族指数には、コカ・コーラ・ジョンソン・エンド・ジョンソン・プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが含まれます。
これらの企業は、景気後退期でも配当を維持・増額する財務基盤があり、長期保有に適しています。
(2) 高配当株:配当利回り3%以上の銘柄選定基準
配当利回り3%以上の高配当株は、インカムゲイン重視の投資家に人気です。米国株では、通信大手AT&T(配当利回り5%前後)、エネルギー大手エクソンモービル(配当利回り3〜4%)などが代表例です。
ただし、配当利回りが高すぎる銘柄(7%以上など)は、業績悪化で株価が下落している可能性もあるため、財務状況を確認してください。
(3) 成長株:売上・利益の持続的成長が期待できる企業
配当は低めでも、売上・利益が高成長を続ける企業(成長株)も長期保有に適しています。アップル・マイクロソフト・エヌビディアなど、イノベーションを続ける企業は、株価上昇によるキャピタルゲインが期待できます。
ただし、成長株は価格変動が大きいため、リスク許容度を考慮して投資しましょう。
(4) セクター分散:特定業種への集中リスク回避
個別株投資では、特定のセクター(業種)に集中すると、そのセクターが不調になったときに大きな損失を被るリスクがあります。
例えば、情報技術・ヘルスケア・生活必需品・金融など、異なるセクターに分散投資することで、リスクを軽減できます。
4. 個別株 vs 投資信託・ETF:成長投資枠での使い分け
(1) 個別株のメリット:配当利回りの最大化、銘柄選択の自由度
個別株の最大のメリットは、自分で銘柄を選べることです。高配当株を選べば、ETFより高い配当利回りを狙えます。また、特定の企業の成長に賭けたい場合も、個別株投資が適しています。
(2) 個別株のデメリット:価格変動リスク、分散不足
個別株は、企業の業績悪化や不祥事で株価が急落するリスクがあります。例えば、1社に100万円を集中投資すると、その企業が倒産すれば資産がゼロになる可能性もあります。
ETFや投資信託は、数百〜数千の銘柄に分散投資するため、リスクが低減されます。
(3) ETFとの併用:個別株20%+ETF80%など
初心者には、「個別株20%+ETF80%」といった併用戦略が推奨されます。ETFで米国株式市場全体に分散投資しつつ、個別株で高配当銘柄や成長株を少額購入するイメージです。
(4) 投資信託との併用:つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
新NISAでは、つみたて投資枠(年間120万円)で投資信託を積み立て、成長投資枠(年間240万円)で個別株を購入する使い分けも可能です。
例えば、つみたて投資枠でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を毎月10万円積み立て、成長投資枠で米国高配当株を年間100万円分購入する戦略が考えられます。
5. 証券会社での買い方と注意点
(1) SBI証券・楽天証券での米国株NISA買付手順
SBI証券や楽天証券では、NISA口座を開設すれば、米国株を非課税で購入できます。
購入手順:
- NISA口座を開設(マイナンバー・本人確認書類が必要)
- 日本円を証券口座に入金
- 日本円を米ドルに両替(為替手数料が発生)
- 銘柄検索で「NISA対象」銘柄を探す
- 成長投資枠で購入
(2) 手数料:NISA口座でも為替手数料は発生
NISA口座では株式の購入手数料が無料の証券会社が多いですが、米国株を買う際の為替手数料(円→ドル)は発生します。
- SBI証券:1ドルあたり25銭(住信SBIネット銀行経由なら4銭)
- 楽天証券:1ドルあたり25銭
為替手数料を抑えるには、住信SBIネット銀行で外貨預金してからSBI証券に送金する方法があります。
(3) 配当課税:米国株は米国源泉税10%が課税される
NISA口座で米国株を購入した場合、日本の税金(20.315%)は非課税ですが、米国源泉税10%は課税されます。
たとえば、100ドルの配当が支払われる場合、米国で10ドルが源泉徴収され、手元に届くのは90ドルです(特定口座ならさらに日本で約18ドル課税されるが、NISA口座なら日本の課税はゼロ)。
完全非課税は日本株のみです。
(4) 購入タイミング:ドルコスト平均法で分散
一度に240万円分を購入すると、購入直後に暴落するリスクがあります。毎月20万円ずつ分散購入(ドルコスト平均法)することで、価格変動リスクを軽減できます。
6. まとめ:分散投資とリスク管理を忘れずに
新NISA成長投資枠での個別株投資は、配当金・売却益の非課税メリットが大きく、長期資産形成に有効です。ただし、個別株はETFより価格変動リスクが大きいため、分散投資を心がけましょう。
次のアクション:
- NISA口座を開設する(SBI証券・楽天証券など)
- 配当貴族銘柄や高配当株をリストアップ
- 個別株20%+ETF80%など、自分のリスク許容度に合わせた配分を決める
- 毎月定額で積立購入(ドルコスト平均法)を開始
投資判断は自己責任で、目論見書や企業の財務データを確認した上で行ってください。