NISA個別株の買い方|成長投資枠240万円活用法

公開日: 2025/10/20

NISA枠で個別株を買いたいけれど、仕組みがよくわからない...

新NISA制度で個別株投資を始めたいと考えているものの、「成長投資枠って何?」「つみたて投資枠との違いは?」「年間いくらまで買える?」といった疑問を持つ投資家は少なくありません。

この記事では、NISA成長投資枠の仕組みから、対象銘柄の条件、つみたて投資枠との併用戦略、注意点まで、NISA枠で個別株投資を始めるために必要な情報を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • NISA成長投資枠は年間240万円まで個別株・ETF・投資信託を購入可能
  • 非課税期間は無期限で、配当金・売却益が非課税になる(米国源泉税10%は除く)
  • つみたて投資枠(年間120万円)と併用すれば年間最大360万円まで投資可能
  • 生涯非課税限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
  • NISA口座の損失は損益通算できないため慎重な銘柄選定が重要

NISA枠で個別株を始める前に知っておきたい基本

(1) なぜNISA枠で個別株投資なのか

NISA(少額投資非課税制度)を活用すると、以下のメリットがあります:

  • 配当金が非課税:通常20.315%課税されるところが0%(米国株は米国での10%源泉徴収あり)
  • 売却益が非課税:株を売却した際の利益に税金がかからない
  • 非課税期間が無期限:旧NISAは5年・10年の期限があったが、新NISAは無期限

長期保有を前提とする個別株投資にとって、税制優遇は大きなメリットです。

(2) 成長投資枠の基本ルール

新NISA制度には、2つの投資枠があります:

  1. つみたて投資枠:年間120万円まで、投資信託のみ
  2. 成長投資枠:年間240万円まで、個別株・ETF・投資信託

個別株を買えるのは成長投資枠だけです。

NISA成長投資枠とは:年間240万円の個別株投資

(1) 年間投資上限240万円の管理

成長投資枠は、1年間(1月1日〜12月31日)に240万円まで投資できます。

例えば:

  • 1月に100万円投資 → 残り140万円
  • 7月に140万円投資 → 残り0円(年内はこれ以上買えない)

翌年になれば、再び240万円の枠が使えます。

(2) 非課税期間無期限のメリット

新NISA制度では、非課税期間が無期限になりました。これにより:

  • 長期保有が可能:10年、20年と保有しても非課税のまま
  • 配当再投資の複利効果:配当金を再投資することで複利効果が最大化
  • 売却タイミングを自由に選べる:税金を気にせず、最適なタイミングで売却可能

(3) 生涯非課税限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)

NISA制度には、生涯で投資できる上限額が設定されています:

  • 生涯非課税限度額:1,800万円
  • 成長投資枠の上限:1,200万円(つみたて投資枠のみなら1,800万円まで可能)

例えば:

  • 成長投資枠で1,200万円 + つみたて投資枠で600万円 = 合計1,800万円

一度使い切っても、売却すれば簿価残高方式で枠が復活します(詳細は後述)。

NISA枠で買える個別株の条件と対象銘柄

(1) 対象商品:個別株・ETF・投資信託

成長投資枠で購入できる対象商品:

  • 国内外の個別株:日本株、米国株、欧州株など
  • ETF(上場投資信託):国内ETF、米国ETF
  • 投資信託:一部除外銘柄あり(毎月分配型など)

※つみたて投資枠は投資信託のみです。

(2) 米国株・日本株の対象銘柄

米国株:

  • 主要取引所(NYSE、NASDAQ)に上場している銘柄が対象
  • Apple、Microsoft、Amazon、Tesla等のほぼすべての米国株が購入可能

日本株:

  • 東京証券取引所に上場している銘柄が対象
  • 整理銘柄・監理銘柄は除外

(3) 時価総額・流動性の基準

NISA枠で購入する個別株は、以下の基準で選ぶと安心です:

  • 時価総額1,000億円以上:倒産リスクが低い大型株
  • 1日の取引量100万株以上:売買しやすい
  • 財務健全性:自己資本比率30%以上、営業利益率10%以上(目安)

小型株は成長性が高い一方、流動性が低く価格変動が大きいため、NISA枠での購入には慎重な判断が必要です。

つみたて投資枠との併用戦略:年間最大360万円の活用

(1) つみたて投資枠(年間120万円・投資信託のみ)

つみたて投資枠は、年間120万円まで投資信託を購入できる枠です。

特徴:

  • 対象商品:金融庁が認定した投資信託のみ(約200本)
  • 積立方式:毎月定額購入(ドルコスト平均法)
  • 非課税期間:無期限

(2) 併用の具体例:積立120万円+個別株240万円

成長投資枠とつみたて投資枠は併用できます。

年間最大360万円の投資例:

投資対象 年間投資額 銘柄例
つみたて投資枠 投資信託 120万円 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
成長投資枠 個別株 240万円 Apple、Microsoft、Amazon等
合計 - 360万円 -

戦略例(コア・サテライト戦略):

  • コア(70%): つみたて投資枠で全世界株式インデックスファンドを積立
  • サテライト(30%): 成長投資枠で米国大型株に投資

(3) 簿価残高方式:売却で枠が復活する仕組み

新NISA制度では、簿価残高方式により、売却した分だけ枠が復活します。

例:

  • 2025年に成長投資枠で100万円(簿価)投資
  • 2030年に株価が200万円に上昇して売却
  • 2031年以降、100万円分の枠が復活(時価200万円ではなく、簿価100万円)

注意:

  • 売却した年内には枠は復活しない
  • 翌年以降に枠が復活する

NISA個別株投資の注意点:損益通算と米国税

(1) NISA口座の損失は損益通算できない

NISA口座で発生した損失は、他の口座(特定口座・一般口座)の利益と損益通算できません。

例:

  • NISA口座で50万円の損失
  • 特定口座で100万円の利益
  • → 特定口座の100万円に対して20.315%課税される(損益通算不可)

対策:

  • NISA枠では慎重に銘柄を選定する
  • リスクの高い小型株や新興国株は特定口座で運用するのも一案

(2) 米国株配当は米国で10%課税される

NISA口座で米国株を保有すると、配当金に対して:

  • 米国での源泉徴収:10%(避けられない)
  • 日本での課税:0%(NISA枠のメリット)

比較:

口座タイプ 米国課税 日本課税 合計
NISA口座 10% 0% 10%
特定口座 10% 20.315% 約28%(外国税額控除で調整可能)

NISA口座でも米国株の配当は完全非課税にはなりませんが、特定口座より有利です。

(3) 一度使った枠は売却しても年内は復活しない

年間240万円の枠を使い切った後、株を売却しても、その年内は枠が復活しません。

例:

  • 1月に240万円投資(枠を使い切る)
  • 7月に100万円分を売却
  • → 7〜12月は追加投資できない
  • 翌年以降、100万円分の枠が復活

まとめ:NISA枠を最大限活用する個別株投資法

NISA成長投資枠を活用すれば、個別株投資の税負担を大幅に軽減できます。

NISA枠を最大限活用するポイント:

  • 成長投資枠(年間240万円)とつみたて投資枠(年間120万円)を併用する
  • 長期保有を前提とする優良銘柄を選定する
  • 時価総額・流動性・財務健全性を重視する
  • 損益通算できないため、慎重に銘柄を選ぶ
  • 米国株の配当は米国で10%課税される点を理解する

まずは少額からNISA枠での個別株投資を始め、慣れてきたら投資額を増やしていきましょう。投資判断は必ず自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1NISA枠で何銘柄買える?

A1年間240万円以内なら何銘柄でも購入可能です。分散投資のため、5〜10銘柄程度に分けて購入するのも有効な戦略です。

Q2つみたて投資枠と成長投資枠は同時に使える?

A2使えます。つみたて投資枠(年間120万円・投資信託のみ)と成長投資枠(年間240万円・個別株可)を併用すれば、年間最大360万円まで投資可能です。

Q3NISA枠で買った株を売却したら枠は復活する?

A3簿価残高方式により売却した分だけ枠が復活しますが、翌年以降です。売却した年内には枠は復活しません。

Q4米国株の配当もNISAで非課税?

A4日本の税金(20.315%)は非課税ですが、米国源泉税10%は徴収されます。完全非課税ではありませんが、特定口座(約28%)より有利です。

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