NISA米国株おすすめの選び方|5つの基準で失敗回避

公開日: 2025/10/20

NISAで米国株を選ぶポイントは?失敗しない基準とスクリーニング方法

「NISA口座で米国株を買いたいけれど、どの銘柄を選べばいいかわからない」「配当株と成長株、どちらがおすすめ?」そんな悩みを持つ投資家は少なくありません。

NISA口座で米国株に投資すれば、配当金や売却益が非課税になります。ただし、米国株特有の税制(米国での源泉徴収10%は還付不可)を考慮した選び方が重要です。

この記事では、「〇〇株を買うべき」といった個別銘柄の推奨ではなく、NISA米国株の選定基準とスクリーニング方法を具体的に解説します。投資判断はご自身の責任で行ってください。

この記事のポイント:

  • NISA米国株は配当・売却益が非課税だが、米国源泉徴収10%は還付不可
  • 配当株より成長株の方が税制面で有利(配当課税を避けられる)
  • 選定基準は財務健全性・配当成長率・株価指標・セクター分散の5つ
  • 証券会社のスクリーニングツールやS&P500指数構成銘柄から選ぶ方法が有効
  • 初心者はETF(VOO・VTI等)1本でも十分な分散効果あり

NISAで米国株投資を始める理由

(1) 新NISA制度の概要(成長投資枠・つみたて投資枠)

2024年から始まった新NISA制度では、以下の2つの投資枠があります:

  • 成長投資枠: 年240万円まで、個別株・ETF等を購入可能
  • つみたて投資枠: 年120万円まで、長期・積立・分散投資に適した投資信託を購入可能

米国株の個別株やETF(VOO、VTI等)は成長投資枠で購入できます。両方の枠を併用すれば、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。

(2) 米国株がNISAに適している理由

米国株式市場は世界最大規模で、以下の特徴があります:

  • 長期的な成長実績: S&P500指数は過去30年で年平均約10%のリターン
  • 豊富な銘柄選択肢: Apple、Microsoft、Google等の世界的企業に投資可能
  • ETFの充実: 低コスト(経費率0.03〜0.10%)のETFが多数

NISA口座で長期投資すれば、配当・売却益が非課税になるため、米国株の成長を最大限享受できます。

NISA米国株の特徴と税制の注意点

(1) 配当・売却益が非課税

NISA口座で米国株を保有すれば、以下が非課税になります:

  • 配当金: 特定口座なら20.315%課税されるが、NISA口座なら非課税
  • 売却益: キャピタルゲインも非課税

長期保有で大きな利益が出た場合、税制優遇のメリットは非常に大きくなります。

(2) 米国源泉徴収10%は還付不可

ただし、米国株の配当金は米国で10%が自動的に源泉徴収されます。この10%はNISA口座でも還付されません。

例:配当金100ドルの場合

  • 米国で10ドル源泉徴収 → 手取り90ドル
  • 日本の税金(20.315%)はNISA口座なら非課税

特定口座なら外国税額控除で米国10%を一部還付できますが、NISA口座ではそれも不可です。

(3) 外国税額控除が使えない

NISA口座では外国税額控除を利用できません。そのため、高配当株よりも成長株(配当をあまり出さず株価上昇を狙う銘柄)の方が税制面で有利と言われています。

(4) 年240万円の投資上限

成長投資枠は年間240万円が上限です。使い切ると翌年まで追加購入できません。計画的に銘柄を選び、分散投資しましょう。

銘柄選定の5つの基準

NISA米国株を選ぶ際は、以下の5つの基準を押さえましょう。

(1) 配当株 vs 成長株(米国源泉徴収を考慮)

米国源泉徴収10%が還付不可なため、以下の考え方が一般的です:

  • 成長株重視: 配当利回りが低く株価上昇を狙う銘柄(Amazon、Tesla、Google等)
  • 配当株も一部組み入れ: 安定収入を得たい場合は高配当株も選択肢(ただし10%課税を許容)

リスク許容度と投資目的に応じて、両方をバランスよく組み合わせるのが推奨されます。

(2) 企業の財務健全性(売上・利益・キャッシュフロー)

財務が安定している企業を選びましょう。以下をチェックします:

  • 売上成長率: 年率5〜10%以上の成長が継続しているか
  • 営業利益率: 10%以上が目安(業界により異なる)
  • フリーキャッシュフロー: 安定的にプラスか

決算資料(10-K、10-Q)や証券会社の銘柄スクリーナーで確認できます。

(3) 配当利回りと配当成長率

配当株を選ぶ場合は、以下を確認します:

  • 配当利回り: 2〜4%程度が一般的(高すぎる場合は減配リスクに注意)
  • 配当成長率: 過去5〜10年で安定的に増配しているか

配当貴族(25年以上連続増配)銘柄は安定性が高いと言われています。

(4) 株価指標(PER・PBR)の妥当性

割高すぎる銘柄は避け、適正水準の銘柄を選びましょう:

  • PER(株価収益率): 同業他社や市場平均と比較
  • PBR(株価純資産倍率): 1倍以下なら割安とされる場合も

ただし、成長株は高PERでも将来性が評価されている場合があります。

(5) セクター分散とポートフォリオバランス

1つのセクター(業種)に集中するとリスクが高まります。以下のようにセクター分散を意識しましょう:

  • 情報技術: Apple、Microsoft等
  • ヘルスケア: Johnson & Johnson等
  • 金融: Berkshire Hathaway等
  • 生活必需品: Procter & Gamble等

バランスよく組み合わせることで、特定セクターの不振時のリスクを軽減できます。

スクリーニング方法と具体的な手順

(1) 証券会社のスクリーニングツールの使い方

主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)には、米国株スクリーニングツールがあります。

スクリーニング手順例:

  1. 条件設定: 時価総額100億ドル以上、配当利回り2%以上等
  2. セクター選択: 分散したいセクターを指定
  3. 財務指標: PER・PBR・ROE等で絞り込み
  4. 結果確認: 候補銘柄をリストアップ

スクリーニング結果をもとに、さらに個別の決算資料や業界動向を調べます。

(2) S&P500指数構成銘柄から選ぶ方法

S&P500指数(米国大型株500銘柄で構成)から選ぶのも有効です。

  • メリット: 時価総額が大きく流動性が高い銘柄が中心
  • 構成銘柄リスト: S&P Global公式サイトや証券会社で確認可能

初心者は上位10〜20銘柄(Apple、Microsoft、Amazon、Google等)から選ぶと安心です。

(3) ETFと個別株の使い分け

銘柄選定に自信がない場合は、ETFがおすすめです:

ETF 特徴 経費率
VOO S&P500連動 0.03%
VTI 全米株式 0.03%
VYM 高配当株 0.06%

ETF1本でも数百〜数千銘柄に分散投資できます。個別株はリスクを理解した上で、ETFと組み合わせるのが推奨されます。

(4) 時価総額・流動性の確認

時価総額が小さい銘柄や出来高が少ない銘柄は、価格変動が大きくリスクが高い場合があります。

  • 時価総額: 100億ドル以上が目安
  • 出来高: 1日平均100万株以上が理想

流動性が高い銘柄は、売買時の価格ズレ(スリッページ)が少なくなります。

リスク管理と分散投資のポイント

(1) 個別株リスクの理解

個別株には企業固有のリスクがあります:

  • 業績悪化: 決算ミスで株価急落
  • 経営問題: 不正会計、訴訟等
  • 競争激化: 新規参入や技術革新で優位性喪失

10〜20銘柄程度に分散すれば、1銘柄の下落リスクを軽減できます。

(2) 為替リスクへの対応

米国株は外貨建て資産のため、円高時に円換算の評価額が減少します。

  • 対策: 長期投資(10年以上)で為替変動を平準化
  • ドルコスト平均法: 毎月一定額を積立購入

為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期では株価成長が為替変動を上回る傾向があります。

(3) セクター分散の重要性

前述の通り、複数セクターに分散投資しましょう。情報技術セクターだけに集中すると、テクノロジー株全体の下落時に大きな損失を被る可能性があります。

(4) ポートフォリオの定期見直し

年1〜2回、ポートフォリオを見直しましょう:

  • 決算確認: 業績が悪化していないか
  • セクター比率: 偏りが出ていないか
  • 投資方針: リスク許容度に合っているか

必要に応じて銘柄を入れ替えたり、リバランス(比率調整)を行います。

まとめ:NISA米国株の選び方

NISA口座で米国株に投資すれば、配当・売却益が非課税になります。ただし、米国源泉徴収10%は還付不可なため、成長株重視の戦略が税制面で有利です。

次のアクション:

  • 証券会社のスクリーニングツールで候補銘柄をリストアップ
  • S&P500指数構成銘柄から財務健全性の高い企業を選ぶ
  • 初心者はETF(VOO・VTI)1本から始めて、慣れたら個別株を追加
  • セクター分散と定期見直しでリスク管理

特定銘柄の推奨ではなく、選定基準とスクリーニング方法を理解した上で、ご自身の投資目的とリスク許容度に合った銘柄を選びましょう。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1NISA米国株は配当株と成長株どちらがおすすめ?

A1米国源泉徴収10%が還付不可なため、配当利回りより株価成長を狙う成長株の方が税制面で有利です。ただしリスク許容度に応じて両方を組み合わせるのが推奨されます。配当株は安定収入を得たい場合の選択肢です。

Q2NISA米国株は何銘柄持つべき?

A2個別株のみなら10〜20銘柄程度で分散投資が推奨されます。初心者はS&P500 ETF(VOO・IVV等)1本でも十分な分散効果があります。年240万円の成長投資枠を考慮して計画的に購入しましょう。

Q3NISAで買える米国株ETFはどれ?

A3S&P500連動ETF(VOO・IVV・SPY)、高配当ETF(VYM・SPYD)、全米株式ETF(VTI)等が人気です。経費率0.03〜0.10%程度の低コストETFが推奨されます。

Q4NISA米国株の売却タイミングは?

A4NISA口座は非課税なので、利益確定のタイミングを税金面で気にする必要はありません。ただし成長投資枠の再利用(売却翌年に枠復活)を考慮して計画的に売却しましょう。

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