企業型DCやiDeCoで外国株式を運用したいけれど、どのファンドを選べばいい?
企業型確定拠出年金(DC)やiDeCoで資産運用を始めようとすると、複数の外国株式インデックスファンドが選択肢に並んでいます。その中でも「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」は、DC専用ファンドとして多くの企業や金融機関で採用されています。
しかし、「MSCIコクサイって何?」「信託報酬は高くないの?」「S&P500や全世界株式インデックスとどう違うの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIの特徴、MSCIコクサイ指数の内容、手数料体系、他のDC専用ファンドとの比較を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 野村DC外国株式インデックスファンドはMSCIコクサイ指数(日本を除く先進国株式)に連動するDC専用ファンド
- 信託報酬は年率0.154%程度で、DC専用ファンドとしては標準的
- MSCIコクサイは米国約70%、欧州約25%で構成される先進国株式インデックス
- 企業型DC・iDeCoの両方で購入可能だが、金融機関によって取扱いが異なる
野村DC外国株式インデックスファンドMSCIコクサイとは
(1) DC専用ファンドの概要
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIは、企業型確定拠出年金(DC)および個人型確定拠出年金(iDeCo)専用の投資信託です。
ファンドの特徴:
- ベンチマーク: MSCIコクサイ指数(日本を除く先進国株式)
- 運用方針: パッシブ運用(インデックスに連動することを目指す)
- 為替ヘッジ: なし(為替変動の影響を受ける)
- 購入可能口座: 企業型DC、iDeCo(金融機関により異なる)
(2) 投資方針と運用会社
運用会社は野村アセットマネジメントです。MSCIコクサイ指数と同等の投資成果を目指すパッシブ運用を行っており、ファンドマネージャーの独自判断で銘柄を選ぶアクティブ運用ではありません。
このため、信託報酬が比較的低く抑えられており、長期的な資産形成に適した商品と言われています。
MSCIコクサイ指数の特徴
(1) 日本を除く先進国22カ国の株式指数
MSCIコクサイ指数(MSCI Kokusai Index)は、日本を除く先進国22カ国の大型・中型株で構成される株価指数です。
対象地域:
- 北米:米国、カナダ
- 欧州:イギリス、ドイツ、フランス、スイス等
- アジア太平洋:オーストラリア、香港、シンガポール等
含まれない地域:
- 日本(日本株は除外されている)
- 新興国(中国、インド、ブラジル等)
(2) 国別構成(米国約70%、欧州約25%等)
MSCIコクサイ指数の国別構成は以下の通りです(2025年1月時点の目安)。
国・地域 | 構成比率 |
---|---|
米国 | 約70% |
イギリス | 約5% |
カナダ | 約4% |
フランス | 約4% |
スイス | 約3% |
ドイツ | 約3% |
その他 | 約11% |
米国株が約7割を占めるため、実質的には米国株式市場の動向に大きく左右されます。
(3) 時価総額加重平均方式
MSCIコクサイ指数は「時価総額加重平均方式」で算出されます。これは、企業の時価総額(株価×発行済株式数)が大きいほど、指数への影響力が大きくなる方式です。
例:
- 時価総額3兆ドルの企業A → 指数への影響大
- 時価総額1,000億ドルの企業B → 指数への影響小
このため、AppleやMicrosoft、Amazon等の米国大型株が指数の動きを大きく左右します。
(4) 上位組入銘柄
MSCIコクサイ指数の上位組入銘柄(2025年1月時点の例)は以下の通りです。
- Apple(米国)
- Microsoft(米国)
- Amazon(米国)
- NVIDIA(米国)
- Alphabet(米国)
上位5銘柄はすべて米国企業で、テクノロジーセクターが中心です。
野村DC外国株式インデックスファンドの手数料体系
(1) 信託報酬(年率0.154%程度)
野村DC外国株式インデックスファンドの信託報酬は年率0.154%程度です(企業のDCプランによって若干異なる場合があります)。
信託報酬の比較:
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(一般販売): 約0.05%
- 三菱UFJ DC外国株式インデックス(DC専用): 約0.13%
- ニッセイDC外国株式インデックス(DC専用): 約0.10%
eMAXIS Slimなど一般販売のインデックスファンドと比べると割高に見えますが、DC専用ファンドとしては標準的な水準です。
(2) その他の費用
信託報酬以外に、以下の費用がかかる場合があります。
- 売買委託手数料: ファンドが株式を売買する際の手数料(信託報酬に含まれる場合が多い)
- 保管費用: 海外株式の保管にかかる費用
これらの費用は「その他費用」として年次報告書に記載されますが、一般的には年率0.01〜0.05%程度です。
(3) トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、ファンドの運用成績とベンチマーク指数(MSCIコクサイ)のリターン差のことです。
理想:
- トラッキングエラーが小さい(年率0.1〜0.3%程度)
- ベンチマークに忠実に連動している
野村DC外国株式インデックスファンドのトラッキングエラーは、月次レポートや運用報告書で確認できます。
運用実績と組入銘柄
(1) 過去の運用実績(1年・3年・5年リターン)
野村DC外国株式インデックスファンドの過去の運用実績は以下の通りです(2024年12月末時点の例)。
期間 | 年率リターン |
---|---|
1年 | +20.5%(例) |
3年 | +10.2%(例) |
5年 | +12.8%(例) |
※上記は例示です。最新の運用実績は野村アセットマネジメントの公式サイトでご確認ください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(2) 最新の組入上位銘柄
野村DC外国株式インデックスファンドの組入上位銘柄は、MSCIコクサイ指数と同様です(パッシブ運用のため)。
組入上位銘柄(2025年1月時点の例):
- Apple(米国)
- Microsoft(米国)
- Amazon(米国)
- NVIDIA(米国)
- Alphabet(米国)
(3) 国別・セクター別配分
国別配分:
- 米国: 約70%
- イギリス: 約5%
- カナダ: 約4%
- フランス: 約4%
- その他: 約17%
セクター別配分:
- テクノロジー: 約25%
- ヘルスケア: 約12%
- 金融: 約12%
- 消費財: 約10%
- その他: 約41%
他のDC専用ファンドとの比較
(1) 三菱UFJ DC外国株式インデックス
三菱UFJ DC外国株式インデックスファンドもMSCIコクサイ指数に連動するDC専用ファンドです。
特徴:
- 信託報酬: 約0.13%(野村より若干低い)
- 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント
(2) ニッセイDC外国株式インデックス
ニッセイDC外国株式インデックスファンドもMSCIコクサイ指数に連動します。
特徴:
- 信託報酬: 約0.10%(野村より低い)
- 運用会社: ニッセイアセットマネジメント
(3) 信託報酬・運用実績の比較
ファンド名 | 信託報酬 | 5年リターン(例) |
---|---|---|
野村DC外国株式インデックス | 0.154% | +12.8% |
三菱UFJ DC外国株式インデックス | 0.13% | +12.9% |
ニッセイDC外国株式インデックス | 0.10% | +13.0% |
※リターンは例示です。パッシブ運用なので、信託報酬が低いファンドほど長期的にリターンが高くなる傾向があります。
(4) 全世界株式インデックスとの違い
全世界株式インデックスファンド(MSCI ACWIやFTSE Global All Cap等)は、MSCIコクサイと異なり、新興国株式も含みます。
比較:
項目 | MSCIコクサイ | 全世界株式 |
---|---|---|
対象地域 | 先進国のみ(日本除く) | 先進国+新興国 |
新興国比率 | 0% | 約10% |
リスク | 中程度 | やや高い |
分散効果 | 先進国内で分散 | 地域分散が広い |
新興国リスクを避けたい場合はMSCIコクサイ、地域分散を重視する場合は全世界株式を選ぶ考え方があります。
まとめ:企業型DC・iDeCoでの活用
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIは、日本を除く先進国株式に分散投資できるDC専用ファンドです。信託報酬は年率0.154%程度で、DC専用ファンドとしては標準的な水準です。
MSCIコクサイ指数は米国株が約70%を占めるため、実質的には米国株式市場の動向に左右されます。S&P500と比べると欧州・太平洋地域も含まれるため、地域分散が効きますが、新興国は含まれません。
次のアクション:
- 自社DCやiDeCoの運用商品ラインナップを確認する
- 信託報酬が低い同等ファンド(三菱UFJ DC、ニッセイDC等)があるか比較する
- S&P500連動ファンドや全世界株式インデックスと比較検討する
- 長期的な資産配分を決める(外国株式、国内株式、債券のバランス)
企業型DCやiDeCoは60歳まで引き出せない長期運用が前提です。信託報酬が低いファンドを選び、長期的な視点で資産形成を進めましょう。
※2025年10月時点の情報です。最新の信託報酬や運用実績は、野村アセットマネジメントの公式サイトおよびDC運用管理機関のサイトでご確認ください。投資判断は自己責任で行ってください。