つみたてNISAで外国株投資を始めたいけれど、どの投資信託を選べばいいか迷っていませんか?
野村つみたて外国株投信は、野村アセットマネジメントが運用する全世界株式型のインデックスファンドです。つみたてNISA対象商品として人気がありますが、信託報酬がeMAXIS Slim全世界株式と比較してやや高めという声もあります。
この記事では、野村つみたて外国株投信の特徴、運用実績、他社商品との比較を通じて、あなたの投資スタイルに合った選択肢かどうかを解説します。
この記事のポイント:
- 野村つみたて外国株投信は新NISAのつみたて投資枠(年120万円)で購入可能
- MSCI ACWI ex Japan指数に連動し、日本を除く全世界の株式に分散投資
- 信託報酬は年0.198%程度で、eMAXIS Slim全世界株式(0.05775%)より高め
- 長期積立では信託報酬の差が累積リターンに影響する
- 野村AMの運用実績と信頼性を重視するなら選択肢の一つ
1. 野村つみたて外国株投信とは
野村つみたて外国株投信は、日本を除く全世界の株式市場に投資するインデックスファンドです。MSCI ACWI ex Japan指数をベンチマークとし、先進国約90%、新興国約10%の比率で分散投資を行います。
金融庁が定める「つみたてNISA対象商品」の基準を満たしており、購入時手数料無料(ノーロード)、信託報酬が低水準、分配金を出さずに再投資する設計となっています。
野村アセットマネジメントは日本最大級の運用会社であり、長期的な運用実績と信頼性が評価されています。
2. ファンドの基本情報と運用方針
(1) ベンチマーク(MSCI ACWI ex Japan指数)
MSCI ACWI ex Japan指数は、日本を除く全世界の大型・中型株約2,400銘柄で構成される株価指数です。地域別の構成比率は以下の通りです(2025年1月時点):
| 地域 | 構成比率 |
|---|---|
| 北米(米国・カナダ) | 約60% |
| 欧州 | 約20% |
| アジア・太平洋(日本除く) | 約10% |
| 新興国 | 約10% |
米国株式の比率が高いため、S&P 500指数との連動性も高い傾向があります。
(2) つみたてNISA対象商品の位置づけ
野村つみたて外国株投信は、金融庁が定める「つみたてNISA対象商品」の要件を満たしています:
- 購入時手数料: 無料(ノーロード)
- 信託報酬: 年0.198%程度(税込、2025年時点)
- 分配頻度: 分配金を出さず、自動再投資
- 運用方法: インデックス運用(市場平均に連動)
新NISAのつみたて投資枠(年間120万円)で購入でき、運用益は非課税となります。
(3) 為替ヘッジなし・分配金再投資型
野村つみたて外国株投信は為替ヘッジを行わないため、円高時には基準価額が下落し、円安時には上昇する傾向があります。為替ヘッジなしの方が信託報酬が低く、長期的には為替変動が分散されると言われています。
また、分配金を出さずに自動再投資する設計のため、複利効果で資産が増加しやすくなっています。
3. 手数料と運用実績の分析
(1) 信託報酬年0.198%程度の妥当性
野村つみたて外国株投信の信託報酬は年0.198%程度(税込)です。つみたてNISA対象商品の中では標準的な水準ですが、以下の超低コストファンドと比較すると高めです:
| ファンド名 | 信託報酬(年率・税込) |
|---|---|
| eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775% |
| 楽天・全世界株式インデックスファンド | 0.192% |
| 野村つみたて外国株投信 | 0.198% |
長期積立での影響試算
毎月3万円を20年間積立投資した場合、信託報酬の差が累積リターンに与える影響をシミュレーションします(年率リターン5%と仮定):
- eMAXIS Slim全世界株式(0.05775%): 約1,227万円
- 野村つみたて外国株投信(0.198%): 約1,215万円
- 差額: 約12万円
20年間で約12万円の差が生じる計算ですが、野村AMの運用実績や信頼性を重視する場合、この差を許容できるかどうかは投資家の判断次第です。
(2) 基準価額推移とリターン実績
野村つみたて外国株投信の設定来(2017年10月)のリターン実績は、MSCI ACWI ex Japan指数にほぼ連動しています。2020年のコロナショック時には一時的に基準価額が下落しましたが、その後の回復も指数に沿った動きを見せています。
※最新の基準価額や運用報告書は、野村アセットマネジメントの公式サイトでご確認ください。
(3) トラッキングエラーの評価
トラッキングエラー(ベンチマークとの乖離)は年率0.1%以下と低水準で推移しており、インデックスファンドとして優れた運用精度を示しています。
4. 他のつみたてNISA対象ファンドとの比較
(1) eMAXIS Slim全世界株式との違い
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する超低コストファンドです。
| 比較項目 | 野村つみたて外国株投信 | eMAXIS Slim全世界株式 |
|---|---|---|
| ベンチマーク | MSCI ACWI ex Japan | MSCI ACWI |
| 信託報酬 | 0.198% | 0.05775% |
| 純資産額 | 約200億円 | 約3兆円 |
| 運用開始 | 2017年10月 | 2018年10月 |
主な違い:
- ベンチマーク: eMAXIS Slimは日本株も含む(全世界株式)、野村は日本を除く
- 信託報酬: eMAXIS Slimの方が圧倒的に低い
- 純資産額: eMAXIS Slimの方が大規模で流動性が高い
eMAXIS Slimは信託報酬の低さと純資産額の大きさで優位ですが、野村は運用会社の信頼性や歴史で評価されています。
(2) 楽天・全世界株式インデックスファンドとの比較
楽天・全世界株式インデックスファンドは、楽天投信投資顧問が運用するファンドです。
| 比較項目 | 野村つみたて外国株投信 | 楽天・全世界株式 |
|---|---|---|
| 信託報酬 | 0.198% | 0.192% |
| ベンチマーク | MSCI ACWI ex Japan | FTSEグローバル・オールキャップ |
| 運用開始 | 2017年10月 | 2017年9月 |
信託報酬はほぼ同水準ですが、ベンチマークが異なります。楽天は小型株も含むオールキャップ型で、野村は大型・中型株中心です。
(3) 信託報酬・純資産額・運用歴の比較
つみたてNISA対象の全世界株式ファンドを比較すると、以下のような特徴があります:
- 超低コスト重視: eMAXIS Slim全世界株式(0.05775%)
- 標準コスト・運用実績重視: 野村つみたて外国株投信(0.198%)
- バランス型: 楽天・全世界株式(0.192%)
どのファンドを選ぶかは、信託報酬の低さを最優先するか、運用会社の信頼性や歴史を重視するかによって異なります。
5. つみたてNISAでの活用法
(1) 新NISAつみたて投資枠(年120万円)
2024年から開始された新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円に拡大されました。野村つみたて外国株投信は対象商品のため、毎月10万円まで積立投資が可能です。
運用益は非課税となるため、長期的な資産形成に適しています。
(2) ドルコスト平均法のメリット
つみたて投資では、毎月一定額を購入することで、基準価額が高い時は少なく、低い時は多く買い付けることができます(ドルコスト平均法)。
これにより、平均取得単価が平準化され、長期的には市場の変動リスクを軽減できると言われています。
(3) 長期積立シミュレーション
毎月3万円を20年間積立投資した場合(年率リターン5%と仮定):
- 元本: 720万円
- 運用益: 約495万円
- 合計: 約1,215万円
新NISAのつみたて投資枠では、この運用益約495万円が全額非課税となります(課税口座なら約100万円の税金がかかる計算です)。
※上記は過去の平均リターンに基づく試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
6. まとめ:野村つみたて外国株投信は買いか
野村つみたて外国株投信は、全世界株式に分散投資できるつみたてNISA対象商品です。信託報酬は年0.198%程度で、eMAXIS Slim全世界株式と比較するとやや高めですが、野村AMの運用実績や信頼性を評価する投資家には選択肢の一つと言えます。
次のアクション:
- つみたてNISAで長期積立を始めるなら、信託報酬の低いeMAXIS Slimも比較検討
- 野村AMのブランドや運用実績を重視するなら、野村つみたて外国株投信も有力候補
- SBI証券や楽天証券で100円から積立投資を試してみる
投資判断は、信託報酬だけでなく、運用会社の信頼性、ベンチマークの違い、自分の投資スタイルを総合的に考慮して行うことが大切です。
