SBI証券で米国株を少額から始めたいけど、手数料負けが心配...
「SBI証券で米国株を1万円から始めたい」と考えている方の中には、「手数料負けして損するのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。取引手数料や為替スプレッドなど、複数のコストが積み重なると、少額投資では利益が出ても手数料で相殺されてしまうリスクがあります。
この記事では、SBI証券の米国株手数料の仕組みと、手数料負けを避けるための具体的な方法を解説します。
この記事のポイント:
- 手数料負けとは、取引手数料・為替スプレッド・税金が利益を上回る状態
- SBI証券の米国株手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル〜上限22ドル)、為替スプレッドは片道25銭
- 1万円投資では約1%の総コストがかかり、年5%以上のリターンが必要
- NISA口座なら取引手数料無料(2023年9月以降)で手数料負けリスク大幅減
- 住信SBIネット銀行の外貨積立活用で為替コストを片道6銭に削減可能
1. 手数料負けとは:少額投資家が陥る罠
(1) 手数料負けの定義:コストが利益を上回る
手数料負けとは、株式投資で得た利益が、取引手数料・為替スプレッド・税金などのコストで相殺され、最終的に損失になる状態を指します。特に少額投資では、手数料率が同じでも、最低手数料や固定コストの影響で手数料負けしやすくなります。
たとえば、1万円を投資して5%のリターン(500円の利益)が出ても、往復の手数料や為替コストで600円かかれば、トータルで100円の損失になります。
(2) 少額投資でリスクが高い理由
手数料には「割合型」と「固定型」があります。SBI証券の米国株手数料は約定代金の0.495%(割合型)ですが、最低手数料は0ドル、上限は22ドルです。
少額投資では、割合型より固定コスト(為替スプレッドなど)の影響が大きくなります。たとえば、為替スプレッド往復50銭(1ドル=150円の場合約0.33%)は、投資額にかかわらず一定の割合でかかります。
(3) 手数料の種類:取引手数料・為替スプレッド・税金
米国株投資で発生する主なコストは以下の通りです:
- 取引手数料:株式を買う・売る際に証券会社に支払う手数料
- 為替スプレッド:日本円を米ドルに両替する際のコスト(買値と売値の差)
- 税金:配当金の米国源泉税10%、売却益の日本税20.315%(NISA口座なら非課税)
これらのコストを合算すると、少額投資では総コストが1〜2%になることもあります。
2. SBI証券の米国株手数料体系【2025年版】
(1) 取引手数料:約定代金の0.495%(最低0ドル〜上限22ドル)
SBI証券の米国株取引手数料は、約定代金(株価×株数)の0.495%です。最低手数料は0ドル、上限は22ドルです。
計算例:
- 100ドル(約15,000円)の株を購入:手数料は100ドル×0.495% = 0.495ドル(約74円)
- 10,000ドル(約150万円)の株を購入:手数料は10,000ドル×0.495% = 49.5ドル → 上限22ドル(約3,300円)
※2025年1月時点の情報です。最新情報はSBI証券公式サイトでご確認ください。
(2) 為替スプレッド:片道25銭(往復50銭)
SBI証券で円を米ドルに両替する際、為替スプレッドが片道25銭(1ドルあたり)かかります。往復(買い+売り)では50銭です。
計算例:
- 1ドル=150円の場合、実際の両替レートは150.25円(買い)、149.75円(売り)
- 10万円を米ドルに両替して全額売却:約0.33%(50銭÷150円)のコスト
(3) NISA口座:取引手数料無料(2023年9月以降)
SBI証券では、2023年9月以降、NISA口座での米国株取引手数料が無料になりました(新NISA・成長投資枠も含む)。これにより、少額投資でも手数料負けのリスクが大幅に減少しました。
ただし、為替スプレッドは依然として発生します(片道25銭)。
(4) その他コスト:米国源泉税10%など
配当金を受け取る際、米国で源泉税10%が自動的に徴収されます。NISA口座でも米国源泉税は非課税にならない点に注意してください(日本の税金20.315%は非課税)。
3. 手数料負けの具体例:1万円投資でいくら損する?
(1) 1万円投資の総コスト試算
1万円を米国株に投資し、同額で売却した場合のコストを試算します(1ドル=150円、特定口座の場合)。
| コスト項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入時の取引手数料(0.495%) | 約50円 |
| 購入時の為替スプレッド(片道25銭) | 約17円 |
| 売却時の取引手数料(0.495%) | 約50円 |
| 売却時の為替スプレッド(片道25銭) | 約17円 |
| 総コスト | 約134円(1.34%) |
1万円投資で約134円のコストがかかります。
(2) 何%のリターンが必要か計算
総コスト134円を回収するには、1.34%以上のリターンが必要です。さらに、売却益に対して日本の税金20.315%がかかるため、税引き後で1.34%を確保するには、税引き前で約1.7%のリターンが必要になります。
年利5%のリターンを目指す場合、手数料・税金を差し引くと実質3〜4%程度になります。
(3) 10万円・100万円投資との比較
投資額が増えると、手数料率(割合型)の影響は変わりませんが、為替スプレッドの割合が減ります。
| 投資額 | 総コスト(往復) | コスト率 |
|---|---|---|
| 1万円 | 約134円 | 1.34% |
| 10万円 | 約1,160円 | 1.16% |
| 100万円 | 約9,900円 | 0.99% |
投資額が大きいほど、コスト率が低くなります。
(4) 手数料率よりも最低手数料の影響大
SBI証券の取引手数料は最低0ドル(無料)ですが、為替スプレッドは固定コストとして影響します。1万円投資では、為替スプレッドだけで約0.33%(往復)のコストがかかるため、少額投資では為替コストが重要なポイントです。
4. 手数料を抑える5つの方法
(1) まとめ買い:取引回数を減らす
毎月1万円ずつ12回に分けて投資すると、為替スプレッドが12回分発生します。3ヶ月に1回、3万円ずつまとめ買いすれば、為替コストを4回分に削減できます。
ただし、株価変動リスクもあるため、ドルコスト平均法(定期的な分散投資)とのバランスを考慮してください。
(2) 住信SBIネット銀行の外貨積立活用
住信SBIネット銀行の外貨積立サービスを利用すると、為替スプレッドが片道6銭(通常25銭)に大幅削減されます。外貨積立で米ドルを購入し、SBI証券に送金して外貨決済で株を買えば、為替コストを抑えられます。
手順:
- 住信SBIネット銀行で外貨積立設定(月1万円など)
- 積立で米ドルを購入(片道6銭)
- SBI証券に米ドルを送金(無料)
- 外貨決済で米国株を購入(為替スプレッドなし)
(3) NISA口座での取引(手数料無料)
SBI証券のNISA口座(新NISA・成長投資枠)では、米国株の取引手数料が無料です。少額投資でも手数料負けのリスクを大幅に減らせます。
年間240万円まで非課税で投資できるため、NISA枠を優先的に活用しましょう。
(4) 外貨決済の活用(為替スプレッド削減)
外貨決済とは、米ドルで直接米国株を購入・売却する方法です。円貨決済(円→ドル→株)に比べて、為替スプレッドが往復で発生しません。
住信SBIネット銀行で米ドルを事前に購入し、SBI証券で外貨決済すれば、為替コストを片道分(購入時のみ)に抑えられます。
(5) 長期保有で売却回数を最小化
頻繁に売買すると、その都度手数料が発生します。長期保有(5〜10年以上)を前提に投資すれば、売却回数を減らし、総コストを抑えられます。
配当再投資(受け取った配当で追加購入)も、長期的な資産形成に有効です。
5. NISA口座活用で手数料負けリスクを減らす
(1) 成長投資枠での米国株取引手数料無料
新NISA(2024年開始)の成長投資枠では、年間240万円まで米国株を手数料無料で購入できます。少額投資でも手数料負けの心配がなく、安心して積立投資を続けられます。
(2) 売却益・配当の非課税メリット
NISA口座では、売却益と配当金に対する日本の税金(20.315%)が非課税です。ただし、米国源泉税10%は非課税にならないため、配当利回り4%の株でも実質3.6%になります。
(3) ただし為替スプレッドは発生
NISA口座でも、為替スプレッド(片道25銭)は発生します。住信SBIネット銀行の外貨積立(片道6銭)を活用すれば、為替コストを削減できます。
(4) NISA枠の使い方:年間240万円まで
成長投資枠は年間240万円まで利用できます。少額投資家は、毎月2〜5万円ずつ積み立てる戦略がおすすめです。NISA枠を使い切った後は、特定口座で追加投資できます。
6. まとめ:少額投資でも手数料負けしない戦略
SBI証券で米国株を少額から始める場合、手数料負けを避けるには、NISA口座の活用・住信SBIネット銀行の外貨積立・まとめ買いが有効です。
次のアクション:
- NISA口座を開設(取引手数料無料)
- 住信SBIネット銀行で外貨積立設定(為替コスト削減)
- 毎月一定額をまとめて投資(取引回数を減らす)
- 長期保有を前提に、売却回数を最小化
NISA口座なら1万円からでも手数料負けのリスクが少なく、安心して米国株投資を始められます。投資判断は自己責任で行ってください。
