米国株投資信託を選びたいけれど、どれを選べばいいか迷っていませんか?
つみたてNISAやiDeCoで米国株投資信託を始めたいと考えている投資家の多くが、「どの商品が一番良いのか?」「ランキング上位の商品を選べば安心なのか?」といった疑問を持っています。
米国株投資信託は数多くの商品があり、純資産総額、信託報酬、リターンなど、さまざまな指標で比較されています。しかし、ランキングは参考情報に過ぎず、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
この記事では、2025年版の米国株投資信託ランキング(純資産総額・信託報酬・リターン)と、選び方のポイントを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- ランキングは参考情報。過去の実績は将来を保証せず、自分の投資目的に合う商品を選ぶことが重要
- 純資産総額ランキング上位はeMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO。規模が大きいと繰上償還リスクが低い
- 信託報酬0.1%未満の低コスト商品が増加。長期投資では信託報酬の低さが最重要
- インデックス型は低コストで市場平均に連動。アクティブ型は高コストでもリターンが保証されない
- 選び方のポイントは信託報酬、ベンチマーク指数、つみたてNISA対応、分配金再投資型
1. 米国株投資信託ランキングを見る意義と注意点
米国株投資信託のランキングは、商品選びの参考になりますが、注意点もあります。
(1) ランキングは参考情報にすぎない
ランキングは、純資産総額、信託報酬、リターンなど、特定の指標をもとに順位付けされています。しかし、ランキング上位の商品が必ずしも自分に適しているとは限りません。
例えば、純資産総額が大きい商品は人気がありますが、信託報酬が高い場合もあります。また、過去のリターンが高い商品でも、将来も同じリターンが得られる保証はありません。
ランキングはあくまで参考情報として活用し、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
(2) 過去の実績は将来を保証しない
投資信託のランキングは、過去のパフォーマンスをもとに作成されています。しかし、過去に高いリターンを上げた商品が、今後も同様のリターンを上げるとは限りません。
市場環境、経済情勢、為替レートなどの要因により、投資信託のリターンは変動します。ランキングを見る際は、「過去の実績は将来を保証しない」という点を念頭に置くことが推奨されます。
(3) 自分の投資目的に合う商品を選ぶ
投資信託を選ぶ際は、自分の投資目的、リスク許容度、投資期間を明確にすることが重要です。
- 長期投資(20年以上): 信託報酬が低いインデックス型
- 短期投資(5年以内): 流動性が高く、価格変動が小さい商品
- リスク許容度が高い: 全米株式(VTI連動)など、中小型株も含む商品
- リスク許容度が低い: S&P500連動など、大型株中心の商品
自分の投資目的に合った商品を選ぶことで、長期的に満足のいく投資が可能になります。
2. 純資産総額ランキング【2025年版】
純資産総額は、投資信託が運用している資産の総額です。規模が大きいほど、繰上償還のリスクが低いと言われています。
(1) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 純資産総額: 約5兆円以上(2025年10月時点)
- ベンチマーク: S&P500指数
- 信託報酬: 0.09372%(年率)
- 特徴: 国内最大級の米国株投資信託。低コストで人気が高い
eMAXIS Slimシリーズは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する低コスト商品です。S&P500指数に連動し、米国の大型株500銘柄に分散投資できます。
(2) 楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)
- 純資産総額: 約2兆円以上(2025年10月時点)
- ベンチマーク: CRSP USトータル・マーケット・インデックス
- 信託報酬: 0.162%(年率)
- 特徴: 米国株式市場全体に投資。大型株だけでなく中小型株も含む
楽天VTIは、米国ETFのVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)に投資する商品です。約4,000銘柄に分散投資できます。
(3) SBI・V・S&P500インデックス(SBI VOO)
- 純資産総額: 約1.5兆円以上(2025年10月時点)
- ベンチマーク: S&P500指数
- 信託報酬: 0.0938%(年率)
- 特徴: SBIアセットマネジメントが運用。低コストで競争力がある
SBI VOOは、米国ETFのVOO(バンガード・S&P500 ETF)に投資する商品です。eMAXIS Slim S&P500と同じS&P500指数に連動します。
(4) 純資産総額が大きいメリット
純資産総額が大きい投資信託には、以下のメリットがあります。
- 繰上償還のリスクが低い: 規模が小さいと、運用が継続できず繰上償還される可能性がある
- 流動性が高い: 売買がしやすく、基準価額が安定しやすい
- コストが削減される: 規模のメリットで、信託報酬が引き下げられることがある
純資産総額が数千億円以上の商品は、安定した運用が期待できると言われています。
3. 信託報酬(低コスト)ランキング【2025年版】
信託報酬は、投資信託の運用管理にかかる年間コストです。信託報酬が低いほど、長期投資では有利になります。
(1) 信託報酬0.1%未満の商品
2025年時点で、信託報酬0.1%未満の米国株投資信託は以下の通りです。
商品名 | 信託報酬(年率) | ベンチマーク |
---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372% | S&P500指数 |
SBI・V・S&P500インデックス | 0.0938% | S&P500指数 |
ニッセイ米国株式インデックス | 0.099% | S&P500指数 |
※2025年10月時点の情報です。信託報酬は変更される可能性があります。
(2) eMAXIS Slimシリーズの競争力
eMAXIS Slimシリーズは、業界最低水準の信託報酬を目指す方針を掲げています。他社が信託報酬を引き下げると、eMAXIS Slimも追随して引き下げることが多いです。
このため、長期的に低コストを維持できる可能性が高いと言われています。
(3) 長期投資でコストが重要な理由
信託報酬は、資産から日々差し引かれるコストです。長期投資では、信託報酬の差が大きな影響を与えます。
例えば、100万円を年率5%で20年間運用した場合:
- 信託報酬0.1%: 最終資産約245万円
- 信託報酬0.5%: 最終資産約229万円
- 差額: 約16万円
信託報酬が0.4%違うだけで、20年後には16万円以上の差が生まれます。長期投資では、信託報酬の低さを最優先で選ぶことが推奨されます。
4. リターン(運用成績)ランキング【2025年版】
リターンは、投資信託の運用成績を示す指標です。ただし、過去のリターンは将来を保証しません。
(1) 過去1年・3年・5年のリターン比較
米国株投資信託のリターンは、ベンチマーク指数によって大きく異なります。
- S&P500連動型: 米国大型株500銘柄に連動。安定したリターンが期待される
- 全米株式連動型: 大型株〜中小型株まで約4,000銘柄に連動。中小型株の成長を取り込める
- NASDAQ100連動型: テクノロジー株中心。高リターンが期待されるが、変動も大きい
過去のリターンを比較する際は、1年だけでなく、3年、5年と長期のリターンを確認することが推奨されます。
(2) インデックス型vsアクティブ型
投資信託には、インデックス型とアクティブ型の2種類があります。
- インデックス型: 指数(S&P500など)に連動。信託報酬が低い(0.1%前後)
- アクティブ型: ファンドマネージャーが銘柄を選定。信託報酬が高い(1%以上)
長期的には、インデックス型の方がアクティブ型よりも高いリターンを上げることが多いと言われています。アクティブ型は高コストでも、市場平均を上回るリターンを保証できないためです。
(3) トータルリターンの見方
トータルリターンは、価格変動に加えて、分配金を再投資した場合の総合リターンです。
投資信託のパフォーマンスを比較する際は、基準価額の変動だけでなく、トータルリターンを確認することが推奨されます。モーニングスターなどの投資信託評価サイトで確認できます。
※出典: モーニングスター(日本版) https://www.morningstar.co.jp/
5. 米国株投資信託の選び方のポイント
米国株投資信託を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが推奨されます。
(1) 信託報酬の低さを最優先
長期投資では、信託報酬の低さが最も重要です。信託報酬0.1%前後の商品を選ぶことが推奨されます。
eMAXIS Slim S&P500、SBI VOO、ニッセイ米国株式インデックスなどが、信託報酬0.1%未満の代表的な商品です。
(2) ベンチマーク指数の違い(S&P500 vs 全米株式)
S&P500と全米株式では、投資対象が異なります。
- S&P500: 米国大型株500銘柄。安定性重視
- 全米株式: 大型〜中小型株約4,000銘柄。成長性重視
リスク許容度が低い投資家はS&P500、リスク許容度が高い投資家は全米株式を選ぶことが推奨されます。
(3) つみたてNISA対応商品を選ぶ
つみたてNISAでは、金融庁が認定した低コスト商品のみが対象です。eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOOなどが対象商品に含まれています。
つみたてNISAを利用する場合、対象商品の中から選ぶ必要があります。
※出典: 金融庁 - つみたてNISA対象商品 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/about/tsumitate/target/
(4) 分配金再投資型を選ぶ理由
投資信託には、分配金再投資型と分配金受取型の2種類があります。
- 分配金再投資型: 分配金を自動的に再投資。複利効果を最大化
- 分配金受取型: 分配金を現金で受け取る。定期的な収入が得られる
長期投資では、分配金再投資型を選ぶことが推奨されます。複利効果により、資産が効率的に増えていくためです。
6. まとめ:ランキングを参考に自分に合う商品を選ぶ
米国株投資信託のランキングは、商品選びの参考になりますが、ランキング上位の商品が必ずしも自分に適しているとは限りません。
純資産総額が大きい商品は安定性が高く、信託報酬が低い商品は長期投資に有利です。リターンは過去の実績であり、将来を保証しません。
商品を選ぶ際は、信託報酬の低さ、ベンチマーク指数の違い、つみたてNISA対応、分配金再投資型を考慮することが推奨されます。
次のアクション:
- 証券会社でつみたてNISA口座を開設する
- 信託報酬0.1%未満の米国株投資信託を選ぶ
- 毎月定額で積立投資を開始する
- 長期的に資産形成を続ける
ランキングを参考にしつつ、自分の投資目的に合った商品を選びましょう。投資判断は自己責任で行ってください。