つみたてNISAで米国株投資を始めたいけれど、どのファンドを選べば良い?
「つみたてNISAで米国株に投資したいけれど、ファンドが多すぎて選べない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。S&P500連動型、全米株式連動型など、似たような名前のファンドが数多くあり、何が違うのか分かりにくいのが現状です。
この記事では、つみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠)で購入できる米国株ファンドについて、選び方のポイントとおすすめファンドの比較を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 新NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで非課税で投資できる
- 米国株ファンドには S&P500連動型・全米株式連動型・全世界株式連動型がある
- ファンド選びでは信託報酬の低さと純資産総額の大きさが重要
- eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI・V・S&P500などが人気
- 長期積立で非課税効果を最大化できる
1. つみたてNISAで米国株投資を始めるメリット
つみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠)で米国株投資を行うメリットは、大きく分けて3つあります。
(1) 年間120万円まで非課税
2024年から開始された新NISA制度では、つみたて投資枠として年間120万円まで非課税で投資できます。旧つみたてNISA制度では年間40万円だった上限が大幅に拡大されました。
さらに、旧制度では非課税期間が20年間でしたが、新NISA制度では無期限非課税となり、長期保有によるメリットがより大きくなりました。
(2) 長期・積立・分散投資に最適
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁が定めた基準を満たす投資信託のみです。以下のような特徴を持つファンドに限定されています:
- 販売手数料が無料(ノーロード)
- 信託報酬が一定水準以下
- 頻繁に分配金を出さない(分配金再投資型)
これらの条件により、低コストで長期運用に適したファンドだけが対象となっています。米国株ファンドもこの基準を満たしたものが揃っており、初心者でも安心して選べます。
(3) 米国株ファンドの選択肢が豊富
つみたてNISA対象の米国株ファンドは、S&P500連動型や全米株式連動型など、複数の選択肢があります。投資対象や運用コストによって選ぶことができ、自分の投資スタイルに合わせたファンド選びが可能です。
2. つみたてNISA(つみたて投資枠)の基礎知識
(1) 新NISA制度(2024年開始)
2024年1月から新NISA制度が始まりました。従来の「一般NISA」と「つみたてNISA」を統合し、より使いやすい制度になっています。
新NISA制度では、以下の2つの投資枠があります:
投資枠 | 年間上限 | 対象商品 |
---|---|---|
つみたて投資枠 | 120万円 | 金融庁基準を満たす投資信託 |
成長投資枠 | 240万円 | 上場株式・ETF・投資信託等 |
米国株の投資信託(インデックスファンド)はつみたて投資枠で購入できます。一方、米国株の個別銘柄やETFは成長投資枠でのみ購入可能です。
※2025年10月時点の制度内容です。最新情報は金融庁の公式サイトをご確認ください。
(出典: 金融庁「NISA制度」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html)
(2) 年間120万円の非課税枠
つみたて投資枠では、年間120万円まで投資でき、その運用益(値上がり益・分配金)は非課税です。
例えば、毎月10万円を積立投資すれば、年間で120万円の上限をフル活用できます。20年間積立を続けた場合、元本2,400万円を非課税で運用できることになります。
(3) 対象商品の条件(低コスト・長期運用向け)
つみたてNISA対象商品は、金融庁が定めた厳しい基準をクリアしたファンドのみです。主な条件は以下の通りです:
- 信託報酬が一定水準以下(株式型で0.5%程度以下)
- 販売手数料が無料
- 毎月分配型でない(分配金再投資型)
この基準により、長期運用に向かない高コスト商品は排除され、投資初心者でも安心して選べるラインナップになっています。
3. つみたてNISA対象の米国株ファンドの種類
つみたてNISA対象の米国株ファンドは、主に以下の3つのタイプに分類されます。
(1) S&P500連動型(eMAXIS Slim S&P500等)
S&P500指数とは、米国の代表的な大型株500銘柄で構成される株価指数です。Apple、Microsoft、Amazonなど、米国を代表する企業が含まれています。
S&P500連動型ファンドは、この指数に連動するように運用されるため、米国の主要企業にまとめて投資できます。
代表的なファンド:
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックス
(2) 全米株式連動型(楽天VTI、SBI・V・全米株式等)
**全米株式(CRSP USトータルマーケット指数)**は、米国株式市場全体の約4,000銘柄をカバーする指数です。S&P500に含まれる大型株だけでなく、中小型株も含まれています。
全米株式連動型ファンドでは、S&P500よりも広範囲の銘柄に分散投資できます。
代表的なファンド:
- 楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)
- SBI・V・全米株式インデックス
(3) 全世界株式連動型(eMAXIS Slim全世界株式等)
米国株だけでなく、日本・欧州・新興国など世界中の株式市場に投資するファンドです。米国株の比率は約60%程度で、残りは他国の株式に分散されています。
米国に集中せず、より広く分散投資したい方に適しています。
代表的なファンド:
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス
4. 主要米国株ファンドの比較【2025年版】
つみたてNISA対象の主要米国株ファンドを比較します。
(1) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
項目 | 内容 |
---|---|
ベンチマーク | S&P500指数 |
信託報酬 | 0.09372%程度 |
純資産総額 | 約4兆円(2025年時点) |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
最も人気の高い米国株ファンドの一つです。信託報酬が低く、純資産総額も大きいため、長期運用に適しています。
(2) 楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)
項目 | 内容 |
---|---|
ベンチマーク | CRSP USトータルマーケット指数 |
信託報酬 | 0.162%程度 |
純資産総額 | 約1兆円(2025年時点) |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
全米株式市場に投資するファンドです。S&P500よりも中小型株も含めた幅広い銘柄に投資できます。
(3) SBI・V・S&P500インデックス(SBI VOO)
項目 | 内容 |
---|---|
ベンチマーク | S&P500指数 |
信託報酬 | 0.0938%程度 |
純資産総額 | 約1.5兆円(2025年時点) |
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
eMAXIS Slim S&P500と同水準の低コストファンドです。SBI証券での取扱が中心です。
(4) 信託報酬・純資産総額・ベンチマークの比較
ファンド名 | 信託報酬 | 純資産総額 | ベンチマーク |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim S&P500 | 0.09372% | 約4兆円 | S&P500 |
SBI・V・S&P500 | 0.0938% | 約1.5兆円 | S&P500 |
楽天VTI | 0.162% | 約1兆円 | 全米株式 |
信託報酬はいずれも低水準です。S&P500と全米株式のどちらを選ぶかは、投資対象の範囲の好みで選べば良いでしょう。
5. ファンド選びのポイントと長期運用戦略
(1) 信託報酬の低さを最優先
信託報酬は、ファンドを保有している間ずっとかかるコストです。年率0.1%の差でも、長期運用では大きな差になります。
例えば、100万円を年率5%で20年間運用した場合:
- 信託報酬0.1%の場合:約253万円
- 信託報酬0.5%の場合:約234万円
信託報酬が低いファンドを選ぶことが、長期運用の成果を左右します。
(2) ベンチマーク指数の違い(S&P500 vs 全米株式)
S&P500と全米株式の過去リターンはほぼ同じです。どちらを選ぶかは好みで決めて問題ありません。
- S&P500: 米国の大型株500銘柄に絞りたい方向け
- 全米株式: 中小型株も含めてより広く分散したい方向け
(3) 長期積立のシミュレーション
毎月5万円を20年間積立投資した場合のシミュレーション(年率5%想定):
- 元本合計:1,200万円
- 運用益:約850万円
- 最終資産:約2,050万円(つみたてNISAなら運用益850万円が非課税)
通常の課税口座であれば、運用益850万円に対して約20%(約170万円)の税金がかかりますが、つみたてNISAなら非課税です。
※過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本が保証されないことにご注意ください。
(4) 分配金再投資型を選ぶ理由
つみたてNISA対象ファンドは、分配金を出さずに自動的に再投資する「分配金再投資型」が中心です。
分配金を受け取ってしまうと複利効果が薄れるため、長期運用では分配金再投資型の方が資産が増えやすいと言われています。
6. まとめ:つみたてNISAで米国株投資を始める
つみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠)を活用すれば、年間120万円まで非課税で米国株ファンドに投資できます。
次のアクション:
- つみたてNISA口座を開設する(SBI証券、楽天証券等)
- 信託報酬が低く純資産総額の大きいファンドを選ぶ
- 毎月一定額を積立投資する設定をする
- 長期保有を前提に、短期的な値動きに惑わされない
投資にはリスクが伴い、元本が保証されないことを理解した上で、長期的な資産形成を目指しましょう。