新NISAで米国株投資を始めたいけれど、どのファンドを選べばいい?
新NISA(つみたて投資枠)で米国株に投資したい――そう考える日本人投資家が急増しています。しかし、数多くの米国株式ファンドの中から、どれを選べばいいのか迷っている人も多いでしょう。「信託報酬って何?」「S&P500と全米株式の違いは?」といった疑問を抱えながら、投資をためらっている人も少なくありません。
この記事では、日本で最も人気のある米国株式ファンドの1つ、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」について、その特徴、運用実績、他ファンドとの比較、新NISAでの活用方法まで詳しく解説します。
この記事のポイント:
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は信託報酬0.09372%の超低コストファンド
- 純資産総額5兆円超で日本最大級の人気ファンド
- S&P500指数(米国大型株500銘柄)に連動
- 新NISAのつみたて投資枠対象商品
- SBI証券、楽天証券、マネックス証券等で購入可能
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が選ばれる理由
(1) 業界最低水準の信託報酬0.09372%
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の最大の魅力は、**信託報酬0.09372%(税込)**という業界最低水準のコストです。
信託報酬とは、投資信託の運用・管理にかかる年間コストのことです。長期投資では、この信託報酬の差が大きなリターン差を生みます。
信託報酬の差による30年後のリターン差(例):
- 月3万円を30年間積立投資(年率7%リターンと仮定)
- 信託報酬0.09%のファンド: 約3,620万円
- 信託報酬0.5%のファンド: 約3,400万円
- 差額: 約220万円
このように、信託報酬のわずかな差が、長期的には大きな差を生みます。
(2) 純資産総額5兆円超の圧倒的人気
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産総額は、2025年時点で5兆円超に達しています。これは日本の投資信託の中でもトップクラスの規模です。
純資産総額が大きいことのメリット:
- 運用コストが割安になる
- 繰上償還(ファンドの終了)のリスクが低い
- 流動性が高く、売買がスムーズ
- 運用が安定している
多くの投資家に選ばれているという事実は、ファンドの信頼性の証とも言えます。
eMAXIS Slim米国株式の基本情報と特徴
(1) 運用会社:三菱UFJ国際投信
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドです。三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、長年の運用実績と信頼性があります。
「eMAXIS Slim」シリーズは、「業界最低水準の運用コストを目指し続ける」という宣言を掲げており、他社が信託報酬を引き下げると、eMAXIS Slimも引き下げる姿勢を取っています。
(2) ベンチマーク:S&P500指数(米国大型株500銘柄)
eMAXIS Slim米国株式は、S&P500指数に連動することを目指すファンドです。
S&P500指数とは、米国の大型株500銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。Apple、Microsoft、Amazon、Google、Teslaなどの主要企業が上位を占めており、米国株式市場全体の約80%をカバーしています。
S&P500の構成セクター(2025年時点の目安):
| セクター | 比率 |
|---|---|
| 情報技術 | 約30% |
| 金融 | 約13% |
| ヘルスケア | 約12% |
| 一般消費財 | 約11% |
| 通信サービス | 約9% |
| その他 | 約25% |
(3) 為替ヘッジなし・分配金なし(再投資型)の理由
eMAXIS Slim米国株式は、為替ヘッジなしのファンドです。つまり、米ドル建て資産をそのまま保有し、為替リスクを取ります。
為替ヘッジなしのメリット:
- ヘッジコストがかからない(年率1〜2%程度の節約)
- 円安時には為替差益を享受できる
- ドル建て資産を持つことで資産分散になる
また、eMAXIS Slim米国株式は**分配金なし(再投資型)**です。配当金は自動的にファンド内で再投資されるため、複利効果を最大化できます。
運用実績とS&P500指数との連動性
(1) 過去のリターン実績(1年・3年・5年・設定来)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の過去のリターン実績は、S&P500指数とほぼ同等です(信託報酬分だけわずかに下回る)。
参考:S&P500指数の過去リターン(配当再投資込み):
- 1年リターン: 約+20%(2023-2024年)
- 3年平均リターン: 約+12%/年
- 5年平均リターン: 約+15%/年
- 設定来(2018年7月〜): 年率約+13%
※過去のパフォーマンスは将来の成果を保証するものではありません。市場環境により変動します。
(2) トラッキングエラー(指数との乖離)の検証
インデックスファンドにとって、ベンチマークとの乖離(トラッキングエラー)は重要な評価指標です。
eMAXIS Slim米国株式のトラッキングエラーは年率0.1%未満と、非常に小さい水準です。これは、ファンドがS&P500指数にほぼ正確に連動していることを示しています。
トラッキングエラーが小さい理由:
- 運用規模が大きく、効率的な運用が可能
- 先物取引やETF活用で指数に忠実に連動
- 三菱UFJ国際投信の運用ノウハウ
(3) 基準価額の推移
eMAXIS Slim米国株式の基準価額は、設定来(2018年7月)から右肩上がりで推移しています。特に、2020年のコロナショック後の回復、2023〜2024年のAIブームによる上昇が顕著です。
2025年10月時点の基準価額は約3万円台(1万口あたり)です。
※最新の基準価額は三菱UFJ国際投信の公式サイトをご確認ください。
他の米国株式ファンドとの徹底比較
(1) 楽天・全米株式インデックスファンド(VTI連動)との違い
楽天・全米株式インデックスファンドは、全米株式市場(約4,000銘柄)に投資するファンドです。
| 項目 | eMAXIS Slim米国株式 | 楽天・全米株式 |
|---|---|---|
| ベンチマーク | S&P500(大型株500社) | CRSP USトータルマーケット(約4,000社) |
| 信託報酬 | 0.09372% | 0.162% |
| 純資産総額 | 約5兆円 | 約1.5兆円 |
| つみたてNISA対象 | ○ | ○ |
どちらを選ぶべきか?
- S&P500は大型株中心、全米株式は中小型株も含む
- 長期リターンはほぼ同じ(約1%未満の差)
- 信託報酬が安いのはeMAXIS Slim
- 好みで選んでOK
(2) SBI・V・S&P500インデックス・ファンドとの比較
SBI・V・S&P500は、バンガードのETF(VOO)に投資することでS&P500指数に連動するファンドです。
| 項目 | eMAXIS Slim米国株式 | SBI・V・S&P500 |
|---|---|---|
| ベンチマーク | S&P500 | S&P500 |
| 信託報酬 | 0.09372% | 0.0938% |
| 純資産総額 | 約5兆円 | 約1.5兆円 |
| つみたてNISA対象 | ○ | ○ |
どちらを選ぶべきか?
- 信託報酬はほぼ同じ(0.09%台)
- 純資産総額はeMAXIS Slimが大きい
- どちらも優良ファンドで、好みで選んでOK
(3) 信託報酬・純資産総額・トラッキングエラー比較表
| ファンド名 | 信託報酬 | 純資産総額 | トラッキングエラー |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.09372% | 約5兆円 | 0.1%未満 |
| 楽天・全米株式インデックス | 0.162% | 約1.5兆円 | 0.1%未満 |
| SBI・V・S&P500 | 0.0938% | 約1.5兆円 | 0.1%未満 |
※数値は2025年時点の目安です。最新情報は各運用会社の公式サイトをご確認ください。
新NISAでの活用方法と購入手順
(1) つみたて投資枠(年120万円)での活用
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、新NISAのつみたて投資枠対象商品です。つみたて投資枠では、年間120万円まで非課税で積立投資できます。
つみたて投資枠のメリット:
- 売却益・配当金が非課税(無期限)
- 長期・積立・分散投資に適した商品のみ
- 月額10万円まで積立可能
月額10万円を30年間積立投資すると、約3,600万円(年率7%リターンと仮定)の資産形成が可能です。
(2) SBI証券・楽天証券での購入方法
eMAXIS Slim米国株式は、主要ネット証券で購入できます。
SBI証券での購入手順:
- SBI証券でNISA口座を開設
- 「投資信託」→「銘柄検索」で「eMAXIS Slim米国株式」を検索
- 「積立買付」を選択
- 積立金額(月額100円〜10万円)と積立日を設定
- 積立開始
楽天証券での購入手順:
- 楽天証券でNISA口座を開設
- 「投資信託」→「ファンド検索」で「eMAXIS Slim米国株式」を検索
- 「積立注文」を選択
- 積立金額と積立日を設定
- 積立開始
(3) 積立設定とクレジットカード決済のポイント還元
SBI証券・楽天証券では、クレジットカード決済で投資信託を積立購入できます。
ポイント還元例:
- SBI証券 × 三井住友カード: 積立額の0.5〜2.0%ポイント還元
- 楽天証券 × 楽天カード: 積立額の0.5〜1.0%ポイント還元
月5万円を積立投資すると、年間3,000〜12,000ポイント(年0.6〜2.4%)が貯まります。これは実質的な信託報酬の引き下げと同じ効果があります。
まとめ:eMAXIS Slimが向いている投資家とは
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、超低コストでS&P500指数に連動する優良ファンドです。新NISAのつみたて投資枠で長期的な資産形成を目指す投資家に最適です。
eMAXIS Slimが向いている人:
- 米国の大型株500社に分散投資したい
- 信託報酬を最小限に抑えたい
- 新NISAで長期積立投資をしたい
- 分配金なし(再投資型)で複利効果を最大化したい
eMAXIS Slimが向いていない人:
- 全米株式(中小型株含む)に投資したい → 楽天・全米株式インデックス
- 配当金を定期的に受け取りたい → 分配金ありのファンド
- 短期売買で利益を狙いたい → 個別株・ETF
次のアクション:
- SBI証券・楽天証券でNISA口座を開設する
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の積立設定をする
- 長期的な視点で積立投資を続ける
過去のパフォーマンスは将来の成果を保証するものではありません。ご自身のリスク許容度と投資目的を踏まえて、最適なファンドを選びましょう。投資判断は自己責任で行ってください。
※本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。最新情報は三菱UFJ国際投信・各証券会社の公式サイトをご確認ください。
