米国株式インデックスファンド比較|選び方完全ガイド2025

公開日: 2025/10/20

つみたてNISAやiDeCoで米国株に投資したいけれど、どの商品を選べばいい?

米国株に投資したいと考えて、つみたてNISAやiDeCoで「米国株式インデックスファンド」を検索すると、似たような商品がたくさん出てきます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンド、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド…どれも信託報酬が低く、人気商品です。

「結局どれを選べばいいの?」「S&P500と全米株式の違いは?」「信託報酬が0.01%違うだけで本当に差が出るの?」と迷ってしまう方は多いでしょう。

この記事では、米国株式インデックスファンドの基礎知識、主要商品の比較、選び方のポイント、購入方法を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株式インデックスファンドは、米国株価指数(S&P500や全米株式)に連動する低コストの投資信託
  • eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOOなど主要商品の信託報酬は0.05〜0.10%程度
  • S&P500は大型株500銘柄、全米株式は約4,000銘柄に分散投資(過去リターンはほぼ同等)
  • 信託報酬が低く純資産総額が大きい商品を選ぶのが基本

米国株式インデックスファンドの選び方で迷う理由

(1) 似た商品が多い(eMAXIS Slim・楽天VTI・SBI VOO等)

つみたてNISAやiDeCoで米国株式インデックスファンドを検索すると、複数の商品が候補に挙がります。

主な商品例:

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI VOO)
  • ニッセイ 米国株式インデックスファンド

どれも「米国株に投資する」「低コスト」「つみたてNISA対象」という点では共通しており、違いが分かりにくいです。

(2) 信託報酬の差が僅差

主要商品の信託報酬(年率)は以下の通りです(2025年1月時点の例)。

ファンド名 信託報酬(年率)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.09372%以内
楽天・全米株式インデックス 0.162%程度
SBI・V・S&P500 0.0938%程度

※最新の信託報酬は各運用会社の公式サイトでご確認ください。

信託報酬の差は0.01〜0.07%程度で、「どれも同じでは?」と感じるかもしれません。しかし、長期投資では大きな差になります(後述)。

(3) S&P500 vs 全米株式の選択

米国株式インデックスファンドには、主に2種類のベンチマーク(連動する指数)があります。

  • S&P500: 米国大型株500銘柄
  • 全米株式(CRSP USトータル・マーケット・インデックス等): 米国全体(大型・中型・小型株、約4,000銘柄)

どちらを選ぶべきかは、投資方針次第です。

インデックスファンドの基礎知識

(1) インデックスファンドとは

インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託です。

例:

  • S&P500インデックスファンド → S&P500指数と同じ値動きを目指す
  • 全米株式インデックスファンド → 全米株式市場と同じ値動きを目指す

ファンドマネージャーが独自に銘柄を選ぶのではなく、指数の構成銘柄をそのまま保有します。

(2) アクティブファンドとの違い

アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自に銘柄を選び、市場平均を上回るリターンを目指します。

比較:

項目 インデックスファンド アクティブファンド
運用手法 指数に連動 独自銘柄選定
信託報酬 低い(0.05〜0.2%) 高い(1〜2%)
リターン 市場平均並み 市場平均を上回る可能性(下回るリスクも)

長期的には、アクティブファンドの多くが市場平均を下回ると言われています(信託報酬が高いため)。

(3) パッシブ運用のメリット(低コスト・分散効果)

インデックスファンドはパッシブ運用(指数に連動させる運用)のため、以下のメリットがあります。

メリット:

  • 低コスト: 信託報酬が低い(年率0.1%未満も多い)
  • 分散投資: 数百〜数千銘柄に分散投資できる
  • 透明性: 指数の構成銘柄が公開されている
  • 手間いらず: 銘柄選定や売買タイミングを考える必要がない

このため、初心者から上級者まで幅広く利用されています。

S&P500と全米株式の違い

(1) S&P500(大型株500銘柄)

S&P500は、米国の代表的な大型株500銘柄で構成される株価指数です。

特徴:

  • 対象: 米国大型株500社
  • 時価総額: 米国株式市場全体の約80%をカバー
  • 代表銘柄: Apple、Microsoft、Amazon、Tesla、Alphabet等

S&P500は米国経済を代表する指数として、最も広く利用されています。

(2) 全米株式(約4,000銘柄)

全米株式インデックスは、米国株式市場全体(大型・中型・小型株)をカバーします。

特徴:

  • 対象: 米国株式市場全体(約4,000銘柄)
  • 時価総額: 米国株式市場のほぼ100%をカバー
  • 代表的な指数: CRSP USトータル・マーケット・インデックス、Russell 3000等

S&P500と比べて中小型株も含まれるため、分散効果がやや高いと言われています。

(3) 過去リターンの比較(ほぼ同等)

過去の長期リターンを比較すると、S&P500と全米株式はほぼ同等です。

例(過去10年の年率リターン):

  • S&P500: 約12〜14%
  • 全米株式: 約12〜14%

※市場環境により変動します。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

S&P500と全米株式の違いは、中小型株が含まれるかどうかですが、S&P500でも米国市場の約80%をカバーしているため、リターンに大きな差は出にくいです。

主要米国株式インデックスファンド比較【2025年版】

(1) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

基本情報:

  • 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント
  • ベンチマーク: S&P500
  • 信託報酬: 0.09372%以内(年率)
  • 純資産総額: 約4兆円(2025年1月時点の例)
  • つみたてNISA: 対応

特徴: eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを目指す」をコンセプトとしており、信託報酬が非常に低いです。純資産総額も大きく、安定した運用が期待できます。

(2) 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)

基本情報:

  • 運用会社: 楽天投信投資顧問
  • ベンチマーク: CRSP USトータル・マーケット・インデックス(全米株式)
  • 信託報酬: 0.162%程度(年率)
  • 純資産総額: 約1.5兆円(2025年1月時点の例)
  • つみたてNISA: 対応

特徴: 米国全体(約4,000銘柄)に分散投資できる点が特徴です。VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)に投資する形式で運用されています。

(3) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI VOO)

基本情報:

  • 運用会社: SBIアセットマネジメント
  • ベンチマーク: S&P500
  • 信託報酬: 0.0938%程度(年率)
  • 純資産総額: 約1.5兆円(2025年1月時点の例)
  • つみたてNISA: 対応

特徴: VOO(Vanguard S&P 500 ETF)に投資する形式で、低コストを実現しています。eMAXIS Slim S&P500と並ぶ人気商品です。

(4) 信託報酬・純資産総額・ベンチマークの比較

ファンド名 ベンチマーク 信託報酬 純資産総額 つみたてNISA
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500 0.09372%以内 約4兆円
楽天・全米株式(楽天VTI) 全米株式 0.162%程度 約1.5兆円
SBI・V・S&P500(SBI VOO) S&P500 0.0938%程度 約1.5兆円

※2025年1月時点の例です。最新情報は各運用会社の公式サイトでご確認ください。

ファンド選びのポイントと購入方法

(1) 信託報酬の低さを重視

信託報酬は、投資信託を保有している間、毎年かかるコストです。長期投資では信託報酬の差が大きな影響を与えます。

例(30年間の運用で比較):

  • 元本: 100万円
  • 年率リターン: 7%(信託報酬控除前)
信託報酬 30年後の資産 差額
0.09% 約735万円 -
0.16% 約718万円 -17万円
1.00% 約590万円 -145万円

信託報酬が0.07%違うだけでも、30年で約17万円の差が出ます。年率0.1%未満の低コスト商品を選ぶのが推奨されます。

(2) 純資産総額の大きさ(安定運用)

純資産総額が大きいファンドは、運用の安定性が高いと言われています。

理由:

  • 資金流入が安定している
  • 繰上償還(ファンド解散)のリスクが低い
  • トラッキングエラー(指数との乖離)が小さい

純資産総額が1,000億円以上のファンドを選ぶのが安心です。

(3) つみたてNISA対応商品

つみたてNISAは、年間120万円まで非課税で投資できる制度です(2024年から新NISA)。

対象商品: 金融庁が定める基準(低コスト、分散投資等)を満たした投資信託のみが対象です。主要な米国株式インデックスファンドは、ほとんどがつみたてNISA対象です。

(4) 証券会社別の取扱商品

証券会社によって、取扱商品が異なります。

主要証券会社の取扱:

  • SBI証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱
  • 楽天証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱
  • マネックス証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱

主要ネット証券なら、ほとんどの米国株式インデックスファンドを購入できます。

まとめ:自分に合った米国株式インデックスファンドを選ぶ

米国株式インデックスファンドは、米国株価指数(S&P500や全米株式)に連動する低コストの投資信託です。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)、SBI・V・S&P500(SBI VOO)など、複数の商品がありますが、選び方のポイントは以下の通りです。

選び方のポイント:

  • 信託報酬が低い(年率0.1%未満が目安)
  • 純資産総額が大きい(1,000億円以上が目安)
  • つみたてNISA対応
  • ベンチマーク(S&P500 or 全米株式)は好みで選ぶ

次のアクション:

  • 証券会社の口座を開設する(SBI、楽天、マネックス等)
  • つみたてNISA口座を開設する
  • 信託報酬と純資産総額を確認する
  • 毎月の積立額を決める(無理のない範囲で)

米国株式インデックスファンドは、長期的な資産形成に適した商品です。信託報酬が低く、純資産総額が大きい商品を選び、コツコツと積立投資を続けましょう。

※2025年10月時点の情報です。最新の信託報酬や純資産総額は、各運用会社の公式サイトでご確認ください。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1S&P500と全米株式、どちらが良い?

A1過去の長期リターンはほぼ同等です。S&P500は米国大型株500銘柄、全米株式は全市場約4,000銘柄に分散投資します。S&P500でも米国市場の約80%をカバーしているため、リターンに大きな差は出にくいです。どちらを選んでも問題ありません。

Q2信託報酬が安い方が良い?

A2長期投資では信託報酬の差が大きくなります。年率0.09%と0.16%の差でも、30年間で約17万円の差が出ます。年率0.1%未満の低コスト商品(eMAXIS Slim S&P500、SBI VOO等)を選ぶのが推奨されます。

Q3米国株式インデックスファンドのおすすめは?

A3信託報酬が低く純資産総額が大きい商品が人気です。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)、SBI・V・S&P500(SBI VOO)などが代表的です。どれも優良商品なので、好みで選んで問題ありません。

Q4つみたてNISAで買える?

A4主要な米国株式インデックスファンド(eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等)はつみたてNISA対象です。2024年から新NISAが開始され、つみたて投資枠は年間120万円まで非課税で投資できます。

Q5楽天VTIとeMAXIS Slimの違いは?

A5楽天VTIは全米株式(約4,000銘柄)に連動するファンドです。eMAXIS Slimはシリーズ名で、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「eMAXIS Slim 全世界株式」など複数の商品があります。ベンチマーク指数(S&P500 or 全米株式)で選んでください。

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