つみたてNISAやiDeCoで米国株に投資したいけれど、どの商品を選べばいい?
米国株に投資したいと考えて、つみたてNISAやiDeCoで「米国株式インデックスファンド」を検索すると、似たような商品がたくさん出てきます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンド、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド…どれも信託報酬が低く、人気商品です。
「結局どれを選べばいいの?」「S&P500と全米株式の違いは?」「信託報酬が0.01%違うだけで本当に差が出るの?」と迷ってしまう方は多いでしょう。
この記事では、米国株式インデックスファンドの基礎知識、主要商品の比較、選び方のポイント、購入方法を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株式インデックスファンドは、米国株価指数(S&P500や全米株式)に連動する低コストの投資信託
- eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOOなど主要商品の信託報酬は0.05〜0.10%程度
- S&P500は大型株500銘柄、全米株式は約4,000銘柄に分散投資(過去リターンはほぼ同等)
- 信託報酬が低く純資産総額が大きい商品を選ぶのが基本
米国株式インデックスファンドの選び方で迷う理由
(1) 似た商品が多い(eMAXIS Slim・楽天VTI・SBI VOO等)
つみたてNISAやiDeCoで米国株式インデックスファンドを検索すると、複数の商品が候補に挙がります。
主な商品例:
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI VOO)
- ニッセイ 米国株式インデックスファンド
どれも「米国株に投資する」「低コスト」「つみたてNISA対象」という点では共通しており、違いが分かりにくいです。
(2) 信託報酬の差が僅差
主要商品の信託報酬(年率)は以下の通りです(2025年1月時点の例)。
ファンド名 | 信託報酬(年率) |
---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372%以内 |
楽天・全米株式インデックス | 0.162%程度 |
SBI・V・S&P500 | 0.0938%程度 |
※最新の信託報酬は各運用会社の公式サイトでご確認ください。
信託報酬の差は0.01〜0.07%程度で、「どれも同じでは?」と感じるかもしれません。しかし、長期投資では大きな差になります(後述)。
(3) S&P500 vs 全米株式の選択
米国株式インデックスファンドには、主に2種類のベンチマーク(連動する指数)があります。
- S&P500: 米国大型株500銘柄
- 全米株式(CRSP USトータル・マーケット・インデックス等): 米国全体(大型・中型・小型株、約4,000銘柄)
どちらを選ぶべきかは、投資方針次第です。
インデックスファンドの基礎知識
(1) インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託です。
例:
- S&P500インデックスファンド → S&P500指数と同じ値動きを目指す
- 全米株式インデックスファンド → 全米株式市場と同じ値動きを目指す
ファンドマネージャーが独自に銘柄を選ぶのではなく、指数の構成銘柄をそのまま保有します。
(2) アクティブファンドとの違い
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自に銘柄を選び、市場平均を上回るリターンを目指します。
比較:
項目 | インデックスファンド | アクティブファンド |
---|---|---|
運用手法 | 指数に連動 | 独自銘柄選定 |
信託報酬 | 低い(0.05〜0.2%) | 高い(1〜2%) |
リターン | 市場平均並み | 市場平均を上回る可能性(下回るリスクも) |
長期的には、アクティブファンドの多くが市場平均を下回ると言われています(信託報酬が高いため)。
(3) パッシブ運用のメリット(低コスト・分散効果)
インデックスファンドはパッシブ運用(指数に連動させる運用)のため、以下のメリットがあります。
メリット:
- 低コスト: 信託報酬が低い(年率0.1%未満も多い)
- 分散投資: 数百〜数千銘柄に分散投資できる
- 透明性: 指数の構成銘柄が公開されている
- 手間いらず: 銘柄選定や売買タイミングを考える必要がない
このため、初心者から上級者まで幅広く利用されています。
S&P500と全米株式の違い
(1) S&P500(大型株500銘柄)
S&P500は、米国の代表的な大型株500銘柄で構成される株価指数です。
特徴:
- 対象: 米国大型株500社
- 時価総額: 米国株式市場全体の約80%をカバー
- 代表銘柄: Apple、Microsoft、Amazon、Tesla、Alphabet等
S&P500は米国経済を代表する指数として、最も広く利用されています。
(2) 全米株式(約4,000銘柄)
全米株式インデックスは、米国株式市場全体(大型・中型・小型株)をカバーします。
特徴:
- 対象: 米国株式市場全体(約4,000銘柄)
- 時価総額: 米国株式市場のほぼ100%をカバー
- 代表的な指数: CRSP USトータル・マーケット・インデックス、Russell 3000等
S&P500と比べて中小型株も含まれるため、分散効果がやや高いと言われています。
(3) 過去リターンの比較(ほぼ同等)
過去の長期リターンを比較すると、S&P500と全米株式はほぼ同等です。
例(過去10年の年率リターン):
- S&P500: 約12〜14%
- 全米株式: 約12〜14%
※市場環境により変動します。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
S&P500と全米株式の違いは、中小型株が含まれるかどうかですが、S&P500でも米国市場の約80%をカバーしているため、リターンに大きな差は出にくいです。
主要米国株式インデックスファンド比較【2025年版】
(1) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
基本情報:
- 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント
- ベンチマーク: S&P500
- 信託報酬: 0.09372%以内(年率)
- 純資産総額: 約4兆円(2025年1月時点の例)
- つみたてNISA: 対応
特徴: eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを目指す」をコンセプトとしており、信託報酬が非常に低いです。純資産総額も大きく、安定した運用が期待できます。
(2) 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
基本情報:
- 運用会社: 楽天投信投資顧問
- ベンチマーク: CRSP USトータル・マーケット・インデックス(全米株式)
- 信託報酬: 0.162%程度(年率)
- 純資産総額: 約1.5兆円(2025年1月時点の例)
- つみたてNISA: 対応
特徴: 米国全体(約4,000銘柄)に分散投資できる点が特徴です。VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)に投資する形式で運用されています。
(3) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI VOO)
基本情報:
- 運用会社: SBIアセットマネジメント
- ベンチマーク: S&P500
- 信託報酬: 0.0938%程度(年率)
- 純資産総額: 約1.5兆円(2025年1月時点の例)
- つみたてNISA: 対応
特徴: VOO(Vanguard S&P 500 ETF)に投資する形式で、低コストを実現しています。eMAXIS Slim S&P500と並ぶ人気商品です。
(4) 信託報酬・純資産総額・ベンチマークの比較
ファンド名 | ベンチマーク | 信託報酬 | 純資産総額 | つみたてNISA |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 0.09372%以内 | 約4兆円 | ○ |
楽天・全米株式(楽天VTI) | 全米株式 | 0.162%程度 | 約1.5兆円 | ○ |
SBI・V・S&P500(SBI VOO) | S&P500 | 0.0938%程度 | 約1.5兆円 | ○ |
※2025年1月時点の例です。最新情報は各運用会社の公式サイトでご確認ください。
ファンド選びのポイントと購入方法
(1) 信託報酬の低さを重視
信託報酬は、投資信託を保有している間、毎年かかるコストです。長期投資では信託報酬の差が大きな影響を与えます。
例(30年間の運用で比較):
- 元本: 100万円
- 年率リターン: 7%(信託報酬控除前)
信託報酬 | 30年後の資産 | 差額 |
---|---|---|
0.09% | 約735万円 | - |
0.16% | 約718万円 | -17万円 |
1.00% | 約590万円 | -145万円 |
信託報酬が0.07%違うだけでも、30年で約17万円の差が出ます。年率0.1%未満の低コスト商品を選ぶのが推奨されます。
(2) 純資産総額の大きさ(安定運用)
純資産総額が大きいファンドは、運用の安定性が高いと言われています。
理由:
- 資金流入が安定している
- 繰上償還(ファンド解散)のリスクが低い
- トラッキングエラー(指数との乖離)が小さい
純資産総額が1,000億円以上のファンドを選ぶのが安心です。
(3) つみたてNISA対応商品
つみたてNISAは、年間120万円まで非課税で投資できる制度です(2024年から新NISA)。
対象商品: 金融庁が定める基準(低コスト、分散投資等)を満たした投資信託のみが対象です。主要な米国株式インデックスファンドは、ほとんどがつみたてNISA対象です。
(4) 証券会社別の取扱商品
証券会社によって、取扱商品が異なります。
主要証券会社の取扱:
- SBI証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱
- 楽天証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱
- マネックス証券: eMAXIS Slim S&P500、楽天VTI、SBI VOO等すべて取扱
主要ネット証券なら、ほとんどの米国株式インデックスファンドを購入できます。
まとめ:自分に合った米国株式インデックスファンドを選ぶ
米国株式インデックスファンドは、米国株価指数(S&P500や全米株式)に連動する低コストの投資信託です。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)、SBI・V・S&P500(SBI VOO)など、複数の商品がありますが、選び方のポイントは以下の通りです。
選び方のポイント:
- 信託報酬が低い(年率0.1%未満が目安)
- 純資産総額が大きい(1,000億円以上が目安)
- つみたてNISA対応
- ベンチマーク(S&P500 or 全米株式)は好みで選ぶ
次のアクション:
- 証券会社の口座を開設する(SBI、楽天、マネックス等)
- つみたてNISA口座を開設する
- 信託報酬と純資産総額を確認する
- 毎月の積立額を決める(無理のない範囲で)
米国株式インデックスファンドは、長期的な資産形成に適した商品です。信託報酬が低く、純資産総額が大きい商品を選び、コツコツと積立投資を続けましょう。
※2025年10月時点の情報です。最新の信託報酬や純資産総額は、各運用会社の公式サイトでご確認ください。投資判断は自己責任で行ってください。