米国株式インデックスファンドが多すぎて選べない...本当に良いファンドは?
米国株にインデックス投資をしたいと考えているものの、「eMAXIS Slimシリーズ、楽天、SBIなど似たようなファンドが多すぎて違いが分からない」「信託報酬だけで選んでいいのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、米国株式インデックスファンドの評価基準(信託報酬、純資産総額、トラッキングエラー)を解説し、主要な5つのファンドを客観的データで比較します。新NISAでの活用法もあわせて紹介します。
この記事のポイント:
- 米国株式インデックスファンドは低コストで米国株式市場全体に分散投資できる
- 評価基準は信託報酬(低いほど良い)、純資産総額(大きいほど安定)、トラッキングエラー(小さいほど優秀)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が信託報酬0.09372%で業界最低水準
- S&P500と全米株式インデックスの長期リターンはほぼ同じ
- 新NISAのつみたて投資枠で年120万円まで非課税投資が可能
米国株式インデックスファンドが注目される理由
(1) 低コストで米国株式市場全体に分散投資できる
米国株式インデックスファンドは、S&P500や全米株式といった株価指数に連動することを目指す投資信託です。個別株を選ぶ手間をかけず、米国株式市場全体に分散投資できる点が大きなメリットです。
例えば、S&P500連動ファンドなら、Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Googleなど米国の代表的な500社に自動的に分散投資できます。
また、アクティブファンド(ファンドマネージャーが銘柄を選定)と比べて運用コスト(信託報酬)が圧倒的に低いため、長期投資に適しています。
(2) 長期的に安定したリターンが期待できる理由
米国株式市場(S&P500)の過去の長期リターンは年率約10%前後とされています(Yahoo Financeなどのデータより)。ただし、これは過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。
それでも、米国経済の成長性、企業の競争力、株主還元の文化(配当・自社株買い)を考えると、長期投資先として魅力的と考える投資家が多いです。
インデックスファンドの仕組みと評価基準
(1) 株価指数に連動する仕組み
インデックスファンドは、特定の株価指数(S&P500、全米株式指数など)と同じ動きをするように設計されています。指数が1%上がればファンドも約1%上がり、1%下がればファンドも約1%下がります。
ファンドマネージャーは銘柄を選定するのではなく、指数の構成銘柄と同じ比率で株式を保有することで、指数に連動させます。
(2) 評価基準①:信託報酬(低いほど有利)
信託報酬とは、投資信託の年間運用コストです。例えば、信託報酬0.1%のファンドに100万円投資すると、年間1,000円のコストがかかります。
金融庁も「インデックスファンドは低コストのものを選ぶべき」と指摘しています。信託報酬が0.1%と0.5%では、30年間で数十万円の差になります。
目安:
- 年率0.1%未満: 優秀
- 年率0.1〜0.3%: 許容範囲
- 年率0.5%以上: 高コスト(避けるべき)
(3) 評価基準②:純資産総額(大きいほど安定)
純資産総額とは、そのファンドに集まっている資金の総額です。純資産総額が大きいファンドほど、運用が安定し、繰上償還(ファンドが途中で終了すること)のリスクが低くなります。
目安:
- 100億円以上: 安心
- 1,000億円以上: 人気ファンド
- 1兆円以上: 超人気ファンド
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は純資産総額が数兆円規模に達しており、圧倒的な人気を誇ります。
(4) 評価基準③:トラッキングエラー(小さいほど優秀)
トラッキングエラーとは、指数とファンドのパフォーマンスの乖離です。例えば、S&P500が+10%なのにファンドが+9.5%なら、トラッキングエラーは0.5%です。
トラッキングエラーが小さいほど、指数に忠実に連動している優秀なファンドと言えます。主要なインデックスファンドはトラッキングエラーが非常に小さく、ほぼ指数通りのリターンが得られます。
主要な米国株式インデックスファンド5選の徹底比較
(1) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):最人気・超低コスト
特徴:
- 連動指数: S&P500
- 信託報酬: 年率0.09372%(2025年時点、業界最低水準)
- 純資産総額: 数兆円規模(国内最大級)
- 運用会社: 三菱UFJ国際投信
楽天証券やSBI証券で購入でき、新NISAのつみたて投資枠対象です。人気・実績ともにトップクラスで、迷ったらこれを選ぶ投資家が多いです。
(2) 楽天・全米株式インデックスファンド:VTI連動
特徴:
- 連動指数: CRSP USトータル・マーケット・インデックス(全米株式、約4,000銘柄)
- 信託報酬: 年率0.162%
- 純資産総額: 1兆円超
- 運用会社: 楽天投信投資顧問
バンガードのETF「VTI」に投資する形でコストを抑えています。S&P500よりも小型株まで幅広くカバーしたい方に向いています。
(3) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド:VOO連動
特徴:
- 連動指数: S&P500
- 信託報酬: 年率0.0938%
- 純資産総額: 1兆円超
- 運用会社: SBIアセットマネジメント
バンガードのETF「VOO」に投資する形でコストを抑えています。eMAXIS Slimとほぼ同等のコストで、SBI証券での購入に適しています。
(4) ニッセイ外国株式インデックスファンド:MSCIコクサイ連動
特徴:
- 連動指数: MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進国株式)
- 信託報酬: 年率0.09889%
- 純資産総額: 数千億円
- 運用会社: ニッセイアセットマネジメント
米国株だけでなく、欧州や他の先進国株式にも分散したい方に向いています。ただし、構成の約7割は米国株です。
(5) 信託報酬・純資産総額・リターン比較表
ファンド名 | 連動指数 | 信託報酬 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 数兆円 |
楽天・全米株式 | 全米株式 | 0.162% | 1兆円超 |
SBI・V・S&P500 | S&P500 | 0.0938% | 1兆円超 |
ニッセイ外国株式 | MSCIコクサイ | 0.09889% | 数千億円 |
※データは2025年時点。最新情報は各運用会社の目論見書をご確認ください。
S&P500と全米株式、どちらを選ぶべきか
(1) S&P500(大型株500社)の特徴とメリット
S&P500は、米国の大型株500社で構成される代表的な株価指数です。Apple、Microsoft、Amazonなど時価総額の大きい企業が上位を占めます。
メリット:
- 米国の主要企業に投資できる
- 長期的に安定したリターンが期待できる
- 信託報酬が最低水準のファンドが多い
(2) 全米株式(約4,000社)の特徴とメリット
全米株式インデックスは、米国の大型株から小型株まで約4,000銘柄をカバーします。S&P500に含まれない中小型株にも投資できます。
メリット:
- より広く米国企業に分散投資できる
- 小型株の成長機会も取り込める
(3) 長期リターンの違いは?(ほぼ同じ)
S&P500と全米株式の長期リターンは、ほぼ同じです。過去のデータでは、年率で0.1〜0.3%程度の差しかありません。
どちらを選んでも長期的なリターンに大きな差は出にくいため、好みで選んで問題ありません。信託報酬が低いファンドを優先するのも一つの選択肢です。
新NISAでの活用戦略と購入方法
(1) つみたて投資枠(年120万円)対象ファンド
2024年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠(年120万円)で米国株式インデックスファンドを非課税で積み立てられます。
主要な米国株式インデックスファンド(eMAXIS Slim、楽天、SBI等)はすべてつみたて投資枠の対象です。分配金や売却益が非課税になるため、長期投資に最適です。
(2) 証券会社での購入手順(SBI・楽天)
SBI証券や楽天証券で購入する手順は以下の通りです:
- 証券口座を開設(NISA口座も同時開設可能)
- 投資信託の検索画面で「eMAXIS Slim 米国株式」などを検索
- 積立設定(毎月1万円など)を行う
- クレジットカード決済やポイント還元を活用
(3) 積立設定とポイント還元の活用
SBI証券や楽天証券では、クレジットカード決済で投資信託を積み立てると、ポイント還元が受けられます。
- SBI証券: 三井住友カードで最大0.5〜5%ポイント還元
- 楽天証券: 楽天カードで最大0.5〜1%ポイント還元
これにより、実質的なコストをさらに下げられます。
まとめ:自分に合ったファンドの選び方
米国株式インデックスファンドを選ぶ際のポイントは以下の通りです:
選び方の基準:
- 信託報酬が年率0.1%未満のファンドを選ぶ
- 純資産総額が100億円以上(できれば1,000億円以上)のファンドを選ぶ
- S&P500と全米株式の違いは小さいため、好みで選んでOK
- 新NISAのつみたて投資枠を活用して非課税投資
- ポイント還元がある証券会社を選ぶ
おすすめの組み合わせ例:
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)をメインに積み立て
- 余裕があれば楽天・全米株式で小型株もカバー
- ニッセイ外国株式で米国以外の先進国にも分散
次のアクション:
- 証券会社(SBI証券、楽天証券など)で口座開設
- 新NISAのつみたて投資枠で積立設定(毎月1万円〜)
- 各ファンドの最新の目論見書・運用報告書を確認
- 長期投資(10年以上)を前提に、市場の短期変動に動揺しない
米国株式インデックスファンドは、低コストで米国株式市場全体に分散投資できる優れた選択肢です。自分に合ったファンドを選び、長期的な資産形成を目指しましょう。投資判断は最終的に自己責任で行ってください。
※信託報酬・純資産総額などのデータは2025年時点の情報です。最新情報は各運用会社の公式サイトや目論見書をご確認ください。