米国株式単元は何株?1株から買える仕組みと少額投資法

公開日: 2025/10/20

米国株の単元株制度を知る理由

「米国株は1株から買える」と聞いて、興味を持った方は多いのではないでしょうか。日本株は100株単位(単元株)での購入が基本ですが、米国株には単元株制度がなく、1株から自由に購入できます。

しかし、1株から買えるからといって、すぐに少額投資を始めてよいのでしょうか。この記事では、米国株の取引単位の仕組みと、1株投資のメリット・デメリット、実践的な少額投資戦略を解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株には単元株制度がなく、1株から購入可能
  • 日本株は100株単位だが、米国株は1株から分散投資しやすい
  • 手数料率が高くなる点に注意(少額だとコスト負担が大きい)
  • つみたてNISAとの使い分けで効率的な少額投資が可能

日本株と米国株の取引単位の違い

米国株と日本株の取引単位には大きな違いがあります。

(1) 日本株は100株単位(単元株制度)

日本株は、2018年に「単元株制度」が統一され、ほとんどの銘柄が100株単位で取引されています。

例: ソニーグループ(株価1,500円の場合)

  • 最低購入金額: 1,500円 × 100株 = 150,000円

少額投資家にとっては、100株揃えるだけで十数万円の資金が必要になるため、購入のハードルが高くなります。

※一部のネット証券では「ミニ株」「単元未満株」として1株から買えるサービスもありますが、すべての銘柄が対象ではなく、取引時間や手数料に制限があります。

(2) 米国株は1株から購入可能

米国株には日本のような単元株制度がありません。NYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQで取引される株式は、すべて1株から購入できます。

例: Apple(株価200ドルの場合、為替レート150円/ドル)

  • 最低購入金額: 200ドル × 1株 = 約30,000円

高額株でも1株から買えるため、資金が少ない投資家でも分散投資がしやすい仕組みです。

(3) ラウンドロットとオッドロット

米国市場には「Round Lot(ラウンドロット)」と「Odd Lot(オッドロット)」という概念があります。

ラウンドロット:

  • 100株単位の取引(標準的な取引単位)
  • 機関投資家や大口の個人投資家が利用

オッドロット:

  • 100株未満の取引(1株、10株など)
  • 個人投資家が少額で取引する際に利用

オッドロットでも取引に制限はなく、1株から自由に売買できます。ただし、流動性が低い銘柄では、オッドロットの売買が成立しにくい場合があります。

(4) 主要証券会社での購入方法

日本のネット証券でも、米国株を1株から購入できます。

主要証券会社:

  • SBI証券: 1株から購入可能、手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
  • 楽天証券: 1株から購入可能、手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
  • マネックス証券: 1株から購入可能、手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)

※手数料体系は変更される場合があるため、最新情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。

1株投資のメリット

米国株を1株から買えることで、以下のようなメリットがあります。

(1) 少額から米国株投資を始められる

1株から購入できるため、数万円の資金でも米国株投資を始められます。

例: 資金10万円で分散投資

  • Apple 1株(約30,000円)
  • Microsoft 1株(約40,000円)
  • Amazon 1株(約30,000円)

日本株なら1銘柄しか買えない金額で、米国株なら3銘柄に分散投資できます。

(2) 分散投資がしやすい

1株から買えるため、多くの銘柄に分散投資しやすくなります。

分散投資の例:

  • セクター分散: テクノロジー、ヘルスケア、消費財など
  • 地域分散: 米国大型株、米国中小型株、先進国株など
  • 時間分散: 毎月定額で積立購入(ドルコスト平均法)

リスクを分散しながら、長期的な資産形成を目指せます。

(3) 高額株(Apple、Amazon等)も購入可能

AppleやAmazon、Googleなどの高額株も、1株から購入できます。

例: Amazonの株価が180ドルの場合(為替レート150円/ドル)

  • 必要資金: 180ドル × 150円 = 約27,000円

日本株で100株揃えようとすると数百万円必要な銘柄でも、米国株なら数万円で購入できます。

(4) NISAとの相性が良い

2024年から始まった新NISA制度では、成長投資枠(年間240万円まで非課税)で米国株を1株から購入できます。

NISAのメリット:

  • 配当金・売却益が非課税(日本での税金20.315%がかからない)
  • 1株から購入できるため、少額でも分散投資しやすい
  • 長期保有に適した銘柄を選びやすい

※米国での源泉徴収10%は避けられません。

1株投資のデメリットと取引コスト

1株から買えるメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

(1) 手数料率が高くなりやすい

約定代金が少ないと、手数料率が高くなります。

例: 手数料0.495%、最低手数料0ドルの場合

約定代金 手数料(ドル) 手数料率
100ドル 0.495ドル 0.495%
1,000ドル 4.95ドル 0.495%
10,000ドル 22ドル(上限) 0.22%

少額取引では、往復(購入+売却)で約1%のコストがかかります。短期売買では利益を出しにくくなるため、長期保有が基本です。

(2) 為替手数料の影響

米国株を購入する際、円をドルに換える必要があり、為替手数料がかかります。

主要証券会社の為替手数料(片道):

  • SBI証券: 1ドルあたり25銭(住信SBIネット銀行経由なら6銭)
  • 楽天証券: 1ドルあたり25銭
  • マネックス証券: 1ドルあたり25銭(買付時0銭キャンペーンあり)

例: 1,000ドル分を購入する場合(25銭/ドル)

  • 為替手数料: 1,000ドル × 0.25円 = 250円

少額投資では、為替手数料の比率が大きくなるため、証券会社の選択やドル転のタイミングが重要です。

(3) 証券会社別の手数料体系(定額制vs比例制)

証券会社によって、手数料体系が異なります。

約定代金比例制(主流):

  • 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
  • 少額取引でも手数料がかかる

定額制(一部の証券会社):

  • 月額定額で取引し放題
  • 取引回数が多い場合に有利

※2025年10月時点では、主要ネット証券は約定代金比例制が中心です。

(4) 少額投資のコスト計算例

例: 毎月1万円を積立投資する場合

  • 約定代金: 約67ドル(為替レート150円/ドル)
  • 取引手数料: 0.33ドル(0.495%)
  • 為替手数料: 約17円(25銭/ドル)
  • 合計コスト: 約67円(約0.67%)

往復(購入+売却)で約1.3%のコストがかかるため、長期保有が前提です。

少額投資の実践戦略

1株投資を活かした少額投資の戦略を紹介します。

(1) 定期的な積立投資(ドルコスト平均法)

毎月一定額を積立購入することで、株価の変動リスクを平準化できます。

例: 毎月3万円を積立

  • 1ヶ月目: 株価200ドル → 1株購入
  • 2ヶ月目: 株価150ドル → 1株購入
  • 3ヶ月目: 株価180ドル → 1株購入
  • 平均取得単価: (200+150+180) ÷ 3 = 約177ドル

株価が下がったときに多く買い、上がったときに少なく買うことで、平均取得単価を抑えられます。

(2) 高配当株での配当再投資

配当金を再投資することで、複利効果を得られます。

配当再投資の例:

  1. 高配当株(配当利回り4%)を10株保有
  2. 年間配当金を受け取る
  3. 配当金で追加購入(1株ずつ買い増し)
  4. 保有株数が増え、翌年の配当金も増える

長期的に保有株数を増やすことで、配当収入を増やせます。

(3) 分散投資でリスク管理

1株から買えるため、複数銘柄に分散投資しやすくなります。

分散投資の例(資金30万円):

  • テクノロジー株 3銘柄(各3万円)
  • ヘルスケア株 2銘柄(各3万円)
  • 消費財株 2銘柄(各3万円)
  • 金融株 2銘柄(各3万円)
  • エネルギー株 1銘柄(3万円)

セクター分散することで、特定業界の不振時のリスクを軽減できます。

(4) つみたてNISAとの使い分け

つみたてNISA(年間120万円まで非課税)では、米国株投資信託を積立購入できます。

使い分け例:

  • つみたてNISA: eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を毎月積立(手数料が安い、分散投資が自動)
  • 成長投資枠: 個別米国株を1株ずつ購入(配当重視、特定企業への投資)

投資信託と個別株を使い分けることで、効率的な資産形成が可能です。

まとめ:1株投資に向いている人

米国株の1株投資は、少額から分散投資したい人に向いています。

この記事のまとめ:

  • 米国株には単元株制度がなく、1株から購入可能
  • 日本株(100株単位)に比べて、少額で分散投資しやすい
  • 手数料率が高くなる点に注意(長期保有が前提)
  • つみたてNISAと個別株を使い分けて効率化

1株投資に向いている人:

  • 少額から米国株投資を始めたい人
  • 複数銘柄に分散投資したい人
  • 高額株(Apple、Amazonなど)を1株だけ保有したい人
  • 長期保有を前提に配当再投資したい人

次のアクション:

  • 証券会社で米国株口座を開設する
  • 毎月一定額を積立購入する計画を立てる
  • NISAを活用して非課税メリットを享受する

米国株の1株投資を活用して、少額から国際分散投資を始めましょう。

よくある質問

Q1米国株を1株から買える証券会社は?

A1SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券で1株から購入できます。手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)が一般的です。どの証券会社でも1株単位で自由に売買できます。

Q21株投資の手数料はどのくらいですか?

A2約定代金の0.495%(最低0ドル〜上限22ドル)が一般的です。例えば100ドル分を購入する場合、手数料は約0.5ドルです。少額だと手数料率が高くなるため、長期保有を前提とした投資が推奨されます。

Q31株でも配当はもらえますか?

A3はい、1株でも配当を受け取れます。配当は保有株数に応じて支払われるため、配当権利日(Ex-Dividend Date)に1株でも保有していれば、配当金が振り込まれます。配当再投資で株数を増やすこともできます。

Q4少額投資でおすすめの方法は?

A4つみたてNISAで米国株投資信託(eMAXIS Slim 米国株式S&P500など)を毎月積立する方法がおすすめです。手数料が安く、自動的に分散投資できます。個別株は成長投資枠で1株ずつ購入し、配当再投資を狙うのも一案です。

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