仮想通貨関連米国株の選び方|マイニング・取引所銘柄

公開日: 2025/10/20

仮想通貨関連米国株とは|直接投資との違い

「ビットコインの将来性に興味があるけれど、仮想通貨を直接買うのは不安」と感じていませんか?

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、価格変動が激しく、税制も複雑です。そこで注目されているのが、仮想通貨関連の米国株です。マイニング企業や取引所など、仮想通貨ビジネスを展開する企業の株式に投資することで、仮想通貨市場の成長を間接的に取り込むことができます。

この記事では、仮想通貨関連米国株の種類、ビジネスモデル、投資リスクについて解説します。

この記事のポイント:

  • 仮想通貨関連株は配当があり、税制も株式扱い(20.315%)と仮想通貨(最大55%)より有利
  • マイニング、取引所、決済、半導体の4カテゴリーに分類される
  • ビットコイン価格との相関性が高く、価格急変動リスクあり
  • SEC等の規制動向が株価に大きく影響する
  • ポートフォリオ全体の10-20%程度に留め、カテゴリーを分散することが重要

(1) 仮想通貨を直接買うのとの違い

仮想通貨関連株と仮想通貨の直接投資には、以下のような違いがあります:

項目 仮想通貨関連株 仮想通貨(現物)
税制 株式譲渡益20.315% 雑所得(最大55%)
配当 あり なし
規制 株式市場のルール 仮想通貨規制
ボラティリティ 高い 非常に高い

仮想通貨を直接買うと、利益は雑所得として総合課税され、最大55%の税率がかかります。一方、米国株は株式譲渡益として20.315%の分離課税です。また、配当を受け取れる企業もあります。

(2) 株式投資のメリット(税制・規制)

仮想通貨関連株は、株式市場の規制・開示ルールに従うため、財務諸表や経営状況を確認できます。仮想通貨の取引所がハッキングされるリスクや、ウォレット管理の煩雑さもありません。NISA口座で運用すれば、日本の税金(20.315%)は非課税になります(米国での源泉徴収10%は別)。

(3) ビットコイン価格との相関性

仮想通貨関連株は、ビットコイン価格と高い相関性を持ちます。ビットコインが急騰すると関連株も上昇し、急落すると株価も下がる傾向があります。ただし、企業の業績や規制動向など、独自の要因も影響するため、完全に連動するわけではありません。

仮想通貨関連銘柄の種類|4つのカテゴリー

仮想通貨関連米国株は、大きく4つのカテゴリーに分けられます。

(1) マイニング企業

ビットコインのマイニング(採掘)を行う企業です。Marathon Digital Holdings、Riot Platformsなどが代表例です。ビットコインを報酬として受け取り、それを売却して収益を得ます。収益はビットコイン価格と電力コストに大きく影響されます。

(2) 取引所関連企業

仮想通貨の取引所を運営する企業です。Coinbase Globalが米国最大手で、取引手数料が主な収益源です。取引量が増えるほど収益が増加しますが、仮想通貨価格が低迷すると取引量も減少する傾向があります。

(3) 決済・インフラ企業

PayPal、Block(旧Square)など、決済サービスで仮想通貨を扱う企業です。仮想通貨ビジネスは全体の一部ですが、仮想通貨市場の成長がプラスに働きます。ブロックチェーン技術を提供するインフラ企業も含まれます。

(4) 半導体・ハードウェア企業

マイニングに使用される半導体やGPUを製造する企業です。エヌビディア(NVIDIA)のGPUはマイニングにも使用されますが、AI・ゲーム向けが主力のため、仮想通貨価格との相関は他のカテゴリーより低めです。

マイニング企業の特徴とビジネスモデル

マイニング企業は、仮想通貨関連株の中でもビットコイン価格との相関が最も高いカテゴリーです。

(1) ビットコインマイニングの仕組み

ビットコインマイニングとは、ビットコインの取引を承認する計算作業を行い、報酬として新規ビットコインを獲得することです。マイニング企業は、大量のコンピュータ(マイニングリグ)を稼働させ、24時間体制でマイニングを行います。

(2) 収益構造(ビットコイン価格・電力コスト)

マイニング企業の収益は、以下の式で表せます:

収益 = 獲得したビットコイン × ビットコイン価格 - 電力コスト - 設備減価償却

ビットコイン価格が上昇すれば収益が増加しますが、電力コストが上昇すると収益は圧迫されます。電力コストの安い地域(米国のテキサス州、中国からの移転先としてカザフスタン等)に設備を置く企業が多いです。

(3) ハッシュレートと競争力

ハッシュレートとは、マイニング設備の計算能力を示す指標です。ハッシュレートが高いほど、ビットコインを獲得できる確率が高まります。企業の競争力を評価する際は、保有するハッシュレート、電力コスト、財務の健全性を確認しましょう。

取引所・決済・インフラ関連企業

仮想通貨取引所や決済サービスは、仮想通貨ビジネスの中核を担います。

(1) 仮想通貨取引所のビジネスモデル

Coinbase Globalなどの取引所は、ユーザーが仮想通貨を売買する際の取引手数料で収益を得ます。仮想通貨価格が高騰し、取引が活発になると収益が急増します。逆に、仮想通貨が低迷すると取引量が減少し、収益も落ち込みます。

また、SEC等の規制動向にも敏感です。規制強化のニュースが出ると、株価が大きく下落することがあります。

(2) 決済サービス企業(PayPal・Square等)

PayPalやBlock(旧Square)は、決済サービスの一環として仮想通貨の売買機能を提供しています。仮想通貨ビジネスは全体の収益の一部ですが、仮想通貨市場の成長がプラスに働きます。本業の決済事業が安定しているため、純粋なマイニング企業や取引所よりボラティリティは低めです。

(3) ブロックチェーンインフラ企業

ブロックチェーン技術を企業向けに提供するインフラ企業もあります。仮想通貨価格との相関は低めですが、ブロックチェーン技術の普及が追い風になります。

投資リスクと注意点|価格変動・規制リスク

仮想通貨関連株は高リターンが期待できる一方、リスクも大きいです。

(1) ビットコイン価格の急変動リスク

ビットコインは、1日で10%以上価格が変動することも珍しくありません。仮想通貨関連株も同様に、急騰・急落を繰り返します。ボラティリティが非常に高いため、短期売買よりも長期保有が推奨されます。

(2) SEC等の規制動向

米国SEC(証券取引委員会)は、仮想通貨取引所や関連ビジネスへの規制を強化しています。規制強化のニュースが出ると、関連株は大きく下落することがあります。日本でも金融庁が暗号資産交換業者を監督しており、規制動向を注視する必要があります。

規制強化は短期的には株価下落要因ですが、適切な規制は市場の健全化にもつながります。長期的な影響は、企業のビジネスモデルが規制に適応できるかどうか次第です。

(3) 分散投資の重要性

仮想通貨関連株は、ポートフォリオ全体の10-20%程度に留めることが推奨されます。また、マイニング、取引所、決済など異なるカテゴリーに分散することで、特定のリスク(ビットコイン価格急落、規制強化等)の影響を軽減できます。

まとめ|仮想通貨関連株の投資判断ポイント

仮想通貨関連米国株は、仮想通貨市場の成長を株式投資で取り込む手段です。税制上のメリットや配当があるため、仮想通貨を直接買うよりも検討する価値があります。

次のアクション:

  • ビットコイン価格の動向を定期的にチェックする
  • マイニング、取引所、決済など異なるカテゴリーに分散投資する
  • SEC等の規制ニュースをフォローする
  • ポートフォリオ全体の10-20%程度に留める
  • 証券会社の分析ツールで各企業の財務状況を確認する

仮想通貨関連株は、高リターンと高リスクが両立する投資先です。ビジネスモデルとリスクを理解した上で、慎重に判断しましょう。

※仮想通貨関連株は価格変動が非常に大きいです。投資判断は自己責任で行ってください。 ※2025年10月時点の情報です。最新の規制動向・税制は金融庁・国税庁のウェブサイトをご確認ください。

よくある質問

Q1仮想通貨を直接買うのと仮想通貨関連株、どちらが良い?

A1税制面では仮想通貨関連株が有利です。仮想通貨の利益は雑所得で最大55%課税されますが、株式は譲渡益20.315%です。また、仮想通貨関連株には配当がある企業もあります。ただし、仮想通貨関連株はビットコイン価格だけでなく、企業業績や規制動向にも影響されます。リスク許容度と税制を考慮して判断してください。

Q2仮想通貨関連株のリスクは?

A2主なリスクは、ビットコイン価格の急変動、SEC等の規制強化、マイニング企業の電力コスト上昇、取引所のセキュリティリスクです。ビットコインは1日で10%以上変動することもあり、関連株もボラティリティが非常に高いです。分散投資を徹底し、ポートフォリオ全体の10-20%程度に留めることが重要です。

Q3規制が強化されたら株価はどうなる?

A3規制強化のニュースは短期的に株価下落要因となります。ただし、適切な規制は市場の健全化にもつながるため、長期的な影響は企業のビジネスモデル次第です。規制に適応できる企業は生き残り、そうでない企業は淘汰される可能性があります。SEC等の規制動向を定期的にチェックしましょう。

Q4仮想通貨関連株の分散投資の考え方は?

A4ポートフォリオ全体の10-20%程度に留め、マイニング、取引所、決済など異なるカテゴリーに分散することが推奨されます。マイニング企業はビットコイン価格に敏感、取引所は規制に敏感、決済企業は本業が安定、といった特徴があるため、カテゴリーを分散することで特定のリスクを軽減できます。

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