米国株の買うタイミング|一括投資vs積立投資の選び方

公開日: 2025/10/19

米国株の購入タイミングで悩む理由

「米国株に投資したいけれど、今は株価が高すぎる?」「暴落を待った方がいいのでは?」──こうした悩みを抱える投資家は少なくありません。

米国株市場は歴史的な高値圏にあり、購入タイミングに迷う気持ちは理解できます。しかし、J.P.Morgan Asset Managementの調査によれば、「タイミングを計るより、市場に居続けること」が長期的なリターンに重要とされています。

この記事では、米国株の購入タイミング戦略として、一括投資・分散投資・機械的投資の3つの考え方を解説します。

この記事のポイント:

  • 完璧なタイミングは誰にも分からない
  • 一括投資は約2/3の確率で有利だが、心理的には分散投資が継続しやすい
  • ドルコスト平均法で価格変動リスクを平準化できる
  • 暴落待ちは機会損失のリスクあり
  • タイミングより投資期間を長く取ることが重要

タイミングを計る3つの考え方

米国株の購入タイミングには、大きく3つのアプローチがあります。

(1) 一括投資:まとまった資金がある場合

まとまった資金(100万円以上など)がある場合、一括投資する方法があります。Vanguardの研究によれば、過去データでは一括投資が約2/3の確率でドルコスト平均法より高いリターンを示しています。

ただし、購入直後に暴落が来るリスクもあるため、リスク許容度が高い投資家向けです。

※出典: Vanguard「Dollar-Cost Averaging vs. Lump-Sum Investing」

(2) 分散投資(ドルコスト平均法):リスクを抑えたい場合

毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法は、価格変動リスクを平準化できます。株価が高いときは少なく、安いときは多く購入することで、平均取得単価を下げる効果があります。

心理的にも、一括投資より継続しやすいのがメリットです。

(3) 機械的投資:つみたてNISAで自動化

つみたてNISA(新NISA制度の成長投資枠)を利用すれば、毎月自動で積み立てられ、タイミングを気にする必要がありません。金融庁も「長期・積立・分散投資」の効果を推奨しています。

※出典: 金融庁「つみたてNISA:長期・積立・分散投資の効果」

ドルコスト平均法の実践方法

ドルコスト平均法は、初心者にも取り組みやすい投資手法です。

(1) 毎月一定額を積み立てる仕組み

例えば、毎月3万円をS&P500連動の投資信託に積み立てる場合、株価が高いときは少ない口数、安いときは多い口数を購入します。

楽天証券のシミュレーションでは、月3万円×20年で、複利効果により資産が大きく成長する可能性が示されています。

※出典: 楽天証券「積立投資シミュレーション」

(2) 価格変動リスクを平準化する効果

ドルコスト平均法は、一括投資と比較して平均リターンは劣る可能性がありますが、価格変動リスクを抑えられるメリットがあります。

(3) つみたてNISAでの具体例

新NISA制度の成長投資枠を利用すれば、年間240万円まで非課税で投資できます。毎月10万円を米国株投資信託に積み立てれば、20年後に大きな資産形成が期待できます。

避けるべき購入タイミング

以下のような判断は避けるべきです。

(1) 感情的な判断での購入

「みんなが買っているから」「SNSで話題だから」といった感情的な判断は、高値掴みのリスクがあります。冷静にバリュエーション(PER・PBR等)を確認しましょう。

(2) 暴落待ちで機会損失

J.P.Morgan Asset Managementの研究によれば、過去30年で最良の10日間を逃すとリターンが半減します。暴落を待つことで、株価上昇の恩恵を逃すリスクがあります。

※出典: J.P. Morgan Asset Management「Market Timing vs. Time in the Market」

(3) 為替だけを見て判断

円高・円安だけで判断するのは不十分です。円高でも米国株が上昇すれば利益が出る可能性があり、長期投資なら分散購入で為替リスクを平準化する方が現実的です。

2025年の市場環境と注意点

2025年の市場環境は、以下の要因に注目が必要です。

(1) FRBの金利政策動向

FRB(米連邦準備制度理事会)の金利政策は、株価に影響を与えます。2025年は利下げペースが鈍化する可能性があり、株式市場にとって逆風となる場合もあります。

※出典: Federal Reserve公式サイト

(2) 米国企業の業績見通し

野村證券の市場見通しレポートによれば、2025年の米国企業業績は堅調に推移する見込みです。ただし、地政学リスクや景気後退リスクには注意が必要です。

※出典: 野村證券「市場見通しレポート2025」

(3) 地政学リスクと為替変動

米中対立や中東情勢の緊張は、市場にネガティブな影響を与える可能性があります。また、為替変動により円換算のリターンが変動するリスクもあります。

※出典: 大和証券「米ドル/円為替見通し」

まとめ:タイミングより投資期間が重要

米国株の購入タイミングは、完璧に計ることはできません。日本証券業協会も「完璧なタイミングは誰にも分からない」と指摘しています。

重要なのは、タイミングを計ることではなく、長期的に市場に居続けることです。

次のアクション:

  • つみたてNISAで毎月定額を積み立てる
  • 一括投資する場合は、リスク許容度を確認する
  • 為替タイミングと株価タイミングを分けて考える

長期的な視点で、米国株投資を継続しましょう。

※出典: 日本証券業協会「投資のタイミング」

よくある質問

Q1暴落を待ってから買うべきですか?

A1過去データでは「市場に居続けること」が重要です。暴落を待つと機会損失のリスクがあります。J.P.Morganの研究では、最良の10日間を逃すとリターンが半減すると指摘されています。

Q2初心者におすすめの購入タイミングは?

A2つみたてNISAで毎月定額を積み立てる方法がおすすめです。タイミングを気にせず自動化でき、ドルコスト平均法でリスクを分散できます。

Q3円高・円安どちらで買うべきですか?

A3為替タイミングと株価タイミングは別問題です。長期投資なら、分散購入で為替リスクを平準化する方が現実的です。円高でも米国株が上昇すれば利益が出る可能性があります。

Q4積立投資と一括投資、どちらがいいですか?

A4Vanguard研究では一括投資が約2/3の確率で有利です。ただし、心理的には分散投資の方が継続しやすいメリットがあります。資金状況とリスク許容度で選びましょう。

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