米国株の売り方完全ガイド|手順・税金・為替タイミング

公開日: 2025/10/20

米国株を売りたいけれど、手順や税金が分からない...

米国株を保有している方の中には、「売却手順が分からない」「税金はいくらかかるのか」「為替のタイミングをどう考えればいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。売却は買付と同様に重要な投資行動であり、税金や為替の影響を理解しておくことが大切です。

この記事では、米国株の売却手順、注文方法の種類、税金の計算方法、為替の影響、売却タイミングの考え方を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株の売却は証券会社の取引画面から簡単に実行できる
  • 売却時の注文方法は成行・指値・逆指値の3種類が基本
  • 譲渡所得税20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税される
  • 為替差益も課税対象であり、円建てでの損益を確認することが重要
  • NISA口座での売却は非課税(日本の税金)

米国株の売却手順:証券会社別の操作方法

(1) SBI証券での売却手順

SBI証券で米国株を売却する手順は以下の通りです:

  1. ログイン後、「外国株式」→「取引」→「売却」を選択
  2. 売却したい銘柄のティッカーシンボル(例:AAPL)を入力
  3. 売却株数、注文方法(成行・指値)、有効期限を指定
  4. 注文内容を確認して「注文」ボタンを押す
  5. 約定後、売却代金がドルで口座に入金される

SBI証券の公式サイトには、画面操作の詳しいガイドが掲載されています。

(2) 楽天証券での売却手順

楽天証券での売却手順もほぼ同様です:

  1. ログイン後、「外国株式」→「米国株式」→「売却」を選択
  2. 保有銘柄一覧から売却したい銘柄を選択
  3. 売却株数、注文方法、有効期限を指定
  4. 注文内容を確認して実行
  5. 約定後、売却代金がドルで入金される

楽天証券では、スマホアプリ「iSPEED」からも売却が可能です。

(3) マネックス証券での売却手順

マネックス証券では、以下の手順で売却します:

  1. ログイン後、「米国株」→「売却」を選択
  2. 保有銘柄から売却したい銘柄を選択
  3. 売却株数、注文方法(成行・指値・逆指値)を指定
  4. 注文内容を確認して実行
  5. 約定後、ドルで入金される

マネックス証券は逆指値注文にも対応しており、損失を限定したい場合に便利です。

注文方法の種類:成行・指値・逆指値の違い

(1) 成行注文(Market Order)

成行注文は、現在の市場価格ですぐに売却する注文方法です。

メリット:

  • 確実に約定する(売却が成立する)
  • すぐに売却したい時に便利

デメリット:

  • 売却価格が事前に分からない
  • 市場が不安定な時は、予想外の価格で約定する可能性

使うべき場面:

  • すぐに現金化したい時
  • 流動性の高い銘柄(取引量が多い)を売却する時

(2) 指値注文(Limit Order)

指値注文は、希望する価格を指定して売却する注文方法です。

メリット:

  • 売却価格をコントロールできる
  • 希望価格まで待つことができる

デメリット:

  • 希望価格に達しなければ約定しない
  • 売却のチャンスを逃す可能性

使うべき場面:

  • 希望価格まで株価が上がるのを待ちたい時
  • 急いで売却する必要がない時

例:

  • 現在の株価が150ドル、155ドルで売りたい場合 → 指値155ドルで注文
  • 株価が155ドルに達すれば約定、達しなければ約定しない

(3) 逆指値注文(Stop-Loss Order)

逆指値注文は、株価が一定の水準まで下がったら売却する注文方法です。損失を限定するために使われます。

メリット:

  • 損失を一定範囲に抑えられる
  • 自動的に売却されるため、常に監視する必要がない

デメリット:

  • 一時的な下落で売却されてしまう可能性
  • 約定後、株価が回復しても取り戻せない

使うべき場面:

  • 損失を限定したい時(例:10%下落したら売却)
  • 長期で保有しているが、大きな下落リスクを避けたい時

例:

  • 現在の株価が150ドル、135ドルまで下がったら売りたい場合 → 逆指値135ドルで注文
  • 株価が135ドルに達すると、成行または指値で売却注文が発動

米国株売却時の税金:譲渡所得税と確定申告

(1) 日本での譲渡所得税(20.315%)

米国株を売却して利益が出た場合、日本で譲渡所得税がかかります。税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

課税対象:

  • 売却価格 - 取得価格(購入時の価格+手数料) = 譲渡益

例:

  • 取得価格: 100ドル × 100株 = 10,000ドル(為替レート150円/ドルで150万円)
  • 売却価格: 150ドル × 100株 = 15,000ドル(為替レート160円/ドルで240万円)
  • 譲渡益: 240万円 - 150万円 = 90万円
  • 税金: 90万円 × 20.315% = 約18.3万円

(2) 為替差益も課税対象

米国株の売却益だけでなく、為替差益も課税対象です。円安が進んでいる場合、為替差益も大きくなります。

例:

  • 購入時: 1ドル=140円、10,000ドル = 140万円
  • 売却時: 1ドル=160円、10,000ドル = 160万円
  • 為替差益: 160万円 - 140万円 = 20万円 → 課税対象

(3) 特定口座と一般口座の違い

特定口座(源泉徴収あり):

  • 証券会社が自動で税金を計算・徴収してくれる
  • 確定申告は原則不要(ただし損失繰越や外国税額控除を受ける場合は申告が必要)

一般口座:

  • 自分で税金を計算し、確定申告が必要
  • 手間がかかるが、損益通算や損失繰越を自分でコントロールできる

多くの投資家は特定口座(源泉徴収あり)を利用しています。

(4) 譲渡損失の繰越控除

米国株の売却で損失が出た場合、その損失を3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できます。ただし、確定申告が必要です。

例:

  • 2024年: 50万円の譲渡損失
  • 2025年: 100万円の譲渡益
  • 確定申告すれば、100万円 - 50万円 = 50万円に対してのみ課税

国税庁の公式サイトに詳しいガイドがあります。

為替の影響と売却タイミングの考え方

(1) 円建てでの損益を確認する

米国株の売却益はドル建てで計算されますが、日本円での損益も確認することが重要です。

例:

  • 購入時: 100ドル(為替レート150円/ドル)= 15,000円
  • 売却時: 110ドル(為替レート140円/ドル)= 15,400円
  • ドルベース: +10%の利益
  • 円ベース: +400円(+2.7%)の利益

円高が進むと、ドルベースでは利益が出ていても、円ベースでは利益が減少または損失になる可能性があります。

(2) 為替タイミングを気にしすぎない

為替レートを完璧に予測することは不可能です。長期投資を前提にするなら、為替タイミングを気にしすぎず、投資計画に基づいて売却を判断することが重要です。

推奨される考え方:

  • 投資目的(利益確定、資産の再配分など)に基づいて売却を判断
  • 為替レートは参考程度にとどめる
  • ドルのまま保有し、次の投資機会を待つ選択肢もある

(3) NISA口座での売却は非課税

NISA口座(成長投資枠またはつみたて投資枠)で保有している米国株を売却した場合、日本の譲渡所得税(20.315%)はかかりません。

ただし、米国での配当金に対する10%源泉徴収は避けられません(譲渡益には米国の税金はかかりません)。

売却タイミングの考え方:目標設定とリバランス

(1) 利益確定の目標を設定する

売却タイミングを判断する一つの方法は、事前に利益確定の目標を設定することです。

例:

  • 株価が+30%上昇したら半分売却
  • 株価が+50%上昇したら全部売却

これにより、感情に左右されず、計画的に利益確定できます。

(2) ポートフォリオのリバランス

特定の銘柄やセクターの比率が高くなりすぎた場合、リバランス(資産配分の調整)のために一部を売却することも有効です。

例:

  • ポートフォリオの40%がテクノロジー株になった → 30%まで減らすために一部売却

(3) 損切りのルール設定

損失が拡大する前に売却する「損切り」も重要な戦略です。逆指値注文を使えば、自動的に損切りできます。

例:

  • 株価が購入価格から-10%下落したら売却

ただし、一時的な下落で売却してしまうリスクもあるため、長期投資の方針と照らし合わせて判断しましょう。

まとめ:米国株売却の手順と注意点

米国株の売却は、証券会社の取引画面から簡単に実行できますが、税金や為替の影響を理解しておくことが重要です。

売却時のポイント:

  • 注文方法: 成行(すぐ売却)、指値(希望価格で売却)、逆指値(損失限定)を使い分ける
  • 税金: 譲渡所得税20.315%、為替差益も課税対象
  • 特定口座: 源泉徴収ありなら確定申告不要(ただし損失繰越等は申告必要)
  • 為替: 円建てでの損益も確認、タイミングを気にしすぎない
  • NISA: NISA口座なら日本の譲渡所得税は非課税

次のアクション:

  • 証券会社の公式サイトで売却手順を確認(SBI証券、楽天証券など)
  • 保有銘柄の損益を円建てで確認
  • 利益確定や損切りのルールを事前に設定
  • 特定口座(源泉徴収あり)で取引し、税務処理を簡素化
  • NISA口座を活用して非課税で運用

米国株の売却は投資の重要な一部です。税金や為替の影響を理解し、計画的に売却することで、長期的な資産形成を実現しましょう。投資判断は最終的に自己責任で行ってください。

※税制は2025年時点の情報です。最新情報は国税庁の公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1米国株の売却手数料はいくらですか?

A1主要ネット証券(SBI・楽天・マネックス)では、約定代金の0.495%(上限22ドル)です。ドルを円に戻す際の為替手数料(片道25銭程度)も考慮する必要があります。

Q2米国株売却時の税金の計算方法は?

A2譲渡所得税20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。譲渡益は「売却価格 - 取得価格」で計算し、為替差益も課税対象です。特定口座(源泉徴収あり)なら証券会社が自動計算します。

Q3米国株を売却したら確定申告は必要ですか?

A3特定口座(源泉徴収あり)なら原則不要です。ただし、損失繰越や外国税額控除を受ける場合、または一般口座で取引している場合は確定申告が必要です。

Q4為替タイミングはどう考えるべきですか?

A4為替レートを完璧に予測することは不可能です。円建てでの損益を確認しつつ、投資目的(利益確定、リバランスなど)に基づいて判断しましょう。ドルのまま保有して次の投資機会を待つ選択肢もあります。

Q5NISA口座で米国株を売却したら税金は?

A5NISA口座(成長投資枠またはつみたて投資枠)なら、日本の譲渡所得税(20.315%)はかかりません。ただし、配当金の米国源泉徴収10%は避けられません(譲渡益には米国の税金はかかりません)。

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