米国株の騰落率、どこで確認すればいい?
米国株投資を始めて間もない日本人投資家の多くが、「騰落率」という指標を目にします。証券会社のアプリやニュースサイトで「今日の騰落率ランキング」などが表示されますが、具体的に何を意味するのか、どう活用すればいいのか分からないという声も少なくありません。
この記事では、騰落率の基礎知識から確認できるツール・サイト、投資判断への活用方法までを初心者向けに解説します。
この記事のポイント:
- 騰落率は株価の変動率を示す指標(計算式: (現在価格 - 基準価格) ÷ 基準価格 × 100)
- Yahoo Finance、Bloomberg、日本の証券会社ツールで確認可能
- 日次・週次・月次の騰落率を使い分けることで投資判断に活用できる
- 米ドルベースと日本円ベースで騰落率が異なるため、為替影響に注意
- 過去のパフォーマンスであり、将来を保証しない
騰落率の基礎知識
騰落率とは、株価がどれだけ変動したかを%(パーセント)で表す指標です。
(1) 騰落率の定義と計算式
**騰落率(Percent Change)**は、以下の計算式で求められます:
騰落率(%) = (現在価格 - 基準価格) ÷ 基準価格 × 100
例:
- 基準価格: 100ドル
- 現在価格: 110ドル
- 騰落率: (110 - 100) ÷ 100 × 100 = +10%
プラスなら株価上昇、マイナスなら株価下落を意味します。
(出典: Investopedia「Price Change and Percent Change」https://www.investopedia.com/terms/p/price-change.asp)
(2) 騰落率と株価の違い
騰落(Price Change): 株価の変動額(ドル単位)。例: +10ドル
騰落率(Percent Change): 株価の変動率(%単位)。例: +10%
騰落率の方が、株価の規模に関係なく比較できるため、投資判断に適しています。
例えば、以下の2銘柄を比較すると:
銘柄 | 基準価格 | 変動額 | 騰落率 |
---|---|---|---|
A株 | 10ドル | +1ドル | +10% |
B株 | 1,000ドル | +10ドル | +1% |
変動額だけ見るとB株の方が大きいですが、騰落率ではA株の方がパフォーマンスが良いことが分かります。
(3) 日次・週次・月次・年初来の騰落率
騰落率は、基準となる期間により以下のように分類されます:
- 日次騰落率(1-Day Change): 前日比の変動率
- 週次騰落率(1-Week Change): 1週間前比の変動率
- 月次騰落率(1-Month Change): 1ヶ月前比の変動率
- 年初来騰落率(YTD: Year-to-Date): 年初からの累積変動率
それぞれの期間で見ることで、短期・中期・長期のトレンドを把握できます。
騰落率を確認できるツール・サイト
騰落率は、無料・有料のさまざまなツールで確認できます。
(1) Yahoo Finance(無料・英語)
Yahoo Financeは、米国株の騰落率を確認できる代表的な無料ツールです。
特徴:
- 日次・週次・月次・年初来の騰落率を表示
- セクター別騰落率ランキングも確認可能
- リアルタイムデータ(15分遅延なし)
確認手順:
- https://finance.yahoo.com/ にアクセス
- 銘柄ティッカー(例: AAPL)を検索
- 「Performance」タブで期間別の騰落率を確認
(出典: Yahoo Finance「Market Data and Performance」https://finance.yahoo.com/)
(2) Bloomberg(有料・英語)
Bloombergは、プロの投資家向けの高精度データを提供します。
特徴:
- リアルタイムの騰落率データ
- セクター別・地域別のパフォーマンス分析
- 過去のヒストリカルデータ
料金: Bloomberg Terminalは月額約2,000ドル(機関投資家向け)
(出典: Bloomberg「Stock Performance Metrics」https://www.bloomberg.com/markets/stocks)
(3) SBI証券・楽天証券(無料・日本語)
日本の証券会社でも、米国株の騰落率を確認できます。
SBI証券: 「米国株騰落率ランキング」で日次・週次・月次のランキングを表示。
楽天証券: 「米国株パフォーマンス分析ツール」で銘柄ごとの騰落率を確認。
メリット:
- 日本円ベースの騰落率も表示される
- 日本語で操作できる
(出典: SBI証券「米国株騰落率ランキング」https://www.sbisec.co.jp/...)
(4) マネックス証券(無料・日本語)
マネックス証券は、米国株の詳細な分析ツールを提供しています。
特徴:
- 騰落率を使ったスクリーニング機能
- セクター比較ツール
- トータルリターン(配当込み)の表示
(出典: マネックス証券「騰落率の活用方法」https://info.monex.co.jp/us-stock/performance-analysis.html)
騰落率の活用方法
騰落率は、以下のような投資判断に活用できます。
(1) 短期トレンドの把握
日次騰落率を見ることで、短期的な値動きを把握できます。
例えば、大きな下落(-5%以上)があった場合:
- 企業の決算発表や業績修正があったか?
- セクター全体が下落しているか?
これらを確認することで、一時的な調整か構造的な問題かを判断できます。
(2) セクター比較
セクター別の騰落率を比較することで、市場全体のトレンドを把握できます。
例(2025年10月):
セクター | 月次騰落率 |
---|---|
テクノロジー | +8% |
エネルギー | -3% |
ヘルスケア | +2% |
この場合、テクノロジーセクターが好調、エネルギーセクターが不調と分かります。
(3) 長期パフォーマンスの評価
**年初来騰落率(YTD)**や過去1年の騰落率を見ることで、長期的なパフォーマンスを評価できます。
ただし、過去のパフォーマンスは将来を保証しないことに注意してください。
(出典: Morningstar「Performance Analysis Tools」https://www.morningstar.com/stocks/performance)
騰落率を使う際の注意点
騰落率を活用する際は、以下の点に注意してください。
(1) 米ドルベースと日本円ベースの違い
日本人投資家にとって、為替レートの変動が重要です。
例:
- 米ドルベースの騰落率: +10%
- 同期間の為替レート: 1ドル=150円 → 140円(円高)
- 日本円ベースの騰落率: 約 +3%
為替の影響で、米ドルベースと日本円ベースの騰落率が大きく異なることがあります。
(出典: 楽天証券「米国株パフォーマンス分析ツール」https://www.rakuten-sec.co.jp/web/foreign/us/performance.html)
(2) 短期的な騰落率に過度に反応しない
日次騰落率は短期的なノイズが含まれるため、過度に反応すると感情的な売買につながります。
推奨:
- 短期トレーダーでない限り、週次・月次の騰落率を重視
- 長期投資家は年初来・過去1年の騰落率を確認
(3) 配当込みのトータルリターンを確認
騰落率は株価の変動のみを示し、配当金は含まれません。
高配当銘柄の場合、**トータルリターン(Total Return)**を確認することで、配当込みの実質的なパフォーマンスが分かります。
(出典: 日本経済新聞「米国株の見方:騰落率」https://www.nikkei.com/article/us-stock-performance/)
(4) 無料ツールと有料ツールの精度
無料ツール(Yahoo Financeなど)でも十分な精度がありますが、以下の点で有料ツールと差があります:
- 更新頻度: 無料ツールは15分遅延がある場合も
- データ範囲: 有料ツールは過去数十年のデータが閲覧可能
- 分析機能: 有料ツールは高度なスクリーニング機能を提供
長期投資家なら無料ツールで十分ですが、デイトレーダーはリアルタイムデータが必要です。
まとめ:騰落率を正しく理解して投資判断に活用
騰落率は、株価の変動率を示す重要な指標です。Yahoo Finance、Bloomberg、日本の証券会社ツールで確認でき、日次・週次・月次の騰落率を使い分けることで、短期・中期・長期のトレンドを把握できます。
次のアクション:
- Yahoo FinanceやSBI証券で騰落率を確認する習慣をつける
- 米ドルベースと日本円ベースの違いを理解する
- 短期的な騰落率に過度に反応せず、長期的な視点で投資判断を行う
- 配当込みのトータルリターンも併せて確認する
騰落率を正しく理解し、投資判断に活用しましょう。