米国株チャートの見方完全版|ローソク足から指標活用まで

公開日: 2025/10/20

米国株チャートを読めると投資判断が変わる

米国株投資を始めたばかりの日本人投資家にとって、「チャートをどう読めばいいのか分からない」という悩みは尽きません。

チャート分析(テクニカル分析)は、株価の動きを視覚的に捉え、投資タイミングを判断する上で役立ちます。

この記事では、米国株チャートの基礎知識、ローソク足の見方、移動平均線、出来高、主要テクニカル指標(MACD・RSI)の活用法を解説します。

この記事のポイント:

  • ローソク足は株価の動きを視覚的に示す基本的なチャート
  • 移動平均線でトレンド(上昇・下降)を把握できる
  • 出来高は市場の勢いを示す重要な補助指標
  • MACD・RSIは買われすぎ・売られすぎを判断する応用指標
  • チャート分析はファンダメンタルズ分析と併用すべき

チャートの基礎知識:ローソク足の見方

(1) ローソク足の構成要素(始値・終値・高値・安値)

**ローソク足(Candlestick Chart)**は、一定期間の株価の動きを1本の棒で表したチャートです。

構成要素:

  • 始値(Open): その期間の最初の取引価格
  • 終値(Close): その期間の最後の取引価格
  • 高値(High): その期間の最高価格
  • 安値(Low): その期間の最低価格

ローソク足は、日足(1日)、週足(1週間)、月足(1ヶ月)など、さまざまな期間で表示できます。

(2) 陽線と陰線の意味

陽線(Bullish Candle):

  • 終値 > 始値
  • 株価が上昇した期間を示す
  • 多くのチャートツールでは緑色または白色で表示

陰線(Bearish Candle):

  • 終値 < 始値
  • 株価が下降した期間を示す
  • 多くのチャートツールでは赤色または黒色で表示

ローソク足の実体(胴体部分)が長いほど、その期間の値動きが大きかったことを示します。

(3) 米国株チャートの表記(ドル建て・英語表記)

米国株チャートは、ドル建てで表示されます。

  • 株価:100ドル、200ドル等
  • 日本株のような円建て表記ではない

英語表記の例:

  • Open(始値)、Close(終値)、High(高値)、Low(安値)
  • Volume(出来高)、MA(移動平均線)

英語表記に慣れるまで、日本語対応のツール(SBI証券、楽天証券等)を使うと便利です。

(4) 日本株チャートとの違い

基本的な見方は日本株と同じですが、以下の点に注意が必要です:

  • 取引時間: 米国株は日本時間23:30-6:00(夏時間22:30-5:00)
  • 通貨: ドル建て(為替の影響を考慮)
  • 表記: 英語が一般的

日本株チャートの経験があれば、米国株チャートも同じように読めます。

移動平均線で株価トレンドを読む

(1) 移動平均線とは何か(SMA・EMA)

**移動平均線(Moving Average)**は、一定期間の株価の平均値を線でつないだ指標です。

種類:

  • 単純移動平均線(SMA: Simple Moving Average): 単純な平均値
  • 指数移動平均線(EMA: Exponential Moving Average): 直近の株価を重視した平均値

移動平均線は、株価のトレンド(上昇・下降)を把握するのに役立ちます。

(2) ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロス:

  • 短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜ける
  • 上昇トレンドへの転換シグナルとされる
  • 買いのタイミングの目安

デッドクロス:

  • 短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける
  • 下降トレンドへの転換シグナルとされる
  • 売りのタイミングの目安

ただし、これらのシグナルは絶対的なものではなく、他の指標と併用することが重要です。

(3) 25日・75日・200日移動平均線の使い分け

25日移動平均線(短期):

  • 短期的なトレンドを示す
  • 株価の細かい動きに敏感

75日移動平均線(中期):

  • 中期的なトレンドを示す
  • 短期と長期の中間的な視点

200日移動平均線(長期):

  • 長期的なトレンドを示す
  • 株価の大きな流れを捉える
  • 株価が200日線を上回る→強気相場、下回る→弱気相場とされる

長期投資家は200日移動平均線、短期売買を行う投資家は25日移動平均線を重視する傾向があります。

(4) トレンドの転換点を見極める

移動平均線を使ってトレンドの転換点を見極める方法:

  • 株価が移動平均線を上抜ける→上昇トレンドの可能性
  • 株価が移動平均線を下抜ける→下降トレンドの可能性
  • 複数の移動平均線がゴールデンクロス→強い上昇シグナル

ただし、チャート分析は過去のデータに基づくため、未来を100%予測することはできません。

出来高から市場の勢いを判断する

(1) 出来高(Volume)の見方

**出来高(Volume)**は、一定期間に取引された株数です。

  • 出来高が多い→多くの投資家が売買している(市場の関心が高い)
  • 出来高が少ない→売買が少ない(市場の関心が低い)

チャートでは、通常、棒グラフで表示されます。

(2) 株価上昇時の出来高増加の意味

株価上昇 + 出来高増加:

  • 強い上昇トレンド
  • 多くの買い手が参入している
  • 上昇トレンドが継続する可能性が高い

株価上昇 + 出来高減少:

  • 弱い上昇トレンド
  • 買い手が少ない
  • 上昇トレンドが続かない可能性

株価の動きと出来高を合わせて見ることで、トレンドの強さが分かります。

(3) 出来高減少時の注意点

株価下落 + 出来高増加:

  • 強い下降トレンド
  • 多くの売り手が参入している
  • 下降トレンドが継続する可能性が高い

株価下落 + 出来高減少:

  • 弱い下降トレンド
  • 売り手が少ない
  • 下降トレンドが止まる可能性

出来高は、株価の動きを確認する重要な補助指標です。

主要テクニカル指標(MACD・RSI)の活用法

(1) MACD(移動平均収束拡散法)の見方

**MACD(Moving Average Convergence Divergence)**は、2本の移動平均線の差を利用した指標です。

構成要素:

  • MACDライン: 短期EMA - 長期EMA
  • シグナルライン: MACDラインの移動平均線

シグナル:

  • MACDラインがシグナルラインを上抜ける→買いシグナル
  • MACDラインがシグナルラインを下抜ける→売りシグナル

MACDは、トレンドの転換点を捉えるのに有効とされています。

(2) RSI(相対力指数)で買われすぎ・売られすぎを判断

**RSI(Relative Strength Index)**は、株価の上昇・下降の勢いを数値化した指標です。

数値の範囲:

  • 0〜100の間で推移
  • 70以上→買われすぎ(下落の可能性)
  • 30以下→売られすぎ(上昇の可能性)

RSIは、短期的な売買タイミングを判断する際に活用されます。

(3) オシレーター系指標の限界と注意点

MACD・RSI等のオシレーター系指標には限界があります:

  • 強いトレンド時には機能しにくい: 買われすぎでもさらに上昇、売られすぎでもさらに下落することがある
  • ダマシのシグナルが出る: シグナルが出ても株価が反転しないケース
  • 過去データに基づく: 未来を保証するものではない

テクニカル指標は、あくまで参考情報として活用し、他の指標や企業業績と併用することが重要です。

まとめ:チャート分析とファンダメンタルズの併用

米国株チャート分析の基礎を理解することで、投資タイミングの判断がしやすくなります。

しかし、チャート分析だけに頼るのは危険です。企業業績(ファンダメンタルズ)も必ず確認しましょう。

次のアクション:

  • ローソク足と移動平均線の基本をマスターする
  • TradingViewやYahoo Financeでチャートを実際に見る
  • 保有銘柄や気になる銘柄のチャートを定期的にチェック
  • チャート分析とファンダメンタルズ分析を併用する
  • 少額で実際に売買し、チャート分析の感覚を掴む

チャート分析は投資判断の一つの材料です。過信せず、冷静に活用しましょう。

※本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1米国株チャートと日本株チャートの違いは?

A1基本的な見方は同じですが、米国株はドル建て表記・英語表記が一般的です。取引時間も米国時間(日本時間23:30-翌6:00、夏時間22:30-5:00)で動く点に注意が必要です。為替の影響も考慮しましょう。

Q2チャート分析におすすめのツールは?

A2TradingViewが最も高機能で、無料版でも十分な機能が使えます。Yahoo FinanceやFinvizも初心者向けで使いやすいです。また、SBI証券・楽天証券等の証券会社ツールも日本語対応で便利です。

Q3テクニカル分析だけで投資していいですか?

A3推奨しません。チャート分析は過去データに基づくため、企業の業績悪化や市場環境の変化には対応できません。ファンダメンタルズ分析(財務諸表、業績トレンド等)と併用することが重要です。

Q4初心者はどの順番でチャート分析を学ぶべきですか?

A4ローソク足→移動平均線→出来高→MACD/RSIの順がおすすめです。まずは基本を押さえ、実際のチャートで練習しながら徐々に応用指標を追加していくと、理解が深まります。

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