米国株チャートを読めると投資判断が変わる
米国株投資を始めたばかりの日本人投資家にとって、「チャートをどう読めばいいのか分からない」という悩みは尽きません。
チャート分析(テクニカル分析)は、株価の動きを視覚的に捉え、投資タイミングを判断する上で役立ちます。
この記事では、米国株チャートの基礎知識、ローソク足の見方、移動平均線、出来高、主要テクニカル指標(MACD・RSI)の活用法を解説します。
この記事のポイント:
- ローソク足は株価の動きを視覚的に示す基本的なチャート
- 移動平均線でトレンド(上昇・下降)を把握できる
- 出来高は市場の勢いを示す重要な補助指標
- MACD・RSIは買われすぎ・売られすぎを判断する応用指標
- チャート分析はファンダメンタルズ分析と併用すべき
チャートの基礎知識:ローソク足の見方
(1) ローソク足の構成要素(始値・終値・高値・安値)
**ローソク足(Candlestick Chart)**は、一定期間の株価の動きを1本の棒で表したチャートです。
構成要素:
- 始値(Open): その期間の最初の取引価格
- 終値(Close): その期間の最後の取引価格
- 高値(High): その期間の最高価格
- 安値(Low): その期間の最低価格
ローソク足は、日足(1日)、週足(1週間)、月足(1ヶ月)など、さまざまな期間で表示できます。
(2) 陽線と陰線の意味
陽線(Bullish Candle):
- 終値 > 始値
- 株価が上昇した期間を示す
- 多くのチャートツールでは緑色または白色で表示
陰線(Bearish Candle):
- 終値 < 始値
- 株価が下降した期間を示す
- 多くのチャートツールでは赤色または黒色で表示
ローソク足の実体(胴体部分)が長いほど、その期間の値動きが大きかったことを示します。
(3) 米国株チャートの表記(ドル建て・英語表記)
米国株チャートは、ドル建てで表示されます。
- 株価:100ドル、200ドル等
- 日本株のような円建て表記ではない
英語表記の例:
- Open(始値)、Close(終値)、High(高値)、Low(安値)
- Volume(出来高)、MA(移動平均線)
英語表記に慣れるまで、日本語対応のツール(SBI証券、楽天証券等)を使うと便利です。
(4) 日本株チャートとの違い
基本的な見方は日本株と同じですが、以下の点に注意が必要です:
- 取引時間: 米国株は日本時間23:30-6:00(夏時間22:30-5:00)
- 通貨: ドル建て(為替の影響を考慮)
- 表記: 英語が一般的
日本株チャートの経験があれば、米国株チャートも同じように読めます。
移動平均線で株価トレンドを読む
(1) 移動平均線とは何か(SMA・EMA)
**移動平均線(Moving Average)**は、一定期間の株価の平均値を線でつないだ指標です。
種類:
- 単純移動平均線(SMA: Simple Moving Average): 単純な平均値
- 指数移動平均線(EMA: Exponential Moving Average): 直近の株価を重視した平均値
移動平均線は、株価のトレンド(上昇・下降)を把握するのに役立ちます。
(2) ゴールデンクロスとデッドクロス
ゴールデンクロス:
- 短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜ける
- 上昇トレンドへの転換シグナルとされる
- 買いのタイミングの目安
デッドクロス:
- 短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける
- 下降トレンドへの転換シグナルとされる
- 売りのタイミングの目安
ただし、これらのシグナルは絶対的なものではなく、他の指標と併用することが重要です。
(3) 25日・75日・200日移動平均線の使い分け
25日移動平均線(短期):
- 短期的なトレンドを示す
- 株価の細かい動きに敏感
75日移動平均線(中期):
- 中期的なトレンドを示す
- 短期と長期の中間的な視点
200日移動平均線(長期):
- 長期的なトレンドを示す
- 株価の大きな流れを捉える
- 株価が200日線を上回る→強気相場、下回る→弱気相場とされる
長期投資家は200日移動平均線、短期売買を行う投資家は25日移動平均線を重視する傾向があります。
(4) トレンドの転換点を見極める
移動平均線を使ってトレンドの転換点を見極める方法:
- 株価が移動平均線を上抜ける→上昇トレンドの可能性
- 株価が移動平均線を下抜ける→下降トレンドの可能性
- 複数の移動平均線がゴールデンクロス→強い上昇シグナル
ただし、チャート分析は過去のデータに基づくため、未来を100%予測することはできません。
出来高から市場の勢いを判断する
(1) 出来高(Volume)の見方
**出来高(Volume)**は、一定期間に取引された株数です。
- 出来高が多い→多くの投資家が売買している(市場の関心が高い)
- 出来高が少ない→売買が少ない(市場の関心が低い)
チャートでは、通常、棒グラフで表示されます。
(2) 株価上昇時の出来高増加の意味
株価上昇 + 出来高増加:
- 強い上昇トレンド
- 多くの買い手が参入している
- 上昇トレンドが継続する可能性が高い
株価上昇 + 出来高減少:
- 弱い上昇トレンド
- 買い手が少ない
- 上昇トレンドが続かない可能性
株価の動きと出来高を合わせて見ることで、トレンドの強さが分かります。
(3) 出来高減少時の注意点
株価下落 + 出来高増加:
- 強い下降トレンド
- 多くの売り手が参入している
- 下降トレンドが継続する可能性が高い
株価下落 + 出来高減少:
- 弱い下降トレンド
- 売り手が少ない
- 下降トレンドが止まる可能性
出来高は、株価の動きを確認する重要な補助指標です。
主要テクニカル指標(MACD・RSI)の活用法
(1) MACD(移動平均収束拡散法)の見方
**MACD(Moving Average Convergence Divergence)**は、2本の移動平均線の差を利用した指標です。
構成要素:
- MACDライン: 短期EMA - 長期EMA
- シグナルライン: MACDラインの移動平均線
シグナル:
- MACDラインがシグナルラインを上抜ける→買いシグナル
- MACDラインがシグナルラインを下抜ける→売りシグナル
MACDは、トレンドの転換点を捉えるのに有効とされています。
(2) RSI(相対力指数)で買われすぎ・売られすぎを判断
**RSI(Relative Strength Index)**は、株価の上昇・下降の勢いを数値化した指標です。
数値の範囲:
- 0〜100の間で推移
- 70以上→買われすぎ(下落の可能性)
- 30以下→売られすぎ(上昇の可能性)
RSIは、短期的な売買タイミングを判断する際に活用されます。
(3) オシレーター系指標の限界と注意点
MACD・RSI等のオシレーター系指標には限界があります:
- 強いトレンド時には機能しにくい: 買われすぎでもさらに上昇、売られすぎでもさらに下落することがある
- ダマシのシグナルが出る: シグナルが出ても株価が反転しないケース
- 過去データに基づく: 未来を保証するものではない
テクニカル指標は、あくまで参考情報として活用し、他の指標や企業業績と併用することが重要です。
まとめ:チャート分析とファンダメンタルズの併用
米国株チャート分析の基礎を理解することで、投資タイミングの判断がしやすくなります。
しかし、チャート分析だけに頼るのは危険です。企業業績(ファンダメンタルズ)も必ず確認しましょう。
次のアクション:
- ローソク足と移動平均線の基本をマスターする
- TradingViewやYahoo Financeでチャートを実際に見る
- 保有銘柄や気になる銘柄のチャートを定期的にチェック
- チャート分析とファンダメンタルズ分析を併用する
- 少額で実際に売買し、チャート分析の感覚を掴む
チャート分析は投資判断の一つの材料です。過信せず、冷静に活用しましょう。
※本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。投資判断は自己責任で行ってください。