米国株にストップ安はある?
米国株投資を始めたものの、「米国株にストップ安はあるの?」「暴落時はどうなる?」「日本株との違いは?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
米国株には日本のようなストップ安制度はありませんが、サーキットブレーカーという市場全体の取引停止ルールがあります。暴落時のリスク管理を理解しておくことが重要です。
この記事では、米国株の値幅制限の有無、サーキットブレーカーの仕組み、過去の発動事例、投資家がとるべきリスク管理策を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株には日本のような個別銘柄の値幅制限(ストップ安)はない
- S&P500が7%、13%、20%下落でサーキットブレーカーが発動し市場全体が停止
- 個別銘柄にはLULD制度で一時的な値幅制限あり
- 逆指値注文やポートフォリオ分散でリスク管理が可能
米国株にストップ安制度はあるのか?
結論から言うと、米国株には日本のようなストップ安制度はありません。日本株では、1日の値幅制限があり、一定の下落率に達すると「ストップ安」となり、それ以上株価が下がらない仕組みになっています。
一方、米国株には個別銘柄の値幅制限がないため、理論上は1日で株価が大きく下落する可能性があります。ただし、市場全体が急落した場合には、サーキットブレーカーという取引停止ルールが発動します。
サーキットブレーカーの仕組み
サーキットブレーカーは、市場全体が急落した際に、取引を一時停止して冷静さを取り戻すための制度です。S&P500指数の下落率によって発動します。
S&P500が7%下落で15分停止
S&P500が前日終値から7%下落すると、市場全体の取引が15分間停止されます。
13%下落で再度15分停止
取引再開後、さらに13%まで下落すると、再び15分間停止されます。
20%下落で全日取引停止
20%まで下落すると、その日の取引は終日停止となります。
これらのルールは、午後3:25(米国東部時間)以降には適用されません。
LULD(個別銘柄の値幅制限)
Limit Up-Limit Downとは
LULD(Limit Up-Limit Down)は、個別銘柄の急激な価格変動を抑えるための制度です。一定の価格帯を超えた取引は一時停止されます。
銘柄ごとの価格帯による制限幅
LULDの制限幅は、銘柄の価格帯によって異なります:
価格帯 | 制限幅 |
---|---|
$0.75以上 | 5% |
$0.75未満 | 20%または$0.15のいずれか大きい方 |
例えば、株価100ドルの銘柄なら、5%(5ドル)の範囲を超えると取引が一時停止されます。
5分間の取引一時停止
LULD制限に達すると、5分間取引が停止され、その後再開されます。再開後も急激な変動が続く場合は、再度停止される可能性があります。
過去の発動事例
2020年3月のコロナショック(4回発動)
2020年3月、新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国株市場は急落しました。わずか2週間の間に、サーキットブレーカーが4回も発動されました。
- 3月9日: 7%下落で15分停止
- 3月12日: 7%下落で15分停止
- 3月16日: 7%下落で15分停止
- 3月18日: 7%下落で15分停止
1997年アジア通貨危機
1997年10月27日、アジア通貨危機の影響でダウ平均が554ポイント(7.2%)下落し、サーキットブレーカーが発動されました。
2010年フラッシュクラッシュ
2010年5月6日、アルゴリズム取引の誤作動により、ダウ平均が数分間で約1,000ポイント急落しました。この事件をきっかけに、LULD制度が導入されました。
投資家がとるべきリスク管理策
逆指値注文の活用
逆指値注文(ストップロス注文)は、株価が一定の水準に下落した際に自動的に売却する注文方法です。
例: 株価100ドルの銘柄を、90ドルまで下落したら売却したい場合、逆指値90ドルで注文します。
感情的な判断を避け、事前に損切りラインを設定しておくことで、リスクを管理できます。
ポートフォリオの分散
1つの銘柄に資金を集中させず、複数の銘柄・セクター・地域に分散投資することで、個別銘柄の暴落リスクを軽減できます。
例: 米国株だけでなく、日本株、債券、不動産など複数の資産クラスに分散。
暴落時のパニック売りを避ける
暴落時は、恐怖からパニック売りしてしまいがちです。しかし、長期投資の視点では、暴落は買い増しのチャンスとも言えます。
過去のデータを見ると、市場は暴落後に回復する傾向があります。冷静に判断し、長期的な視点で投資を続けることが重要です。
まとめ:日米市場の違いを理解する
米国株には日本のようなストップ安制度はありませんが、サーキットブレーカーやLULD制度で市場の急激な変動を抑える仕組みがあります。
次のアクション:
- 逆指値注文を活用し、損切りラインを事前設定
- ポートフォリオを分散し、個別銘柄リスクを軽減
- 暴落時はパニック売りせず、長期的な視点で判断
- 日米市場の制度の違いを理解し、リスク管理を徹底
サーキットブレーカーは市場の混乱を防ぐための制度ですが、個別銘柄の急落を完全に防ぐものではありません。逆指値注文や分散投資など、自分自身でリスク管理を行うことが重要です。