米国株を買うとき、円とドルどちらで決済すればいいの?
米国株を初めて購入する際、「円で買うべきか、ドルで買うべきか」という疑問を持つ方は多いでしょう。証券会社の注文画面には「円貨決済」「外貨決済」という選択肢があり、どちらを選ぶかで為替手数料が大きく変わります。
この記事では、円貨決済とドル決済(外貨決済)の仕組み、それぞれのメリット・デメリット、為替手数料の比較、証券会社別の違い、そして使い分けのポイントを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 円貨決済は操作が簡単だが為替スプレッド(片道25銭前後)が高い
- ドル決済は為替手数料が安い(片道4銭程度)が、事前にドル転が必要
- 為替リスクは円貨決済でもドル決済でも同じ
- 少額投資なら円貨決済、大口投資(50万円以上)ならドル決済が有利
- 証券会社により為替手数料が大きく異なる
1. 米国株の決済通貨(円 vs ドル)の基礎知識
米国株を購入する際、決済通貨として「円」または「ドル」を選択できます。この選択により、為替手数料が変わります。
(1) 円貨決済とドル決済の違い
円貨決済:
- 円で注文を出すと、証券会社が自動的にドルに交換して米国株を購入
- 操作が簡単(為替取引を意識しなくてよい)
- 為替スプレッドが高い(通常片道25銭/ドル前後)
ドル決済(外貨決済):
- 事前に円をドルに交換し、ドルで注文を出して米国株を購入
- 為替手数料が安い(住信SBIネット銀行利用時は片道4銭/ドル)
- 為替取引を別途行う必要がある
(2) 為替リスクとは
為替リスクとは、為替レート(円とドルの交換比率)の変動により、投資価値が変わるリスクです。
重要:円貨決済でもドル決済でも、為替リスクは同じです。 米国株はドル建て資産なので、購入後の為替変動の影響は決済通貨に関わらず受けます。
(3) 円高・円安が投資に与える影響
円高の場合(例:1ドル=150円 → 140円):
- ドル資産の円ベース評価額が減少
- 株価が変わらなくても、円換算で損失が発生
円安の場合(例:1ドル=150円 → 160円):
- ドル資産の円ベース評価額が増加
- 株価が変わらなくても、円換算で利益が発生
2. 円貨決済の仕組みとメリット・デメリット
円貨決済は、証券会社が自動的に為替取引を行ってくれるため、操作が簡単です。
(1) 円貨決済の仕組み(自動為替変換)
円貨決済の流れ:
- 証券口座に円を入金
- 米国株を円で注文
- 証券会社が自動的に円→ドルに交換
- ドルで米国株を購入
(2) メリット:操作が簡単、ドル資金不要
メリット:
- 為替取引を意識する必要がない
- 円だけで取引が完結
- 初心者でも簡単に始められる
(3) デメリット:為替スプレッドが高い
デメリット:
- 為替スプレッドが高い(通常片道25銭/ドル前後)
- 往復(購入時+売却時)で50銭/ドルのコストがかかる
- 大口投資では為替コストが無視できない金額になる
コスト例(1万ドル購入時、為替レート150円/ドル):
- 為替手数料:1万ドル × 25銭 = 2,500円
- 往復で5,000円
3. ドル決済(外貨決済)の仕組みとメリット・デメリット
ドル決済は、事前にドルを準備して米国株を購入する方法です。
(1) ドル決済の仕組み(事前ドル転)
ドル決済の流れ:
- 証券口座に円を入金
- 円→ドルに交換(ドル転)
- ドルで米国株を注文
- ドルで米国株を購入
(2) メリット:為替手数料が安い
メリット:
- 為替手数料を大幅に節約できる
- 住信SBIネット銀行利用時:片道4銭/ドル(業界最安水準)
- マネックス証券:買付時の為替手数料0銭
コスト例(1万ドル購入時、住信SBI利用):
- 為替手数料:1万ドル × 4銭 = 400円
- 往復で800円
円貨決済(往復5,000円)と比較すると、4,200円の節約になります。
(3) デメリット:為替取引を別途行う必要
デメリット:
- 為替取引を自分で行う必要がある
- 操作が複雑(初心者には少しハードルが高い)
- ドル資金の管理が必要
4. 為替手数料・スプレッドの比較
為替手数料は、証券会社により大きく異なります。
(1) 円貨決済の為替コスト(片道25銭〜)
証券会社 | 円貨決済の為替スプレッド(片道) |
---|---|
SBI証券 | 25銭/ドル |
楽天証券 | 25銭/ドル |
マネックス証券 | 25銭/ドル |
(2) ドル決済の為替コスト(片道4銭〜)
証券会社 | ドル決済の為替手数料(片道) | 備考 |
---|---|---|
SBI証券 | 4銭/ドル | 住信SBIネット銀行利用時 |
楽天証券 | 25銭/ドル | |
マネックス証券 | 0銭(買付時) | 売却時は25銭 |
※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社のウェブサイトをご確認ください。
(3) 投資額別の損益分岐点
例:1万ドル(150万円、為替レート150円/ドル)購入時
- 円貨決済(往復50銭): 5,000円
- ドル決済(住信SBI、往復8銭): 800円
- 節約額: 4,200円
投資額が大きくなるほど、ドル決済の節約効果が大きくなります。
5. 証券会社別の為替手数料と使い分け
証券会社により為替手数料体系が異なるため、自分の投資スタイルに合った証券会社を選びましょう。
(1) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の比較
証券会社 | 円貨決済 | ドル決済 | おすすめポイント |
---|---|---|---|
SBI証券 | 25銭 | 4銭(住信SBI利用時) | ドル決済なら業界最安 |
楽天証券 | 25銭 | 25銭 | 楽天ポイント活用 |
マネックス証券 | 25銭 | 0銭(買付時) | 買付時の為替手数料0銭 |
(2) 住信SBIネット銀行の外貨積立活用
SBI証券ユーザーは、住信SBIネット銀行の「外貨積立」を利用すると、為替手数料を片道2銭/ドルまで下げられます。
活用方法:
- 住信SBIネット銀行の口座開設
- 外貨積立サービスに申し込み
- 定期的にドルを積立(片道2銭/ドル)
- 積み立てたドルをSBI証券に移動して米国株購入
(3) 初心者 vs 中級者の使い分け
初心者(少額投資、年間50万円未満):
- 円貨決済で十分
- 操作が簡単で、為替コストも許容範囲内
中級者(大口投資、年間50万円以上):
- ドル決済を推奨
- 為替コストの節約効果が大きい
- 住信SBIネット銀行の活用でさらに節約可能
6. まとめ:円とドル、どちらで買うべきか
円貨決済とドル決済、どちらを選ぶかは投資額と投資経験により異なります。
次のアクション:
- 少額投資(年間50万円未満): 円貨決済で十分。操作が簡単で、為替コストも許容範囲内
- 大口投資(年間50万円以上): ドル決済を推奨。SBI証券+住信SBIネット銀行の組み合わせが最安
- 配当金の再投資: 外貨受取を選択し、ドルのまま再投資すると為替手数料を節約できる
- NISA口座: ドル決済を選ぶと為替コストを抑えられる
為替手数料は、長期投資においてリターンに大きく影響します。自分の投資スタイルに合った決済方法を選び、賢く米国株投資を始めましょう。