米国株は円かドルどっち?決済方法で変わる為替手数料を解説

公開日: 2025/10/19

米国株を買うとき、円とドルどちらで決済すればいいの?

米国株を初めて購入する際、「円で買うべきか、ドルで買うべきか」という疑問を持つ方は多いでしょう。証券会社の注文画面には「円貨決済」「外貨決済」という選択肢があり、どちらを選ぶかで為替手数料が大きく変わります。

この記事では、円貨決済とドル決済(外貨決済)の仕組み、それぞれのメリット・デメリット、為替手数料の比較、証券会社別の違い、そして使い分けのポイントを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 円貨決済は操作が簡単だが為替スプレッド(片道25銭前後)が高い
  • ドル決済は為替手数料が安い(片道4銭程度)が、事前にドル転が必要
  • 為替リスクは円貨決済でもドル決済でも同じ
  • 少額投資なら円貨決済、大口投資(50万円以上)ならドル決済が有利
  • 証券会社により為替手数料が大きく異なる

1. 米国株の決済通貨(円 vs ドル)の基礎知識

米国株を購入する際、決済通貨として「円」または「ドル」を選択できます。この選択により、為替手数料が変わります。

(1) 円貨決済とドル決済の違い

円貨決済:

  • 円で注文を出すと、証券会社が自動的にドルに交換して米国株を購入
  • 操作が簡単(為替取引を意識しなくてよい)
  • 為替スプレッドが高い(通常片道25銭/ドル前後)

ドル決済(外貨決済):

  • 事前に円をドルに交換し、ドルで注文を出して米国株を購入
  • 為替手数料が安い(住信SBIネット銀行利用時は片道4銭/ドル)
  • 為替取引を別途行う必要がある

(2) 為替リスクとは

為替リスクとは、為替レート(円とドルの交換比率)の変動により、投資価値が変わるリスクです。

重要:円貨決済でもドル決済でも、為替リスクは同じです。 米国株はドル建て資産なので、購入後の為替変動の影響は決済通貨に関わらず受けます。

(3) 円高・円安が投資に与える影響

円高の場合(例:1ドル=150円 → 140円):

  • ドル資産の円ベース評価額が減少
  • 株価が変わらなくても、円換算で損失が発生

円安の場合(例:1ドル=150円 → 160円):

  • ドル資産の円ベース評価額が増加
  • 株価が変わらなくても、円換算で利益が発生

2. 円貨決済の仕組みとメリット・デメリット

円貨決済は、証券会社が自動的に為替取引を行ってくれるため、操作が簡単です。

(1) 円貨決済の仕組み(自動為替変換)

円貨決済の流れ:

  1. 証券口座に円を入金
  2. 米国株を円で注文
  3. 証券会社が自動的に円→ドルに交換
  4. ドルで米国株を購入

(2) メリット:操作が簡単、ドル資金不要

メリット:

  • 為替取引を意識する必要がない
  • 円だけで取引が完結
  • 初心者でも簡単に始められる

(3) デメリット:為替スプレッドが高い

デメリット:

  • 為替スプレッドが高い(通常片道25銭/ドル前後)
  • 往復(購入時+売却時)で50銭/ドルのコストがかかる
  • 大口投資では為替コストが無視できない金額になる

コスト例(1万ドル購入時、為替レート150円/ドル):

  • 為替手数料:1万ドル × 25銭 = 2,500円
  • 往復で5,000円

3. ドル決済(外貨決済)の仕組みとメリット・デメリット

ドル決済は、事前にドルを準備して米国株を購入する方法です。

(1) ドル決済の仕組み(事前ドル転)

ドル決済の流れ:

  1. 証券口座に円を入金
  2. 円→ドルに交換(ドル転)
  3. ドルで米国株を注文
  4. ドルで米国株を購入

(2) メリット:為替手数料が安い

メリット:

  • 為替手数料を大幅に節約できる
  • 住信SBIネット銀行利用時:片道4銭/ドル(業界最安水準)
  • マネックス証券:買付時の為替手数料0銭

コスト例(1万ドル購入時、住信SBI利用):

  • 為替手数料:1万ドル × 4銭 = 400円
  • 往復で800円

円貨決済(往復5,000円)と比較すると、4,200円の節約になります。

(3) デメリット:為替取引を別途行う必要

デメリット:

  • 為替取引を自分で行う必要がある
  • 操作が複雑(初心者には少しハードルが高い)
  • ドル資金の管理が必要

4. 為替手数料・スプレッドの比較

為替手数料は、証券会社により大きく異なります。

(1) 円貨決済の為替コスト(片道25銭〜)

証券会社 円貨決済の為替スプレッド(片道)
SBI証券 25銭/ドル
楽天証券 25銭/ドル
マネックス証券 25銭/ドル

(2) ドル決済の為替コスト(片道4銭〜)

証券会社 ドル決済の為替手数料(片道) 備考
SBI証券 4銭/ドル 住信SBIネット銀行利用時
楽天証券 25銭/ドル
マネックス証券 0銭(買付時) 売却時は25銭

※2025年10月時点の情報です。最新情報は各証券会社のウェブサイトをご確認ください。

(3) 投資額別の損益分岐点

例:1万ドル(150万円、為替レート150円/ドル)購入時

  • 円貨決済(往復50銭): 5,000円
  • ドル決済(住信SBI、往復8銭): 800円
  • 節約額: 4,200円

投資額が大きくなるほど、ドル決済の節約効果が大きくなります。

5. 証券会社別の為替手数料と使い分け

証券会社により為替手数料体系が異なるため、自分の投資スタイルに合った証券会社を選びましょう。

(1) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の比較

証券会社 円貨決済 ドル決済 おすすめポイント
SBI証券 25銭 4銭(住信SBI利用時) ドル決済なら業界最安
楽天証券 25銭 25銭 楽天ポイント活用
マネックス証券 25銭 0銭(買付時) 買付時の為替手数料0銭

(2) 住信SBIネット銀行の外貨積立活用

SBI証券ユーザーは、住信SBIネット銀行の「外貨積立」を利用すると、為替手数料を片道2銭/ドルまで下げられます。

活用方法:

  1. 住信SBIネット銀行の口座開設
  2. 外貨積立サービスに申し込み
  3. 定期的にドルを積立(片道2銭/ドル)
  4. 積み立てたドルをSBI証券に移動して米国株購入

(3) 初心者 vs 中級者の使い分け

初心者(少額投資、年間50万円未満):

  • 円貨決済で十分
  • 操作が簡単で、為替コストも許容範囲内

中級者(大口投資、年間50万円以上):

  • ドル決済を推奨
  • 為替コストの節約効果が大きい
  • 住信SBIネット銀行の活用でさらに節約可能

6. まとめ:円とドル、どちらで買うべきか

円貨決済とドル決済、どちらを選ぶかは投資額と投資経験により異なります。

次のアクション:

  • 少額投資(年間50万円未満): 円貨決済で十分。操作が簡単で、為替コストも許容範囲内
  • 大口投資(年間50万円以上): ドル決済を推奨。SBI証券+住信SBIネット銀行の組み合わせが最安
  • 配当金の再投資: 外貨受取を選択し、ドルのまま再投資すると為替手数料を節約できる
  • NISA口座: ドル決済を選ぶと為替コストを抑えられる

為替手数料は、長期投資においてリターンに大きく影響します。自分の投資スタイルに合った決済方法を選び、賢く米国株投資を始めましょう。

よくある質問

Q1円貨決済とドル決済、どちらが安いですか?

A1ドル決済の方が為替コストが安くなります。円貨決済は為替スプレッドが片道25銭前後ですが、ドル決済なら住信SBIネット銀行を利用すると片道4銭程度に抑えられます。1万ドル(約150万円)購入時の往復為替コストは、円貨決済で約5,000円、ドル決済(住信SBI利用)で約800円となり、約4,200円の節約になります。

Q2初心者は円とドル、どちらで買うべきですか?

A2少額投資(年間50万円未満)なら円貨決済がおすすめです。操作が簡単で、為替取引を意識する必要がありません。一方、大口投資(年間50万円以上)を行う場合は、ドル決済の方が為替コストを大幅に節約できるため、ドル決済を推奨します。投資に慣れてきたら、ドル決済に切り替えるのも良いでしょう。

Q3為替リスクは円貨決済とドル決済で違いますか?

A3いいえ、どちらの決済方法でも為替リスクは同じです。米国株はドル建て資産なので、購入後の為替変動の影響は決済通貨に関わらず受けます。円高になれば円ベースの評価額は減少し、円安になれば増加します。決済方法の違いは、為替リスクではなく、為替手数料の違いです。

Q4配当金はどちらの通貨で受け取れますか?

A4円貨受取または外貨受取(ドル受取)を選択できます。外貨受取を選択すると、配当金をドルのまま受け取れるため、配当金を再投資する際の為替手数料を節約できます。円貨受取を選択すると、自動的にドルから円に交換されますが、為替手数料がかかります。

Q5NISA口座でも円貨決済とドル決済を選べますか?

A5はい、NISA口座でも円貨決済とドル決済の両方を選択できます。NISA口座で米国株を購入する場合も、ドル決済を選ぶと為替コストを抑えられます。ただし、NISA口座の非課税メリットは決済通貨に関わらず受けられます。

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