4月の米国株投資戦略|決算シーズンと季節性を徹底解説

公開日: 2025/10/20

4月の米国株、どんな特徴があるの?

「米国株 4月」と検索する投資家の多くは、4月の市場特性や季節性パターンを理解し、投資戦略に活かしたいと考えています。4月は第1四半期決算シーズンが本格化し、税還付金の市場流入も見込まれる月です。一方で、「セル・イン・メイ(5月に売れ)」という有名な投資格言の前月でもあり、投資家の関心が高まります。

この記事では、4月の米国株市場の歴史的パフォーマンス、主要イベント(決算発表・経済指標)、セクター別傾向を分析し、長期投資家と短期トレーダーそれぞれの視点から投資戦略を解説します。

この記事のポイント:

  • 4月のS&P500は歴史的に比較的好調な月(ただし年により変動)
  • 第1四半期決算シーズンが本格化、大型株の決算は市場に大きな影響
  • 税還付金の流入が個人投資家の資金となり、株価押し上げ要因に
  • 「セル・イン・メイ」の前月だが、長期投資家には特別な対応は不要
  • 季節性はあくまで参考情報、過去のパターンが将来を保証するわけではない

1. 4月の米国株市場を理解する重要性

(1) 季節性とアノマリー

株式市場には「季節性(Seasonal Patterns)」や「アノマリー(Market Anomaly)」と呼ばれる、特定の時期に繰り返される傾向が統計的に観察されます。アノマリーは理論的な根拠が明確でないものの、長期的なデータで一定の規則性が見られる現象です。

4月の米国株市場には、以下のような特徴があると言われています:

  • 第1四半期(1-3月期)決算発表の本格化
  • 米国の確定申告期限(通常4月15日)後の税還付金流入
  • 「セル・イン・メイ」格言の前月としての位置づけ

ただし、季節性はあくまで過去の統計であり、将来のパフォーマンスを保証するものではない点を理解しておきましょう。

(2) 「セル・イン・メイ」の前月

「Sell in May and Go Away(5月に売って、去れ)」は、米国株式市場の有名な投資格言です。これは、5月から9月(夏場)の株式市場のパフォーマンスが、10月から4月に比べて低い傾向があるという観察に基づいています。

Stock Trader's Almanac等の研究によると、過去数十年間の統計では、この傾向は一定程度確認されています。ただし、近年は必ずしも当てはまらない年も多く、長期投資家にとっては気にする必要は少ないとされます。

4月はこの格言の「最後の好調月」として、投資家の注目を集める傾向があります。

(3) 本記事の構成

以下の流れで解説します:

  1. 歴史的パフォーマンス: 4月のS&P500リターンデータ
  2. 主要イベント: 決算、税還付金、経済指標
  3. セクター別傾向: どのセクターが4月に強いか
  4. 投資戦略: 長期投資家と短期トレーダーの対応

2. 4月の歴史的パフォーマンス

(1) S&P500の月別リターン(過去データ)

S&P Dow Jones Indicesが公表する過去数十年のデータによると、S&P500指数の月別平均リターンには一定の傾向が見られます。

一般的に、4月は以下のような特徴があると言われています:

  • 12ヶ月の中で中程度から上位のパフォーマンス
  • 上昇した年の比率が比較的高い(勝率が高め)
  • 平均リターンはプラス圏

具体的な数値は期間の取り方により異なりますが、楽天証券やSBI証券のレポートでも、4月は比較的好調な月として紹介されることが多いです。

(2) 4月は比較的好調な月

4月が好調な理由として、以下の要因が挙げられます:

  • 第1四半期決算への期待: 企業業績が好調な場合、市場にポジティブな影響
  • 税還付金: 米国の確定申告期限(Tax Day: 通常4月15日)後、個人投資家への税還付金が株式市場に流入
  • 春の楽観的ムード: 年初来のパフォーマンスが良好な年は、投資家心理が前向きに

ただし、これらの要因が必ず株価上昇につながるわけではありません。

(3) 過去のパターンは将来を保証しない

投資において最も重要なのは、過去の季節性パターンが必ずしも将来に当てはまるわけではないという認識です。

4月が好調だった過去のデータがあっても、以下のような要因で結果は大きく変わります:

  • 経済環境の変化(景気後退、インフレ、金利動向)
  • 地政学リスク(戦争、貿易摩擦)
  • 企業決算の内容(予想を上回るか下回るか)
  • FRBの金融政策

季節性はあくまで参考情報として捉え、最新の市場動向や経済指標に基づいて投資判断を行うことが大切です。

(4) 年度による変動

4月のパフォーマンスは年により大きく異なります。例えば:

  • 好調だった年: 企業決算が予想を上回り、市場全体が上昇
  • 低調だった年: 地政学リスク、金融政策の急変、決算失望で下落

日本経済新聞やBloombergなどの過去の市場分析を参照すると、4月の変動幅は他の月と同様に大きいことが分かります。

3. 4月の主要イベント(決算・経済指標)

(1) 第1四半期決算シーズン本格化

4月は、米国企業の第1四半期(Q1: 1-3月期)決算発表が本格化する時期です。

決算発表の主なスケジュール:

  • 4月中旬~下旬: 大型株(GAFAM等)の決算発表が集中
  • 決算発表前後は株価の変動が大きくなる傾向

決算で注目すべきポイント:

  • 売上高・利益: 予想を上回るか下回るか(サプライズ)
  • ガイダンス: 次四半期・通期の業績見通し
  • 経営陣のコメント: 市場環境、競合状況、戦略の変化

Yahoo Financeの経済カレンダーで、主要企業の決算発表日を事前にチェックしておくと良いでしょう。

(2) 税還付金の市場への影響

米国の確定申告期限(Tax Day)は通常4月15日です。申告後、税還付金(Tax Refund)が納税者に返還されます。

税還付金の影響:

  • 個人投資家への現金流入
  • 株式市場への資金流入(歴史的に4月の株価押し上げ要因の一つ)
  • 消費の増加(消費関連セクターにもプラス)

ただし、近年は税還付金の市場への影響は以前より小さくなっているという指摘もあります。デジタル化により還付のタイミングが早まったこと、401(k)などの確定拠出年金が普及し、個別株投資の比率が低下したことが背景です。

(3) 雇用統計・消費者物価指数等

4月には以下の主要経済指標が発表されます:

  • 雇用統計(NFP: Non-Farm Payrolls): 毎月第1金曜日
  • 消費者物価指数(CPI): 毎月中旬
  • 小売売上高: 毎月中旬
  • FRB議長の講演: 市場への影響大

経済指標が市場予想を大きく上回ったり下回ったりすると、株価は急変動することがあります。SBI証券やマネックス証券の経済カレンダーで、発表日時を確認しておきましょう。

(4) FOMC会合(年により開催)

FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)会合は、年8回(約6週間ごと)開催されます。4月に開催される年もあれば、開催されない年もあります。

FOMC会合では政策金利の決定が行われ、その後の議事要旨や議長記者会見は市場に大きな影響を与えます。

4. セクター別の傾向

(1) テクノロジーセクター(決算期待)

テクノロジーセクターは、4月の決算シーズンで特に注目されます。GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)等の大型テック企業の決算は、市場全体に大きな影響を与えます。

4月のテクノロジーセクター傾向:

  • 決算内容が良好な場合、セクター全体が上昇
  • AI関連の成長見通しが注目される(2024年以降)
  • ただしバリュエーションが高いため、決算失望時の下落も大きい

(2) 金融セクター(金利動向)

金融セクター(銀行、保険、証券)は、金利動向と密接に関係します。

4月の金融セクター傾向:

  • FRBの金融政策発表がある場合、株価変動が大きくなる
  • 大手銀行の決算発表も4月中旬に集中
  • 金利上昇局面では利ざや拡大で業績改善期待

(3) 消費財セクター(税還付金効果)

消費財セクター(小売、日用品等)は、税還付金の恩恵を受けやすいと言われています。

4月の消費財セクター傾向:

  • 税還付金による消費増加が期待される
  • 小売売上高などの経済指標が好調な場合、セクター全体が上昇
  • ただし、近年は税還付金の影響が薄れているとの指摘も

(4) セクター傾向は年により異なる

重要なのは、セクター別の傾向は年により大きく異なるという点です。

過去のデータで「4月はテクノロジーが強い」という傾向があっても、その年の経済環境や企業業績により、全く異なる結果になることもあります。

MorningstarやBloombergのセクター分析レポートを参考に、最新の市場動向を確認することをおすすめします。

5. 4月の投資戦略

(1) 「セル・イン・メイ」への対応

「セル・イン・メイ」格言に基づき、4月中に株式を売却して5月から9月は現金保有、10月に再び買い戻すという戦略があります。

この戦略のメリット:

  • 歴史的に夏場のパフォーマンスが低い傾向を回避
  • 資金を一時的に安全資産(現金、債券)に移せる

この戦略のデメリット:

  • 売買手数料や税金(キャピタルゲイン課税)がかかる
  • 夏場に株価が上昇した場合、機会損失
  • 市場タイミングを狙う戦略は難しく、失敗リスクが高い

長期投資家の視点: 長期投資を基本とする投資家にとって、「セル・イン・メイ」を気にして売買を繰り返すことはおすすめできません。市場タイミングを狙うより、分散投資と長期保有が安全です。

(2) 決算発表を確認

4月は決算シーズンなので、保有銘柄の決算内容を必ず確認しましょう。

決算確認のポイント:

  • 売上・利益が予想を上回ったか下回ったか
  • 次四半期・通期のガイダンスは楽観的か慎重か
  • 経営陣のコメント(市場環境、競争状況)

決算が予想を大きく下回った場合、ポートフォリオの見直しが必要なケースもあります。ただし、短期的な決算失望で慌てて売却するのではなく、企業の長期的な競争優位性を評価することが大切です。

(3) 長期投資家は特別な対応不要

長期投資を基本とする投資家にとって、4月だからといって特別な対応は不要です。

長期投資家の基本戦略:

  • 定期的な積立投資(ドルコスト平均法)を継続
  • ポートフォリオのリバランスを年1-2回実施
  • 市場の短期的な変動に惑わされない
  • NISA口座を活用して税制メリットを享受

季節性やアノマリーは、あくまで参考情報として理解し、長期的な資産形成を優先しましょう。

(4) 短期トレードのリスク

季節性を利用した短期トレード(4月に買って5月に売る等)は、リスクが高い戦略です。

短期トレードのリスク:

  • 市場タイミングを正確に予測するのは非常に難しい
  • 取引コスト(手数料、税金)が利益を圧迫
  • 予想と反対に動いた場合、損失が拡大

短期トレードを行う場合は、リスクを十分理解し、資金の一部のみで行うことをおすすめします。

6. まとめ:季節性は参考情報、長期投資が基本

4月の米国株市場は、歴史的に比較的好調な月とされ、第1四半期決算シーズンの本格化や税還付金の流入が特徴です。「セル・イン・メイ」格言の前月としても注目されます。

しかし、過去の季節性パターンは将来を保証するものではなく、経済環境や企業業績により結果は大きく変わります。

4月の投資で重要なポイント:

  • 季節性はあくまで参考情報として理解する
  • 決算発表の内容を確認し、保有銘柄を評価する
  • 長期投資家は特別な対応不要、積立投資を継続
  • 短期的な市場タイミングを狙う戦略はリスクが高い
  • NISA口座を活用して、税制メリットを最大化

次のアクション:

  • Yahoo Financeで主要企業の決算発表日をチェック
  • SBI証券・楽天証券の経済カレンダーで経済指標発表日を確認
  • ポートフォリオのリバランスを検討(年1-2回が目安)
  • 長期投資の基本を守り、市場の短期変動に惑わされない

投資判断は自己責任で行い、ご自身の投資方針やリスク許容度に合った選択をしましょう。

よくある質問

Q1「セル・イン・メイ」は本当?

A15月から9月の株式市場は、歴史的に10月から4月に比べてパフォーマンスが低い傾向があります。ただし年により異なり、必ず当てはまるわけではありません。長期投資家にとっては、短期的な市場タイミングを狙うより、分散投資と長期保有が安全です。

Q2税還付金の影響は?

A2米国の確定申告期限(通常4月15日)後、税還付金が個人投資家に流入する傾向があります。過去のデータでは、これが4月の株価押し上げ要因の一つとされています。ただし、近年は影響が薄れているという指摘もあります。

Q34月の決算シーズンとは?

A3第1四半期(1-3月期)決算が4月中旬から本格化します。GAFAM等の大型テック企業の決算は市場全体に大きな影響を与えます。決算発表前後は株価の変動が大きくなるため、保有銘柄の決算内容を必ず確認しましょう。

Q4日本のGWとの関係は?

A4日本のゴールデンウィーク(4月末-5月初)は米国市場に直接影響しません。米国市場は通常通り開場しています。ただし、日本の投資家の取引が少なくなる可能性があります。日本の休場日と米国の取引日を事前に確認しておきましょう。

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