米国株とは|日本株との違いとメリット・デメリット完全ガイド

公開日: 2025/10/20

米国株とは何か?投資する価値はあるのか

「米国株」という言葉を耳にする機会が増えていますが、「そもそも米国株って何?日本株と何が違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

米国株とは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQなど、アメリカの証券取引所に上場している企業の株式のことです。Apple、Microsoft、Googleなど、世界的な企業に投資できることから、日本でも個人投資家の間で人気が高まっています。

この記事では、米国株の基礎知識、日本株との違い、投資するメリット・デメリット、日本からの投資方法をわかりやすく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株は米国市場(NYSE・NASDAQ等)に上場している企業の株式
  • 日本株と違い、1株から購入可能で、取引時間は日本時間の夜間~早朝
  • 世界的企業に投資でき、配当文化が根付いている点が魅力
  • 為替リスク、配当の二重課税、情報収集の難しさがデメリット
  • SBI証券・楽天証券などのネット証券で日本から投資可能

米国株の基礎知識:日本株との違い

米国株は日本株と多くの点で異なります。まずは基本的な違いを理解しましょう。

(1) 米国株の定義(NYSE・NASDAQ上場株式)

米国株とは、アメリカの証券取引所に上場している企業の株式を指します。主な取引所は以下の2つです:

  • NYSE(ニューヨーク証券取引所): 世界最大の証券取引所。伝統的な大企業が多く上場
  • NASDAQ(ナスダック): 電子取引所。テクノロジー企業が多く上場

これらの取引所に上場している企業の株式を購入することで、米国株投資ができます。

(2) 日本株との違い①:取引時間(日本時間の夜間~早朝)

米国市場の取引時間は、米国東部時間の9:30~16:00です。日本時間に換算すると:

期間 日本時間
通常期(11月~3月) 23:30~翌6:00
サマータイム(3月~11月) 22:30~翌5:00

日本の夜間から早朝にかけて取引が行われるため、会社員の方でも仕事後に取引できます。ただし、リアルタイムで取引するには夜更かしが必要になる場合もあります。

(3) 日本株との違い②:1株から購入可能

日本株は通常100株単位での取引ですが、米国株は1株から購入可能です。

例:Apple(AAPL)に投資する場合

  • 株価: 180ドル(為替レート150円とすると約27,000円)
  • 必要資金: 約27,000円(1株から購入可能)

少額からでも世界的企業の株主になれるため、初心者でも始めやすいのが特徴です。

(4) 日本株との違い③:配当文化の違い(四半期配当)

米国企業の多くは**年4回(四半期ごと)**配当を支払います。日本企業は年1~2回が一般的です。

項目 米国株 日本株
配当頻度 年4回(四半期) 年1~2回
配当文化 株主還元を重視 近年増加傾向
連続増配 長期連続増配企業が多数 比較的少ない

米国には50年以上連続で増配している企業(配当貴族)も存在し、安定した配当収入を得られる可能性があります。

(5) 主要株価指数(S&P500・ダウ平均・NASDAQ)

米国市場の動向を示す主要な株価指数:

  • S&P 500: 米国の代表的な大型株500銘柄で構成。市場全体を反映
  • ダウ平均(ダウ・ジョーンズ工業株平均): 優良30銘柄で構成。歴史ある指数
  • NASDAQ総合指数: NASDAQ上場の全銘柄。ハイテク株の動向を反映

これらの指数に連動するETFに投資することで、米国市場全体に分散投資できます。

米国株に投資するメリット

米国株への投資には、日本株にはない魅力がいくつもあります。

(1) 世界的企業に投資できる(Apple・Google・Microsoft等)

米国株の最大の魅力は、世界をリードする企業に投資できることです。

代表的な米国企業:

  • Apple(AAPL): iPhone、Macを展開する世界最大級のテクノロジー企業
  • Microsoft(MSFT): Windows、Azure、Office製品を提供
  • Alphabet(GOOGL): Googleの親会社、検索エンジン・広告事業
  • Amazon(AMZN): 世界最大のEコマース企業
  • Tesla(TSLA): 電気自動車・自動運転技術のリーダー

これらの企業は日常生活で利用しているサービスを提供しており、事業内容を理解しやすい点も初心者にとってメリットです。

(2) 市場規模が大きい(世界最大の株式市場)

米国株式市場は世界最大の時価総額を誇ります。

主要市場の時価総額(2024年時点の概算):

市場 時価総額
米国(NYSE + NASDAQ) 約50兆ドル
日本(東京証券取引所) 約6兆ドル
中国(上海・深セン) 約10兆ドル

市場規模が大きいため、流動性が高く、売買がスムーズに行えます。

(3) 配当利回りが高い企業が多い

米国には、高配当かつ長期連続増配を続ける優良企業が多数存在します。

配当貴族(S&P 500 Dividend Aristocrats):

  • S&P 500構成銘柄のうち、25年以上連続増配している企業
  • 約60社が該当(2024年時点)
  • 例: Coca-Cola、Johnson & Johnson、Procter & Gamble

配当収入を重視する投資家にとって、魅力的な選択肢が豊富です。

(4) 長期的な成長性(過去の株価推移)

米国株式市場は、長期的に見て安定した成長を続けてきました。

S&P 500の長期パフォーマンス(過去の傾向):

  • 過去100年以上にわたり右肩上がりの成長
  • 年平均リターン約10%(配当再投資込み)
  • リーマンショック、コロナショックなどの危機を乗り越えて回復

※過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(5) 分散投資によるリスク低減

日本株だけに投資していると、日本経済の影響を大きく受けます。米国株を組み入れることで、地理的な分散投資が実現できます。

分散投資のメリット:

  • 日本経済が低迷しても、米国経済が好調ならリスクを相殺
  • 為替の変動により、円安時には資産価値が上昇
  • 複数国・複数通貨に資産を分散することでリスクを低減

米国株投資のデメリット・リスク

米国株投資には魅力がある一方で、デメリットやリスクもあります。投資前に理解しておきましょう。

(1) 為替リスク(ドル円レートの変動)

米国株はドル建てで取引されるため、為替レートの変動が投資成果に影響します。

例:株価は上昇したが、円高で損失が出るケース

時点 株価 為替レート 円換算
購入時 100ドル 150円/ドル 15,000円
売却時 110ドル 130円/ドル 14,300円
結果 +10% -13.3% -700円の損失

株価が上昇しても、円高になると円換算での利益が減少または損失になる可能性があります。

(2) 配当の二重課税(米国10% + 日本20.315%)

米国株の配当金には、米国と日本で二重に課税されます。

課税段階 税率
米国での源泉徴収 10%
日本での課税 20.315%

外国税額控除を利用すれば米国で課税された分を一部取り戻せますが、確定申告が必要です。NISA口座を利用すれば、日本の税金(20.315%)は非課税になります。

(3) 情報収集の難しさ(英語の壁)

米国企業の決算資料や公式発表は英語です。日本語の情報もありますが、限定的で遅れる場合があります。

情報収集の課題:

  • 決算報告(10-K、10-Q)は英語
  • ニュースやアナリストレポートも英語が中心
  • 日本語情報は大手企業に偏る

英語が苦手な方は、証券会社が提供する日本語の分析レポートや、日本語で情報発信している投資メディアを活用しましょう。

(4) 取引時間が日本時間の夜間~早朝

米国市場の取引時間は日本の夜間から早朝です。リアルタイムで取引する場合、生活リズムへの影響があります。

対策:

  • 指値注文を事前に出しておく
  • 長期投資を前提に、頻繁な売買を避ける
  • アフターマーケットの利用(一部証券会社で対応)

(5) カントリーリスク(米国の政治・経済動向)

米国の政治・経済動向が株価に影響します。

リスク要因:

  • 大統領選挙による政策変更
  • FRB(連邦準備制度)の金利政策
  • 中国との貿易摩擦
  • 規制強化(テクノロジー企業への独占禁止法など)

分散投資やETFの活用で、個別企業リスクを軽減することができます。

日本から米国株に投資する方法

日本から米国株に投資するのは難しくありません。主要なネット証券で簡単に始められます。

(1) 証券口座の開設(SBI・楽天・マネックス等)

米国株を取り扱っている主要なネット証券:

  • SBI証券: 取扱銘柄数が多い(約5,000銘柄)
  • 楽天証券: 楽天ポイントが貯まる・使える
  • マネックス証券: 時間外取引に対応

口座開設は無料で、オンラインで完結します。本人確認書類(免許証・マイナンバーカード等)があれば、数日で開設できます。

(2) 為替手数料と取引手数料の確認

米国株取引には、為替手数料と取引手数料がかかります。

為替手数料(円→ドル):

  • SBI証券: 1ドルあたり0.25円(住信SBIネット銀行経由なら0.04円)
  • 楽天証券: 1ドルあたり0.25円
  • マネックス証券: 1ドルあたり0.25円(買付時無料キャンペーンあり)

取引手数料:

  • 多くの証券会社で約定代金の0.45%程度(上限あり)
  • 最低手数料0ドルの証券会社もあり

手数料を比較して、自分に合った証券会社を選びましょう。

(3) NISA口座の活用(非課税枠の利用)

NISA口座を利用すれば、日本の税金(20.315%)が非課税になります。

新NISA(2024年~):

  • つみたて投資枠: 年間120万円まで
  • 成長投資枠: 年間240万円まで
  • 非課税保有期間: 無期限

米国株やETFもNISA対象です。長期投資を考えている方は、NISA口座の活用をおすすめします。

(4) 初めての銘柄選び(大型株から始める)

初心者の方は、以下のような銘柄から始めるのがおすすめです:

  • S&P 500連動ETF: VOO、SPYなど(米国市場全体に分散投資)
  • 大型優良株: Apple(AAPL)、Microsoft(MSFT)など
  • 配当貴族: Coca-Cola(KO)、Johnson & Johnson(JNJ)など

個別株よりもETFの方がリスク分散ができるため、まずはETFから始めて、慣れてきたら個別株に挑戦するのが良いでしょう。

まとめ:米国株投資を始める前に知っておくべきこと

米国株は、世界的企業に投資でき、1株から購入可能、配当文化が根付いているなど、多くの魅力があります。一方で、為替リスク、二重課税、情報収集の難しさといったデメリットもあります。

次のアクション:

  • SBI証券・楽天証券など主要ネット証券で口座を開設する
  • NISA口座を活用して税制優遇を受ける
  • 最初はS&P 500連動ETFなど、分散投資ができる商品から始める
  • 為替リスクを理解し、長期的な視点で投資する

米国株投資は、リスクを理解した上で適切に分散投資すれば、資産形成の有力な選択肢となります。まずは少額から始めて、経験を積んでいきましょう。

よくある質問

Q1米国株と日本株、どちらがいいですか?

A1どちらが良いかは投資目的次第です。米国株は世界的企業に投資でき、長期的な成長性が期待できます。日本株は為替リスクがなく、情報収集がしやすいです。理想的なのは、両方に分散投資してリスクを分散することです。

Q2米国株は1株から買えますか?

A2買えます。日本株は通常100株単位ですが、米国株は1株から購入可能です。例えば、Appleの株価が180ドル(約27,000円)なら、約27,000円で株主になれます。少額からでも世界的企業に投資できる点が魅力です。

Q3米国株の配当金にかかる税金はどれくらいですか?

A3米国で10%源泉徴収された後、日本で20.315%課税されます(二重課税)。外国税額控除を利用すれば米国で課税された分を一部取り戻せますが、確定申告が必要です。NISA口座なら日本の税金(20.315%)は非課税になります。

Q4米国株はどの証券会社で買えますか?

A4SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、主要ネット証券で購入可能です。取扱銘柄数、手数料、ポイント還元などを比較して選びましょう。口座開設は無料で、オンラインで完結します。

関連記事