米国株の損益通算とは?確定申告で税金還付を受ける方法
「米国株で損失が出たけれど、税金を取り戻せるの?」と疑問に思っている方は多いでしょう。実は、米国株の譲渡損失は他の株式等の譲渡益と損益通算できます。
この記事では、米国株の損益通算の仕組みと、確定申告で税金還付を受ける方法を解説します。
この記事のポイント:
- 米国株の譲渡損失は日本株等の譲渡益と損益通算できる
- 損失は3年間繰越可能(繰越控除)
- NISA口座の損失は損益通算の対象外
- 特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告が必要
1. 米国株の損益通算で税金を取り戻せる理由
米国株を売却して損失が出た場合、その損失を他の株式等の利益と相殺することで、課税所得を減らし、納めた税金の一部を還付してもらえます。
これが損益通算の仕組みです。特に、複数の証券会社で取引している場合や、米国株と日本株の両方を保有している場合は、損益通算を活用することで節税効果が大きくなります。
2. 損益通算の仕組みと対象となる損益
(1) 損益通算とは何か(利益と損失を相殺)
損益通算とは、株式等の譲渡益(利益)と譲渡損失(損失)を相殺して、課税所得を減らす制度です。
例:
- A証券で米国株の譲渡損失: -50万円
- B証券で日本株の譲渡益: +100万円
- 損益通算後の課税所得: 50万円(100万円 - 50万円)
(2) 対象となる損益(株式等の譲渡損益)
損益通算の対象となるのは、以下の株式等の譲渡損益です:
- 米国株の譲渡損益
- 日本株の譲渡損益
- ETF・投資信託の譲渡損益
(3) 対象外の損益(NISA口座の損失は対象外)
NISA口座の損失は損益通算の対象外です。NISA口座は譲渡益・配当が非課税である一方、損失も税務上ないものとして扱われます。
3. 米国株の損失と他の株式等の利益を相殺する方法
(1) 米国株の譲渡損失と日本株の譲渡益を通算
米国株で損失が出た場合、日本株の譲渡益と損益通算できます:
例:
- 米国株の譲渡損失: -30万円
- 日本株の譲渡益: +80万円
- 課税所得: 50万円(80万円 - 30万円)
- 税金: 約10.2万円(50万円 × 20.315%)
損益通算しなかった場合の税金は約16.3万円(80万円 × 20.315%)なので、約6.1万円の節税になります。
(2) 配当所得との損益通算(申告分離課税選択時)
米国株の配当金と譲渡損失を損益通算することも可能ですが、配当を申告分離課税で申告する必要があります。
(3) 特定口座と一般口座の取扱いの違い
口座種類 | 損益通算の方法 |
---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 証券会社が自動計算。ただし他社口座との損益通算は確定申告が必要 |
特定口座(源泉徴収なし) | 確定申告で損益通算 |
一般口座 | 確定申告で損益通算 |
4. 損失の繰越控除 - 3年間の繰越し
(1) 繰越控除とは何か
損失が利益を上回った場合、控除しきれない損失を翌年以降に繰り越せます。これが繰越控除です。
例:
- 2024年: 米国株の譲渡損失 -100万円
- 2025年: 日本株の譲渡益 +50万円
- 2025年の課税所得: 0円(50万円 - 100万円の繰越分)
- 2026年に繰り越す損失: -50万円
(2) 3年間繰り越せる仕組み
損失は最大3年間繰り越せます。ただし、毎年確定申告が必要です。
(3) 確定申告が必須(申告しないと権利消失)
特定口座(源泉徴収あり)でも、繰越控除を受けるには確定申告が必須です。申告しないと繰越の権利が消失するので注意しましょう。
5. 確定申告の手順と必要書類
(1) 特定口座年間取引報告書の確認
証券会社から発行される特定口座年間取引報告書を確認します。この報告書には、年間の譲渡損益が記載されています。
(2) 確定申告書の記入方法
確定申告書(第三表)に以下を記入します:
- 株式等の譲渡所得
- 損益通算後の課税所得
- 源泉徴収税額
(3) e-Taxでの申告手順
e-Tax(国税電子申告システム)を使えば、オンラインで確定申告ができます。特定口座年間取引報告書のデータを読み込めば、自動計算されます。
※2025年10月時点の税制です。最新情報は国税庁のウェブサイトをご確認ください。
6. まとめ: 損益通算で税金還付を受けるために
米国株の譲渡損失は、日本株等の譲渡益と損益通算できます。損失は3年間繰越可能ですが、毎年確定申告が必要です。
次のアクション:
- 特定口座年間取引報告書を確認する
- 損益通算できる損失・利益を整理する
- e-Taxで確定申告を行う
- 繰越控除を受ける場合は毎年申告する
損益通算を活用して、税金の還付を受けましょう。税務に関する詳細は、税理士や国税庁の相談窓口にご確認ください。