米国株投資はやめとけと言われる理由と対策|完全解説

公開日: 2025/10/19

米国株投資を検討しているけれど、周りから「やめとけ」と言われて不安

米国株投資に興味を持つと、必ずと言っていいほど「やめとけ」という声を耳にします。「為替リスクが怖い」「税金が複雑」「値幅制限がないから危険」など、ネガティブな意見が多く聞かれます。

しかし、米国は世界最大の株式市場で、AppleやMicrosoft、Amazonなどの世界的優良企業に投資できる魅力もあります。この記事では、「やめとけ」と言われる理由を客観的に分析し、そのリスクをどう軽減するかまで、実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株が「やめとけ」と言われる5つの理由(為替・税金・値幅制限・手数料・情報収集)
  • 一方で米国株には高い流動性と長期リターンのメリットがある
  • リスク軽減策は分散投資・長期保有・ドルコスト平均法
  • 短期売買や個別株集中投資は失敗パターン
  • 初心者はS&P500連動の投資信託から始めるべき

米国株が「やめとけ」と言われる5つの理由

米国株投資に対するネガティブな意見には、一定の根拠があります。

(1) 為替リスク(円高で株価上昇でも損失)

米国株は米ドル建てで取引されるため、為替変動の影響を強く受けます。

為替リスクの実例:

  • 株価10%上昇しても、円高10%なら利益ゼロ
  • 1ドル=150円から130円に円高になれば、約13%の損失

三井住友DSアセットマネジメントの分析でも、リスクオフ局面では米株安と円高のダブルパンチになりやすいと指摘されています。

(2) 配当二重課税(米国10%+日本20.315%)

米国株の配当金には、米国で10%、日本で20.315%の二重課税がかかります。

配当金への課税:

口座種類 米国課税 日本課税 実質手取り
課税口座 10% 20.315% 約71.7%
NISA口座 10% 0% 90%

課税口座では外国税額控除で米国分の一部を取り戻せますが、NISA口座では適用外です。

(3) 値幅制限なし(1日で大きく変動)

日本株には1日の値幅制限がありますが、米国株にはありません。

2025年4月の関税ショック時には、VIX指数が19の高水準に達し、株価が大きく変動しました。1日で10-20%変動することもあり、心理的な負担が大きいのが現実です。

(4) 手数料負担(売買・為替・現地取引費用)

米国株投資には複数の手数料がかかります。

手数料の内訳:

  • 売買手数料: 約定代金の0.45%(証券会社により無料化も)
  • 為替手数料: 片道25銭(1ドルあたり)
  • 現地取引費用: SEC Fee等

楽天証券の分析では、少額短期投資では手数料が利益を圧迫するケースが多いと指摘されています。

(5) 情報収集の困難(英語・時差・日本語情報の少なさ)

米国株投資では、英語の決算書やニュースを理解する必要があります。また、取引時間は日本時間の深夜(23:30-6:00)となり、リアルタイムで対応するのが難しい場合もあります。

米国株投資のメリット(反論も含めて)

「やめとけ」と言われる一方で、米国株には大きなメリットもあります。

(1) 世界最大の市場・高い流動性

米国株式市場は世界最大の規模と流動性を持ち、取引がスムーズに行えます。

(2) GAFAM等の世界的優良企業に投資可能

Apple、Microsoft、Amazon、Google、Metaなど、世界をリードする企業に投資できます。

(3) 長期リターンの高さ(S&P500は年率約10%)

S&P500指数の過去30年の年率リターンは約10%と、日本株(TOPIX: 約4%)を大きく上回っています。

リスクを最小化する具体的対策

リスクは正しい方法で軽減できます。

(1) 分散投資(インデックスファンド・ETF活用)

個別株ではなく、S&P500やNASDAQ100に連動するインデックスファンドを選びましょう。

(2) 長期保有(15-20年以上で為替リスク軽減)

長期保有すれば、為替変動は平準化される傾向があります。

(3) ドルコスト平均法(積立投資で購入時期分散)

毎月一定額を積み立てることで、購入価格を平準化できます。

米国株投資で失敗するパターン

以下のような投資スタイルは避けましょう。

(1) 少額短期投資(手数料負担が利益を圧迫)

少額で頻繁に売買すると、手数料負担が利益を上回ります。

(2) 為替タイミングを気にしすぎる

為替タイミングを完璧に読むのは不可能です。長期投資前提で考えましょう。

(3) 個別株集中投資(分散不足)

1-2銘柄に集中投資すると、企業固有リスクが高まります。

それでも米国株に投資すべき人・避けるべき人

(1) 投資すべき人(長期投資前提・リスク許容度が高い)

  • 15-20年以上の長期投資ができる
  • 短期的な価格変動を気にしない
  • 分散投資を徹底できる

(2) 避けるべき人(短期売買志向・リスク許容度が低い)

  • 短期で利益を出したい
  • 価格変動に敏感で不安になりやすい
  • 為替リスクを許容できない

(3) 初心者向け対策(投資信託から始める)

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)などの投資信託から始め、経験を積んでから個別株に挑戦しましょう。

まとめ:米国株投資の判断基準

米国株投資は、リスクを理解した上で、長期・分散・積立の原則を守れば、十分に検討に値する投資先です。

次のアクション:

  • 自分のリスク許容度を確認する
  • 長期投資できるか(15-20年以上)を考える
  • つみたてNISAでS&P500連動ファンドから始める
  • 少額から積立投資を開始する
  • 短期売買は避け、長期保有を徹底する

投資判断は自己責任で行い、無理のない範囲で米国株投資を検討しましょう。

よくある質問

Q1米国株投資は本当にやめた方がいい?

A1リスクを理解した上で、長期・分散・積立投資なら推奨されます。短期売買や個別株集中投資は避けるべきです。初心者はS&P500連動の投資信託から始めるのが安全で、つみたてNISAを活用すれば税制面でもメリットがあります。

Q2為替リスクはどれくらい影響する?

A2円高20%で株価上昇でも損失になる可能性があります。ただし、長期投資(15-20年以上)とドルコスト平均法で購入時期を分散させれば、為替リスクは平準化される傾向があります。短期では大きな影響を受けますが、長期では軽減されます。

Q3配当の二重課税は避けられない?

A3米国での10%源泉徴収は避けられません。日本の20.315%は課税口座なら外国税額控除で一部取り戻せますが、NISA口座では適用外です。配当重視なら課税口座での投資も検討しましょう。

Q4米国株は値幅制限がないから危険?

A41日で10-20%変動するリスクがあります。長期保有前提で、短期的な価格変動を気にしない投資哲学が必要です。分散投資(インデックスファンド)でリスクを軽減しましょう。

Q5初心者が米国株に投資するなら何から始める?

A5S&P500連動の投資信託(eMAXIS Slim米国株式など)から始めるのが推奨されます。つみたてNISAで毎月一定額を積み立て、長期保有することで為替リスクと価格変動リスクを軽減できます。経験を積んでから個別株に挑戦しましょう。

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