米国株の配当権利落ち日を理解すべき理由
米国株で配当収入を得たいと考える投資家にとって、「いつまでに購入すれば配当を受け取れるのか?」は重要な疑問です。配当権利落ち日の仕組みを理解していないと、配当を受け取れない可能性があります。
この記事のポイント:
- 権利落ち日(Ex-Dividend Date)以降の購入では配当を受け取れない
- 権利確定日(Record Date)の1営業日前が権利落ち日
- 配当支払日(Payment Date)は権利落ち日の1-2ヶ月後が一般的
- 米国はT+2決済、日本はT+1決済でルールが異なる
- 権利落ち日当日は通常、株価が配当額分下落する
この記事では、米国株の配当権利落ち日の仕組みと、配当を確実に受け取るための戦略を詳しく解説します。
配当権利落ち日の基礎知識
(1) Ex-Dividend Date(権利落ち日)とは
**権利落ち日(Ex-Dividend Date)**とは、この日以降に株式を購入しても、配当を受け取る権利がない日のことです。
例:
- 権利落ち日が2025年11月5日の場合
- 11月4日(権利落ち日の前営業日)までに購入すれば配当を受け取れる
- 11月5日以降に購入しても、今回の配当は受け取れない
(2) Record Date(権利確定日)との関係
**権利確定日(Record Date)**とは、企業が株主名簿を確認し、配当を支払う株主を決定する日です。
米国では、権利確定日の1営業日前が権利落ち日です。これは、米国株の決済がT+2(取引日から2営業日後に受渡)だったルールの名残です。
※2024年5月以降、米国はT+1決済に移行していますが、権利落ち日の設定ルールは従来通り「権利確定日の1営業日前」が維持されています。
重要な日程の関係:
日程 | 日付(例) | 説明 |
---|---|---|
権利落ち日(Ex-Dividend Date) | 11月5日 | この日以降の購入では配当を受け取れない |
権利確定日(Record Date) | 11月6日 | 株主名簿に記載される日 |
配当支払日(Payment Date) | 12月15日 | 実際に配当が振り込まれる日 |
(3) Payment Date(配当支払日)までの流れ
配当支払日は、権利落ち日から1-2ヶ月後が一般的です。銘柄により異なるため、配当カレンダーで確認が必要です。
配当受取までの流れ:
- 購入:権利落ち日の前営業日までに購入
- 権利確定日:株主名簿に記載される
- 配当支払日:証券口座に配当が振り込まれる(米国で10%源泉徴収後)
日本株との違い
(1) T+2決済ルール(米国)vs T+1決済(日本)
米国と日本では、株式の決済ルールが異なります。
項目 | 米国株 | 日本株 |
---|---|---|
決済ルール | T+1(2024年5月以降) | T+1 |
権利落ち日 | 権利確定日の1営業日前 | 権利確定日の2営業日前が「権利付最終日」 |
※日本株では「権利付最終日」という用語が使われ、この日までに購入すれば配当を受け取れます。
(2) 権利落ち日のタイミング
米国株:
- 権利確定日の1営業日前が権利落ち日
- 権利落ち日の前営業日までに購入すれば配当を受け取れる
日本株:
- 権利確定日の2営業日前が「権利付最終日」
- 権利付最終日までに購入すれば配当を受け取れる
(3) 配当支払いまでの期間
米国株:
- 権利落ち日から1-2ヶ月後が一般的
- 企業により異なる(四半期配当が多い)
日本株:
- 権利確定日から2-3ヶ月後が一般的
- 年1-2回の配当が多い
2025年版:配当カレンダーの確認方法
(1) NASDAQ Dividend Calendar
NASDAQ公式サイト(https://www.nasdaq.com/market-activity/dividends)では、米国株の配当カレンダーを確認できます。
使い方:
- NASDAQのDividend Calendarページにアクセス
- 日付で絞り込み(例:2025年11月)
- Ex-Dividend Date(権利落ち日)、Record Date(権利確定日)、Payment Date(配当支払日)を確認
(2) Yahoo Financeでの個別銘柄確認
Yahoo Finance(https://finance.yahoo.com/)では、個別銘柄の配当スケジュールを確認できます。
使い方:
- Yahoo Financeで銘柄を検索(例:AAPL)
- 「Statistics」タブをクリック
- 「Dividends & Splits」セクションで、Ex-Dividend Date、Forward Dividend & Yield、Payout Ratioを確認
(3) 日本の証券会社ツール(SBI・楽天・マネックス)
日本の主要証券会社では、日本語で配当カレンダーを確認できます。
SBI証券:
- 米国株取引画面から「配当カレンダー」を選択
- 権利落ち日、配当支払日を日本語で表示
楽天証券:
- 米国株ページから「配当カレンダー」を選択
- 月別・銘柄別で配当スケジュールを確認
マネックス証券:
- 「配当受取ガイド」で権利落ち日、支払日を確認
配当を確実に受け取るための戦略
(1) いつまでに購入すべきか(権利落ち日の前営業日まで)
配当を受け取るには、権利落ち日の前営業日までに購入する必要があります。
例:
- 権利落ち日が2025年11月5日(水)の場合
- 11月4日(火)までに購入すれば配当を受け取れる
- 11月5日(水)以降に購入しても、今回の配当は受け取れない
(2) 日本時間での購入タイミング
米国市場は日本時間の深夜に開場します(夏時間:22:30-翌5:00、冬時間:23:30-翌6:00)。
注意点:
- 米国時間の前営業日終了までに購入する必要がある
- 日本時間で翌朝6:00(冬時間)までに購入を完了させる
例:
- 権利落ち日が11月5日(水)の場合
- 日本時間11月5日(水)早朝6:00までに購入すれば、米国時間11月4日(火)の取引となり、配当を受け取れる
(3) 配当落ち後の株価変動リスク
権利落ち日当日は、通常、株価が配当額分だけ下落します。これは「配当落ち」と呼ばれる現象です。
例:
- 配当額:1株1ドル
- 権利落ち日前日の終値:100ドル
- 権利落ち日当日の始値:99ドル(配当1ドル分下落)
注意点:
- 市場環境により、必ずしも配当額ぴったりとは限らない
- 配当目的で直前に購入し、権利落ち後に売却すると、株価下落で損失が出る可能性がある
まとめ:権利落ち日を活用した配当投資
米国株の配当権利落ち日を理解することで、配当を確実に受け取り、計画的な配当投資ができます。
次のアクション:
- NASDAQ Dividend Calendar、Yahoo Finance、日本の証券会社ツールで配当スケジュールを確認する
- 権利落ち日の前営業日までに購入する(日本時間では翌朝6:00までに購入を完了)
- 配当支払日(権利落ち日の1-2ヶ月後)までに配当が振り込まれることを確認する
- 配当落ち後の株価変動リスクを理解し、短期売買は避ける
- 長期保有を前提に、連続増配銘柄(配当貴族)を選ぶ
配当権利落ち日の仕組みを理解し、計画的な配当投資で安定した収入源を確保しましょう。投資判断は自己責任で行ってください。