毎月配当を得る仕組みとメリット
「毎月安定した配当収入が欲しい」――こんな願いを持つ投資家は多いです。米国株には、毎月配当を支払う銘柄が多数存在し、それらを組み合わせることで毎月安定したキャッシュフローを得ることが可能です。
この記事では、毎月配当ポートフォリオの構築方法、配当月カレンダーの活用、税金対策、為替リスク管理まで、実践に必要な知識を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 毎月配当を得るには最低12銘柄(各月1銘柄ずつ)が必要
- REITsと事業会社を組み合わせてセクター分散を図る
- 配当利回り4〜6%が目安。高すぎる利回りは減配リスクに注意
- 米国で10%、日本で20.315%の二重課税。外国税額控除で一部還付可能
(1) 毎月配当とは
毎月配当とは、毎月配当金を支払う銘柄のことです。多くの米国株は四半期配当(3ヶ月に1回)ですが、一部の銘柄は毎月配当を支払います。これらの銘柄を組み合わせることで、毎月安定した配当収入を得ることができます。
(2) REITsと事業会社の違い
毎月配当を支払う銘柄の多くは、REIT(不動産投資信託)です。REITは収益の90%以上を配当として支払う義務があるため、高配当利回りが一般的です。一方、事業会社の毎月配当銘柄は少数ですが、BDC(ビジネス開発会社)などが該当します。
代表的な毎月配当REITとして、Realty Income Corporation(ティッカー: O)があります。「The Monthly Dividend Company®」として知られ、長年にわたり毎月配当を継続しています。
(3) 毎月配当のメリット・デメリット
メリット:
- 毎月安定したキャッシュフローが得られる
- 配当再投資を毎月行うことで、複利効果を高められる
- 生活費の一部を配当収入で賄える
デメリット:
- REITs偏重によりセクター分散が不足しやすい
- 株価成長が限定的な銘柄が多い
- 減配・無配のリスクがある
配当月カレンダーと銘柄分散の考え方
毎月配当を得るには、配当月を分散させる必要があります。
(1) 配当月の分散方法(12銘柄以上)
毎月配当を得るには、最低12銘柄(各月1銘柄ずつ)が必要です。ただし、減配リスクに備えるため、各月2〜3銘柄、合計15〜20銘柄程度に分散することが推奨されます。
Dividend.comやYahoo Financeの配当カレンダーを活用すれば、各銘柄の配当月を確認できます。
(2) セクター分散の重要性
REITsだけに集中すると、不動産市場の低迷時に全銘柄が減配するリスクがあります。以下のセクターに分散することで、リスクを軽減できます。
- REITs: 不動産投資信託(Realty Income等)
- BDC: ビジネス開発会社(Main Street Capital等)
- エネルギー: エネルギーインフラ(Energy Transfer等)
- 金融: 高配当金融株(一部は毎月配当ではないが四半期配当で補完)
(3) 配当権利確定日と支払日
配当を受け取るには、配当権利確定日(Ex-Dividend Date)の前営業日までに株式を保有する必要があります。配当支払日(Payment Date)は権利確定日の約1〜2週間後です。
日本の証券会社での配当受取日は、さらに数日遅れる場合があります。SBI証券や楽天証券の公式サイトで受取スケジュールを確認しましょう。
毎月配当ポートフォリオの構築ステップ
実際にポートフォリオを構築する際の手順を解説します。
(1) 配当利回りの目安(4〜6%)
配当利回りは4〜6%が一般的です。高すぎる利回り(8%以上)は減配リスクが高い可能性があるため、注意が必要です。
配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価 × 100
たとえば、株価50ドル、年間配当金3ドルの場合、配当利回りは6%です。
(2) 財務指標の確認(配当性向・純利益)
配当性向(Payout Ratio)は、純利益に対する配当金の割合です。配当性向が100%を超える場合、利益以上に配当を支払っており、減配リスクが高まります。
配当性向 = 配当金 ÷ 純利益 × 100
Yahoo FinanceやSeeking Alphaで各銘柄の財務指標を確認しましょう。
(3) 配当成長率の分析
過去の配当成長率を確認することで、将来の配当増加の可能性を評価できます。Realty Incomeのように、数十年にわたり配当を増やし続けている銘柄は信頼性が高いと言えます。
配当再投資戦略(DRIP)の活用
配当を再投資することで、複利効果を高めることができます。
(1) DRIPの仕組み
DRIP(Dividend Reinvestment Plan)とは、受け取った配当を自動で同じ株式に再投資する仕組みです。手数料無料で再投資できる場合が多く、長期投資に適しています。
(2) 日本の証券会社での対応状況
マネックス証券は米国株のDRIPサービスを提供しています(https://www.monex.co.jp/service/foreign/us/drip/)。SBI証券や楽天証券では、配当を受け取った後、手動で再投資する必要があります。
(3) 手動での再投資との比較
- DRIP: 自動で再投資、手数料無料(証券会社による)
- 手動再投資: 配当受取後、自分で購入。手数料がかかる場合あり
長期投資であればDRIPが有利ですが、配当を生活費に使いたい場合は手動受取が適しています。
税金と為替リスクへの対処法
毎月配当には税金と為替リスクが伴います。
(1) 二重課税の仕組み(米国10%・日本20.315%)
米国株の配当には、米国で10%源泉徴収された後、日本で20.315%が課税されます。
- 米国源泉徴収: 10%
- 日本での課税: 20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
国税庁の公式情報(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm)を参照してください。
(2) 外国税額控除の申請方法
外国税額控除を確定申告すれば、米国で源泉徴収された10%の一部を取り戻せます。ただし、控除額には上限があります。
特定口座(源泉徴収あり)でも、外国税額控除を受けるには確定申告が必要です。
(3) 為替リスクとドル保有の考え方
配当はドル建てで支払われるため、円高になると円換算の配当額が減少します。為替リスクを軽減するには、以下の方法があります。
- 配当をドルで受け取り、ドル建て資産として保有する
- 外貨建てMMFでドルを運用する
- 為替手数料の低い証券会社を選ぶ(SBI・楽天は片道0.25円/ドル、マネックスは買付時無料)
まとめ:毎月配当ポートフォリオに向いている人
毎月配当ポートフォリオは、安定したキャッシュフローを求める投資家に適しています。ただし、REITs偏重によるセクター集中リスク、減配リスク、為替リスクなどに注意が必要です。
毎月配当ポートフォリオに向いている人:
- 配当収入で生活費の一部を賄いたい人
- 長期投資で複利効果を高めたい人
- 安定したキャッシュフローを重視する人
次のアクション:
- Dividend.comやYahoo Financeで毎月配当銘柄をリサーチする
- 12〜20銘柄に分散し、各月の配当をカレンダーで管理する
- 配当利回り4〜6%、配当性向80%以下を目安に銘柄を選定する
- NISA口座または特定口座(源泉徴収あり)で投資を開始する
- 外国税額控除を確定申告し、二重課税を軽減する
毎月配当ポートフォリオは、計画的に構築すれば安定した収入源となります。減配リスクや為替リスクを理解し、長期的な視点で資産形成を目指しましょう。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて専門家に相談してください。