米国株の手数料比較|SBI・楽天・マネックス徹底解説

公開日: 2025/10/19

米国株投資で手数料が重要な理由

「米国株を始めたいけど、どの証券会社が一番安いの?」

米国株投資を検討する際、多くの投資家が最初に気になるのが手数料です。「売買手数料はどのくらい?」「為替手数料って何?」「結局、どの証券会社が得なの?」といった疑問が次々に浮かんできます。

この記事では、米国株投資にかかる手数料の種類、主要証券会社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)の手数料比較、コストを抑える具体的な方法を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 売買手数料は主要3社とも約定代金の0.495%(上限22ドル)で横並び
  • 為替手数料は片道25銭/ドルが標準、住信SBI銀行経由なら4銭/ドルに削減可能
  • 買付手数料無料ETFを活用すれば売買コストがゼロ(SBI・楽天・マネックスで9〜15銘柄)
  • 少額投資でも最低手数料0ドルのため割高にならない
  • トータルコストで比較すると、大口投資ならSBI証券(住信SBI銀行経由)が有利

(1) 手数料が長期リターンに与える影響

手数料は一見小さく見えますが、長期投資では大きな差になります。

シミュレーション(月3万円、20年間積立、年率7%リターン):

手数料(往復) 20年後の資産額 差額
0.0% 約1,545万円 -
0.5% 約1,520万円 約-25万円
1.0% 約1,495万円 約-50万円

手数料が往復1.0%かかると、20年後には約50万円の差が生まれます。

(2) 日本株との手数料体系の違い

米国株と日本株では、手数料体系が異なります。

項目 日本株 米国株
売買手数料 約定代金の0.05〜0.3% 約定代金の0.495%
為替手数料 なし 片道25銭/ドル(標準)
最低手数料 0円(主要ネット証券) 0ドル(主要ネット証券)
取引単位 100株単位(単元株) 1株単位

米国株は売買手数料がやや高めですが、為替手数料を工夫すれば総コストを抑えられます。

米国株取引にかかる手数料の種類

(1) 売買手数料(約定代金の%)

売買手数料は、株式を売買した金額(約定代金)に対してかかる手数料です。

主要ネット証券の標準手数料:

  • 手数料率: 約定代金の0.495%
  • 上限: 22ドル
  • 最低手数料: 0ドル

具体例(1,000ドル分の株を購入):

  • 手数料: 1,000ドル × 0.495% = 4.95ドル(約740円)

具体例(10,000ドル分の株を購入):

  • 手数料計算: 10,000ドル × 0.495% = 49.5ドル
  • 上限適用: 22ドル(約3,300円)

(2) 為替手数料(円→ドル変換時)

米国株はドル建てで取引されるため、円をドルに両替する際に為替手数料がかかります。

主要ネット証券の為替手数料:

  • 標準: 片道25銭/ドル(1ドルあたり25銭)
  • 往復: 50銭/ドル

具体例(10万円をドルに両替、1ドル=150円の場合):

  • 両替金額: 10万円 ÷ 150円 = 約666ドル
  • 為替手数料: 666ドル × 0.25円 = 約167円

具体例(100万円をドルに両替):

  • 両替金額: 100万円 ÷ 150円 = 約6,667ドル
  • 為替手数料: 6,667ドル × 0.25円 = 約1,667円

大口投資では為替手数料が大きな負担になるため、削減策が重要です。

(3) 最低手数料

主要ネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)は、米国株の最低手数料が0ドルです。

メリット:

  • 少額投資でも割高にならない
  • 1株(数千円〜数万円)から気軽に投資できる

他社との比較:

  • 一部の証券会社では最低手数料5ドル〜10ドルの場合もある
  • 主要ネット証券は最低手数料0ドルで横並び

(4) 口座管理手数料(無料が一般的)

主要ネット証券では、口座管理手数料は無料です。

注意点:

  • 米国の証券会社(例: Interactive Brokers)では口座管理手数料がかかる場合もある
  • 日本のネット証券は基本的に無料

(5) 配当金受取時の手数料

配当金を受け取る際の手数料は、主要ネット証券では無料です。

配当金の受取方法:

  • 円貨受取: 自動で円に換算して証券口座に入金(為替手数料片道25銭)
  • 外貨受取: ドルのまま外貨口座に入金(為替手数料不要、再投資に有利)

主要証券会社の手数料比較【SBI・楽天・マネックス】

(1) SBI証券:約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替25銭/ドル

売買手数料:

  • 手数料率: 約定代金の0.495%
  • 上限: 22ドル
  • 最低手数料: 0ドル

為替手数料:

  • 標準: 片道25銭/ドル
  • 住信SBIネット銀行経由: 片道4銭/ドル(外貨積立サービス利用時)

買付手数料無料ETF:

  • 9銘柄(VOO、VTI、QQQなど)
  • NISA口座でも適用

特徴:

  • 住信SBIネット銀行との連携で為替コストを大幅削減
  • 取扱銘柄数が国内最多(約5,400銘柄)

(2) 楽天証券:約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替25銭/ドル

売買手数料:

  • 手数料率: 約定代金の0.495%
  • 上限: 22ドル
  • 最低手数料: 0ドル

為替手数料:

  • 標準: 片道25銭/ドル

買付手数料無料ETF:

  • 15銘柄(VOO、VTI、QQQ、VYMなど)
  • NISA口座でも適用

特徴:

  • 楽天ポイントで米国株を購入可能
  • 楽天経済圏を活用している人に有利

(3) マネックス証券:約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替25銭/ドル

売買手数料:

  • 手数料率: 約定代金の0.495%
  • 上限: 22ドル
  • 最低手数料: 0ドル

為替手数料:

  • 買付時: 無料(売却時は片道25銭/ドル)

買付手数料無料ETF:

  • 13銘柄(VOO、VTI、QQQなど)
  • NISA口座でも適用

特徴:

  • 買付時の為替手数料が無料(長期保有前提なら有利)
  • 米国株の企業分析レポートが充実

(4) 買付手数料無料ETF(各社で9-15銘柄)

主要3社とも、人気の米国株ETFを買付手数料無料で購入できます。

共通の無料ETF(一例):

  • VOO(Vanguard S&P500 ETF)
  • VTI(Vanguard全米株式ETF)
  • QQQ(Invesco QQQ Trust)

メリット:

  • 売買手数料0ドルで積立投資できる
  • NISA口座でも適用されるため、税制面でも有利

為替手数料を削減する方法

(1) 外貨決済の利用

円貨決済ではなく、外貨決済を選ぶことで為替コストを抑えられます。

円貨決済(自動両替):

  • 証券会社が自動で円→ドルに両替して購入
  • 為替手数料: 片道25銭/ドル

外貨決済(事前両替):

  • 事前にドルに両替してから購入
  • 為替手数料: 片道4銭/ドル(住信SBI銀行経由の場合)

コスト比較(100万円投資の場合):

方法 為替手数料(片道)
円貨決済 約1,667円
外貨決済(住信SBI) 約267円
差額 約1,400円

(2) 住信SBIネット銀行の外貨積立(4銭/ドル)

SBI証券ユーザーは、住信SBIネット銀行の外貨積立サービスを活用すると、為替手数料を片道4銭/ドルに削減できます。

手順:

  1. 住信SBIネット銀行の口座を開設
  2. 「外貨積立」サービスに申込
  3. 毎月の積立額を設定(例: 月3万円)
  4. 為替手数料片道4銭でドルを購入
  5. SBI証券の外貨建てMMFにドルを入金
  6. 米国株を外貨決済で購入

長期積立での効果(月10万円、10年間):

方法 総為替手数料
円貨決済(25銭) 約20万円
外貨決済(4銭) 約3.2万円
差額 約16.8万円

(3) 為替スプレッドの小さい時間帯での両替

為替レートは時間帯により変動します。為替スプレッド(売値と買値の差)が小さい時間帯に両替すると、コストを抑えられます。

為替スプレッドが小さい時間帯:

  • 東京市場・ロンドン市場・ニューヨーク市場が重なる時間帯(日本時間21:00〜24:00頃)
  • 流動性が高く、スプレッドが縮小しやすい

(4) 配当金の外貨受取

配当金を円貨で受け取ると、為替手数料(片道25銭/ドル)がかかります。外貨受取を選択すれば、為替手数料を節約できます。

配当金の受取方法:

  • 円貨受取: 自動で円に換算(為替手数料片道25銭)
  • 外貨受取: ドルのまま外貨口座に入金(為替手数料不要)

外貨受取のメリット:

  • 配当金をドルで保有し、次回の米国株購入時に活用できる
  • 為替手数料を節約できる

投資スタイル別の最適な証券会社選び

(1) 積立投資・長期保有:買付手数料無料ETFの活用

最適な証券会社:

  • 楽天証券: 買付手数料無料ETFが15銘柄と最多
  • SBI証券: 住信SBI銀行経由で為替コスト削減

戦略:

  • 買付手数料無料ETF(VOO、VTI等)を定期的に購入
  • 外貨決済で為替コストを抑える
  • 配当金は外貨受取で再投資に活用

(2) 頻繁な売買:最低手数料の確認

最適な証券会社:

  • SBI証券・楽天証券・マネックス証券: いずれも最低手数料0ドル

戦略:

  • 最低手数料0ドルのため、少額取引でも割高にならない
  • ただし頻繁な売買は税金(短期譲渡所得)が高くなるため、長期保有を推奨

(3) 少額投資:手数料率よりも最低手数料を重視

最適な証券会社:

  • SBI証券・楽天証券・マネックス証券: いずれも最低手数料0ドル

戦略:

  • 1株(数千円〜数万円)から気軽に投資
  • 買付手数料無料ETFなら、売買コストがゼロ

(4) 大口投資:為替手数料削減策の活用

最適な証券会社:

  • SBI証券: 住信SBI銀行経由で為替手数料片道4銭/ドル

戦略:

  • 外貨積立で為替コストを大幅削減
  • 配当金は外貨受取で再投資
  • まとまった金額(100万円以上)なら、為替コスト削減の効果が大きい

まとめ:トータルコストを抑えた米国株投資

米国株投資の手数料は、証券会社選びと工夫次第で大きく変わります。以下のポイントを押さえて、トータルコストを抑えましょう。

手数料比較まとめ:

証券会社 売買手数料 為替手数料 買付無料ETF 特徴
SBI証券 0.495% 25銭(住信SBI経由で4銭) 9銘柄 住信SBI銀行連携で為替コスト削減
楽天証券 0.495% 25銭 15銘柄 買付無料ETF最多、楽天ポイント活用
マネックス証券 0.495% 買付時無料 13銘柄 買付時の為替手数料無料

投資スタイル別の推奨:

  • 積立投資・長期保有: 楽天証券(買付無料ETF15銘柄)またはSBI証券(住信SBI経由)
  • 大口投資: SBI証券(住信SBI銀行経由で為替コスト削減)
  • 楽天経済圏ユーザー: 楽天証券(楽天ポイント活用)

コスト削減のチェックリスト:

  • 買付手数料無料ETF(VOO、VTI等)を活用しているか
  • 外貨決済で為替コストを抑えているか(大口投資の場合)
  • 配当金を外貨受取にして再投資に活用しているか
  • 住信SBI銀行の外貨積立を活用しているか(SBI証券ユーザー)

注意点:

  • 手数料は変更される可能性があるため、最新情報は各証券会社の公式サイトで確認
  • 手数料だけでなく、取扱銘柄数、情報ツール、サポート体制も考慮して選択

米国株投資は、手数料を工夫すれば長期的に大きな差が生まれます。まずは買付手数料無料ETFから始めて、コストを抑えた投資を実践しましょう。

投資は元本保証がありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。

よくある質問

Q1米国株の手数料が最も安い証券会社はどこですか?

A1SBI証券・楽天証券・マネックス証券は売買手数料が同水準(約定代金の0.495%、上限22ドル)です。為替手数料では、住信SBIネット銀行経由でSBI証券が片道4銭/ドルと最安です。買付手数料無料ETFは楽天証券が15銘柄と最多です。

Q2為替手数料はどれくらいかかりますか?

A2主要ネット証券は片道25銭/ドルが標準です。100万円分のドルを購入する場合、約1,667円の為替手数料がかかります。住信SBIネット銀行の外貨積立を利用すれば片道4銭/ドル(約267円)に削減でき、年間で数万円の節約になります。

Q3少額投資でも手数料は割高になりますか?

A3主要ネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)は最低手数料0ドルのため、少額投資でも割高になりません。さらに買付手数料無料ETFを活用すれば、売買コストがゼロになります。ただし為替手数料は固定のため、外貨決済の活用が推奨されます。

Q4NISA口座でも手数料はかかりますか?

A4はい。NISA口座でも売買手数料・為替手数料はかかります。ただし買付手数料無料ETF(VOO、VTI等)ならコストを抑えられます。NISA口座では分配金や売却益にかかる日本の税金(20.315%)が非課税になりますが、米国の配当源泉徴収10%は免除されません。

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