米国株を買いたいけど、手数料っていくらかかるの?
米国株投資を始めたい日本人投資家の多くが、「各証券会社の手数料体系が複雑で分かりにくい」という悩みを抱えています。売買手数料が無料と謳っている証券会社もあれば、為替手数料が別途かかるケースもあり、実際にいくらコストがかかるのか見えにくいのが現状です。
この記事では、米国株購入時にかかる手数料の種類から主要証券会社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券・DMM株・松井証券)の手数料比較、投資額別の実質コストシミュレーションまでを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株購入時には売買手数料・為替手数料・為替スプレッドがかかる
- DMM株は売買手数料無料、SBI・楽天・マネックスはNISA口座で売買手数料無料
- 為替手数料が実質コストに大きく影響(0.25円-1円/ドル)
- 10万円・50万円・100万円投資時の実質コストをシミュレーション
- 投資スタイル別に最適な証券会社を選ぶ
米国株購入時にかかる手数料の種類
米国株購入時には、複数の手数料がかかります。
(1) 売買手数料(約定代金の%または定額)
売買手数料は、株式を売買する際に証券会社に支払う手数料です。
一般的な体系:
- 約定代金の0.45%(上限22ドル)が多くの証券会社の標準
- 一部証券会社(DMM株など)は売買手数料無料
例えば、1,000ドル(約15万円)分の株を購入する場合:
- 売買手数料: 1,000ドル × 0.45% = 4.5ドル(約675円)
(2) 為替手数料(円→ドル変換時)
米国株はドル建てで取引されるため、円をドルに換金する際に為替手数料がかかります。
相場:
- 0.25円-1円/ドル(証券会社により異なる)
例えば、10万円をドルに換金する場合(為替レート150円/ドルと仮定):
- 換金額: 10万円 ÷ 150円 = 約667ドル
- 為替手数料(0.25円/ドルの場合): 667ドル × 0.25円 = 約167円
- 為替手数料(1円/ドルの場合): 667ドル × 1円 = 約667円
為替手数料の差だけで500円の違いが出ます。
(3) 為替スプレッド(買値・売値の差)
為替取引にはビッド・アスク・スプレッド(買値と売値の差)があり、これが実質的なコストになります。
多くの証券会社では、為替手数料に加えてスプレッドも含まれています。
(4) その他の手数料(口座管理料等)
主要証券会社では、口座管理料は基本的に無料です。ただし、長期間取引がない場合に口座維持費がかかる証券会社もあるため、各社の規約を確認してください。
(5) NISA口座での優遇措置
NISA口座で米国株を購入すると、一部の証券会社では売買手数料が優遇されます。
- SBI証券・楽天証券・マネックス証券: NISA口座での米国株売買手数料無料(2025年時点)
- ただし、為替手数料は通常どおりかかる
主要証券会社の売買手数料比較
主要5社の売買手数料を比較します。
(1) SBI証券(約定代金の0.45%、上限22ドル)
売買手数料:
- 約定代金の0.45%(税込0.495%)
- 上限: 22ドル(税込)
NISA口座:
- 売買手数料無料
為替手数料:
- 0.25円/ドル(住信SBIネット銀行経由なら0.04円/ドル)
(出典: SBI証券「米国株取引手数料」https://www.sbisec.co.jp/...)
(2) 楽天証券(約定代金の0.45%、上限22ドル)
売買手数料:
- 約定代金の0.45%(税込0.495%)
- 上限: 22ドル(税込)
NISA口座:
- 売買手数料無料
為替手数料:
- 0.25円/ドル
(出典: 楽天証券「米国株手数料」https://www.rakuten-sec.co.jp/web/foreign/us/fee.html)
(3) マネックス証券(約定代金の0.45%、上限22ドル)
売買手数料:
- 約定代金の0.45%(税込0.495%)
- 上限: 22ドル(税込)
NISA口座:
- 売買手数料無料
為替手数料:
- 0.25円/ドル(買付時は無料キャンペーン中の場合あり)
(出典: マネックス証券「米国株手数料」https://www.monex.co.jp/us_stock/fee/)
(4) DMM株(売買手数料無料)
売買手数料:
- 無料(NISA口座・課税口座ともに)
為替手数料:
- 公式サイトで要確認(スプレッドに含まれる場合あり)
(出典: DMM株「米国株取引手数料」https://kabu.dmm.com/service/ustock/fee/)
(5) 松井証券(約定代金の0.45%、上限22ドル)
売買手数料:
- 約定代金の0.45%(税込0.495%)
- 上限: 22ドル(税込)
NISA口座:
- 通常の売買手数料がかかる(優遇なし、2025年時点)
為替手数料:
- 公式サイトで要確認
(出典: 松井証券「米国株取引手数料」https://www.matsui.co.jp/service/foreign_stock/us/)
(6) 比較表とNISA優遇
証券会社 | 売買手数料(課税口座) | 売買手数料(NISA口座) | 為替手数料 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 0.45%(上限22ドル) | 無料 | 0.25円/ドル |
楽天証券 | 0.45%(上限22ドル) | 無料 | 0.25円/ドル |
マネックス証券 | 0.45%(上限22ドル) | 無料 | 0.25円/ドル |
DMM株 | 無料 | 無料 | 要確認 |
松井証券 | 0.45%(上限22ドル) | 0.45%(上限22ドル) | 要確認 |
※2025年10月時点の情報です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
為替手数料とスプレッドの影響
為替手数料は実質コストに大きく影響します。
(1) 為替手数料の相場(0.25円-1円/ドル)
一般的な為替手数料:
- ネット証券: 0.25円/ドル
- 大手証券会社(野村證券など): 1円/ドル
為替手数料は片道の手数料のため、ドルに換金して株を買い、売却後に円に戻すと往復で2倍の手数料がかかります。
(2) 各社の為替手数料比較
証券会社 | 為替手数料(片道) |
---|---|
SBI証券(住信SBIネット銀行経由) | 0.04円/ドル |
SBI証券(通常) | 0.25円/ドル |
楽天証券 | 0.25円/ドル |
マネックス証券 | 0.25円/ドル |
DMM株 | 要確認 |
SBI証券の住信SBIネット銀行経由が最も為替手数料が安いです。
(3) 為替スプレッドの実質コスト
為替スプレッドは、買値と売値の差です。証券会社により異なりますが、為替手数料に含まれている場合が多いです。
(4) 外貨決済による手数料削減
外貨決済とは、米ドルのまま取引する方法です。
メリット:
- 売却時に円に戻さないため、為替手数料が1回で済む
- 為替リスクを抑えられる
デメリット:
- 米ドルを外貨口座に保有する必要がある
(5) 為替手数料が実質コストに与える影響
例(10万円を投資する場合):
為替手数料 | 換金額(約667ドル) | 為替手数料総額 |
---|---|---|
0.04円/ドル | 667ドル | 約27円 |
0.25円/ドル | 667ドル | 約167円 |
1円/ドル | 667ドル | 約667円 |
為替手数料だけで最大640円の差が出ます。
投資額別の手数料シミュレーション
実際にいくらかかるのか、具体的にシミュレーションします。
(1) 10万円投資時の手数料総額
前提:
- 投資額: 10万円
- 為替レート: 150円/ドル
- 換金額: 約667ドル
証券会社 | 売買手数料 | 為替手数料 | 合計 |
---|---|---|---|
SBI証券(NISA) | 0円 | 167円(0.25円/ドル) | 167円 |
楽天証券(NISA) | 0円 | 167円(0.25円/ドル) | 167円 |
マネックス証券(NISA) | 0円 | 167円(0.25円/ドル) | 167円 |
DMM株(課税口座) | 0円 | 要確認 | 要確認 |
SBI証券(課税口座) | 約3ドル(約450円) | 167円 | 617円 |
NISA口座ならSBI・楽天・マネックスが最も安い(167円)
(2) 50万円投資時の手数料総額
前提:
- 投資額: 50万円
- 換金額: 約3,333ドル
証券会社 | 売買手数料 | 為替手数料 | 合計 |
---|---|---|---|
SBI証券(NISA) | 0円 | 833円(0.25円/ドル) | 833円 |
楽天証券(NISA) | 0円 | 833円(0.25円/ドル) | 833円 |
マネックス証券(NISA) | 0円 | 833円(0.25円/ドル) | 833円 |
DMM株(課税口座) | 0円 | 要確認 | 要確認 |
SBI証券(課税口座) | 約15ドル(約2,250円) | 833円 | 3,083円 |
(3) 100万円投資時の手数料総額
前提:
- 投資額: 100万円
- 換金額: 約6,667ドル
証券会社 | 売買手数料 | 為替手数料 | 合計 |
---|---|---|---|
SBI証券(NISA) | 0円 | 1,667円(0.25円/ドル) | 1,667円 |
楽天証券(NISA) | 0円 | 1,667円(0.25円/ドル) | 1,667円 |
マネックス証券(NISA) | 0円 | 1,667円(0.25円/ドル) | 1,667円 |
DMM株(課税口座) | 0円 | 要確認 | 要確認 |
SBI証券(課税口座) | 22ドル上限(約3,300円) | 1,667円 | 4,967円 |
(4) 証券会社別の実質コスト比較表
NISA口座を活用すれば、SBI・楽天・マネックスが最もコストを抑えられます。
(5) NISA口座での手数料削減効果
NISA口座を利用することで、売買手数料が無料になるため、年間数千円の節約が可能です。
手数料を抑えるコツと最適な証券会社の選び方
手数料を抑える方法を紹介します。
(1) NISA口座の活用(売買手数料優遇)
SBI・楽天・マネックスはNISA口座での米国株売買手数料が無料です。年間360万円までの投資なら、NISA口座を優先的に使いましょう。
(2) 外貨決済の活用(為替手数料削減)
外貨決済を使えば、売却時に円に戻さないため、為替手数料が往復で1回で済みます。
(3) まとめ買いでコスト削減
少額取引を頻繁に行うと、為替手数料の影響が大きくなります。まとめ買いでコストを抑えましょう。
(4) 投資スタイル別のおすすめ証券会社
NISA口座で長期投資: SBI証券・楽天証券・マネックス証券(売買手数料無料)
課税口座で頻繁に取引: DMM株(売買手数料無料)
為替コストを最小化: SBI証券(住信SBIネット銀行経由で0.04円/ドル)
(5) 隠れコストに注意
売買手数料無料でも、為替スプレッドが広い場合があります。実質コストを確認してください。
まとめ:トータルコストで証券会社を選ぶ
米国株購入時には、売買手数料・為替手数料・為替スプレッドがかかります。NISA口座ならSBI・楽天・マネックスが売買手数料無料で、為替手数料込みでも最もコストを抑えられます。
次のアクション:
- NISA口座を開設して売買手数料を節約する
- 為替手数料が安い証券会社を選ぶ(SBI証券の住信SBIネット銀行経由なら0.04円/ドル)
- まとめ買いで取引回数を減らし、為替手数料の影響を抑える
- 外貨決済で往復の為替手数料を削減する
- 最新の手数料情報を各社公式サイトで確認する
トータルコストを比較して、自分の投資スタイルに合った証券会社を選びましょう。