米国株の手数料を正しく理解する重要性
米国株投資を始める際、多くの日本人投資家が「手数料が複雑で分からない」という悩みを抱えています。
手数料は、売買手数料だけでなく、為替手数料やその他の隠れたコストも含まれるため、総コストを正しく把握することが重要です。
この記事では、米国株の手数料の種類、証券会社別の比較、為替手数料の削減方法、投資額別のシミュレーションを解説します。
この記事のポイント:
- 売買手数料は約定代金の0.495%(上限22ドル)が一般的
- 為替手数料(円貨決済で1ドルあたり25銭)が意外と高い
- 住信SBI銀行経由でドル両替すれば為替手数料を84%削減可能
- NISA口座では買付手数料が無料(SBI・楽天証券)
- ADR手数料や口座管理手数料などの隠れコストに注意
手数料の種類:売買手数料・為替手数料・その他コスト
(1) 売買手数料:約定代金の0.495%(上限22ドル)
売買手数料は、株式を買付・売却する際に証券会社に支払う手数料です。
主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)の売買手数料:
- 約定代金の0.495%(税込)
- 上限:22ドル
- 最低手数料:0ドル(2023年以降、主要ネット証券は最低手数料を撤廃)
計算例:
- 10万円(約667ドル、1ドル=150円換算)の株式を購入
- 売買手数料:667ドル × 0.495% = 約3.3ドル(約495円)
売買手数料は、買付時と売却時の両方で発生します。
(2) 為替手数料:1ドルあたり25銭(円貨決済)
為替手数料は、円を米ドルに交換する際にかかるコストです。
円貨決済の場合:
- SBI証券、楽天証券:1ドルあたり25銭
- マネックス証券:キャンペーン期間中は無料(通常時は25銭)
計算例:
- 10万円を米ドルに交換(1ドル=150円換算)
- 必要ドル:約667ドル
- 為替手数料:667ドル × 25銭 = 約167円
為替手数料は、買付時(円→ドル)と売却時(ドル→円)の両方で発生します。つまり、往復で50銭/ドルのコストがかかります。
往復為替手数料の例:
- 10万円投資:約334円(往復)
- 100万円投資:約3,334円(往復)
為替手数料は、投資額が大きいほど無視できないコストになります。
(3) その他:口座管理手数料・ADR手数料(銘柄により)
口座管理手数料:
- 多くのネット証券では無料
- ただし、長期間取引がない休眠口座には手数料がかかる場合がある
ADR手数料(預託証券管理費):
- ADR(米国預託証券)銘柄の場合、年1〜2セント/株の管理費が発生することがある
- 例:100株保有で年間1〜2ドル(約150〜300円)
その他のコスト:
- 配当金の受取手数料(証券会社により異なる)
- NISA口座以外では配当金に米国源泉税10%、日本税20.315%
証券会社別の手数料比較:SBI・楽天・マネックス
(1) 売買手数料:3社とも0.495%(上限22ドル)
主要ネット証券3社の売買手数料は、ほぼ同水準です。
証券会社 | 売買手数料 | 上限 | 最低手数料 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 0.495% | 22ドル | 0ドル |
楽天証券 | 0.495% | 22ドル | 0ドル |
マネックス証券 | 0.495% | 22ドル | 0ドル |
売買手数料に関しては、3社ともほぼ同じです。
(2) 為替手数料:SBI・楽天25銭、マネックスキャンペーンで無料
為替手数料は、証券会社により異なります。
証券会社 | 為替手数料(円貨決済) | 為替手数料(外貨決済) |
---|---|---|
SBI証券 | 25銭/ドル | 無料(住信SBI銀行経由で4銭可) |
楽天証券 | 25銭/ドル | 無料 |
マネックス証券 | 無料(キャンペーン中) | 無料 |
ポイント:
- SBI証券は、住信SBI銀行経由でドル両替すれば為替手数料を4銭/ドルに削減可能
- マネックス証券は、キャンペーン期間中は為替手数料無料(通常時は25銭)
(3) NISA口座:買付手数料無料(SBI・楽天)
NISA口座での米国株取引では、買付手数料が無料になる証券会社があります。
証券会社 | NISA買付手数料 | NISA売却手数料 |
---|---|---|
SBI証券 | 無料 | 0.495%(上限22ドル) |
楽天証券 | 無料 | 0.495%(上限22ドル) |
マネックス証券 | 無料 | 0.495%(上限22ドル) |
注意:
- 為替手数料は別途発生(住信SBI銀行経由で削減可能)
- 配当金の米国源泉税10%は、NISA口座でも課税される
為替手数料の削減方法:住信SBI銀行・外貨決済
(1) 住信SBI銀行で円→ドル両替(4銭/ドル)
住信SBI銀行を利用すれば、為替手数料を大幅に削減できます。
手順:
- 住信SBI銀行の口座を開設(SBI証券と連携)
- 住信SBI銀行で円→ドル両替(為替手数料:4銭/ドル)
- SBI証券の外貨建口座にドルを入金
- SBI証券で外貨決済で米国株を購入(為替手数料:無料)
(2) SBI証券で外貨決済(為替手数料なし)
外貨決済とは、あらかじめ保有している米ドルで株式を購入する方法です。
- 円貨決済:円で購入→証券会社が自動的にドルに交換→株式購入(為替手数料25銭/ドル)
- 外貨決済:あらかじめ両替したドルで購入→株式購入(為替手数料無料)
外貨決済を活用すれば、為替手数料を節約できます。
(3) 削減効果:25銭→4銭(84%削減)
削減効果の例(10万円投資、1ドル=150円換算):
方法 | 為替手数料(片道) | 往復 |
---|---|---|
円貨決済(SBI・楽天) | 約167円 | 約334円 |
住信SBI銀行経由 | 約27円 | 約54円 |
削減額 | 約140円 | 約280円 |
削減率 | 84% | 84% |
100万円投資の場合:
- 円貨決済:往復約3,334円
- 住信SBI銀行経由:往復約534円
- 削減額:約2,800円
投資額が大きいほど、為替手数料の削減効果が大きくなります。
投資額別の手数料シミュレーション
(1) 10万円投資:売買手数料495円+為替手数料約1,667円=約2,162円
前提:
- 投資額:10万円
- 為替レート:1ドル=150円
- 必要ドル:約667ドル
- 証券会社:SBI証券(円貨決済)
手数料の内訳:
項目 | 金額 |
---|---|
売買手数料(買付) | 約495円 |
為替手数料(買付) | 約167円 |
売買手数料(売却) | 約495円 |
為替手数料(売却) | 約167円 |
合計 | 約1,324円 |
実質コスト率: 約1.32%
(2) 100万円投資:売買手数料4,950円+為替手数料約16,667円=約21,617円
前提:
- 投資額:100万円
- 為替レート:1ドル=150円
- 必要ドル:約6,667ドル
- 証券会社:SBI証券(円貨決済)
手数料の内訳:
項目 | 金額 |
---|---|
売買手数料(買付) | 約4,950円 |
為替手数料(買付) | 約1,667円 |
売買手数料(売却) | 約4,950円 |
為替手数料(売却) | 約1,667円 |
合計 | 約13,234円 |
実質コスト率: 約1.32%
(3) 住信SBI経由:為替手数料を約1/6に削減
住信SBI銀行経由の場合(100万円投資):
項目 | 金額 |
---|---|
売買手数料(買付) | 約4,950円 |
為替手数料(買付) | 約267円(4銭/ドル) |
売買手数料(売却) | 約4,950円 |
為替手数料(売却) | 約267円(4銭/ドル) |
合計 | 約10,434円 |
削減効果:
- 円貨決済:約13,234円
- 住信SBI経由:約10,434円
- 削減額:約2,800円
住信SBI銀行経由でドル両替することで、為替手数料を大幅に削減できます。
まとめ:総コストを把握して証券会社を選ぶ
米国株の手数料は、売買手数料だけでなく、為替手数料やその他の隠れたコストも含めて総合的に判断する必要があります。
次のアクション:
- 主要ネット証券(SBI・楽天・マネックス)の手数料を比較
- 住信SBI銀行を利用して為替手数料を84%削減
- NISA口座を活用して買付手数料を無料に
- ADR手数料や口座管理手数料などの隠れコストを確認
- 投資額に応じた実質コストをシミュレーション
手数料を正しく理解し、総コストを抑えることで、長期的な投資成果が大きく変わります。
※本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。手数料体系は変更される可能性があるため、最新情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。