米国株スクリーニング完全ガイド|おすすめ条件と使い方

公開日: 2025/10/20

米国株は4000銘柄以上あるけれど、どうやって選べばいいか分からない...

米国株に投資したいと考えている日本人投資家の多くが、「膨大な銘柄の中から、どうやって効率的に選べばいいのか?」「スクリーニングツールの使い方が分からない」「どんな条件設定が有効なのか?」といった悩みを抱えています。

米国市場には4000銘柄以上の株式が上場しており、一つひとつ調べるのは現実的ではありません。スクリーニングツールを使って条件を設定することで、自分の投資スタイルに合った銘柄を効率的に絞り込むことができます。

この記事では、米国株スクリーニングツールの使い方、投資スタイル別のおすすめ条件設定、無料ツールの活用方法を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • スクリーニングは4000銘柄以上から効率的に候補を絞る手法。他人の推奨に頼らず自分で判断できる
  • 基本5項目は時価総額・PER・配当利回り・売上成長率・ROE。これらを組み合わせて条件設定
  • 成長株は売上成長率10%以上、バリュー株はPER 15倍以下、配当株は配当利回り3%以上が目安
  • Yahoo Finance・Finviz・SBI証券・楽天証券・マネックス証券のツールが無料で使える
  • スクリーニング後は財務諸表・業界比較・ニュース確認で最終的に5-10銘柄に絞り込む

1. 米国株スクリーニングとは?その重要性

スクリーニングは、特定の条件で銘柄を絞り込む作業です。

(1) 4000銘柄以上から効率的に候補を絞る

米国市場には、NYSE、NASDAQなどに4000銘柄以上の株式が上場しています。これらすべてを調べることは不可能です。

スクリーニングツールを使えば、時価総額、PER、配当利回り、売上成長率などの条件を設定して、数十〜数百銘柄に絞り込むことができます。

例えば、「時価総額100億ドル以上」「PER 15〜25倍」「売上成長率10%以上」という条件を設定すると、大型成長株の候補が抽出されます。

(2) 他人の推奨に頼らない投資判断

スクリーニングを使うことで、自分の投資スタイルに合った銘柄を自分で見つけることができます。他人の推奨に頼らず、自分で判断する力をつけることが長期的な投資成功につながります。

また、スクリーニングで抽出した銘柄は、自分が設定した条件に合致しているため、納得感を持って投資できます。

2. スクリーニング条件の基本5項目

スクリーニング条件を設定する際は、以下の5つの基本項目を押さえることが推奨されます。

(1) 時価総額(大型・中型・小型株)

時価総額は、株価×発行済株式数で計算される企業の規模を示す指標です。

分類 時価総額 特徴
大型株 100億ドル以上 安定性が高い、流動性が高い
中型株 20億〜100億ドル 成長性と安定性のバランス
小型株 20億ドル未満 成長性が高い、リスクも高い

初心者は、時価総額100億ドル以上の大型株から始めることが推奨されます。

(2) PER(株価収益率):割安度の指標

PER(Price to Earnings Ratio)は、株価が1株利益の何倍かを示す指標です。PERが低いほど、割安と判断されます。

  • PER 15倍以下: 割安株の可能性
  • PER 15〜25倍: 適正水準
  • PER 25倍以上: 割高または高成長株

成長株はPERが高くても評価される場合があります。一方、バリュー株投資ではPER 15倍以下を条件にすることが一般的です。

(3) 配当利回り:インカムゲイン重視なら

配当利回りは、年間配当金÷株価×100で計算されます。配当収入を重視する投資家は、配当利回り3%以上を条件にすることが多いです。

米国株の平均配当利回りは約2%程度です。配当利回り4%以上は高配当株と言われますが、配当性向や財務健全性も確認する必要があります。

(4) 売上成長率:成長性の評価

売上成長率は、前年同期比での売上高の増加率です。成長株投資では、売上成長率10%以上を条件にすることが一般的です。

売上成長率が高い企業は、事業拡大が順調に進んでいると評価されます。ただし、成長率が高すぎる場合、持続可能性を確認する必要があります。

(5) ROE(自己資本利益率):経営効率

ROE(Return on Equity)は、純利益÷自己資本×100で計算される経営効率を示す指標です。

  • ROE 15%以上: 経営効率が高い
  • ROE 10〜15%: 標準的
  • ROE 10%未満: 経営効率が低い可能性

ROEが高い企業は、少ない資本で大きな利益を生み出していると評価されます。

3. 投資スタイル別おすすめ条件設定

投資スタイルによって、スクリーニング条件は異なります。

(1) 成長株投資:売上成長率10%以上、PER高め

成長株投資では、高い成長率を誇る企業を選びます。

おすすめ条件:

  • 時価総額: 50億ドル以上
  • 売上成長率: 10%以上
  • EPS成長率: 10%以上
  • ROE: 15%以上
  • PER: 20〜40倍(高PERでも成長性があれば評価)

この条件で、テクノロジー企業やヘルスケア企業などが抽出される可能性があります。

(2) バリュー株投資:PER 15倍以下、PBR 1倍以下

バリュー株投資では、割安と判断される企業を選びます。

おすすめ条件:

  • 時価総額: 100億ドル以上
  • PER: 15倍以下
  • PBR: 1倍以下
  • ROE: 10%以上
  • 配当利回り: 2%以上

この条件で、金融、エネルギー、素材などの伝統的なセクターの企業が抽出される可能性があります。

(3) 配当株投資:配当利回り3%以上、連続増配

配当株投資では、安定した配当を出している企業を選びます。

おすすめ条件:

  • 時価総額: 100億ドル以上
  • 配当利回り: 3%以上
  • 配当性向: 30〜60%(配当を維持しやすい水準)
  • 連続増配年数: 10年以上
  • ROE: 10%以上

この条件で、配当貴族(S&P500で25年以上連続増配している企業)が抽出される可能性があります。

(4) 安定投資:時価総額100億ドル以上、ROE 15%以上

安定性と成長性のバランスを重視する投資家向けの条件です。

おすすめ条件:

  • 時価総額: 100億ドル以上
  • PER: 15〜25倍
  • ROE: 15%以上
  • 売上成長率: 5%以上
  • 自己資本比率: 40%以上

この条件で、安定した大型株が抽出される可能性があります。

4. 無料スクリーニングツールの使い方

米国株のスクリーニングツールは、無料で使えるものが多数あります。

(1) Yahoo Finance Stock Screener

Yahoo Financeは、無料で使える米国株スクリーニングツールです。

特徴:

  • 無料で使える
  • 時価総額、PER、配当利回り、売上成長率など多数の条件設定が可能
  • 検索結果をリスト表示、CSV出力も可能

使い方:

  1. Yahoo Finance(https://finance.yahoo.com/screener)にアクセス
  2. 「Add another filter」で条件を追加
  3. 時価総額、PER、配当利回りなどを設定
  4. 「Find Stocks」で検索

※出典: Yahoo Finance Stock Screener https://finance.yahoo.com/screener

(2) Finviz:ビジュアル重視

Finvizは、ビジュアル重視のスクリーニングツールです。

特徴:

  • 無料版と有料版がある(無料版でも十分使える)
  • ヒートマップでセクター別の株価動向が一目で分かる
  • テクニカル指標(RSI、移動平均など)も設定可能

使い方:

  1. Finviz(https://finviz.com/screener.ashx)にアクセス
  2. 「Descriptive」「Fundamental」「Technical」タブで条件を設定
  3. 検索結果がビジュアルで表示される

※出典: Finviz Stock Screener https://finviz.com/screener.ashx

(3) 証券会社のスクリーナー(SBI・楽天・マネックス)

日本の証券会社も、米国株スクリーニングツールを提供しています。

  • SBI証券: 米国株スクリーニングツールで日本語で条件設定可能
  • 楽天証券: 米国株スーパーサーチで銘柄検索
  • マネックス証券: 米国株銘柄スクリーニングで詳細条件設定

日本語で使えるため、英語に不安がある方におすすめです。

5. スクリーニング後の銘柄分析方法

スクリーニングで候補を絞った後、詳細な分析が必要です。

(1) 財務諸表の確認(売上・利益・CF)

スクリーニングで抽出された銘柄の財務諸表を確認します。

  • 損益計算書: 売上高、営業利益、純利益の推移
  • 貸借対照表: 自己資本比率、負債比率
  • キャッシュフロー計算書: 営業CFがプラスか、フリーCFが健全か

SECのEDGARで10-K(年次報告書)、10-Q(四半期報告書)を無料で閲覧できます。

(2) 業界・競合との比較

同じ業界の競合企業と比較します。

  • 市場シェア: 業界内でのポジション
  • 成長率: 競合と比べて成長率が高いか
  • 利益率: 競合と比べて利益率が高いか

MorningstarやBloombergで業界比較データを確認できます。

(3) ニュース・決算資料のチェック

最新のニュースや決算資料を確認します。

  • ニュース: 企業の最新動向、業界トレンド
  • 決算資料: 最新の決算内容、ガイダンス
  • Earnings Call: 経営陣の発言内容

Yahoo Financeや企業IRサイトで確認できます。

(4) 最終的に5-10銘柄に絞り込む

スクリーニングで数十〜数百銘柄が抽出される場合、詳細な分析を経て最終的に5〜10銘柄に絞り込みます。

分散投資の観点から、異なるセクター、異なる投資スタイルの銘柄を組み合わせることが推奨されます。

6. まとめ:自分で銘柄を見つける力をつけよう

米国株スクリーニングツールを使うことで、4000銘柄以上の中から効率的に候補を絞り込むことができます。

基本5項目(時価総額、PER、配当利回り、売上成長率、ROE)を押さえ、投資スタイル別に条件を設定しましょう。成長株、バリュー株、配当株、安定投資など、自分の投資目的に合った条件を選ぶことが重要です。

Yahoo Finance、Finviz、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのツールが無料で使えます。スクリーニング後は、財務諸表、業界比較、ニュース確認を行い、最終的に5〜10銘柄に絞り込みましょう。

次のアクション:

  • スクリーニングツールにアクセスして試してみる
  • 自分の投資スタイルに合った条件を設定する
  • 抽出された銘柄の財務諸表を確認する
  • 最終的に5〜10銘柄を選んで投資検討リストを作る

自分で銘柄を見つける力をつけることで、長期的な投資成功につながります。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1初心者向けのスクリーニング条件は?

A1時価総額100億ドル以上、PER 15〜25倍、ROE 15%以上、売上成長率5%以上が安全圏です。大型株で経営効率が高く、安定した成長を続けている企業が抽出されます。条件は3〜5個程度に絞ることが推奨されます。

Q2スクリーニングツールは有料?

A2Yahoo Finance、Finvizなど無料ツールで十分です。日本の証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)のスクリーナーも無料で使えます。有料版(Morningstar Premium、Bloomberg Terminalなど)もありますが、初心者は無料ツールで十分です。

Q3何個の条件を設定すべき?

A33〜5個が目安です。条件を多く設定しすぎると候補が0になり、少なすぎると数百銘柄が抽出されて絞り込めません。基本5項目(時価総額、PER、配当利回り、売上成長率、ROE)の中から、自分の投資スタイルに合った3〜5個を選びましょう。

Q4スクリーニングだけで投資判断できる?

A4不十分です。スクリーニングは候補を抽出する手段に過ぎません。その後、財務諸表の確認、業界・競合との比較、最新のニュース・決算資料のチェックが必須です。最終的に5〜10銘柄に絞り込んで投資判断を行いましょう。

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