米国株のオプション取引を始めたいけれど、どの証券会社を選べばいい?
米国株のオプション取引は、株価の値動きを利用してリターンを狙う高度な投資手法です。「日本からでもオプション取引できる?」「どの証券会社が対応している?」「手数料はどれくらい?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、日本から米国株オプション取引ができる証券会社の比較、手数料体系、取引ツール、初心者が知っておくべき基礎知識を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 日本から米国株オプション取引ができる証券会社は限られている
- サクソバンク証券、インタラクティブ・ブローカーズ証券が主要な選択肢
- 手数料は証券会社により大きく異なる(1契約あたり数百円〜数千円)
- オプション取引は高リスク商品であり、初心者には推奨されない
- NISA口座では取引不可、課税口座(特定口座・一般口座)のみ対応
米国株オプション取引ができる証券会社の選び方
米国株オプション取引ができる証券会社を選ぶ際のポイントを解説します。
(1) 手数料の安さ
オプション取引の手数料は証券会社により大きく異なります。1契約(100株分)あたりの手数料を比較しましょう。
手数料の目安:
- 低コスト証券: 1契約0.5〜1ドル
- 一般的な証券: 1契約5〜10ドル
- 対面証券: 1契約10ドル以上
頻繁に取引する場合は、手数料の差が大きく影響します。
(2) 取扱銘柄の豊富さ
オプション取引ができる銘柄数は証券会社により異なります。
確認ポイント:
- 主要銘柄(Apple、Tesla、NVIDIA等)のオプションが取引可能か
- ETFオプション(SPY、QQQ等)も取引できるか
- 権利行使価格や満期日の選択肢が豊富か
(3) 取引ツールの使いやすさ
オプション取引には専用の取引ツールが必要です。
重要な機能:
- オプションチェーンの表示
- ギリシャ指標(Delta、Gamma、Theta等)の表示
- リアルタイムの価格情報
- 複雑なオプション戦略(スプレッド、ストラドル等)の設定
日本語対応のツールがあるかも確認しましょう。
(4) 教育コンテンツの充実度
オプション取引は複雑な商品なので、初心者向けの教育コンテンツが充実している証券会社を選ぶことをおすすめします。
米国株オプション取引の基本知識
オプション取引の基本を理解しておきましょう。
(1) オプション取引とは(買う権利・売る権利)
オプション取引は、将来の特定日に特定価格で株式を売買する「権利」を取引する投資手法です。
オプションの種類:
- コールオプション: 買う権利
- プットオプション: 売る権利
基本的な用語:
- 権利行使価格(ストライク価格): オプションを行使する価格
- プレミアム: オプションの価格
- 満期日: オプションの有効期限
(2) コールとプットの違い
コールオプション(買う権利):
- 株価が上昇すると予想する時に購入
- 権利行使価格より株価が高くなれば利益
例: Apple株の現在価格が150ドル、権利行使価格155ドルのコールオプションを購入。株価が170ドルになれば、155ドルで買う権利を行使でき、15ドルの利益(170ドル - 155ドル)が得られます。
プットオプション(売る権利):
- 株価が下落すると予想する時に購入
- 権利行使価格より株価が低くなれば利益
例: Apple株の現在価格が150ドル、権利行使価格145ドルのプットオプションを購入。株価が130ドルに下落すれば、145ドルで売る権利を行使でき、15ドルの利益(145ドル - 130ドル)が得られます。
(3) ハイリスク商品であることの認識
オプション取引は高リスク・高リターンの商品です。
主なリスク:
- 時間価値の減少: 満期日に近づくとプレミアムが減少
- レバレッジ効果: 少額の投資で大きな損失が発生する可能性
- 複雑性: 株式投資より理解が難しい
初心者は少額での練習から始めることを強くおすすめします。
主要証券会社のオプション取引対応状況
日本から米国株オプション取引ができる主要証券会社を紹介します。
(1) サクソバンク証券の特徴
サクソバンク証券は、デンマークに本拠を置くグローバル証券会社の日本法人です。
特徴:
- 米国株オプション取引が可能
- 取扱銘柄数が豊富(主要銘柄のほとんどに対応)
- 日本語サポートあり
- 取引ツール「SaxoTraderGO」が高機能
手数料:
- 1契約あたり5ドル程度(取引量により変動)
- 最低手数料あり
注意点:
- 口座開設時の最低入金額が設定されている場合あり
- 取引承認レベルの審査がある
(2) インタラクティブ・ブローカーズ証券
インタラクティブ・ブローカーズ(IB証券)は、米国の大手オンライン証券会社です。
特徴:
- 米国株オプション取引が可能
- 取引手数料が非常に安い(1契約0.65ドル〜)
- 高機能な取引ツール「Trader Workstation (TWS)」
- グローバルな市場に対応
手数料:
- 1契約あたり0.65ドル〜(米国株オプション)
- 最低手数料1ドル
注意点:
- 取引ツールが複雑で初心者には難しい
- 日本語サポートは限定的
- 口座管理費がかかる場合あり(取引量により免除)
(3) SBI証券・楽天証券の対応状況
SBI証券:
- 米国株の現物取引・信用取引は可能
- 米国株オプション取引は現在非対応(2025年1月時点)
楽天証券:
- 米国株の現物取引は可能
- 米国株オプション取引は現在非対応(2025年1月時点)
国内主要証券会社では、米国株オプション取引に対応していないところが多いのが現状です。
(4) マネックス証券の対応状況
マネックス証券:
- 米国株の現物取引は可能
- 米国株オプション取引は現在非対応(2025年1月時点)
ただし、将来的に対応する可能性はあるため、公式サイトで最新情報を確認しましょう。
証券会社別の手数料体系比較
米国株オプション取引の手数料を比較します。
(1) 取引手数料の比較
証券会社 | 1契約あたりの手数料 | 最低手数料 | 備考 |
---|---|---|---|
インタラクティブ・ブローカーズ | 0.65ドル〜 | 1ドル | 取引量により変動 |
サクソバンク証券 | 5ドル程度 | あり | プランにより異なる |
SBI証券 | - | - | オプション取引非対応 |
楽天証券 | - | - | オプション取引非対応 |
※手数料は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。
(2) 証拠金要件
オプション取引には証拠金が必要です。
オプション買い:
- プレミアム全額を支払えば購入可能
- 数千円から取引できる場合もある
オプション売り(ショート):
- 高額の証拠金が必要(数十万円〜)
- カバードコール(保有株式に対してコール売り)なら証拠金不要
(3) 口座管理費・その他コスト
インタラクティブ・ブローカーズ:
- 口座管理費: 月10ドル(取引手数料が10ドル以上なら免除)
- リアルタイムデータ利用料: 別途必要
サクソバンク証券:
- 口座管理費: 基本無料
- データ利用料: プランにより異なる
取引ツールとサポート体制
(1) 取引プラットフォームの比較
サクソバンク証券「SaxoTraderGO」:
- ブラウザベースで使いやすい
- 日本語対応
- オプションチェーンの表示が見やすい
インタラクティブ・ブローカーズ「TWS」:
- 高機能だが複雑
- カスタマイズ性が高い
- プロフェッショナル向け
(2) リアルタイム情報の提供
オプション取引ではリアルタイムの価格情報が重要です。
確認ポイント:
- オプション価格のリアルタイム更新
- ギリシャ指標(Delta、Gamma、Theta、Vega)の表示
- インプライド・ボラティリティの確認
(3) 日本語サポートの有無
サクソバンク証券:
- 日本語サポートあり(電話・メール)
- 日本語の教育コンテンツが充実
インタラクティブ・ブローカーズ:
- 日本語サポートは限定的
- 主に英語でのサポート
(4) 教育コンテンツの充実度
オプション取引の学習には教育コンテンツが重要です。
サクソバンク証券:
- 日本語のウェビナー・セミナーを定期開催
- 初心者向けガイドが充実
インタラクティブ・ブローカーズ:
- 英語の教育コンテンツが豊富
- デモ口座(ペーパートレード)で練習可能
まとめ:目的別おすすめ証券会社
日本から米国株オプション取引ができる証券会社は限られています。目的別におすすめの証券会社を紹介します。
初心者・日本語サポート重視:
- サクソバンク証券: 日本語サポートと教育コンテンツが充実
手数料重視・上級者向け:
- インタラクティブ・ブローカーズ証券: 手数料が最安レベル、高機能ツール
オプション取引を始める前に:
- オプション取引の基本を学ぶ(書籍・セミナー等)
- 証券会社のデモ口座で練習する
- 少額から実践を始める
- リスク管理を徹底する(損切りルールの設定等)
次のアクション:
- サクソバンク証券またはインタラクティブ・ブローカーズ証券で口座開設
- オプション取引承認の審査を受ける
- デモ口座で取引の練習をする
- 少額から実践を開始し、経験を積む
オプション取引は高リスク商品です。十分な知識と経験を積んでから実践することを強くおすすめします。