SBI証券で米国株オプション取引、できる?できない?
「SBI証券で米国株オプション取引を始めたいけれど、どうすればいいの?」「オプション取引でリスクヘッジをしたい」――米国株投資の経験を積んだ投資家の中には、オプション取引に興味を持つ方も多いでしょう。
しかし、結論から言うと、2025年10月時点で、SBI証券・楽天証券・マネックス証券など日本の主要ネット証券では米国株オプション取引は提供されていません。米国株オプション取引を行うには、Interactive Brokersなどの海外証券会社に口座を開設する必要があります。
この記事では、米国株オプション取引の基礎知識、SBI証券の対応状況、日本から取引する方法、リスクと注意点を解説します。
この記事のポイント:
- SBI証券では米国株オプション取引は提供されていない(2025年時点)
- 日本の主要ネット証券も同様に非対応
- 海外証券(Interactive Brokers等)で取引可能
- オプション売り手は無限損失リスクあり
- 税務申告が複雑、専門家への相談が推奨
1. 導入(SBI証券で米国株オプション取引は可能か)
米国株オプション取引は、レバレッジ効果やリスクヘッジに有効な手法として、経験豊富な投資家に利用されています。しかし、日本の主要ネット証券では、米国株オプション取引は一般的に提供されていません。
これは、オプション取引の複雑さと高いリスクから、投資家保護の観点で慎重な姿勢が取られているためと考えられます。
それでも米国株オプション取引を行いたい場合は、海外証券会社の利用が選択肢になります。ただし、口座開設のハードル、日本語サポートの有無、税務申告の複雑さなど、いくつかの注意点があります。
2. オプション取引の基礎知識
(1) コールオプションとプットオプション
オプション取引には2つの基本的な種類があります:
- コールオプション:特定の価格(権利行使価格)で株を買う権利
- プットオプション:特定の価格で株を売る権利
例えば、株価100ドルの銘柄について「権利行使価格110ドルのコールオプション」を買った場合、将来株価が110ドルを超えれば、110ドルで株を買う権利を行使できます。
(2) 権利行使価格と満期日
オプションには以下の要素があります:
- 権利行使価格(Strike Price):オプションを行使する際の株価
- 満期日(Expiration Date):オプションの有効期限
- プレミアム(Premium):オプションの価格
満期日に近づくと、オプションの時間価値は減衰します(セータ・デカイ)。
(3) 買い手と売り手のリスク
オプション取引には買い手と売り手がいます:
立場 | 最大利益 | 最大損失 |
---|---|---|
買い手 | 無制限(理論上) | プレミアム分のみ |
売り手 | プレミアム分のみ | 無制限(理論上) |
オプションの売り手は、理論上無限の損失リスクがあるため、十分な証拠金と資金余力が必要です。
3. SBI証券の米国株オプション対応状況
(1) SBI証券では米国株オプション取引は提供されていない
2025年10月時点で、SBI証券は米国株オプション取引を提供していません。SBI証券の公式サイトでも、米国株オプション取引に関する案内は見当たりません。
SBI証券で提供されているのは以下の米国株関連サービスです:
- 米国株式の現物取引
- 米国ETFの取引
- NISA口座での米国株投資
オプション取引はこれらのサービスには含まれません。
(2) 楽天証券・マネックス証券も同様に非対応
楽天証券・マネックス証券など、日本の主要ネット証券も同様に米国株オプション取引は提供していません。
証券会社 | 米国株式 | 米国株オプション |
---|---|---|
SBI証券 | ○ | × |
楽天証券 | ○ | × |
マネックス証券 | ○ | × |
日本国内の証券会社で米国株オプション取引を提供しているところは、2025年10月時点ではほとんど見当たりません。
4. 日本から米国株オプション取引をする方法
(1) 海外証券会社(Interactive Brokers等)の利用
日本から米国株オプション取引を行うには、以下の海外証券会社に口座を開設する方法があります:
- Interactive Brokers:多国籍対応、日本語サポートあり
- Firstrade:米国証券会社、手数料が比較的低い
- TD Ameritrade:米国大手証券、高機能取引ツール
これらの証券会社は、米国居住者以外にも口座開設を認めている場合があります。
(2) 口座開設の手続きと注意点
海外証券会社の口座開設には、以下の手続きが必要です:
- オンライン申込(英語の場合が多い)
- 本人確認書類の提出(パスポート等)
- 住所証明書の提出(公共料金明細等)
- 最低入金額の入金(証券会社により異なる)
注意点:
- 日本語サポートの有無:Interactive Brokersは日本語対応あり
- 最低入金額:証券会社により数千ドル〜数万ドル必要
- 送金手数料:日本の銀行から海外送金する際に手数料がかかる
(3) 税務申告の複雑さ
海外証券会社で取引した場合、確定申告が必要です。オプション取引の損益は雑所得として総合課税される可能性が高いとされています(※税理士に要確認)。
日本の証券会社のような特定口座(源泉徴収あり)は利用できないため、ご自身で損益計算と確定申告を行う必要があります。
5. オプション取引のリスクと注意点
(1) 売り手の無限損失リスク
オプションの売り手(ライター)は、理論上無限の損失リスクがあります。
例えば、株価100ドルの銘柄で「権利行使価格100ドルのコールオプション」を売った場合、株価が150ドルに上昇すると、50ドル分の損失(実際にはそれ以上)が発生します。株価が200ドルに上昇すれば、損失はさらに拡大します。
オプション売りは、十分な証拠金と資金余力がある経験豊富な投資家のみが行うべき戦略です。
(2) 時間価値の減衰
オプションには「時間価値」があり、満期日に近づくと価値が減衰します(セータ・デカイ)。特に満期直前の1週間は急速に価値が減ります。
オプションの買い手は、時間価値の減衰により、株価が予想通りに動いても損失を被る可能性があります。
(3) レバレッジによる損失拡大
オプション取引はレバレッジ効果が高く、少額の資金で大きなポジションを取れます。しかし、その分損失も拡大しやすく、元本以上の損失が発生する可能性があります。
初心者がオプション取引を始める場合、まずは少額から、買い手のポジション(プレミアム分の損失のみ)で経験を積むことが推奨されます。
6. まとめ(オプション取引を始める前に知るべきこと)
米国株オプション取引は、リスクヘッジやレバレッジ戦略に有効ですが、高度な知識と経験が必要です。SBI証券など日本の主要ネット証券では提供されていないため、海外証券会社を利用する必要があります。
オプション取引を始める前のチェックリスト:
- オプションの基礎知識(コール・プット、権利行使価格、満期日)を理解している
- 売り手の無限損失リスクを理解している
- 十分な資金余力がある(証拠金+追加資金)
- 税務申告の方法を理解している(税理士への相談推奨)
- まずは少額・買い手ポジションから始める
代替戦略:
オプション取引のリスクが高いと感じる場合、以下の代替戦略も検討できます:
- 分散投資:複数銘柄・セクターに分散してリスク軽減
- ドルコスト平均法:定期的に一定額を投資して購入タイミングを分散
- 長期保有:短期的な値動きに左右されず、長期視点で投資
オプション取引は万人向けではありません。ご自身の投資経験・リスク許容度に応じて、慎重に判断してください。投資は自己責任で行い、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
※2025年10月時点の情報です。証券会社のサービス内容は変更される可能性がありますので、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。