米国株の配当金はいつもらえる?基本スケジュールを理解する
「米国株の配当金はいつ口座に入金されるの?」「日本株と何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか。
米国株投資を始めたばかりの方にとって、配当金の受取時期や手続きは分かりにくいものです。米国株は日本株と異なり年4回配当が一般的で、配当支払日・権利確定日・権利落ち日といった独自のスケジュールがあります。
この記事では、米国株配当金の受取時期・入金方法・税金処理を初心者向けに解説します。
この記事のポイント:
- 米国株は年4回配当が一般的(日本株は年1~2回)
- 配当支払日の数日後に日本の証券口座に日本円で入金
- 権利落ち日の前営業日までに購入すれば配当を受け取れる
- 米国で10%源泉徴収後、日本で20.315%課税(NISA口座は日本分非課税)
- 為替レートにより円換算での受取額が変動
(1) 米国株は年4回配当が一般的(日本株との違い)
米国株の多くは**四半期配当(年4回)**を採用しており、3ヶ月ごとに配当金が支払われます。
米国株と日本株の配当頻度比較:
項目 | 米国株 | 日本株 |
---|---|---|
配当頻度 | 年4回(四半期配当) | 年1~2回(中間配当+期末配当) |
配当月 | 3月・6月・9月・12月等 | 3月・9月等 |
配当方針 | 連続増配を重視 | 業績に応じて変動 |
例えば、コカ・コーラ(KO)は3月・6月・9月・12月の年4回配当を支払っています。これは、株主への継続的な還元を重視する米国企業文化によるものです。
(2) 配当スケジュールは企業により異なる
配当の支払月や支払日は企業により異なります。
代表的な配当スケジュール例:
- Apple(AAPL):2月・5月・8月・11月
- Microsoft(MSFT):2月・5月・8月・11月
- コカ・コーラ(KO):3月・6月・9月・12月
- AT&T(T):2月・5月・8月・11月
各企業の配当スケジュールは、Yahoo Financeや証券会社の配当カレンダーで確認できます。
(3) 配当金の受取は日本円で証券口座に入金
日本の証券会社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券等)で米国株を保有している場合、配当金は自動的に日本円に換算され、証券口座に入金されます。
入金の流れ:
- 配当支払日に米国で配当が支払われる(ドル建て)
- 米国で10%源泉徴収される
- 証券会社が日本円に自動換算(為替レートは支払日前後のレート)
- 数営業日後に証券口座に日本円で入金
米国株配当の4つの重要日程(宣言日・権利確定日・権利落ち日・支払日)
米国株の配当には、4つの重要日程があります。
(1) 配当宣言日(Declaration Date):配当金額と支払日を発表
配当宣言日とは、企業が配当金額と支払日を正式に発表する日です。
発表内容:
- 1株あたりの配当金額(例:0.50ドル/株)
- 権利確定日(Record Date)
- 配当支払日(Payment Date)
例えば、Appleは2025年1月下旬に「2月の配当は0.25ドル/株、支払日は2月10日」と発表します。
(2) 権利落ち日(Ex-Dividend Date):この日以降は配当を受け取れない
権利落ち日とは、この日以降に株を購入した場合、配当を受け取れない日です。
重要なポイント:
- 権利落ち日の前営業日までに購入すれば配当を受け取れる
- 権利落ち日当日に購入した場合は、配当を受け取れない
- 権利確定日の2営業日前が権利落ち日(米国のT+2決済ルール)
具体例:
- 権利確定日:2月15日(金)
- 権利落ち日:2月13日(水)
- 購入期限:2月12日(火)の取引終了まで
(3) 権利確定日(Record Date):株主名簿に記載される基準日
権利確定日とは、企業が株主名簿を確定し、配当を受け取る権利を持つ株主を特定する日です。
株主名簿への記載:
- 権利確定日時点で株主名簿に記載されている投資家が配当を受け取る
- 米国ではT+2決済(約定日から2営業日後に受渡し)のため、権利確定日の2営業日前までに購入が必要
(4) 配当支払日(Payment Date):実際に配当が口座に入金される日
配当支払日とは、実際に配当金が支払われる日です。
支払日の流れ:
- 米国で配当が支払われる(ドル建て)
- 証券会社が受け取り、日本円に換算
- 数営業日後に日本の証券口座に入金
4つの日程のまとめ:
日程 | 英語名 | 日付例 | 意味 |
---|---|---|---|
配当宣言日 | Declaration Date | 1月25日 | 配当金額と支払日を発表 |
権利落ち日 | Ex-Dividend Date | 2月13日 | この日以降の購入は配当対象外 |
権利確定日 | Record Date | 2月15日 | 株主名簿を確定する日 |
配当支払日 | Payment Date | 2月28日 | 実際に配当が支払われる日 |
日本の証券会社での配当金受取タイミングと入金方法
(1) SBI証券での配当金入金スケジュール
SBI証券の配当金入金:
- 配当支払日の1~5営業日後に円建てで入金
- 「外貨建商品取引口座」に入金される
- 自動的に日本円に換算(為替レートは入金日のレート)
SBI証券のウェブサイトで「入出金明細」を確認すれば、配当金の入金履歴が確認できます。
(2) 楽天証券の配当受取方法
楽天証券の配当金入金:
- 配当支払日の1~5営業日後に円建てで入金
- 「外国株取引口座」に入金される
- 楽天ポイントが貯まる(配当金額の一部)
楽天証券では、配当金受取時に楽天ポイントが付与されることがあります。
(3) マネックス証券の配当カレンダー
マネックス証券の配当金入金:
- 配当支払日の1~5営業日後に円建てで入金
- 「米国株取引口座」に入金される
- マネックス証券のウェブサイトで配当カレンダーが確認可能
マネックス証券は、米国株の配当カレンダーが充実しており、権利落ち日や支払日が一覧で確認できます。
(4) 配当金の自動円転と為替レートの影響
配当金は自動的に日本円に換算されますが、為替レートにより受取額が変動します。
為替レートの影響:
- 円安時(1ドル=150円):受取額が増える
- 円高時(1ドル=130円):受取額が減る
具体例:
- 配当金:10ドル
- 為替レート150円/ドル:1,500円
- 為替レート130円/ドル:1,300円
円高時は配当金の円換算額が減少するため、為替リスクを考慮する必要があります。
米国株配当金にかかる税金と手取り額の計算
(1) 米国で10%源泉徴収される
米国株の配当金は、米国で自動的に10%源泉徴収されます。
源泉徴収の仕組み:
- 企業が配当を支払う際、米国で10%を自動的に差し引く
- 日米租税条約により、日本居住者は10%の税率(通常30%だが条約で軽減)
具体例:
- 配当金:100ドル
- 米国源泉徴収10%:10ドル
- 手取り(米国側):90ドル
(2) 日本で20.315%課税される(二重課税)
米国で源泉徴収された後、日本でさらに20.315%課税されます。
日本での課税:
- 所得税:15.315%
- 住民税:5%
- 合計:20.315%
具体例(特定口座の場合):
- 配当金:100ドル(15,000円、為替レート150円/ドル)
- 米国源泉徴収10%:1,500円
- 日本課税20.315%:約3,047円
- 手取り:約10,453円(約70%)
(3) NISA口座の場合:日本の課税なし、米国10%は課税
NISA口座で米国株を保有している場合、日本の課税(20.315%)は非課税になります。
NISA口座の課税:
- 米国源泉徴収10%:課税される(二重課税防止条約でも軽減不可)
- 日本の課税20.315%:非課税
具体例(NISA口座):
- 配当金:100ドル(15,000円)
- 米国源泉徴収10%:1,500円
- 日本課税:0円(非課税)
- 手取り:約13,500円(約90%)
NISA口座では、日本の課税が免除されるため、手取り額が大幅に増えます。
(4) 外国税額控除で一部取り戻せる
外国税額控除を利用すれば、米国で課税された10%を日本の所得税から一部差し引けます。
外国税額控除の仕組み:
- 確定申告で外国税額控除を申請
- 米国で課税された10%を日本の所得税から控除
- 上限あり(所得税額の一定割合まで)
特定口座(源泉徴収あり)でも、確定申告をすれば外国税額控除を受けられます。
配当金を受け取るための購入タイミングと注意点
(1) 権利落ち日の前営業日までに購入が必要
配当金を受け取るには、権利落ち日の前営業日までに購入する必要があります。
購入タイミングの具体例:
- 権利確定日:2月15日(金)
- 権利落ち日:2月13日(水)
- 購入期限:2月12日(火)の取引終了まで
権利落ち日当日や以降に購入した場合、配当を受け取れません。
(2) 配当落ち(株価下落)を考慮する
権利落ち日には、株価が配当分だけ下落する配当落ちが発生します。
配当落ちの仕組み:
- 配当金額:1ドル/株
- 権利落ち日前の株価:100ドル
- 権利落ち日の株価:約99ドル(配当分1ドル下落)
配当目的で権利確定日直前に購入しても、株価が配当分下落するため、短期的な利益は期待できません。
(3) 配当再投資(DRIP)の活用方法
**DRIP(Dividend Reinvestment Plan)**とは、受け取った配当金を自動的に同じ株に再投資する仕組みです。
DRIPのメリット:
- 配当金を自動的に再投資し、複利効果を享受
- 手数料なしで再投資できる場合が多い
- 長期的な資産形成に有効
日本の証券会社では、DRIPに対応していないことが多いため、手動で再投資する必要があります。
(4) 配当支払日の変更に注意
企業の業績悪化や経営方針の変更により、配当支払日や配当金額が変更されることがあります。
配当変更のリスク:
- 配当減額(Dividend Cut):業績悪化により配当を減らす
- 配当停止(Dividend Suspension):一時的に配当を停止
- 配当スケジュール変更:支払月が変更される
企業のIR情報や証券会社の配当カレンダーで、最新情報を確認しましょう。
まとめ:米国株配当金受取のポイント
米国株の配当金は、配当支払日の数日後に日本の証券口座に日本円で入金されます。権利落ち日の前営業日までに購入すれば配当を受け取れますが、米国で10%、日本で20.315%の二重課税がかかります。NISA口座なら日本分が非課税になるため、手取り額が増えます。
次のアクション:
- NISA口座で米国株を購入し、配当金の手取り額を増やす
- 証券会社の配当カレンダーで権利落ち日を確認する
- 四半期配当の連続増配株(配当貴族)を長期保有する
- 外国税額控除を確定申告で申請し、米国源泉徴収分を一部取り戻す
米国株の配当金は、長期投資で安定的なキャッシュフローを提供します。配当スケジュールと税金の仕組みを理解し、賢く米国株投資を続けましょう。